◆日本M&Aセンター『伸びる企業の買収戦略』を読む



日本M&Aセンター事業法人部・著


副題→「実録、中堅・中小M&A成功事例の徹底解剖」



★要旨



・時間を買えるのがM&Aの醍醐味なり。

成長スピードを速める。



・M&Aの最大のメリットは、

自社単独ではとてつもなく時間のかかるビジョン達成を、

他社の力を借りることで

より早期に実現できること。



・トップ面談こそ、重要なり。



・M&Aは、結婚によく例えられる。



・トップ面談では、

買い手としては、決して

「買ってやるんだ」といった言動をしないこと。



・経験値を上げるには、場数を踏むしかない。



・M&Aの回数を重ねるほど、

確実に経験値は上がっていく。



・ファンドは、

特に売り手にはわかりやすい言葉で語りかけ、

安心感を醸成する。



・ファンドの担当者は、

トップ面談も含めて

相手に寄り添う姿勢が徹底されている。

恋愛やお見合いで、相手に自らのことを

「惚れさせる」技術が、並大抵ではない。



・買収案件数が増えると、

「期待の成果」が上がる。



★コメント

究極のビジネスといわれる、M&Aを

もっと学んでいきたい。

M&Aのグランドマスターを目指したい。


 

 



 

 

 

 


◆優木まおみ『ピラティス以外ぜんぶやめていい』を読む



★要旨



・ピラティスは、歯磨きのようなもの。



・やる前はだれでも、私も面倒くさい。

永久に。

でもやったら楽しいし、気持ちいい。

疲れている日のお風呂と同じ。

それがピラティス。



・ハードなピラティスで、

集中したフロー状態を目指す。



・限られた時間で効率よく、

体幹を鍛えられ、脳もリフレッシュ。



・40点しかできない日があっても、

3日続ければ、120点でしょ。



・1日10分、

心身をととのえる時間を持つことで、

その日の疲れをまずは、リセットしよう。



・ピラティスは、体幹を鍛えて、

体をととのえる。



・インナーマッスルは、天然のコルセット。



・お尻は、何もしなければ、

必ず下がる。

だから鍛えよ。



・姿勢は、人生を変える。



・今のままの自分で、

すでに唯一無二の、

誰かにとって大切な存在。



・フルーツは、欲するままに。

特に朝食べるのが、オススメ。



★コメント

体に沁みる、温かい言葉に溢れている。

ピラティスに癒され、自分の体を大切にしたい。



 

 



 

 



◆猫組長『黒い経済白書』を読み解く



副題→「金融破綻や貧困をビジネスチャンスに変える」



★要旨



・私のなかには安全保障も含めた暴力、

国際金融、ドルが支配する戦略物資ビジネスなどの

実務経験が蓄積されている。


その私が、たどり着いた、

この世界を示す1つの定義が、



「マネーは、基軸通貨ドルと暴力の関係から生まれる」

(M=$V)


