◆佐藤優『ベストセラーに学ぶ最強の教養』を読む



★要旨



・山崎豊子の『不毛地帯』は、

歴史の中で翻弄される人間を描き、

戦後日本を凝縮した大作である。



・シベリアの白い不毛地帯から始まり、

中東の砂漠の、赤い不毛地帯で終わるこの作品に、

戦後の昭和史が圧縮されている。



・主人公の壱岐正を

「昭和の参謀」と呼ばれた実在の人物と重ね合わせると、

この作品の面白さが、半減される。



・テキストだけを

虚心坦懐に味わうことが重要だ。



・壱岐は、近畿商事の副社長を辞め、

シベリアでの墓参と遺骨収集の協議を行うために、

ソ連に渡る。



・壱岐は最後に、

すべてのキャリアを投げ捨てて、

シベリアで倒れた戦友のために残りの人生を捧げる、

というのが素直な読み方だろう。



・他方、「壱岐は、ソ連のスパイ」という、

里井の囁きを補助線にするならば、

壱岐は、墓参と遺骨収集という人道目的を掲げ、

ソ連当局と自然に接触する口実を作っている、

と見ることもできる。



・優れたテキストは、

このように複数の解釈を可能にするのである。



・筆者、佐藤優は、

1987年から1995年まで、

モスクワの日本大使館に勤務した。



・そのとき、

ロシアの政治情勢を読み解くために、

ベストセラーに関心を持つようになった。



・ロシア人によく読まれている本は、

人々の言語化されてない意識を表現するからだ。



・ベストセラーを通して、

国民の知的指向性を分析するという手法は、

ロシアに対してのみならず、

米国、英国、ドイツ、日本などに対しても適用できる。



★コメント

架空の小説からも、たくさんの気づきや学ぶがあることを

あらためて知った。

分析しながら、読み込みたい。


 

 

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