読書日記

読書日記

自分用の読書備忘録。
なので、よほどのことが無い限り画像とか一切無いです。
そしてアップはけっこう遅延しがち。

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11月に読んだ本は6冊(図書館本6冊)でした。
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<満足度>★★★ 感動 ★★ 面白い ★ 収穫少

 

<お気に入り順>

本『太平洋戦争への道1931-1941』半藤 一利(NHK出版新書 2021.7)
【満足度】★★★

【概要・所感】「昭和史にはすべての問いの答えがある」というのは半藤氏の名言。本書はNHKラジオ「太平洋戦争への道」(2017年8月15日)を再現・編集したもの。1931年の満州事変から1941年の太平洋戦争開戦まで、時系列で世相となぜ戦争に突入したか、について半藤氏、加藤陽子氏、保坂正康氏の対談形式で語られます。加藤氏が最後に「戦争は暗い顔とか、わかりきった顔で近付いてはこない」と言っていますが、近現代史を流れで理解しればとても腑に落ちる一言です。半藤氏が「たった1年の空襲体験が戦争観を作っているのは、戦争に対する考えの幅が狭く、想像力が足りていない」と喝破しています。

 

超面白すぎたので、この際、昭和史をざっくりまとめてみます。

まず、日本は世界恐慌により疲弊し、ソ連の国防上、満州の権益が欲しかったので、柳条湖をきっかけに自衛を目的に満州を制圧、溥儀を担ぎ出し昭和七年に満州国を建国。それは関東軍の傀儡であったので、蒋介石は国連に提訴。国連のリットン調査団は日本の権益に配慮(国際協調の道は残す)したが、その間、関東軍が熱河作戦という軍事行動を起こす。国連に経済制裁されるくらいなら、国際連盟を脱退。そもそもこのように日本が国際的に侮られているのは、支配層に問題があるからだとテロが相次ぐのが昭和七年。(昭和のファシズムは昭和八年に芽が出てきた) 昭和十二年には盧溝橋での武力衝突をきっかけに日中戦争に突入、和平工作は失敗し、昭和十三年の近衛声明に。盧溝橋は現地の軍双方で大規模化する意思はなかったが、それを超えて日本側の参謀本部作戦課などの思惑があり強硬な路線になってしまった。日本は中国に宣戦布告はしていないのに反撃をしてくる、つまり内乱の鎮圧であって、中国に謝らせる(ぼうしちょうよう)ことで終結させたかった。だが、この中国との戦争がズルズルと終わらず、それは英米の支援があるからで、その対立から戦争へ。昭和十五年には東亜新秩序を目指すため、日独伊三国軍事同盟を締結。結果、米との関係が決定的に悪化。昭和十六年に対立を打開するための日米交渉開始(ハルノートは厳しい内容だが、日本は開戦を決断できる状況にないはずと思われた)。その交渉の最中、石油のアメリカ依存を脱却のため南部仏印へ進駐したところ、アメリカは日本の予想を超える対抗措置・石油輸出禁止(フランスの承認を得ているのだから侵略では無いが、ただならぬ数の軍人が南下していた) 以下はご存じのとおり。

【ポイント】

日本が軍事的に表へ出ていくのを後押ししたのは、実は日本のマスコミ(p.30)

 ⇒軍縮ブームのあと、満州事変が起き、新聞は一斉に支持。国民が煽られて後押し。

*究極的には、「日本の軍人の教育制度と内容」に基本的な過ちがあったのではないか

 (p.38 保阪)

 ⇒頭脳明晰、分析力にも優れているタイプがなぜ?

*関東軍にとって張作霖は、実際に傀儡化できなければ存在価値がないというので、昭和三年に

 暗殺 =中略= この背景を知った張学良は、父の仇を討つという心理で抗日に転じ、蒋介石

 とともに中国統一の先頭に立った(p.66 保阪)

リットン調査団の報告書は、国際社会の融和の中に日本を戻そうと試み、そしてその中で日本

 の提起している問題については、私たちも共同で立ち向かい、ともに権益を享受するかたちに

 するというようなことを言っています。(p.72)

 ⇒侵略して領土にしたのではなく、満州民族で作った国を認めないのは受け入れられない

*天皇が陸軍にストップをかけるような何らかの判断を下して、国民の反発を買うリスクを負わ

 せるということは、侍従武官長や宮中の人としてはできなかった。(p.80)

 ⇒動き出した熱河作戦を止められなかった

国際連盟脱退を強く主張したのは、むしろ新聞です。(p.83 半藤)

 ⇒斎藤実内閣はどうにもならないくらい参ってしまった

日本が太平洋戦争に進む道筋は、この満州国建国と国際連盟の脱退による孤立主義が大きな

 影響を持った(p.93)

*五・一五事件の裁判が行われた昭和八年、=中略= テロリズムそのものを悪とするのでは

 なく、動機が正しければ何をやってもいいという空気ができ上がってくる(p.98)

 ⇒裁判で涙ながらに主張を訴える若い陸軍士官たちが英雄視され、反対に、犬養首相の家族に

  冷たい目が向けられる

二・二六事件は軍内の権力闘争によって起きた(p.106)

 ⇒後ろ盾になっていた荒木貞夫、真崎甚三郎は力を失い、梅津、寺内寿一、東条が主導権を。

*「皇道派」は、戦略観だけで言えば、ソ連と対決するというのを本義とします。=中略=

 「統制派」は国内を統制して力を蓄え、中国をまずたたいて後顧の憂いをなくしてからソ連

 と対決したほうがいいという戦略(p.108)

 ⇒戦略論の争いの結果、昭和十年の永田鉄山暗殺に反撃して二・二六事件を起こす

  派閥争いが常態化し、青年将校を甘やかす空気が醸成されていた

*とくに議会ではこの二・二六事件以後、本来行うべき活発な議論が委縮していきますp.109)

 ⇒暴力の恐怖をもたらした。「私はいいが、下のものがどう思うですかね」といった圧力

*近代史の中で、中国と戦争する国は、基本的になかった =中略= 中国の内部に入っていく

 メリットは何もなかったからです。=中略= それに対して日本は =中略= 支配下に置こうと

 した。この発想自体に、日本の軍あるいは政治がなにか基本的錯誤を犯していたのではないか

 (p.126)

*日本が本当の戦時体制に入ったのは、1938年の国家総動員法の制定からだと言える(p.141)

 ⇒陸海軍は日中戦争には3割くらいしか予算を割かず、対英米戦の準備をしている

*三国同盟は大島浩ありきだった。(p.156)

 ⇒個人的なドイツびいきの関係が陸軍首脳に受け入れられ締結に。米内、山本、井上などの

  海軍はアメリカと敵対することになると徹底して反対

*日独伊三国軍事同盟を日本が締結した目的(p.160)

 ⇒戦勝国であるドイツがすべてかっさらってしまう。講和会議に戦勝国として参加したい

日独伊三国軍事同盟が結ばれたときの日本人の熱狂ぶりは、本当に現在では想像もつかない

 ぐらいのもの(p.164)

 ⇒新しい時代の同盟。めでたく平和な時代が来る

*日中戦争の初期には、ドイツと中華民国の間のほうが結びつきが深かった。=中略= こういう

 構図を理解すると、盧溝橋事件以来の戦線拡大を憂いて、ドイツの駐華大使トラウトマンが

 講和工作に奔走したのもわかる。(p.175)

*日本は三国同盟でドイツの戦争を自分たちの戦争の行く末と一体化させたわけだが、その背景

 を探ると日本陸軍の親ドイツの体質がよくわかる。(p.177)

 ⇒明治期のドイツ陸軍の模倣、第一次大戦でのドイツの軍事力に惹かれた

*有田八郎(p.191)

 1936~40年に外務大臣。ハル・ノートを見て、これで開戦を始めるのはおかしいと語って

 いる。ここから交渉を始めるべきだと上奏文を書いた

*軍事指導者は、もう大体が開戦やむを得なし、といって文官に圧力をかけている。=中略= 

 結局近衛は辞職してこの厄介な政務から逃げ出してしまった。天皇と内大臣の木戸幸一は、

 次期首班に東条を選んだ。強硬派の東条を首相に据えることで =中略= 軍内を抑えようと

 した(p.208 保阪)


本90歳までに使い切る お金の賢い減らし方』大江 英樹(光文社新書 2022.9)
【満足度】★★
【概要・所感】著者は経済コラムニスト。本書はいわゆる「マネー本」とは違います。お金は使ってこそ価値があり、お金持ちになることが目標ではなく、楽しく過ごして幸せになることを人生で一番考えるべきというお話。お金を増やすこと自体にそんなに意味は無く、むしろ減らすことで得られるものの大切さを考えてみる必要があります。例えば、好きなことに使う・思い出に使う・人に使う(寄付)・価値のあることに使う(コスパ偏重)など、こうやってお金を減らしていくことが人生を豊かにするという著者の主張には共感しました。
【ポイント】

「利用可能性ヒューリスティック」(p.22)

 自分の身近で起こったことや自分が見聞きしたことは現実に起こりやすいと思ってしまう

*人生後半に向けて考えるべきことは、「お金を増やす」ことではなく、「お金をどう使うか」

 ということでしょう。(p.151)

*お金を減らすことで「経験」という貴重なものを手に入れたり、人のために使うことでお金を

 減らしたりすることによって、大切な「満足」を手に入れることができます。(p.159)

*「好きなことをやるために、生きている」そして「人生の目標は自己満足である」(p.162

 森博嗣)

 ⇒欲しいものは買えばいい。でも必要なものはできるだけ我慢する。

「人生でしなければならない一番大切な仕事は、思い出を積み重ねることです。最後に残る

 のは、結局それだけなのですから」(p.179)

*「人は用だけを済ませて生きていると、真実を身落としてしまいます。真実は皮膜の間に

 ある、という近松門左衛門の言葉のように、求めているところにはありません。」(p.211

 篠田桃紅)

 

メモ『太平洋戦争史に学ぶ日本人の戦い方』藤井 非三四(集英社新書 2023.4) 
【満足度】★
【概要・所感】日本人の戦史は将来の日本に資する示唆に富んでいます。大東亜戦争は受け身として巻き込まれたのでもなく、指導的立場の者が失敗した結果というだけではありません。それらの歴史を学ばないと同じようなことが起こりかねないと著者は危惧していますが、俯瞰して考えれば今のビジネス社会でもそう変わらない意思決定や行動が多く、戦争の反省は果たして活かされているのか・・・。本書は戦術面や兵器がけっこう専門的ゆえにイメージがしづらく(=読みにくく)★はひとつで。

【ポイント】

*山本(五十六)は航空のことならばまず大西(瀧治郎)に相談するのを常としていた(p.12)