ということだ。



・私が暴力団やマフィアの経済モデルを

実社会に当てはめることに違和感を覚える人がいるが、

それこそ大いなる誤認といえる。



・国家規模の「暴力」を純化したミニマムなモデルこそが、

「黒い経済モデル」だからだ。



・エジプト、ギリシャ、ローマ、モンゴル帝国に至るまで、

人類が「経済」と「社会」を手に入れてから、

「マネーと暴力」の関係は、2000年間以上、不変である。



・中国の軍事力を評価するとき、

中国軍のステルス戦闘機や空母の保有数などを基準にすることが多い。

だが知人のロシアマフィアは、

これを「意図的な過大評価だ」という。



・ロシアマフィアは、

ロシアの防衛産業に深く関与している。



・小規模の反政府ゲリラから、北朝鮮やイランまで、

武器取引にはロシアマフィアが

仲介になることが多い。



・ロシアマフィアは、

組織内にも元特殊部隊の出身者がいて、

「黒い軍事コンサル」だ。

お得意様についての高い精度の情報と、

インテリジェンスを持っている。



・二酸化炭素回収ビジネスでは、

すでに億万長者を生んでいる。

それこそが、ビル・クリントン政権で

副大統領をつとめた、アル・ゴアだ。



・「SDGs」とは、

「環境問題」というイデオロギーを使った、

産業構造の強制改編だと、私は考えている。



・私も含めて投資家は、マネーの前に冷徹だ。

環境問題の偽善性を知りながら、

生み出されるニュービジネスへと投資をするのだから。



・戦争とは、憎悪による暴力行為ではない。

相手の領土、領海や経済圏などを「暴力」によって

奪い取る経済活動なり。



・アメリカがベトナム戦争に参戦した理由は、

「アジアの赤化抑止」だったが、

その本当の意味は、

「アジアでのアメリカ経済圏の構築」である。



・暴力団は、「暴力」によって他組織の利益を収奪する。

ただし「ケンカ」において重要なのは、

「終わらせ方」である。



・暴力が破壊活動だけに向かえば、

得るべき利益まで破壊してしまう。

この拡大版である国家による「ケンカ」、

戦争は経済行為なのだから、

相手の国を完全に破壊することは、ナンセンスということになる。



・最小限の破壊で、最大限の利益を得ることこそ、

戦争という経済行為の「うま味」なのだ。



・「戦争」は常に「出口」を作りながら行わなければ、

経済活動として成立しない。

だからこそ、

「破壊」しかもたらさない暴力行為は「テロ」と呼ばれ、

「戦争」と区別されているのだ。



★コメント

国際社会の現実を垣間見た。

なにが、本質かを見極め、

表の情報だけに惑わされないようにしたい。




 

 



 

 



◆猫組長『シン地政学。正義なき世界を動かす』を読む(その1)



副題→「マネー、オイル、暴力の新方程式」




★要旨



・ロシアは、先進国と違って、

軍と秘密警察、オリガルヒ(新興財閥)、そしてマフィアの

「黒い三権」が国家を支配している。



・ロシアの実情を理解するため、

地下経済、資源・エネルギーを含めた、

独自の多角的な視点から解説する。



・半導体は、

産業を支える中核パーツで、

半導体の供給不足が、国力の低下に直結する、

と言っても過言ではない。

すなわち、現代社会において、

半導体は、「戦略物資」なのだ。



・ロシアとウクライナは、世界屈指の食糧生産地だ。

また、ロシアは、

資源・エンルギー生産大国でもある。



・1980年代のバブル期に投資家になった私は、

バブル崩壊で巨大な借金を抱えた。

借りたカネの一部は、

黒い経済界のものであったので、

私は、ヤクザ組織に私自身を担保として差し出し、

経済ヤクザに転身した。



・暴力を背景にした株取引で、

それ以前とはステージの違う「黒い金融取引」を

経験することになった。

その後、私は石油ビジネスに参入した。



・テロ組織の資金洗浄に私の口座を使われてしまい、

結果、石油ビジネスで得た巨大な利益は、

最終的にアメリカによって

銀行ごと凍結されてしまった。



・このことで、私は、

アメリカの巨大な暴力、

つまり基軸通貨「ドル」と「資源・エネルギー」

という戦略物資との密接な関係を、

実際に体験することになる。



★コメント

豊富な知識と経験からくる、面白い文章に圧巻なり。


 

 



 

 


◆峯村健司『台湾有事と日本の危機』を読み解く(その1)



