◆峯村健司『台湾有事と日本の危機』を読み解く(その1)



副題→「習近平の『新型統一戦争』シナリオ」




★要旨



・2020年10月、

筆者は、安倍晋三元総理と膝詰めで座っていた。

寄稿した「習近平の台湾併合・極秘シナリオ」を元に

自民党部会で講演を行い、

その資料について、安倍の議員事務室で

改めてレクチャーした。



・安倍は黙々と、赤ペンで資料にメモを書き込みながら、

いつもより低めの声のトーンで、

こうつぶやいた。


「つまり台湾有事は、まさに日本の有事なんですね」


→2021年の台湾でのシンポジウムで安倍が言及した、

「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」

という言葉が生まれた瞬間だった。



・「2024年」と記した部分を安倍はぐるぐると

赤ペンで囲みながら、声のトーンを上げた。


「この年は極めて重要ですね。

1月の台湾総統選だけではなく、9月には自民党総裁の任期もある。

そして11月の米大統領選と続く。

このとき、この国を誰が導いているかが極めて重要です」



・このレクチャー後、

筆者が安倍の控室に呼ばれてレクチャーをする頻度が増えた。

安倍が「総理三選」を狙っている、

という筆者の仮説は、確信へと変わった。



・『中国「軍事強国」への夢』の著者で、

上級大佐の劉明福によれば、

台湾問題をどのように解決するか、

それを決断するのは米国ではなく中国であり、

習近平政権下の中国共産党は、自らの意志と方法で

併合に向けて動くというのである。


しかもその方法として、

「平和的統一」を否定し、

武力行使も是認しているのだ。



・日本こそ、攻略すべき最重要ターゲットなり。



・「新型統一戦争」を考えるうえで、

参考になるのが、ロシアが対ウクライナで展開している、

「ハイブリッド戦」だ。


戦闘機や艦船といった軍事力以外の手段を使う作戦のことだ。

軍艦ではない政府の公船による領海侵入や上陸、

正規軍ではない武装兵の動員のほか、

電力や通信網といったインフラの破壊、

サイバー攻撃やフェイクニュースの拡散などで

敵国を攪乱し、知らぬ間に優位な状況をつくり出す。

SNSも駆使して台湾を混乱させたうえで、

台湾の親中派勢力やゲリラを使って占領するやり方だ。



・実は、中国のほうがロシアよりも

ハイブリット戦には精通している。



・そして台湾有事の際、

中国がハイブリッド戦の標的にするのは、

何も台湾だけではない。

日本にも仕掛けてくるのは、間違いない。



・中国軍にとって、

台湾有事におけるもっとも重要な戦略目標は、

米軍の介入を阻止することである。



・米軍の拠点となる

米軍基地を抱える同盟国・日本を揺さぶって、

有事の際に日米離間を図ることは必至だ。



・日本こそ、

台湾を完全統一するために

中国が攻略すべき最重要ターゲット、

といっても過言ではない。



★コメント

読めば読むほど、恐ろしくなるシナリオだ。

できる限り準備して、

徹底的に備えたい。

そのために、この危機を共有できる仲間を増やしたい。


 

 

◆まぐまぐメルマガ『国際インテリジェンス機密ファイル』ご案内。

ご登録はこちら。


http://www.mag2.com/m/0000258752.html