*佐藤幸徳と牟田口 =中略= この二人は =中略= 軍内結社「桜会」の主要メンバー

 だった。=中略= 佐藤は九州各地で過激な講演を重ねていたが、これに厳重注意をしたのが

 参謀本部庶務課長の牟田口だった。これで二人の関係は悪化(p.101)

*海軍が助成金を支出して民間船として建造し、戦時にこれを徴傭する方式(p.129)

*搭載武器を優先して航続力を犠牲にしている日本の艦艇は、十分なタンカーの支援がなければ

 作戦行動に支障をきたす。(p.132)

*兵役義務は皇族にも課せられていた。(p.162)

 ⇒昭和天皇は陸軍と海軍の現役大将。皇族も満18歳になると軍務に就くことが義務

*兵役は義務であったが、同時に国民としての権利(p.162)

 ⇒封建時代の士分になった気分を味あわせる

*日本陸軍では師団を戦略単位として位置付けていたが、その師団数を四年で三倍にしたの

 だから、それを支える戦略基盤の拡充を同時並行的に進めなければならなかった(p.176)

 ⇒「国民皆兵」で兵は集まるが、実際は小銃が不足

特務士官や兵曹長のトリオこそ戦艦の戦力発揮を担っており、ひいては連合艦隊の命運を

 左右する存在だった。(p.181)

*部隊を統率する各級将校の資質が大動員によって低下(p.188)

 ⇒従来、少佐は少尉から15年。戦争末期には5年。指揮官としての修練不足。

 ⇒優秀だと連隊本部から抜け出せない=戦死しない限り第一線から抜け出せない

 

本『進撃のドンキ』酒井 大輔(日経BP 2024.8)
【満足度】★

【概要・所感】日経BPロンドン支局長の著書。パン・パシフィックインターナショナルHDはセブン、イオン、ユニクロに次いで日本4位の売り上げ高を記録しています。本書は日経ビジネス23年9月号の特集が起点となり、ドンキの取り組みを400ページにわたって紹介しています。ある意味、長編小説で、ドンキの短編コラム著者の思い入れがわかる1冊です。ドンキがテーマの本書に限っては紹介写真がすべてカラーなのはドンキの店内をイメージしやすくグッドアイデアだと思いました。

【ポイント】

*ドンキには「顧客親和性」という言葉がある。店づくりには想定顧客に最も近い店員が関わる

 べきという考え方だ。(p.86)

 ⇒Z世代だからZ世代のトレンドがわかる

*「物を売るんじゃない。空間創造なんだ。面白い空間ができれば、ついでに物が売れるんだ」

 (p.110)

 ⇒店そのものが作品。(安田創業会長)

「仕事を『ワーク』ではなく、『ゲーム』として楽しめ」(p.230 源流)

*人というのは、自分が主役になって、自らの意志で決められる仕事に関しては、真摯かつ一生

 懸命に取り組む(p.327)

 ⇒楽しくないことで人は力を発揮しない。楽しいから爆発的な成果を生む

 

本『悪魔の傾聴』中村 淳彦(飛鳥新社 2022.9)
【満足度】★
【概要・所感】著者は風俗や貧困、介護などわりと際どい社会問題に光を当てているフリーのノンフィクションライター。その経験から、常に聞き手が主導権を持ち、常になぜという疑問を持って、想像力を働かせることでいかにして本音を引き出すかのノウハウが書いてあります。本音を引き出せると、相手への理解が深まったり、知らない本音を聴けるので視野も広がるますし、信頼もされます。ここぞという場面で、徹頭徹尾、聞き役を演じるのが“悪魔”の傾聴です。事例は著者のインタビューの経験が下地になっており、想定読者は後進のライター向けですが、一般読者も覚えておいて損はありません。
【ポイント】

*人と会話するあらゆる場面で絶対にやってはいけないこと(p.21)

 ●否定する

 ●比較する

 ●自分の話をする

*自分の好き嫌い、興味関心は一切関係ありません。とにかく相手が話を継続できる質問を

 心がけます。(p.29)

 ⇒自分が知りたい質問ではなく、相手の語りをもっと深めるための質問をする

*褒め言葉(p.56)

 かわいい方・優しそうな方・仕事ができそうな方・知的な方・面白そうな方

*ミラーリングする最大の目的は、相手の語りとリズムをあわせることです。(p.78)

 ⇒リズムがズレると語りも鈍る

*「いつも心に底辺を」(p.180)

 ⇒自分のような低辺の話は価値がないし、語っても迷惑だろうと自覚し、自分語りを律する

*聞き手に意見やアドバイスは求めていません。いったいどうして?という好奇心をもって、

 リズムをあわせて相づちを打ち、相手が語りやすい環境整備に徹するべき(p.190)

 ⇒世界は自分がわからないことだらけ。理解しようとするからアドバイスをしてしまう

 

本『だから僕たちは、組織を変えていける』斉藤 徹(クロスメディア・パブリッシング 2021.12)
【満足度】★

【概要・所感】最初、図書館で借りて、これは良書!と購入しよう思ったものの機会を逸し、やっと図書館の順番を待って借りてきたのですが、これが全く響かない内容でどこを良いと思ったのか。内容も全く覚えておらず・・・。

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10月に読んだ本は4冊(図書館本4冊)でした。
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<満足度> ★★★ 感動  ★★ 面白い  ★ 収穫少

 

<お気に入り順>

本『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅 香帆(集英社新書 2024.4)
【満足度】★★★
【概要・所感】天狼院書店の店長を経て文芸評論家の著者が2023年にウェブサイトに連載したものを加筆修正した内容だそう。「労働」と「文化的生活」の両立についてどうすればいいのか?を考察した本で、まさかの明治からの労働史と読書史を並べて紐解くアプローチは秀逸でした。本は読む時間はなくてもインターネットはできてしまうんですよね。忙しいと必然的に仕事(またはなんらかの目的)以外の文脈を取り入れる余裕はなく、自分に関係のある答えだけをしかもインスタントに求めてしまうのはよくわかります。仕事(それ以外もですが)に全身全霊で取り組むのを美徳とするのではなく、「半身」で働きながら本が読める社会になればよいという著書に共感しました。
【ポイント】

*明治時代初期に読書界に起きた革命と言えば、「黙読」が誕生したことだ。江戸時代、読書

 といえば朗読だったのだ。当時、本は個人で読むものではなく、家族で朗読し合いながら

 楽しむものだった。(p.36)

*現代の私たちが持っている「教養を身につけることは自分を向上させる手段である」という

 うっすらとした感覚は、まさに「修養」から派生した「教養」の概念によるもの(p.76)

*つまり読書は常に、階級の差異を確認し、そして優越を示すための道具になりやすい。

 (p.160)

*自己啓発書は「ノイズを除去する」姿勢を重視(p.181)

 ⇒本を読むことは、働くことのノイズになる

*90年代以前 =中略= 読書はむしろ「知らなかったことを知ることができる」ツールで

 あった。=中略= 90年代以降 =中略= 社会のことを知っても、自分には関係がない。

 それよりも自分自身でコントロールできるものに注力した方がいい。(p.183)

*従来の人文知や教養の本と比較して、インターネットは、ノイズのない情報を私たちに与えて

 くれる。(p.201)

 ⇒ノイズの除去された知識(=知りたいことのみ)が情報。偶然出会う情報を知識と呼ぶ。

*読書を「娯楽」ではなく処理すべき「情報」として捉えている人の存在感が増してきている

 (p.221)

 ⇒「情報」を得るには速く、役立つほうがいい

*昨今「シリアスレジャー」と呼ばれる、「お金にならない趣味を生きがいとする人々」が注目

 されている。(p.229)

*本を読むことは、自分から遠く離れた他者の文脈を知ることである。(p.236)

*この世の知識はいつかどこかで自分につながってくると思っている。他者は自分と違う人間

 だが、それでも自分に影響を与えたり、あるいは自分が影響を与えたりするのと同じだ。

 (p.236)

 

メモ『日本陸海軍、失敗の研究』歴史街道編集部/編(PHP新書 2021.7) 
【満足度】★★
【概要・所感】「陸軍編」「海軍編」「終戦・和平工作編」という3部構成で、各章の著者も保阪正康、岩井秀一郎、大木毅、戸高一成ほか戦史研究でお馴染のメンバー。(保阪正康の陸軍編の第三世代論が一番わかりやすかった。)詳しい人からすれば総花的で目新しい内容も無いのかもしれないが、まだまだ知らなかった内容も多く、戦争に向かう道の分岐点でどこが失敗だったのかよくわかる1冊。
【ポイント】

*明治の陸軍指導者を第一世代とするならば、第二世代は大正から昭和初期までの田中義一、

 上原勇作、宇垣一成たちである。(p.13)

 ⇒戦争は軍事だけでなく、政治と一体化しているという土台に立っていた

 ⇒第三世代の先頭の永田鉄山はその意識を継いだ人物だったが、昭和10年に暗殺

*長州閥の支配を変えるときに、陸軍大学校卒業時の成績をもって、能力を客観的に評価

 (p.16)

*東條が首相兼陸相のとき、アメリカとの戦争の火蓋は切られた。これはすなわち、彼が

 アメリカと戦争ができると判断していたからに他ならない。(p.18)

*「作戦主体の戦争」を作戦参謀は主張し、その結果、現実と乖離した作戦が出てきた(p.22)

 ⇒自分より成績の悪い者が集めた情報に振り回されるより、自分達の考えでやらなければ。

*陸軍で通信傍受を担当していたのは、参謀本部特殊情報部であり、戦争末期には千名もの人員

 を投入していた。さらに中央以外にも、=中略= 陸軍全体で見ると、三千五百名近い要員

 (p.40)

*連合艦隊司令部には、兵站、情報、政務など、あらゆる分野の参謀が揃っている。つまり、

 スペシャリストが集まる巨大な作戦空間であり、単独で作戦立案を行うだけの能力があった。

 (p.114)

*マリアナ沖海戦まではまだ戦力を有していた連合艦隊だったが、昭和十九年十月のレイテ沖

 海戦に至って、主力艦艇のほとんどを失った。(p.119)

 ⇒豊田副武時代に弱体化

 

本『続ける思考』井上 新八(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2023.11)
【満足度】★★

【概要・所感】 著者は主に本のデザインを手掛けるフリーのデザイナー。この本で覚えておくことは二つ。「やろうと思ったらすぐやる・やると決めたら毎日やる。」 例えば読書を習慣化したいなら手に取ってページを開くだけとか、つまり続けられるサイズまで小さくして着手するというのは意外と考えなかったです。また、「記録する」ことも確かに継続の一歩。最後の裏テーマのくだりはポエムっぽかったですが、本質をついている話のように思いました。
【ポイント】

人生に革命を起こすのは、生まれ持った才能でも、驚くべき発明や、天才的なひらめきでも

 なく日々の小さな積み重ねだ。(p.25)

*続ける秘訣は「毎日やる」(p.68)