副題→「習近平の『新型統一戦争』シナリオ」




★要旨



・2020年10月、

筆者は、安倍晋三元総理と膝詰めで座っていた。

寄稿した「習近平の台湾併合・極秘シナリオ」を元に

自民党部会で講演を行い、

その資料について、安倍の議員事務室で

改めてレクチャーした。



・安倍は黙々と、赤ペンで資料にメモを書き込みながら、

いつもより低めの声のトーンで、

こうつぶやいた。


「つまり台湾有事は、まさに日本の有事なんですね」


→2021年の台湾でのシンポジウムで安倍が言及した、

「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」

という言葉が生まれた瞬間だった。



・「2024年」と記した部分を安倍はぐるぐると

赤ペンで囲みながら、声のトーンを上げた。


「この年は極めて重要ですね。

1月の台湾総統選だけではなく、9月には自民党総裁の任期もある。

そして11月の米大統領選と続く。

このとき、この国を誰が導いているかが極めて重要です」



・このレクチャー後、

筆者が安倍の控室に呼ばれてレクチャーをする頻度が増えた。

安倍が「総理三選」を狙っている、

という筆者の仮説は、確信へと変わった。



・『中国「軍事強国」への夢』の著者で、

上級大佐の劉明福によれば、

台湾問題をどのように解決するか、

それを決断するのは米国ではなく中国であり、

習近平政権下の中国共産党は、自らの意志と方法で

併合に向けて動くというのである。


しかもその方法として、

「平和的統一」を否定し、

武力行使も是認しているのだ。



・日本こそ、攻略すべき最重要ターゲットなり。



・「新型統一戦争」を考えるうえで、

参考になるのが、ロシアが対ウクライナで展開している、

「ハイブリッド戦」だ。


戦闘機や艦船といった軍事力以外の手段を使う作戦のことだ。

軍艦ではない政府の公船による領海侵入や上陸、

正規軍ではない武装兵の動員のほか、

電力や通信網といったインフラの破壊、

サイバー攻撃やフェイクニュースの拡散などで

敵国を攪乱し、知らぬ間に優位な状況をつくり出す。

SNSも駆使して台湾を混乱させたうえで、

台湾の親中派勢力やゲリラを使って占領するやり方だ。



・実は、中国のほうがロシアよりも

ハイブリット戦には精通している。



・そして台湾有事の際、

中国がハイブリッド戦の標的にするのは、

何も台湾だけではない。

日本にも仕掛けてくるのは、間違いない。



・中国軍にとって、

台湾有事におけるもっとも重要な戦略目標は、

米軍の介入を阻止することである。



・米軍の拠点となる

米軍基地を抱える同盟国・日本を揺さぶって、

有事の際に日米離間を図ることは必至だ。



・日本こそ、

台湾を完全統一するために

中国が攻略すべき最重要ターゲット、

といっても過言ではない。



★コメント

読めば読むほど、恐ろしくなるシナリオだ。

できる限り準備して、

徹底的に備えたい。

そのために、この危機を共有できる仲間を増やしたい。


 

 

