おそらく、そんなんじゃこの時代、何一つ楽しみを実現できないよ。
あちこちからそんな声が飛んできそうな挫け方をしそうになった。
チケットを取るに当たり、めんどくささに負けそうになったのである。
今月末までの期間、私が青春時代に夢中になった漫画雑誌の展示企画があって、うちから1時間くらいだし、行ってみようと思い立った。
その会場専用のオンラインかローソンで時間帯を指定して予約チケットを取る仕組み。
でも、今後その会場とご縁があるとも思えなくて、会員登録はしたくない。
なのでローソンの会員登録なしパターンで購入しよう、今日のお昼くらいの時間帯で。
と思って進めていくと、支払いがクレジットか何とかPayしかない。
私、ネットにクレジット番号を入れるのが超超嫌いなので、そこでの予約はアッサリパス。
それでも、近場のローソンに出向いてQRコードを読ませれば買えそうな感じだったので、今すぐ出かけようと片足靴に突っ込んだ。
が、ふと注意事項を見ると、「チケット発行は予約後24時間以降になります」とある。
ええ~、2時間後くらいに行きたいのに。
靴から足をひっこめた時点で、めんどくささが行く気を上回る勢いに。
確かにその雑誌の企画展、行ってみたくはあったが、正直「チケット代、高くない?」と思わないでもなかった。
企画展とは関係ない展望台入場料が上乗せされているのも納得いかず。
更に、その雑誌でご活躍の漫画家さん大勢が展示やグッズ展開など様々な形で参加しているのだが、私がご贔屓の方のご披露はあまり多くなさそうで、そんだけ? となってしまいそうな気がしなくもなかった。
で、「行ってみたい気持ち」<「行かなくてもいっか」 となりかけた。
もう会期終了が迫っている中、この日しか空いてないなあ、とギリギリになってしまったことを後悔しつつも。
土砂降りとか酷暑な日は避けたい。
起きたら体調がすぐれない、なんて朝もある。
そういうの、その日になってみないとわからないし。
だから時間ができたからフラリと行っちゃおう。
そんな風に参加したかったのだ。
だったら「当日券」か……
でも割高な上、空きがなかったら現地までわざわざ出向いたのに入れない、ということになる……。
しばらく迷ったが、せっかくだし、「チケットを取る」時点で挫けるのもアホらしいと振り切って飛び出してみた。
割高とはいえ、当日券の差額は、ローソンで購入する場合に付加される手数料と大差ない。
それに、都心に出てちょっとおしゃれなところでランチでもすれば気分も上がるだろう、と自らを鼓舞して。
結果、正直言うと、20分くらいで見終わってしまい、見たい作家さん分はごく一部、値段も安くはない、と危惧したことは予想通りだった。
(おしゃれランチも、都心は値段が高すぎて結局あきらめて帰った……。)
ただ、展示を見ていたら、その雑誌を読んでいた頃のあれこれを思い出してちょっと胸が洗われた気分。
漫画の内容だけでなく、あの頃の気持ちや環境や悩んでいたことなんか、青春だったなあ、こんなことあんなことあったなあ、なんて。
帰りがけ、お土産替わりの参加賞的なカードをもらい、それが私のご贔屓漫画家さんの絵柄に当たり、ちょっと幸せにもなった。
オチとしては……こんな場合でも発揮される方向音痴。
この美術館、迷路?
見終わって帰るだけとなったのにエレベーターまでたどり着けず、ぐるぐる回ってまた入口に入ろうとして係員に止められるという……
変な人、と思われただろうけど、一応愛読者だったので、許してください。
(了)
「パニック」がお題の短編です。8分で読めます。(ヒューマンドラマ)
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「のびる」がお題の短編です。9分で読めます。(童話)
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「歌う」がお題の短編です。14分で読めます。(現代ファンタジー)
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「引越し」がお題の短編です。11分で読めます。(現代ファンタジー)
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「キッコのベンチ裏レポート」(ただいま第8話まで公開中)
第213回コンテストで佳作に選んでいただいた「ポケットの中」がお題の短編はこちら↓ 11分で読めます。
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バラを育ててはいけません (ファンタジー)