 ⇒やるやらないをいちいち考えないようにする

*よく考えてみたらこの人もいきなりこんなふうにピアノが弾けるようになったわけじゃない。

 =中略= 練習して、練習して、嫌になることもあっただろうけど、それでも練習して、そう

 やって積み重ねてきた先に、今こうして軽やかに、なんでもないように、楽しそうにピアノを

 弾いているのだ。今上手に弾いている、その結果の部分しか見ていないから、簡単そうに

 見えるし、そこだけを見て「いいな」なんて思っているけど、じつはそれはものすごい努力の上

 に成り立っている。(p.153)

*細部に小さく手を入れていく間に、いつのまにか全体が変ってくる。(p.168)

 ⇒日々の小さな変化を起こし続けていく。大きく変わっていたことにあとで気づく。

一見無駄かもしれないと思うことを続けると、そこにはその人にしかない個性が生まれる。

 (p.208)

*記録することで観察力が高まる。(p.230)

 ⇒自分だけの好きを発見できる

毎日1冊読むにあたってルール(p.267)

 最後まで読む・気になったらメモ・1冊で2つ以上は人に話せるネタを探す

*「やる気」とか「意志の力」で続けるのは限界がある。こういう面倒なことを続けるために

 必要なのは、意志の力とは関係なくやれるように行動を「自動化」することだ。(p.269)

*世界を見るメガネを増やすための読書 =中略= 当たり前に気づくための「気づきの読書」

 =中略= 本を読むということは世界に出会い直す手段であり、=中略= 世界にある

 「当たり前」に気づき直すための方法だ。(p.279)

思ったような人生になることはない。人生とはだいたい思ってもないふうになるのだ。

 (p.281)

*好きじゃなかったものを好きになる。それはなんだったのか。そこに何があったのか。

 「時間をかけた」 これなんだと思う。時間をかけて、毎日それに向き合い続けたから好きに

 なった。(p.293)

 ⇒時間をかけるというのは続けることの先にある

 

本『職場の同僚のフォローに疲れたら読む本』佐藤 恵美(PHP研究所 2024.8)
【満足度】★

【概要・所感】著者は労働者メンタルヘルスの専門家。職場の同僚のフォローに疲れる状況というのは仕事量と心理的負担感の合わせ技で起こる典型だそうです。その対処方法や認知の方法はメンタルヘルス系の知見が有効ですが、初学者向けの本と思います。

【ポイント】

*「報酬」がない状態で「怒り」の感情があると疲弊する(p.55)

*人に話をすると「自分はこう思っていたんだ」「こうしてほしかったんだ」などと、自分の思考や

 感情の輪郭がはっきりしてきます。(p.151)

*人間は農耕生活をはじめる以前は、場所を変えながら狩猟採集をして生活する歴史が長かった

 ので、本能的に移動や変化の欲求があるといわれています。(p.170)

 ⇒これを満たすことは心身のエネルギーチャージにつながる(日常に小さな変化を加える)

*「手続き的公正」(p.233)

 決定のプロセスに公正感があるほど、その決定に対して肯定的になる

テーマ:

9月に読んだ本は5冊(図書館本2冊・購入3冊)でした。
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<満足度>★★★ 感動 ★★ 面白い ★ 収穫少

 

<お気に入り順>

クリップ『ミス・サンシャイン』吉田修一(文藝春秋 2022/1
【満足度】★★★

【概要・所感】鈴さんこと長崎出身の「和楽京子」という昭和の大女優と、たまたま大学のゼミの教授に依頼され、彼女の倉庫の整理を任された主人公の一心の物語。(一心と桃ちゃんの恋愛もイイし、和楽京子と林佳乃子の関係もイイ)ドロドロ感はなく、安心して読め、文句なく面白かった!特に主人公の一心が魅力的で、少し横道世之介と重なるキャラかも。 吉田修一作品群の中でマイベスト3に入る本です。本書こそ映像化して欲しい。。。

 

クリップ『ネガティブフィードバック 「言いにくいこと」を相手にきちんと伝える技術』難波 猛(アスコム 2024.2)
【満足度】★★

【概要・所感】 著者は人事コンサル。耳の痛いフィードバックをして、部下の行動を変えるメソッドについて書かれています。叱るとかではなく「解決すべきギャップ」にフォーカスし、支援するのがネガティブフィードバックです。その際、身につけておきたいのが、部下のWILL・MUST・CANのフレームワーク。そこを把握した上でズレを修正していくアプローチになります。アドラー心理学がネガティブフィードバックの土台のようで、伝えるのは上司の責任・それを受けて行動するかしないかは部下の責任という「課題の分離」の考え方だけでも覚えておけば、感情的にならず粛々と部下の指導できる気がしますね。
【ポイント】

*「人は変わりたくないのではない。変えられたくないのだ」(p.8 ピーター・M・センゲ)

ダニング=クルーガー効果(p.33)

 能力が低い人ほど、自分の能力や状態を客観的に認知・修正する能力も低いため、自分を

 過大評価ないしは状況を認知できず、結果さらにギャップが拡大する

*私たちが進歩するには、フィードバックを与えてくれる人が必要だ(p.47 ビル・ゲイツ)

 ⇒適切なフィードバックは組織のため、本人のため、周りのため、上司自身のため

*ネガティブフィードバックが「できない」のではなく、何らかの目的があって「やらない選択」

 をしている(p.61)

 ⇒厳しい事を言うより言わないことの方によるメリットが大きいと判断している(損失回避)

*「人」に焦点を当てると感情的に泥沼化します。=中略= 「発生しているギャップやズレ」に

 焦点を当てて一緒に解決していく姿勢のほうが対立的でなく協調的に対話が可能になります。

 (p.74)

*「私の仕事のスタイルはこれだ」「私はこの仕事が役割だ」と自分で限定すると、会社の新しい

 仕事の進め方に対応できなくなる人もいます。=中略= 頑なに自分のやり方にこだわれば、

 周りからは「あの人は、会社の流れとズレているよね」と思われるようになり、やがて成果も

 出なくなります。(p.97)

 ⇒MUST(会社が求めているやるべきこと)のズレ

*ネガティブフィードバックにおいては、=中略= 日常の信頼関係有無による「誰が言うか」

 が成否を分けます。(p.114)

 ⇒「自分を認めてくれる人」の言うことに部下は耳を傾ける(返報性の原理)

*自分が何を言うかということと、相手がそれを聞いて何を感じるかは別問題(p.145)

 ⇒アドラー心理学の「課題の分離」

*上司の役割は、「部下に好かれること」ではありません。「部下を成長させること」で、「組織の

 成果を最大化」すること(p.153)

*自己決定理論@エドワード・デシ、リチャード・ライアン(p.180)

 人間は自分で選択したと自律性がある状態のほうが動機付けされる

 「耳が痛い事を言うがいいか?」「気になる点を伝えても良いですか?」と部下の合意を取る

 ⇒「耳が痛いこと」を「寝耳に水」で聞かされる状態では部下も感情的になる可能性高

*組織内で自分の要望を受容してもらうには、シビアですが「あなた自身の戦略的な交渉術」

 「交渉力の原資になるあなた自身の価値や結果」が必要です。(p.302)

 ⇒自分が余人をもって替え難い人材なら、断って辞められるより、提案を受け入れ気持ちよく

  働いてもらおうと合理的に判断する上司は多い

 

本『まちの映画館』戸村 文彦(西日本出版社 2024.5)
【満足度】★★

【概要・所感】尼崎で71年を迎える塚口サンサン劇場の支配人・戸村氏のコロナ禍に書いたコラムがベースの本。サンサン劇場の近況は知らなかったのですが、今や全国津々浦々から集まる映画館になっているようで。マサラ上映に端を発した映画鑑賞という「体験」のイベント化、それに至るまでの奮闘が凄い。いろんな上映エピソードが紹介されていますが、予算はかけられないから常にアイデア勝負。そこには、なにか制約があっても工夫して、やれることはすべてやりきるという仕事の根本を考えるヒントがある気がします。ちなみに巻末にはJR立花駅の書店店主との対談も。(ローカル過ぎw)
【ポイント】

*私たちが目を向けるべきなのは、他の映画館でなく、足を運んでくださる目の前のお客様

 (p.69)

*映画館で仕事をする上で、=中略=「映画を楽しんでほしい」という思いの方が大切(p.94)

*映画を観ることができる媒体は増えて、エンターテインメントのあり方自体も大きく変わり

 ました。ただ、「映画を観る」という「目的」は失われていません。あとは、映画をどう

 やって観るかという「手段」について考えればいいだけ(p.177)

 

クリップ『アウトプット思考』内田 和成(PHP研究所 2023.6)
【満足度】★★

【概要・所感】内田氏の新刊と思いきや、2011年刊行の新書「プロの知的生産術」の加筆・訂正版でした。自身が実践してきた発想=「インプットは最小・最大のアウトプット」について書かれています。情報は多ければ多いほど良い気がしますが、その収集や分析に労力を費やします。また、VUCAと言われる現代はいくら最新の情報を集めまくったところでコロナ禍や戦争など想定外のことが頻発します。キモは「考える時間をいかに増やすか」で、下記にまとめておくことに。特にアイデア出しの仕事をしている人には役立ちそう。

【ポイント】

アウトプットとは「仕事の目的」であり、さらに言えば、「あなたの本当の仕事は何か」という

 ことにもなる(p.28)

 ⇒レポートや資料のような形としてのアウトプットではなく最終的に何に貢献するのか

*日々のあらゆる場面において、意識的に「短い時間で決める」経験を積む(p.48)

 ⇒情報を減らして不十分な中で決断する。失敗しても同じ情報量で決定できるかを追求する

異なる認識を持つ人同士が議論を効果的に進めるには、自分たちの間で何が共通の情報で、

 何が自分だけの情報か、あるいは何がお互いの間で食い違っているかを早い段階で把握する

 ことだ。(p.62)

 ex.相手が知っていることを延々しゃべってうんざりさせるセールスマン

*役割は監督が決めることでもあるが、選手自身が監督の「期待」を意識し、それにフィットする

 役割を果たすことができれば、それだけ出場機会は多くなる。(p.88)

 

メモ『「できない」を「できる」に変える 大谷翔平の思考法』児玉 光雄(アスコム 2023.11) 
【満足度】★★
【概要・所感】大谷選手自身が解説すると値打ちがあるのでしょうけど、大谷翔平語録を著者のフィルターを通して解説する形式。大谷選手しかり、聞けば当たり前のことしか言っていないのですが、野球にしても仕事にしても、決めたことを徹底的に習慣化するまで続けられるかどうかが分かれ道ですね。
【ポイント】

イチローさんでさえ、現役時代に「自分が一番やりたくない作業。それはバットを振る作業だ」

 と語っている(p.43)