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◆北村滋『外事警察秘録』を読み解く



北村さんは、警察庁出身。

警備・公安部門の勤務が長い。

内閣情報官、国家安全保障局長を歴任。



★要旨



・「重信房子」は、

我が国の外事警察が長い間、

多くのリソースを割いて追跡しながらも、

今なおメンバーの一部が逃亡している国際テロ組織「日本赤軍」の

最高幹部を務めた人物である。



・日本赤軍は、

テロを起こして捕えられた仲間を

新たな奪還テロによって釈放させ、

別のテロに合流させようとした、

稀有な凶悪犯罪集団だ。



・日本警察は、

長くその壊滅を目指し、

世界の果てまで追及してきたが、

私にとっては、インテリジェンス・オフィサーの世界に

足を踏み入れるきっかけでもあった。



・1982年、

私は、奥村人事課長補佐から、

フランス留学への内示を受けた。

彼の勧めに従って、フランス語を学んだ成果だった。



・当時、警察庁入庁3年目の若者だった私は、

庁舎で文書審査に明け暮れていた。



・奥村課長補佐からの内示によって、

外国でしばし羽を伸ばせると、

私の中で解放感が生じ、

ただただ嬉しかったことを憶えている。



・だが、私をフランスに送り出そうとする警察庁には、

「日本赤軍」や「よど号」グループなど

我が国が直面していた国際テロ組織と闘うための、

インテリジェンスオフィサーを一人、戦列に加える、

という含意があったのだと思う。

私がそれを理解するのは、後になってのことだ。



・日本の外事警察が、

海外でテロリストを追跡し、捕らえ、

組織壊滅を目指す。

そして現地の治安機関、情報機関を

カウンターパートとするようになってきたのであった。



・1977年までのテロ事件は、

ヨーロッパもしくは、アラブを中心に起きていた。

その中でも日本赤軍の潜伏先として、

北西アフリカのマグレブ地域、

東部地中海沿岸のレバント地域が想定されており、

そこでの通用言語は、アラビア語を除けば、

英語よりもむしろフランス語であった。



・フランス語圏での対テロ情報活動の重要性が

組織的に強く共有された時代に、

私は警察庁に入った、ということになる。



・今にして思うと、フランス留学、

在フランス大使館勤務、外事課理事官、

外事課長、外事情報部長、内閣情報官、

国家安全保障局長へ至る、

40年の役人生活の基本線「インテリジェンスの系譜」は、

留学時に決まったのではないか、

と感じている。



★コメント

北村さんは退官後、さまざまな著書を出しているが、

どれも学びの多いもので、熟読したい。



 

 

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◆大西康之『ファーストペンギン。楽天、三木谷浩史の挑戦』を読む



