ということで、朝の散歩でライプツィヒ音楽軌道をたどろうして導かれたとあるパサージュ。
そこには「ライプツィヒ・オールスターズ」と銘打って、当地ゆかりの有名人を紹介する展示コーナーがあったわけですが、
そのお話の続きでありまして。展示はこのように続きます。
まずはバッハのおなじみの肖像画。各地を転々としてキャリアアップを図っていったバッハにとって
終の棲家となったのがライプツィヒであったことはトーマス教会のところでも、
この後に訪ねるバッハ博物館でも分かる事ですので、次へと進むことにいたします。
バッハの下に見えているのはフリードリヒ・アルノルト・ブロックハウスという人物。
ライプツィヒ大学で学んだあと、出版社を興してやがてライプツィヒに戻ってくるのですけれど、
前にも触れたかもしれませんがライプツィヒは印刷・出版で栄えた町ですものね。
ブロックハウス百科事典は長らく看板商品だったようで。
お隣の上に見えるカール・フリードリヒ・ゲルデラーはライプツィヒ市長を務めた人ですが、
ナチスに敵対し、先に見たホロコースト記念碑が造られる元となる事件でメンデルスゾーンの像が破壊されたとき
再建に尽力した人でもあったそうな。
その下、クリスティアン・ゲッレールトもライプツィヒ大学に学び、後に母校で教鞭をとった人。
詩人としては、その作品からベートーヴェンが6つの歌曲作品48を作っていたりするということで。
さらにお隣に行って、ちと小さい写真ながらひげの大きな人物はフェルディナント・ゲッツ、
ライプツィヒ生まれで医者になりますが、ドイツに広く体操を普及させた人であるとか。
映画「コッホ先生と僕らの革命」でドイツにフットボール(サッカー)が持ち込まれる以前、
ドイツの体育はこうであったかと思わせられるわけですが、その源流はゲッツにあったのかもですなあ。
続いて大きな顔をしているのは一目瞭然のゲーテでして、ライプツィヒとの関わりは先に触れたとおりです。
で、最後のふたりのうちの上はヨハン・クリストフ・ゴットシェート、ライプツィヒ大学教授にして演劇の発展に尽くしたそうな。
ゴットシェートの生きた18世紀半ばまでのところでは、演劇の位置づけは低かったのでしょう、
そのあたり、ゲーテの「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」を読んでも偲ばれるところでありますね。
そして、最後はヘンリエッテ・. ゴルトシュミットはドイツ女性協会を組織して、女性の地位向上に取り組み、
ライプツィヒで亡くなったということです。さあ、ライプツィヒ・オールスターズの紹介ももう一息でありますよ。
次の展示に移って、最初(一番左上)はアントン・フィリップ・レクラム、
岩波文庫の元となったレクラム文庫で知られる出版社を創業した人でして、
これもまた印刷・出版の町ライプツィヒらしい人選でありますなあ。
その下はちと分かりにくい肖像ですが、フリードリヒ・シラーでありますよ。
ライプツィヒとの関わりは先に木立の中でみかけた記念碑のところで触れたとおりです。
さて、お隣のブロックには珍しくうら若き女性の姿、
クララ・ヴィークと言いましょうか、クララ・シューマンと言いましょうか。すぐ右側のロベルト・シューマンと
ぴったり寄り添うように並んでおりますが、このシューマン夫妻については後ほど別の機会に触れましょう。
クララの下に見える人物はダニエル・ゴットリープ・モリッツ・シュレーバー、
ライプツィヒ大学教授で医師であったということですが、あまり詳しいことは分かりませんでした。
一方、ロベルトの下に見えるのはリヒャルト・ワーグナーですな。く知られた顔つきですので、
すぐにそれと分かりますけれど、ワーグナーのこともまたちと後ほど。
ということで、ライプツィヒ・オールスターズももはや下位打線に(といっては失礼ながら…)。
いちばん左の列の上、クリスティアン・フェリックス・ヴァイセもまたライプツィヒ大学に学び、
ドイツ児童文学の嚆矢とされる人物ということながら、児童文学好きの日本で知られていないような。
最後のベルタ・ヴェナート=ベックマンは女性写真家として知られ、ライプツィヒにはスタジオを開いたとか。
1815年生まれの女性にあって、自立した仕事を持った活動したあれこれが
世界で初めて、ドイツで初めてといったことも多々あったようです。
てな具合に、長々ライプツィヒ・オールスターズの顔ぶれを紹介してきましたけれど、
いわばおらが町の有名人といったところでしょうか。もちろん世界的に知られる人物もおりますですが。
ちなみにライプツィヒ市は現在60万人弱の人口を抱える町でして、
住まいの近くで比較すると八王子市くらいな規模でしょうかね。一概に比べるのもどうかと思いますが、
仮に「八王子オールスターズ」を考えたときに、どんな顔ぶれになりましょうか。
さきほどライプツィヒ・オールスターズをして「おらが町の有名人」てな言い方をしてしまったものの、
あらためてこれはこれで大したラインナップが揃っていたのかも…と思い直しましたですよ。