 ⇒バットを振り続けない限りヒットを量産できないことを知っている

*DMN(p.153)

 デフォルトモード・ネットワーク。

 脳が意識的な活動をしていない時に活性化する神経回路。脳のアイドリング状態のため、情報

 が整理されているため、それらが結びつきやすい状態。

テーマ:

8月に読んだ本は5冊(図書館本5冊)でした。
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<満足度>★★★ 感動 ★★ 面白い ★ 収穫少

 

<お気に入り順>

メモ『昭和の参謀』前田 啓介(講談社現代新書 2022.7) 
【満足度】★★★
【概要・所感】 今年の戦争本読書シリーズ1冊目。太平洋戦争時に“参謀”と呼ばれた軍人・石原莞爾、服部卓四郎、辻政信、瀬島龍三、池田純久、堀栄三、八原博通の人物像(直接、取材出来た人物もいる)に迫ります。 本書に取り上げられた個性の強い七人の参謀は全員、終戦後、生き残っています。彼らが戦後どのように生きたのか取り上げている類書は少なく、新書という紙幅の兼ね合いでそれぞれの人物像はややダイジェスト版くらいの分量になっているとは言え、大変興味深かったです。
【ポイント】

*陸軍では、軍事行政である「軍政」と、作戦・用兵を意味する「軍令」とに組織が分かれていた。

 (p.21)

 ⇒軍政は陸軍省、その長官は陸軍大臣。軍令は参謀本部、そのトップは参謀総長。

*作戦部作戦課はエリート中のエリート(p.22)

 ⇒石原は作戦部長と作戦課長を、服部は長年、作戦課長を務めた

*陸軍部隊は師団が最高の単位で、戦時には師団の上級司令部として「軍」、その上級司令部と

 して「方面軍」、さらに最上級司令部の「総軍」が編成された。

*日本の陸軍に一番大きな悪しき影響を及ぼしたのは、石原莞爾さんが上司の承認もなくして

 満州事変を起こしたことである(p.65 杉田一次)

*「下が上を剋する」というより「上が下に依存」する世界、すなわち「上依存下」の世界があった

 としか思えない(p.66 山本七平)

*大東亜戦争開戦の原動力は、田中作戦部長、服部作戦課長、辻戦力班長の三者にあることは、

 恐らく衆目の認めるところであったであろう(p.108 高山信武)

*相場師・越後と軍師・瀬島とのコンビで、伊藤忠の拡大路線を指揮した(p.221)

軍事には、司令官、軍政、参謀の三タイプがあって、参謀型の東条英機が軍政をやったのが、

 「戦前日本の失敗」(p.230 瀬島龍三)

 

本『ブラジャーで天下をとった男』北 康利 (プレジデント社 2023.6)
【満足度】★★
【概要・所感】 ワコール創業者・塚本氏の評伝。稲盛氏の評伝を読むまでワコールの創業者について意識したことも無く、そもそも京都で創業した日本の企業とも知らなかったのですが、稲盛氏の兄貴分で、そして太平洋戦争時インパール作戦55人の小隊のうち3名の生き残りと聞き俄然、興味が出て読んでみました。ワコールは和江商事というベンチャー企業からスタートし、塚本氏の同級生で営業の川口、参謀の中村のトロイカ体制に、伝説の女傑・内田と渡辺あさ野という女性といった個性の強い面々が黎明期を支えた会社。最初はパンツ屋と揶揄されながらも意に介せず、エロ商事のエロ社長です、などと道化を演じながら天下取りを虎視眈々と狙っていく、そのヒストリーが追体験出来て、面白い。

【ポイント】

人生というのは、異常事態のくり返しである。それに対処できるようにしておけば、恐いもの

 などはない。(p.85)

*京都に数多くのユニークな企業が存在している背景には、逆説的なことながら、行政に頼る

 ことなく自身の力で成長することを運命づけられた京都企業の宿命があった(p.318)

 

本『敗者のゲーム』チャールズ・エリス(日経BP日経新聞出版本部 2022.1)
【満足度】★★
【概要・所感】初版は1985年に発刊。説明に数式等使わず、人間心理や行動に結びつけて説明するわかりやすさが人気かと思います。本書の結論は、投資で長期的に成功したいなら、インデックスファンドを買えと、この時代からすでに主張しています。株価は上がっても下がっても、長期的には平均へ回帰するので、結局のところ短期的に売買するよりリターンがあります。個人的に目から鱗だった話は、債券投資はする必要ナシしという話。インフレには有効でない点と、株価上昇と逆の動きをすることを考えればその通りかも。長期的な運用基本方針を決め、それを堅持し、粛々と投資(インデックスファンド)することが大事だと腹落ちしました。
【ポイント】

*プロは得点を勝ち取るのに対し、アマはミスによって得点を失う(p.17 テニスのゲームより)

*ときどき売却する人の利回りは、ただ持ち続けている人と比べて低い。(p.39)

*投資家が期待リターンを実現できるほど、株式を長期保有し続けられるか、ということだ。

 (p.81)

 ⇒市場の問題ではなく、投資家の問題。どう市場を認識し、それにどう反応するかが問題

*投資の成功の秘訣はつまるところ、投資家の知的能力と情緒の能力によって決まる。(p.82)

 知的能力・・・財務諸表の分析能力、情報収集と活用など

 情緒能力・・・暴落や暴騰の場面での冷静さ、合理的判断

*長期における株式のリスクは種々の投資商品の中でも最も低いが、短期においては逆にリスク

 が最も高い(p.116)

*「年齢に応じた割合で債券投資」をする必要はない。金融資産は、100%株式であるべきだ。

 (p.123)

*私の総資産の中には =中略= 年金も、家や家具なども安定した資産であり、これらを考慮

 に入れれば、総資産の30~40%になる。=中略= 私の株式資産の時間軸は子供や孫の寿命

 だ。(p.129)

*優良債券でも利息は2%。=中略= インフレ率は2% =中略= だとすると、債券から

 得られる利益はない。(p.130)

 

本『新NISAで始める!年間240万円の配当金が入ってくる究極の株式投資』配当太郎(クロスメディア・パブリッシング 2024.5)
【満足度】★★

【概要・所感】新NISAの枠を使うのは今(=株価上昇局面)ではない気もしますが、それはともかく、240万の配当金の原資なんて8,000万くらい必要じゃないの?と思ったら、増配株を新NISAで数年運用の結果、毎年の増配により240万になるという建てつけです。銀行、商社、通信、保険などの業種の株式をガッチリホールド。話としては賛成です。銘柄選定時のEPSなど決算短信などのチェックは良いとして、著者の言う、買える時とは一体、何をもって判断するのか?(高値と安値の定義が不明・・・)この部分はもっと追求して欲しかったところ。その点で言えば長期株式投資氏の著書の方が親切ですね。

 

本『気遣いを恋と勘違いする男、優しさを愛と勘違いする女』関口 美奈子(KADOKAWA 2022.10)
【満足度】★

【概要・所感】著者は元銀座ナンバーワンホステス。現在はコミュニケーションのノウハウを活かして、結婚相談所を起業。タイトルは面白そうだったのですが、タイトルに対するアンサーは特になく、恋愛や婚活についてのアドバイスする内容。自身の経験談+心理学の裏付けで展開されています。やたら警戒している恋愛詐欺師のような異性対策(そんなに多いのかな?)や人相学の話はイマイチな気がしました。
【ポイント】

*自分からただ愛することが幸せを呼ぶ(p.18)

*自分の意見を言うのは、しっかり関係性ができてから(p.31)

 ⇒それまでは全身全霊リアクションして、相手の意見を全肯定

*女性は、幸せホルモンと呼ばれる「セラトニン」の分泌量が男性の約半分ともいわれており、  

 不安を感じやすい傾向(p.95)

テーマ:

7月に読んだ本は9冊(図書館本8冊・購入1冊)でした。

気が向いて半年ぶりの更新ですw
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<満足度> ★★★ 感動 ★★ 面白い ★ 収穫少

 

<お気に入り順>

本『学芸員しか知らない美術館が楽しくなる話』ちいさな美術館の学芸員(産業編集センター  2024.1) 
【満足度】★★★
【概要・所感】今年読んだ本で上位。東京某所の美術館の学芸員である著者が、学芸員の仕事や美術館のウラ話をとてもわかりやすく書いており、美術館、展覧会、作品を楽しむヒント満載です。学芸員は何をする人なのか、その1日や、仕事道具の紹介、学芸員の身につけている能力等がよくわかりました。
【ポイント】

*展覧会を企画するにあたっては大原則があります。それは「始めに作品ありき」だということ

 です。(p.22)

 ⇒コンセプトが先ではなく、具体的な作品を起点に考え始める

*出品交渉(p.33)

 学芸員同士が信頼する間柄なら、作品を貸してもらえる確率は上がる

*図録という形で残していくからこそ、美術館の歩みがきちんとアーカイブになる。(p.38)

*美術品を扱う輸送業者(p.47)

 日通・ヤマトの美専車。荷台は空調管理可能で振動吸収機能が付いているトラック

*学芸員になるためには国家資格のの学芸員資格を取得する必要があります。(p.69)

*公立の美術館でも、私立の美術館でも、存続するためには母体となる組織から予算をつけ

 続けてもらう必要があるわけですが、その時に入館者数という実績は大きな意味を持ちます。

 (p.115)

 ⇒博物館法による学芸員の仕事ではないが、学芸員を含む職員・スタッフが広報活動

*美術館では湿度が65%を超えないよう、コントロールすることが肝心(p.124)

 ⇒温度20℃・湿度60%(高温多湿ではカビ、湿度が低いと乾燥して作品の表面が割れる)

  季節に応じた展示を考える(冬場は乾燥に強い陶磁器などの展覧会、春に日本画)

一見、無限の無駄のようにしか見えない美術体験こそ、美術館に求められる最大の役割では

 ないだろうか。(p.136 安村敏信氏)

*状況に応じて無駄な言葉をおり交ぜる能力こそ、コミュニケーション能力の高さ(p.138)

 ⇒人間らしい動きや会話にはノイズが適度に含まれていることが重要。

 ⇒マイクロスリップ

*美術鑑賞の醍醐味は、作品とじっくり向き合うことで、自分の中の価値観だったり常識

 だったり固定観念だったり、=中略= 少しぐらついたり、揺らいだりするところに

 ある =中略= 展覧会を「見る前の自分」と「見た後の自分」は同じではないのです。(p.150)

 