★要旨



・日本興業銀行を辞めた三木谷浩史は、何をすべきかあれこれ迷った末、

インターネット・ショッピングの「楽天市場」を始めることにした。

1996年のことだ。



・なけなしの100万円を投じてシステムを外注したが、思うように動かない。

三木谷は「やっぱり自分でやらないとダメだな」と言って、

大学院を修了したばかりの本城とともにプログラミングの猛勉強を始めた。



・本城は本職のコンピューターエンジニアではないが、

ITと英語が必須とされる慶応SFCの出身だから、ある程度のITリテラシーは持ち合わせていた。

三木谷はバリバリの文系である。

興銀に入行後、ハーバードでMBAを取得したとはいえ、プログラミングは習っていない。

それでも三木谷は本城に負けじとプログラミングを学んだ。

そして、彼は一通りのプログラミングが書けるようになった。



・創業メンバーの杉原はこう証言する。

「三木谷さんはとにかく負けず嫌いな人ですからね。

他人にできて自分ができないというのは我慢ならないわけです。

でも、カッコつけだから必死になって努力しているところを見られるのはイヤ。

だからコソ勉するんです」



・プロ野球に参入したころの三木谷は野球の素人だった。

彼は球団経営から野球の戦術、技術まで、あらゆることを猛烈に勉強した。

やがて米メジャーリーグにも友人、知人が大勢でき、

彼らと会うたびに最先端の知識を仕入れてくる。

いつの間にか監督やコーチと互角に議論できるレベルに達していた。

この学習能力の高さが、三木谷浩史の真骨頂である。



・シリコンバレーのコミュニティに入ろうとしている三木谷はこう言う。

「クラウド、イッターネット・オブ・シングス、ビックデータ。

この世界では、次から次へと新しいテクノロジーが出てきて、

市場がどんどん変化していく。

計画なんて役に立たない。

嵐の真っ只中にいるのだから」



・激しい変化を肌で感じるためには、嵐の中に身をおく必要がある。

だから三木谷は、ここシリコンバレーに居を構えた。

バーベキューパーティに入るための「入場券」とも言える。

パーティのホストが務まらない「無粋な人間」のところには、

人も情報も集まってこない。



・2007年1月、年が明け、その日は仕事始めだった。

三木谷と穂坂は朝6時の飛行機で羽田から福岡に向かった。

機中で三木谷は分厚いファイルを熱心に読んでいた。

そこには楽天市場から楽天トラベル、検索サービスのインフォシーク、

楽天証券、ゴルフ場予約サービスの楽天GORAまで、

数十に及ぶ事業の前週の損益状況がびっしり書き込んであった。



・一橋大、興銀、ハーバードMBAという三木谷のバックグランドと聞くと、

理論先行の頭でっかちな経営を想起するが、三木谷のやり方はその対極にある。

一つ一つの小さな数字を舐めるように見て、会社が起きていることを隅々までチェックする。

「どミクロ」の経営が三木谷の身上だ。

その姿はJALを再建した京セラ創業者、稲盛和夫のスタイルに似ている。



・小学6年生から10年間、アメリカで過ごした百野研太郎(元・楽天常務)は、

トヨタに入社、日本でクルマ作りをみっちり教え込まれた後、

英国の関連会社TMUKに配属され、同社会長のアラン・ジョーンズの鞄持ちになった。

英国紳士のアランは百野のアメリカ英語を「それでは馬鹿だと思われる」

と徹底的に矯正した。

百野がきれいなクイーンズ・イングリッシュを覚えたのは、アランのお陰だ。



・元楽天副社長の島田亨は、1987年に東海大学を卒業し、リクルートに入社した。

そこで宇野康秀らと出会い、89年に人材派遣のインテリジェンスを創業する。

2000年にインテリジェンスを辞め、幾つかの会社を立ち上げつつ、

様々なベンチャー企業に投資をして悠々自適の生活を送っていた。

2004年のある日、西麻布で飲んでいると、突然、島田の携帯電話が鳴った。

三木谷からだった。

起業家仲間として旧知の仲である島田に、三木谷は単刀直入に言った。

「島田さん、球団の社長をやってくれませんか」



・20代半ばからずっと経営者をやっていた島田の手腕はベテラン社長並。

三木谷の周りを固めるのは、島田のような一騎当千のプロフェッショナルたちである。

彼らはカネや働く場所に困って楽天に来たわけではない。



・「たかが事務処理」をおろそかにしない。

かつての楽天はM&Aを繰り返した副作用で、財務・経理部門がガタガタになっていた。

毎年、何社も買収を続けたため、一つの会社の中で様々な方言が飛び交い、収拾がつかなくなっていった。

「たかが事務処理」と軽く見て、この状況を放置すると、

やがて会社の中で何が起こっているかがわからなくなり、組織は制御不能になる。

管理部門の強化が必要だった。

興銀時代に事務処理の大切さを叩き込まれた三木谷は、楽天が迎えた「内なる危機」を見逃さず、

すぐさま「プロジェクトV」という取り組みを始めた。



・とにかく起業家はビジョンやテクノロジーに走り、

エグゼキューション(実務)をおろそかにしがちだが、

元銀行員の三木谷は廣瀬のような実務家を重用し、優れて実務的な経営をする。


 


★コメント

筆者の大西氏は日経の記者出身。

さずがその筆致は緻密であり、表現方法が面白い。

客観的な視点で、楽天や三木谷氏をみていて、勉強になる。



 



 

 

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◆小泉悠『偽情報戦争』を読み解く



副題→「あなたの頭の中で起こる戦い」



★要旨



・西側がロシアの弱体化を狙って

さまざまな工作を仕掛けている、

という見方は、以前から

ロシア社会に根強く存在していた。



・ロシアを代表する情報戦理論家で、

外交アカデミー教授のイーゴリ・パナーリンによれば、

ソ連の崩壊は、

西側による「情報戦争」の結果であった。



・偽情報によって社会主義体制は、

限界を迎えているという認識を抱かせることで、

急進的な経済改革や情報公開に走らせて

ソ連の崩壊を図った、というのである。



・2016年のアメリカ大統領選に対して

ロシアが仕掛けた介入作戦は、ロシアの論理では

「復讐」であった。



・情報戦理論の源流は、メッスネルにあり。



・エフゲニー・メッスネルは、

元々ロシアの帝国陸軍の砲兵将校であった。

1917年、ロシア革命が起こると、

反共主義者のメッスネルは、白軍に身を投じた。

敗れた後は、

ドイツ、そしてアルゼンチンへと逃れた。



・彼は、アルゼンチンにて、

祖国を共産主義政権から解放する方法について

思索をめぐらせ続けた。



・メッスネルは、大戦争はできなくなったが、

電波メディアである、テレビやラジオならば、

国境を越えて人々に情報を送れることができる、

と気が付いた。

「電波侵略」が可能になるということだ。



・マイダン革命を

「ルーシ民族分断のための西側の陰謀」

とみなしたプーチンは、

その直後にウクライナに対する介入を開始した。

第一次ロシア・ウクライナ戦争の始まりである。



・しかも、これは単なる軍事的侵略ではなく、

大規模な情報戦を伴うものであった。



・ロシアの情報戦が狙っているのは、

人々の認識を180度逆転させることではなく、

大量の偽情報を複数のチャンネルから

継続的・反復的に浴びせかけることによって、

何が事実なのか、わからない状況を

作り出すことなのである。



★コメント

偽情報と、どうやって渡り合うか、

勉強を続けなければならない。



 

