パソコンで何かのソフトを立ち上げるとき。
スマホで何某のアプリを使うとき。
あるいは銀行のCDでお金を降ろそうとするとき。
そのたび最近しょっちゅう出てくるメッセージが、「生体認証にしましょう」というやつ。
確かに、パソコンもスマホもいちいちパスワードを入れるのは手間なのだが、それ以上に私は生体認証の方が面倒くさい。
一般的には指紋や眼球、顔、声、それに体臭とかDNAや行動認証なんてのもあるらしい。
自らを振り返ってみれば、仕事のパソコンを立ち上げるのに指紋認証、たまに出社するときに出入りするのに顔認証が必要で。
顔認証に関しては、登録した写真と人物を比較するのだと思うが、コロナ真っ盛りに出社した冬、マスクに帽子に眼鏡した姿のままで認証できたことに驚いた。
でも、指紋認証の方は、……嫌なのだ。
何度指を当てても認識してくれない。
私の指紋が消えかけているのか、あるいはスーパーで袋の口を開けられない指のカサカサと共通な何かなのか、とにかく3回失敗して「はい、ジ・エンド」となった頻度がめちゃくちゃ高い。
そのため、仕事先にはその旨伝えて別対応でログインできるようにしてもらっている。
そんな風に落ち着くまでの結構な期間、焦ったりウンザリしたりの繰り返しで、なかなかに気力が蝕まれ、仕事に到達する前にテンションが地に落ちたことは否定できない。
だから、他の生活全般、スマホで使っているアプリやら何やらあれこれを生体認証にしなさい、とやたら勧められても。
まるでその気になれない。
面倒なパスワード入力が要りません、とか、カンタンログイン、だとか……良さげな勧誘メッセージには、こういった「認証できなくなる」リスクは何も記されていない。
最近は、何かトラブった時に連絡がHPやメールのみとか、人を介さないタイプのものが多く、全然利用者に優しくない。
デジタルが苦手な人でも、全部自分でどうにかしなくてはならない。
私はデジタル苦手ではないものの、得意でもない。
HPの画面で何度も同じところをぐるぐる回り、求める対応にたどり着くのに消耗することも多い。
多分、もっと上の世代の方々は、そこでお手上げじゃないだろうか。
だからトラブる確率の高い生体認証など、絶対にやりたくない。
ちなみに、昔観た映画で、虹彩だか眼球だかの認証でドアが開くという近未来のアクションものがあった。
それは、その担当者を殺して目をくりぬいて認証を通ったという恐ろしい描写があって、……そういうトラウマからも、生体認証は嫌い。
(了)
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