本『トラジャ』西岡 研介(東洋経済新報社 2019.10)
【満足度】★★

【概要・所感】『週刊東洋経済』の連載「JR 歪んだ労使関係」を追加取材し、大幅加筆し単行本化したのが本書の内容。タイトルのトラジャとは、国鉄の分割・民営化前後に『職業革命家』として革マル派党中央に送り込まれたメンバーに名付けられた名称のこと。JR東日本とJR北海道vs労組(そしてJR革マルと党革マルの内ゲバ)の激闘の記録600ページ(!)です。当時、不思議だったJR北海道で社長が二人も続いて自殺し、脱線事故やトラブルが噴出していた裏事情がよくわかりましたね。労使対立や労労対立は昭和の話と思っていましたが、令和の時代においてもJR総連傘下の組合でこんな泥仕合が普通に行われているとは驚きでした。
【ポイント】

*中曽根内閣には、=中略= もう一つの狙いがあった。=中略= 「日本最大・最強の組合」

 といわれた「国鉄労働組合」潰し。(p.46)

*本来、乗客の生命や安全を守るべきはず運転士が、JR東労組という「組織」を守るために、

 同じ運転士に執拗に嫌がらせをし、事故を誘発させようとしていた(p.130)

*JR北海道労組は20年近く前から、他労組との「平和共存否定」の方針を掲げ、自らの組合員に

 対し、他労組の組合員との交流を一切禁じている(p.337)

 ⇒仕事を教えない。雑談、挨拶も禁止。結婚式そのものも妨害。

*他労組との「平和共存否定」という排他的で、攻撃的な考え方を組合の方針として掲げたのは、

 他でもない。「JR北海道労組の首領」といわれた佐々木信正氏である。(p.346)

*分割・民営化当初の赤字規模に応じて =中略= 経営安定基金の運用益で、鉄道事業の赤字

 の埋め合わせをし、鉄道網を維持することとされた。(p.357)

 ⇒低金利の長期化=運用益の目減りでスキームが破たん

*JR北海道労組は、36協定違反問題によって、中島社長が目指していた労政改革を潰していた

 だけでなく、その担い手だった島田常務を、JR北海道本体から放逐することにも成功した 

 (p.473)

 

本『思い邪なし 京セラ創業者 稲盛和夫』北 康利(毎日新聞出版 2019.4 ) 
【満足度】★★
【概要・所感】京セラ・稲盛氏の評伝。鹿児島での生い立ちから松風工業入社、そして京都セラミックの立ち上げ、電気通信事業自由化に伴うDDIへの挑戦からのKDDI設立、そして最後は78歳でのJALの再生と、京セラ時代だけでなく稲盛和夫の人生を追体験できます。JALも昔は国営企業だったので、その再生の大変さは気になりましたが、同じくDDIの方が大変だった印象が。本書は自分の仕事に生かすというよりほとんど小説と思って読んでいたのですが、ホンモノの松下幸之助が登場したりする実在の人物と交差する交友関係が面白いです。特に、塚本社長なるワコールの創業者なんて全く知らなかったのですが、稲森氏とは相当に懇意だったらしく大変興味を持ちました。

【ポイント】

*松下幸之助の真似をしていたのではいつまで経ってもその境地にはたどり着けない。自分なり

 の独創を加え、松下幸之助を超えようと頑張って初めて、松下幸之助の境地にたどり着ける

 のではあるまいか。(p.231)

*稲盛人脈はほとんど塚本人脈と言っていい。(p.254)

成功するコツは成功するまでやり続けることだ。(p.271 松下幸之助)

*最高のバトンタッチ(p.485 JALフィロソフィ)

 ⇒自分の担当している仕事だけを考えるのではなく、次の工程を担当している人を思いやる

  気持ち。それがうまく働けば仕事は円滑になる

*人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力(p.541 KDDIフィロソフィ)

 

本『オトナ女子のすてきな語彙力帳』吉井 奈々(ダイヤモンド社 2022.4)
【満足度】★★

【概要・所感】著者はてっきり女性と思っていましたが、元男性で10代から水商売・ショービジネスの経営に携わり、現在は女性として結婚。それを機に水商売は卒業、その後15年にわたり企業や大学でコミュニケーション講師として活躍中。意外にパッとは出ないフレーズやワードが多かったので、オトナ女子と対象を絞っているのが勿体ないですね。この豊富な語彙力は、水商売の経験が活きているなという気がします。覚えて使いたいフレーズをメモ。

【ポイント】

*お時間を割いていただき、ありがとうございます(p.35)

*感銘を受けました(p.48)

私の思い違いかもしれませんが(p.59)

*教えてもらう内容が、比較的簡単で一時的な場合は「ご教示」、より専門的・継続的な場合は

 「ご教授」(p.61)

*このたびのお取り計らい、深謝いたします(p.76)

所作が美しいですね(p.129)

卓越していますね(p.141)

その考えには至りませんでした(p.142)

*今後の励みになります(p.144)

以後、心して取り組むようにいたします(p.205)

*心ならずも約束を守れず、大変失礼いたしました(p.212)

 

本『決断=実行』落合 博満(ダイヤモンド社 2018.11 )
【満足度】★★

【概要・所感】「采配」以来、久しぶりの落合氏の著書。本書は中日監督時代のエピソードが多いように思います。ロッテの新人時代、ドラフト下位指名ということもあり、練習にコツコツと打ち込んで、その結果に三冠王を獲ったことがわかります。監督時代も含めて「オレ流」と独特な考え方を持っていると形容されますが、根本の考えを聞くとそう特異でもないことに気が付きます。目的意識、結果にこだわる、徹底して実行などのキーワードが浮かびました。
【ポイント】

*監督という仕事を通して私が痛感しているのは、自分自身の仕事は何かを常に忘れず、求め

 られた役割を自分なりに全うすれば、周囲の誰もが何も余計なことは言わなくなるという

 ことだ。(p.62)

*自分の所属するチームに、自分の成長を望んでいない指導者がいるのだろうか。=中略=

 自分にとっては耳の痛いことでも勇気を持って伝え、何とか結果を出してもらいたいと

 思っている人たちに囲まれているのではないか。(p.208)

 

メモ『つじのじつ話』辻 発彦(ベースボール・マガジン社 2023.6)
【満足度】★★
【概要・所感】埼玉西武ライオンズで2017年から6年間、監督を務めた辻氏の初の著書。「85のじつ話」で構成されています。侍ジャパンの城石コーチが、ヤクルト時代に辻氏からいろいろと学んだと著書で言っており、気になっていました。西武黄金期からヤクルトへ移籍した選手時代、ヤクルトと中日でのコーチ時代を経て、中日の二軍監督、そして古巣のライオンズの監督時代と自身の野球人生を振り返ります。辻氏は、廣岡監督・森祇晶監督・ノムさん。落合監督・森繁和監督代行という錚々たるメンツに仕えた人物なので、かなり期待していたのですが、全体を通してエッセイ風の内容で、辻氏独自のマネジメント論などは体系的に知ることができず、そこは残念でした。(一番、興味のあったヤクルトと中日でヘッド格コーチ時代の話題が少なかった)

【ポイント】

*自信なんてまったくないから。まず聞く、そしてやってみる、それを始まりにしていました。

 =中略= アドバイスを聞きながらも、自然と「これは違う」「これは自分に合わないな」と

 分かってきます。そうなってから自分に合ったものだけを取り入れ、ほかは捨てていけば

 いい(p.167)

 

クリップ『誰も知らない日建設計』宮沢洋 (日経BPM 2021.11)
【満足度】★
【概要・所感】著者は日経アーキテクチャーの元編集長。関東なら東京タワー、東京スカイツリー、東京ドーム、さいたまスーパーアリーナ、成田国際空港など、関西なら中之島図書館、OBPツイン21、キーエンスの本社ビルなど誰もが知っている建築を設計していて、当然、業界内で知らない人はまずいないが一方、一般で知っている人は相当少ないと思われる特殊な知名度を持つのが世界最大級の設計会社・日建設計。元々、住友グループの営繕部門がルーツで現在、創設120年超ですが、その設立からの歴史、作品紹介、社外業界人へのインタビュー、現在の日建設計のデザインへの取り組み方など実像を紹介。個人的には日建設計との出会いはポーラ美術館の設計で知って、個人の設計事務所が多い中、法人でもセンスのある建築設計しているところがあるんだなぁと思ったことを覚えています。
【ポイント】

*一級建築士資格を持つ社員を、日本で一番たくさん抱えているのが日建設計(p.4)

*大阪事務所のリーダー的存在で、後に社長も務める薬袋公明(p.17)

 全国の銀行の拠点ビルや関連施設を設計。林昌二が東の顔、薬袋は西の顔

*日建設計という組織は、一言でいうと、“縛られ嫌い”の集団なのだ。(p.20)

*山梨(※和彦)と大谷(※弘明)は、社員2000人の日建設計の中でも、飛び抜けて目立つ

 存在だ。(p.21)

*1900年6月、住友本店に「臨時建築部」を発足させた。これが日建設計の源流だ(p.25)

 ⇒礎を築いたのは初代技師長の野口孫市と、彼の急逝後、引き継いだ日高胖

*超高層ビルというものは、繰り返しが多く効率がいいからつくるものだ。(p.92)

 ⇒キーエンス本社は構造計算が難しいし、部材の納まりにいちいち新たな検討が必要になる

*社名が知られていなくても、個人名が突出しているかというと、そんなこともない。=中略=

 自分の名前を高めて次の仕事を受注する個人の事務所とは違い、彼らは、「住友の名を

 高めること」が次の仕事につながった。(p.94)

 ⇒中之島図書館の棟札:施主・住友吉左衛門、工事顧問・辰野金吾、野口と日高はその他大勢

 

メモ『ビジネスシーンを生き抜くための仏教思考』松波 龍源(イースト・プレス 2023.9) 
【満足度】★
【概要・所感】著者は真言宗僧侶の松波龍源氏。本書は音声コンテンツを書籍化した内容です。第一部ではメタバースやWeb3.0とかVUCAとか一応、ビジネスシーンのキーワードと重ねて仏教の考え方を解説しているテイにしていますが、全編を通して仏教の本質的なことが学べます。本書を読む前に「仏教」の予習してから読むとよりわかりやすいかもしれません。 

【ポイント】

*仏教の教えは「苦しみを発生させないように」という考えが根本にあります。(p.24)

「私」は他者が存在しないと成り立たないのですから、自分の利益のためには、自分以外のこと

 も考えなければいけない。(p.63)

*唯心論(p.76)

 自分の認識の中にしか、喜びや悲しみは存在しない。自身がどう認識するかで決まる。

 ⇒単なる物体だけあっても「欲しい」という自分の気持ちがないと何も思わない

*勝手に意味を求めて「これは意味のないことだ」と決めつけているのは、自分の心なのだと

 思いが至った瞬間、そうした自分の心の存在を確認することこそが修行(p.85)

 ⇒意味があると決めるのも意味が無いと決めるのも自分次第

*自分が体験することは、自分自身がそれまでしてきたことの結果でしかない。自分の

 アクションを受けて、他人はリアクションをするからだ。(p.107)