 

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◆乾正人『自民党崩壊』を読み解く



副題→「『維新』は天下を盗れるか」



乾さんは、元・産経新聞政治部長。



★要旨



・そもそも政治家ではなく、外交官だった吉田茂が、

自由党の総裁に就任したのは、

GHQによる公職追放のため

政界を追われていた鳩山一郎に請われたからだ。



・当初は、政権基盤が弱いどころの話ではなく、

雇われマダム的存在だった。



・鳩山側にしてみれば、

追放解除に総裁の座に戻るには、

政治の世界には無縁で、

素人同然だった吉田を据えたほうがマシ、

との判断だったが、これが甘かった。



・生来がヘソ曲がりな吉田茂は、

「鳩山の自由党」ではなく「吉田の自由党」にしようと、

自前の権力基盤づくりに邁進したのである。



・清和会という派閥は、

自民党のなかでは、傍流中の傍流であった。



・清和会の創始者は、

福田赳夫だが、源流は、岸派にある。



・清和会出身の首相は、

2000年の森喜朗を皮切りにのべ5人、

在任期間は、16年を数える。



・清和会政権の嚆矢となった森政権の誕生は、

偶然が重なったものだった。

小渕恵三が、宰相の座にあった2000年の初頭に、

その後の清和会の興隆を予測した政治家や記者は、

いなかった。



・派閥分裂は、

構成員にとって短期的にはマイナスだが、

世代交代を進める上では、絶好の機会である。



・我こそは、と思う人材は、どんどん仲間を集め、

新しい旗を揚げればいい。



・憲法改正実現を大義名分に、

保守勢力が一致団結することが、

日本の危機突破には不可欠である。



★コメント

政治の歴史を振り返ることが、未来につながると確信した。



 

 

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◆佐藤優『ベストセラーに学ぶ最強の教養』を読む



★要旨



・山崎豊子の『不毛地帯』は、

歴史の中で翻弄される人間を描き、

戦後日本を凝縮した大作である。



・シベリアの白い不毛地帯から始まり、

中東の砂漠の、赤い不毛地帯で終わるこの作品に、

戦後の昭和史が圧縮されている。



・主人公の壱岐正を

「昭和の参謀」と呼ばれた実在の人物と重ね合わせると、

この作品の面白さが、半減される。



・テキストだけを

虚心坦懐に味わうことが重要だ。



・壱岐は、近畿商事の副社長を辞め、

シベリアでの墓参と遺骨収集の協議を行うために、

ソ連に渡る。



・壱岐は最後に、

すべてのキャリアを投げ捨てて、

シベリアで倒れた戦友のために残りの人生を捧げる、

というのが素直な読み方だろう。



・他方、「壱岐は、ソ連のスパイ」という、

里井の囁きを補助線にするならば、

壱岐は、墓参と遺骨収集という人道目的を掲げ、

ソ連当局と自然に接触する口実を作っている、

と見ることもできる。



・優れたテキストは、

このように複数の解釈を可能にするのである。



・筆者、佐藤優は、

1987年から1995年まで、

モスクワの日本大使館に勤務した。



・そのとき、

ロシアの政治情勢を読み解くために、

ベストセラーに関心を持つようになった。



・ロシア人によく読まれている本は、

人々の言語化されてない意識を表現するからだ。



・ベストセラーを通して、

国民の知的指向性を分析するという手法は、

ロシアに対してのみならず、

米国、英国、ドイツ、日本などに対しても適用できる。



★コメント

架空の小説からも、たくさんの気づきや学ぶがあることを

あらためて知った。

分析しながら、読み込みたい。


 

 

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