*釈迦牟尼は「水を浴びて解脱に近づくならば、ガンジス川に棲むエビや魚は、あなたより

 解脱に近いということですね?」と聞き返した(p.136)

 ⇒自分の心を清められるのは自分の行動と心のあり方。

*当時(奈良時代)のお坊さんはいわゆる公務員で、国家に認められた僧侶「官僧」でした。

 それに対して、官の許可を得ずに得度(出家)した民間の僧侶を「私度僧」と言います。(p.280)

 ⇒私度僧で有名なのは行基

 

メモ『仕事を減らす』田中 猪夫(サンマーク出版 2023.10) 
【満足度】★
【概要・所感】仕事を減らすために「小さなイノベーション」を生み出すエッセンスをまとめた内容。途中から営業系のノウハウになったため、個人的にはイマイチでした。イノベーションは「組み合わせ」が大事だとか、何事も試すといったオーソドックスな話が多く、数時間で読める本書では、1日の仕事がを時間で終えるレベルの効率化は難しい印象です。

【ポイント】

*技芸の伝承においては、「師を見るな、師が見ているものを見よ」と言われる。(p.172)

 ⇒師を見ているだけでは自分を基準に解釈し、模倣しているだけ=自分からの視座しかない

  そうではなく、師が実現しようとしているものを正しく捉える

テーマ:

6月に読んだ本は8冊(購入1冊、図書館本7冊)でした。
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<満足度> ★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ 


<お気に入り順>

本『コンサルティング会社完全サバイバルマニュアル』メン獄(文藝春秋 2023.3)
【満足度】★★★

【概要・所感】本書は元々、著者の12年勤務した外資系コンサル会社で最後の部下となったスタッフへ向けて書いたものだそうです。コンサルが書いた本にしては小難しくないどころか読み物っぽく、スッと伝わってきました。個人的には第Ⅰ部のアナリスト編が面白かったのですが、と言ってもコンサル会社の若手向けの内容では決してなく、特に社会へ出て日が浅い人などは仕事の仕方が大いに参考になると思います。今年読んだ本の良書ランキング上位候補。
【ポイント】

*仕事の速度の本質は、物理的な作業スピードもさることながら、次に何が起こるかを予測

 して仕事を行う“先読み”にこそある(p.34)

 ⇒ボールが飛んでくる所を予測し、予め体をその場所に移動させてボールをキャッチする

*「何のミスを減らしたいのか」という目的から、どうしたら減らせるのかの具体的な方法・

 手順を考え、それを自動的・機械的に適用することが品質担保には必要(p.53)

 

クリップ『任せるコツ』山本 渉(すばる舎 2023/7/7)
【満足度】★★

【概要・所感】効果的な「丸投げ」、つまり仕事を依頼された側に満足感や達成感を与えるお願いとは何か?をまとめている本ですが、内容は決して「丸投げ」ではないです。主に管理職が部下に仕事の依頼するときのノウハウで、全体的にオーソドックスな話と思います。

【ポイント】

*同じことを伝えるにしても、情報の順番で大きく左右する(p.19)

 学生キャバクラ理論(キャバ嬢が昼に大学で勉強⇔大学生が夜キャバクラで働いている)

*意欲の創出(p.20)

 感謝される・褒められる・自分しかできない特別感を入れてやってみようと思わせる

*「丸投げ後のフォロー」(p.78)

 ⇒フィードバック・感謝・評価(ピーク・エンドの法則・・・最後の印象が全体の印象)

*マクドナルド理論(p.165)

 ご飯を食べに行こうとしてお店の候補が出てこないとき「マクドナルド」に行こうと言うと、

 急に案が出てくる

*カニンガムの法則(p.165)

 「教えてください」と言うより、間違ったほうがアドバイスをもらえる

 

本『岩田さん』ほぼ日イトイ新聞・編(ほぼ日 2019.7)
【満足度】★★

【概要・所感】 任天堂の社長を務めた岩田聡氏。2015年に55歳で亡くなっています。生前、メディアで語ることをせず、著書を出す意志もなかったらしく、本書は貴重な岩田氏のことばを日刊イトイ新聞や任天堂公式サイトから抜粋・編集した内容となっています。巻末には任天堂伝説的クリエイターの宮本茂社長と糸井重里氏の岩田さんについてのインタビューもあり、全編通して岩田氏の人柄がよくわかる1冊です。個人的には、任天堂の社長になった経緯もまだよくわかっていませんが、今まで開発者としての名前くらいしか知らなかったのが勿体なかったくらいです。
【ポイント】

*わたしが面談でどのくらい時間をかけているかというのは、つまり「相手がすっきりしたら

 やめている」ということなんです。(p.32)

*人間って、自分の得意なことと他人の不得意な言葉を比べて、「自分は正当に評価されて

 いない、不公平だ」って(p.44)

*仕事って、かならず「ボトルネック」といわれるいちばん狭い場所ができてしまって、そこが

 全体を決めちゃう(p.48)

 ⇒目の前のことで手を動かすのではなく、いちばん問題になっていることは何か?が

  わかってから行動すべき

*成功を体験した集団を、現状否定して改革すべきではない(p.50)

 ⇒善意と誠実な熱意でやってきたアウトプットに対して現状否定してはいけない

*自分ですべてできるなら自分でやればいいんですけど、そんなことをしていたら、ひとりの

 時間とエネルギーの限界ですべてが決まってしまう(p.60)

*ある人が間違っていることがわかっていたとしても、そのことを、その人が受けとって理解

 して共感できるように伝えないと、いくらただしくても意味がないわけです。(p.79)

*制約はクリエイティブの母(p.165)

 

本『貯金はこれでつくれます』節約オタクふゆこ(アスコム 2024.1 )
【満足度】★★
【概要・所感】著者は元々、貯金なし・浪費癖・借金ありのYouTuber「節約オタクふゆこ」です。彼女がいかにして資産を作れるようになったか、そのコツを公開。それはズバリ、貯金=メンタルが9割。まさに共感するところですが、その話が本書の半分くらい割かれていました。コスト削減=貧乏くさいイメージかもしれませんが、要するにあれこれ使うのをやめて、自分の譲れない本当に必要なものに絞ってお金を使う(そこは値段が張ってもOK)ことが本当のコスト削減です、プラス、定番の固定費・変動費の見直しなど、小さな節約の積み重ねが大きな成果になります。意外と投資の話が少なくて残念(投資歴が短いからかな?)。親近感を感じる文章で読みやすく、貯金がしたくてもできない人はご一読を。

 

本『替えがきかない人材になるための専門性の身につけ方』国分 峰樹(フォレスト出版 2023.8)
【満足度】★★
【概要・所感】著者は電通(部長職)に勤務し、その傍ら大学の非常勤講師も務めています。これからの時代、一定のレベルさえ満たしていれば、その中で一番コストが安い人だけが求められるため、平均点のビジネスマンはまず淘汰されます。ですので、専門性が大事となってくる訳ですが、専門性は自ら学ぶことが大切とはいえ、自己啓発本などでインスタントにはなかなか身につきません。また、そもそも専門性の身につけ方とは何なのかを考える必要もあります。本書ではそれらを解説していますが、自分の価値を高めるためには「余人をもって代えがたい」状態を目指すことが必要です。
【ポイント】

*勤務した時間ではなく、自分の能力とそれによって生み出した成果が、プロとしての価値と

 考えるのが、「プロ意識」(p.4)

*専門性とは、すでに存在する専門知識を「インプット」することではなく、新たな専門知識を

 「アウトプット」できることを意味します。(p.6)

*会社が成長を求められているということは、そこで働くビジネスパーソンも、現状維持では

 なく、より専門性の高い人材を目指すことが要求されている(p.27)

*ルールや条件はすべて誰かがつくったものであって、あっけなく壊れたりそのまま続いて

 いかないことを前提に、あらゆる変化が想定外ではなくなるような視座をもつのが大切(p.92)

*好きでやっている人には勝てない(p.118)

*ある情報が、既存の情報や知識と結びついて、ある状況を解釈するための体系的な仕組みと

 なったとき、はじめて知識の一部となります。(p.132)

 ⇒知識を身につける&習得する⇔情報を受け取る&渡す このニュアンスの違い

*問いを「狭く小さく、自分らしく」する意識が、成否を分ける(p.185)

 ⇒答えが出ない問い、手がかりも研究方法もない問いは避ける

*狭く深く掘れることのほうが専門性としての価値が高い(p.188)

 ⇒医学全般の知識があるという医者と、心臓外科医ならどちらに命を預けたいか?

 

本『「なりたい自分」になるシンプルなルール』福田 萌子(幻冬舎 2022.8)
【満足度】★
【概要・所感】著者はAmazonプライムビデオで配信中のバチェロレッテのシーズン1に出演のモデル。彼女と同世代の女性が好きそうな自己啓発本です。自分を好きになること・人との付き合い方・自然からパワーをもらうなどの彼女なりの「楽しく生きるコツ」や「スローな生き方」が参考になります。自己肯定感が低い人には良書です。

【ポイント】

*日常の所作を大事にする(p.152)

 ⇒歩き方、姿勢、話し方など立ち居振る舞いを整えることで自分の人生を心地いいものにする

 

本『いかなる時代環境でも利益を出す仕組み』大山 健太郎 (日経BP 2020.9)
【満足度】★
【概要・所感】アイリスオーヤマの社長の著書。「日経トップリーダー」の連載記事を加筆修正し、まとめた内容です。仕組みが大事なのはわかりますが、それを強力に推し進めることのできるアイリスオーヤマは大山氏のワンマン企業という感覚を強く持ちました。自社社員向けの本なのかもしれません。商品や営業(有名なプレゼン会議)の話題がほとんどで、中小企業の経営者は参考になる点も多い気はします。

【ポイント】

知識だけでは仕事はできない。知識と能力は反比例しませんが、比例もしていない。だから、

 知識をいかに知恵に変えていけるかを重視します。(p.164)

 

メモ『共感されるリーダーの声かけ言い換え図鑑』吉田 幸弘(ぱる出版 2023.7)
【満足度】★
【概要・所感】リーダーとして失敗した経験云々により、例によって今、コンサルという著者が伝え方の言い換え例が2ページ・ワンセットとして紹介しています。この手の類書と変わらずで、新任リーダー向けの内容です。ボキャブラリーを増やすために読むのは良いとして、この例だけでマネジメントするのは正直、厳しい・・・。

テーマ:

5月に読んだ本は7冊(図書館本7冊)でした。
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<満足度> ★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ 

 

<お気に入り順>

本『明日、野球やめます 選択を正解に導くロジック鳥谷 敬(集英社 2022.6)
【満足度】★★
【概要・所感】元・阪神タイガース・不動のショート鳥谷氏の著書。阪神入団からロッテでの引退までのプロ野球人生のその時々のシーンで何を考え、決断したのかを知ることができます。プロ野球で実働18年間のうちGG賞5回、ベストナイン6回、1939試合連続出場など結果を残す選手はやはり超一流のブレない軸を持っています。「ダイブするよりは、1歩もしくは半歩、最初から守備位置を変えた方がいい。(p.118)」といった準備の大切さを徹底して説いています。「だいたいのことは上手くいかない、どうせ失敗する」ので、せめて受け入れやすくするために何事も自分で決めて準備を怠らない。思った以上に勉強になりました。

【ポイント】

*いかに楽に守るかということを、引退するまでの間、ずっと追求してきた。=中略= 捕球

 するのも全力、送球するのも全力だと、1年間安定したプレーを続けることができないのだ。

 =中略= どんなに自分が苦しい状況でも同じ守備力を発揮できることが、遊撃手の

 レギュラーとしての最低条件(p.109)

*細かいところまで考え抜かないとならなかった本当の理由は、圧倒的な身体能力の高さを

 自分は持っていなかったからだと思う。(p.123)

*エラーをした翌日に、いきなり一生懸命練習しても疲れるだけで、エラーが減る訳ではない。

 エラーをする日の前から、3年後、5年後を視野に入れてしっかりと準備しておけば、

 たとえエラーをしても翌日に余計なことをしなくていい。(p.124)

*唯一、自分が人に誇れるものがあるとすれば、入団してからやめる日まで、準備を大切に

 い続け、毎日同じことを積み重ねたこと。(p.135)

*まずは現実に起こってしまった結果を受け入れる。そのうえで、どうしたいかを次に考える。

 そのために必要な準備を始める。(p.175)

 ⇒後悔する時間も悩む時間もなくなる

*本当のコーチングとは、たとえ選手がクビになろうがどうなろうが、自分で選択して、自分で

 どうなりたいかを考えさせることだと思う。(p.185)

*準備をして結果を出してきた、という経験がある。間違いないのは、準備をしなかった時の

 失敗は反省ができず、次に活かせないということだ。(p.201)

*現状維持というのは、常に変化しよう、成長しようという気持ちがあってこそ成り立つものだ

 (p.216)

 

本『イオンを創った女』東海 友和(プレジデント社 2018.11)
【満足度】★★
【概要・所感】小嶋千鶴子は戦後、23歳の時に両親の跡を継ぎ、四日市の呉服屋・岡田屋を切り盛りし、その後ジャスコ、さらにイオンという企業グループへ育て上げた功労者です。イオンと言えば岡田卓也氏は有名ですが、その実姉の小嶋千鶴子氏の評伝です。今で言うCHRO(そして社長)だった点に興味があり、読んでみました。元部下・東海氏が、1/3が千鶴子の生い立ちについて、2/3が印象的な言葉を人生哲学、経営哲学、人事哲学として紹介する構成になっています。
【ポイント】

*人事担当者は知ることから始める。そのためには聞くことから始める。(p.52)

*本を読み、新聞を読み、人の話をよく聞く。その中から本当に価値ある情報は何かを見極める

 判断力を養っていく。=中略= 危機に備えて準備しておくということの"準備"とはそのこと

 を含めての準備である。(p.85)

*人事施策の要諦は、変化に対応する人材の育成である。(p.139)

*水戸黄門の役者よりうっかり八兵衛の人品が劣るわけでなく、単なる役割であって、みんな

 役に徹するプロの集団である。(p.144)

 ⇒職場もアマチュアがいては成立しない。会社は役作りを支援し、自己啓発を求める

*小事は毎日の積み重ねによって大事になる。プロは日頃の小さな修練を欠かさない。音楽家も

 芸術家もアスリートもそれを欠かせば大きな成果が得られないことを知っているからである。

 チェンソーを扱う作業員は、木を切る時間よりチェンソーを研ぐ時間のほうが長いという。

 研いでおかないと切れ味が悪く、結局のところ効率が悪いことを知っているからである。

 (p.197)

*「随所で主となれば、立つところみな真なり」(p.205 禅語)

 ⇒主体性をもって行動すればいついかなるところでも外界に翻弄されることはない

 

本『経営読書記録 表』楠木 建(日経BP日本経済新聞出版 2023.12)
【満足度】★★
【概要・所感】「表」は2019年から2023年頃までオフィシャルメディアに掲載された書評で、少しお堅い本が多いように思います。相変わらずの楠木節の一文を備忘で残しておこうかと思いましたが、それは止め、読みたい本リストとしてリストアップ。高峰秀子関連も一度、読んでみないといけないのかも。既読本も数冊あり、楠木氏がどの辺を面白がっていたのかと意見交換的に読めました。

【ポイント】

*高峰秀子の流儀 斎藤明美

*明日、野球やめます 選択を正解に導くロジック 鳥谷敬

*思い邪なし 北康利

* 決断=実行 落合博満

*「なりたい自分」になるシンプルなルール 福田萌子

*お金の賢い減らし方 大江英樹

*岩田さん ほぼ日刊イトイ新聞

 

本『経営読書記録 裏』楠木 建(日経BP日本経済新聞出版 2023.12)
【満足度】★★

【概要・所感】「経営読書記録 裏」は個人ブログ掲載の書評。そのため1つの書評に対してのボリュームがちょうどよく、紹介されている本もビジネス書以外にも様々。山口周・名和高司・高森勇旗・中竹竜二ほかとの対談や、巻末には映画・音楽の批評まで。ま、それはいらなかったように思いますが・・・。読みたい本を探す際には本書が役に立ちます。こちらも気になった本をリストアップ。

【ポイント】

*トラジャ 西岡 研介

*イオンを創った女 東海 友和

 

本『死後を生きる生き方』横尾 忠則(集英社新書 2023.10
【満足度】★

【概要・所感】横尾忠則の死生観が気になって読んでみましたが、死後の世界についてのオカルトチックなエッセイでした。輪廻転生は死んだことがないからはっきり言って誰もわからないですねw  ファンタジーとして読んでくださいとありましたが、確かにそれが良いかと思います。「夜寝るのは魂が霊界に戻ってパワーを受けて肉体に戻ってくるためで、そこで死者に会うことがある(たまに死者が夢枕に立つことがありますよね)」という話や、魂の存在は信じていないくせに弔辞などで近いうちに天国で酒でも飲もうやと言ってしまう人の話は印象に残りました。

【ポイント】

*人間は未完で生まれて、完成を目指して、結局は未完のままで死ぬ。これでいいのです。

 完成されたものが美しいとは思いません。美というものは未完ゆえに美しいのです。(p.188)

*死への恐怖は、つまるところ、やり残したことがあるか、ないかによって変わってくるんじゃ

 ないでしょうか。(p.191)

 

メモ『仕事ができる人が見えないところで必ずしていること』安達 裕哉(日本実業出版社 2023.11)
【満足度】★
【概要・所感】新刊と思ったら著者が2015年に書いた本の再編集版でした。仕事ができる人になる方法として実行力、決断力、コミュ力、考え抜く力、働きかけ力というカテゴリーごとに普遍的なポイントが書かれています。目新しい話はなく、オーソドックスな内容でした。
【ポイント】
*人生を変えるのは、一発逆転の出来事ではなく、些細な日常の習慣(p.16)
*賢い人は、その賢さゆえに「指示待ち」となり、勝手な人はその鈍感さゆえに「問題児」と

 なる。(p.81)

*話のわかりやすさは「相手の立場から自分の話を見ることができるかどうか」(p.98)

*毎日1時間練習すれば、1年後には何もやっていない人よりも365時間分、高い技能を身に

 つけられる。10年なら4000時間近く。これならもう絶対に追いつかれない。(p.183)

 

本『「指示通り」ができない人たち』榎本 博明(日経プレミアシリーズ 2024.3)

【満足度】★
【概要・所感】指示通りできない人は一定数いて、着眼点に興味を惹かれましたが、具体的なケースを紹介したい意図はわかるにしても、会話調の相談×解決という文体が延々と続き、読みにくい。認知能力・メタ認知能力・非認知能力という3つのケースを抽象化した第4章の20ページ弱だけで良かった気がします。認知能力を鍛えるのに読書が本当の解決策となるのかは微妙です。

テーマ:

定例の本棚整理で買取王子に売却。昔の小説を中心にトータル18冊。

【内訳】 単行本:4 新書:1 文庫:4 ムック:3 参考書:2 漫画:1 その他:3

 

買取金額は971円

今回はほぼ古本だったので1,000円くらいかなとほぼ想定通り。

メンタルヘルス・マネジメント検定の参考書はそこまで高く売れなかったようで。

図書館本が大多数とはいえ、本棚から溢れてきているので、また近々売却しなきゃ。

テーマ:

4月に読んだ本は6冊(図書館本6冊)でした。
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<満足度> ★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ 

 

<お気に入り順>

本『心のゾウを動かす方法』竹林 正樹(扶桑社 2023.10) 
【満足度】★★
【概要・所感】「直感=ゾウ」、「認知バイアス=ゾウの習性」、さらに「理性=賢いゾウ使い」に見立てて、「ナッジ」を優しく説いた一冊。「ナッジ」とは行動経済学で出てくる用語で人を動かす重要な手法。「そっと後押しする」「ひじで軽くつつく」といった意味で、行動の定着までは向いていません。本書ではナッジを用いて、がん検診の受診率を上げるという事例が取り上げられています。他にも医療現場での事例などがあり、ナッジとはどういうものかのイメージはしやすく、入門書としては良いと思いますが、ゾウの例えがややこしいのでいらない気がするのと、本の構成が問いやらQやらコラムやらトピックやら項目が入り乱れて読みにくかったのがマイナス点。

【ポイント】

*象を動かすには?(p.49)

 ①正しい情報を提供(啓発) ②行動したくなる環境を整える(ナッジ)

 ③褒美と罰則を整備(インセンティブ) ④選択を禁止(強制)

 

本『財務3表一体理解法 「管理会計」編』 國貞 克則(朝日新書 2024.2)
【満足度】★★
【概要・所感】2012年出版の大改訂版で「管理会計」編ということで久々に財務3表一体理解法シリーズを読むことに。本書も一連のシリーズに同じく、会計の専門家でない人向けですが、原価計算のくだりは少し難解な気もします。ドラッカーのマネジメント理論と会計を随所で紐付けて解説してくれる点は斬新です。
【ポイント】

*限界利益という考え方は、経済学の限界効用からきています。=中略= 売上が1単位追加

 して増えるごとに増える利益(p.87)

*利益は企業の目的ではなく、企業存続のための条件(p.112)

 ⇒目的は「顧客の創造」であり、利益は結果

*国際比較をしようと思えば、税率は国によって異なりますから税金の影響のない「税引前

 当期純利益」がEBIT・EBITDA共に基本となります。(p.174)

 

本『嫌いなら呼ぶなよ』綿矢りさ(河出書房新社 2022.7)
【満足度】★★
【概要・所感】アメトーークの読書芸人の回で紹介されていた小説。表題作の「嫌いなら呼ぶなよ」と、そのほかに「眼帯のミニーマウス」「神田夕」「老は害で若も輩」の4作品を収録した短編集。いずれも読みやすく、しかもさくっと楽しめる内容で、どれも面白かったけど、印象に残ったのは「神田夕」かな。小説の中ではコロナ禍の社会情勢が反映されていて今、読むとある種の懐かしみが。

 

本『男子系企業の失敗』ルディー和子(日本経済新聞出版新書 2023.11)
【満足度】★★
【概要・所感】女性の観点から、日本企業の現状維持志向の原因を行動経済学、社会心理学の観点から考察。男社会(同質性男性集団)と現状維持バイアスの強さにつながりがあることを指摘。男社会における権力闘争の敗北の意味=「損失回避性」などよくわかりますし、行動経済学の理論からすれば全面的に共感するところです。今後、男女の違いを認め、多様性のある集団に変えていくことは企業が発展していくカギと言えそうです。
【ポイント】

*多様性は、会社の収益を上げることには貢献したが、従業員の満足度は低くなった(p.94)

 ⇒同質性集団・内集団が大切にしてきた規範や価値観の変更を余儀なくされ、ストレスに。

*そもそも、男女で違いがないというのであれば、多様性を唱えて、女性管理職を増やしても

 何の役にも立たないことになってしまう。(p.120)

*皮肉なことに、世界一簡単にクビにできる米国企業の従業員エンゲージメントは34%と

 日本より高い。(p.177)

 ⇒リスクが怖いから不安や不満を抱えつつ、働き続ける

 

メモ『やることを8割減らすダンドリ術』飯田 剛弘(大和書房 2023.10) 
【満足度】★★
【概要・所感】年がら年中忙しくしているダンドリ下手の人向け。本来抱え込まなくていい余計な頑張りやこだわりを8割捨てる考え方について書かれています。著者の外資系企業での経験談が中心ですが、そのノウハウは超オーソドックス。時間など条件が限られている中で成果を求められるのがビジネスである以上、トレードオフの考えができないとね。
【ポイント】

*その海外のリーダーは、仕事の遅れについては何も言わない代わりに、もし担当者がその

 遅れをカバーするためのリカバリープランを用意していない場合、それをとても問題視

 していたのです。(p.143)

 ⇒計画は遅れるもの。遅れに対して対策を立てることが大切。

 

本『夜行列車盛衰史』松本 典久(平凡社新書 2023.12)
【満足度】★
【概要・所感】著者は1955年生まれの鉄道ジャーナリスト。70年代の最盛期には30数往復運行されていたブルートレインは現在、定期運行しているのはサンライズのみ。1889年から130年、明治期・大正期・昭和初期の時刻表など調べ尽くした渾身の内容。残念なのは黎明期~発展期が150ページに対して、最盛期からの記述は100ページくらいしかなく、ちょっと物足りなかったです。鉄道用語がわりと出てきて、ややマニア向け。
【ポイント】

*西園寺公望は、鉄道の国有化によって「運輸の疎通」をはかり「設備の整斉」も行えば「運賃の

 低減」につながると力説、=中略= 幹線系の私鉄を買収する「鉄道国有法」が誕生したので

 ある。(p.53)

*支那事変特別税法による通行税が課せられていたが、太平洋戦争開始の翌月には急行料金・

 寝台料金の値上げが行われ、以後、運賃・料金の改定は毎年実施されることになる。(p.101)

*東京大空襲後、急行列車はついに東京~下関間1往復となった。(p.104)

*当初、旅館より安く泊まれたブルートレインだったが、10年間で旅館並みか旅館以上の

 価格となってしまった(p.200)

 ⇒B寝台:1974年に1,900円だったのが1984年には6,000円。ブルートレイン離れが進む

*1985年3月 =中略= 牽引機のEF66形化も進められた。=中略= 機関車を統一する

 ことで運用は合理化され、また余剰となっていたEF66形を無駄なく使えるという意味も

 あった。(p.207)

テーマ:

3月に読んだ本は6冊(図書館本6冊)でした。
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<満足度> ★★★ オススメ ★★ 面白い ★ 収穫少なめ 

<お気に入り順>

メモ『私はないものを数えない。』葦原 海 (サンマーク出版 2023.5)

【満足度】★★★
【概要・所感】今年読んだ本のベスト3候補。MISIAのLIVEパフォーマーとして楽しそうに踊っている彼女を見たのがきっかけ。リアルに車椅子ユーザーの人??と興味を持ち、調べてみたところ本を出していることを知り、ほぼ一気読み。葦原さんは16歳のときに本当に事故で両足を失ったと知りました。起きた出来事は最終的には受け入れるしかないと頭でわかっていても、ふつうはすぐに割り切れない話でもなく、でも彼女は違った。車椅子ユーザー目線の大変さや切った足の話(本人=意識不明、「足を切るか、切らないか」の選択を強いられたご両親の話は涙)など全然想像しきれてなかった本音ベースの話がたくさん。また。障害のある人を見たら助けないといけない、というのは違う気がすると葦原さん自身が言ってしまえることに衝撃を受けました。と言っても、自分で何でも努力して人の助けを借りないことに固執する訳でもなく、自分にできないことは素直に助けてもらい、感謝する、と謙虚すぎ・・・。車椅子ユーザーとして注目される才能というか、興味が無い人、知らない人にその声(ここまでの本音)を届けられる彼女の底力は凄いとしか言い様がありませんでした。

【ポイント】

*「足がないのは、もう変えられないこと、仕方ない」 =中略= あきらめじゃない。いじけた

 んでもない。開き直りでもない。変えられないなら、「じゃあ、今の環境でどうする?」って

 考えるほうが、早い。(p.82)

*いろんな人の価値観や影響にふれて私が変っていくのなら、私も誰かを変えている(p.158)

*福祉や障がいは、「知ろう」と自分で思わなければ知ることができない。=中略= 障がい者

 だけが、まるで透明人間だ。=中略= 「知らない」で終わっている。(p.194)

人生はライブだから、何が起きるかはわからない。何がいいとか悪いとか、その一場面だけ

 切り取ったらわからない。でも、どんな悪いこともハッピーエンドにつなげられる。自分の

 受け止め方次第で。(p.214)

 

本『超コミュ力』田村 淳(すばる舎 2023.10)

【満足度】★★
【概要・所感】ロンブー淳はHSP=繊細さんと公言していますが、そのコミュニケーション論を知りたく、読んでみました。好きな人だけに好かれるノウハウについて書かれていて、コミュ力=聴く力にフォーカスしています。特別難しいことは書かれておらず、超オーソドックス。それらの言動を忠実に使いこなしているバラエティでのシーンが思い浮かびます。簡単な内容だとしてもそれが出来ている状態こそが重要で、コミュ力の無さを自覚しているなら、淳式SNS(≒ホステスのさしすせそ)を意識的に使っていくだけでも効果が出てくると思います。
【ポイント】

*相手の感情より上の表情をする(p.42)

 ⇒相手の感情に寄り添う

*田村淳式「SNS」(p.56)

 すごい・なるほど・そうなんだ

*僕は1つの質問をした後、即座に3つくらいの「なぜ」を考えるようにしています。(p.73)

 ⇒なぜを中心に話を広げる

*言いにくいことは、指摘するより、まず理由を聞いてみる(p.105)

 

メモ『「考えるスキル」を武器にする』筧 将英(フォレスト出版 2023.5)

【満足度】★★
【概要・所感】著者は元・電通の戦略プランナーを経て独立したコンサルなので、MKや広告、PR系の「考えるスキル」がメインの内容になっています。最初の3章くらいまでは汎用性がありますし、以降も普遍的なノウハウが出てきますが、マーケティング上の例が多くなってきて一般的な話に置き換えるイメージが浮かばないかも。ですが、「考えるスキル」は学校はもちろん社会に出ても誰かに教えてもらう機会がまず無いため、本書で学んでおく価値は十分あります。
【ポイント】

*「思う」は =中略= 頭の中の交通整理がされていない状態です。=中略= 「考える」は、

 =中略= 思考の流れが整理されており、道筋がきれいに通っている状態です。(p.5)

 ⇒考えた時間ではなく、量を出すことが大事。※まとめずにそのまま

*語彙が多い人は世の中を認識する解像度が高い(p.56)

 ⇒よくわからない現象を理解するため。知識のないところからアイデアを考えるのは難しい

*「わかる」とは「分ける」こと(p.43)

 ⇒分けたいものを列挙してから分ける。分けたものをラベリングするのが分析。

仕事を楽しくするには、人に言われたことをやるよりも、自分で考えたことをやること

 です。=中略= 仕事を楽しむために考える力が必要不可欠(p.225)

 

本『小さく分けて考える』菅原 健一(SBクリエイティブ 2022.12)
【満足度】★
【概要・所感】タイトルから体系的な思考法の話かと思い読んだのですが、内容はタイトルのまんまでしたw 「分解思考」とは大きい課題を小さく分解する考え方ですが、OKRや「抽象→具体」の話、大谷翔平の「マンダラチャート」と同じ概念かと思います。なんでも行動レベルまで落とし込む。本書の半分を割いているのは「分解」する作業の解説で、お題は営業やマーケティングなど、ある程度のキャリアの人なら誰でも知ってて実践している薄い内容(売上=客数×単価とか・・・)だったのが残念でした。初学者向けです。
【ポイント】

*仕事で成果を出すために必要なことは、「努力や労働量」から「頭脳労働力や効率」に置き

 換わっています。(p.2)

*分解すると2つの意見に分かれる(p.43)

 ⇒2つの切り口があって、どちらも選べるテイで提案する

 

本『日本の建築』隈 研吾(岩波書店 2023.11)
【満足度】★
【概要・所感】建築家・隈研吾による日本建築論。単なるエッセイで終わらせたくなかったという思いから執筆に8年かかったとのこと。それだけに氏の、他のわかりやす著作に比べて、格段に読みにくい。ブルーノ・タウトから始まった考察ですが、読み取れた箇所は結局、最後の最後に書いてあった、おなじみの梼原でのエピソード。「頭で設計する」のではなく、「モノから考える」方法であり、「上からの設計」ではなく「下からの設計」。専門用語も多く、ある程度、建築や設計いに携わっている人、もしくは建築史に詳しい人向け。

 

本『関西の私鉄沿線格差』新田 浩之(KAWADE夢新書 2023.11)
【満足度】★
【概要・所感】関西大手私鉄の駅の利用しやすさなど様々な角度から分析。特にへぇ~と思った知識もなく、全体的にネット記事レベルの内容でした。別の著者ですが、「関東の私鉄沿線格差」という本も出ているようです。