JNEXT司法書士事務所のブログ~終活業務日誌~池袋 相続・遺言書・認知症対策

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池袋のJNEXT司法書士事務所と申します。
相続といえば日本一と言われる様、日々精進してまいります。
また、終活に関する記事についても掲載していき、見てくださった方の参考になりますと幸いです。

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こんにちは!

JNEXT司法書士事務所、補助者のやまもとです。

 

前回に引き続き、韓国領事館での体験談をお話します。

今回は、特に韓国戸籍謄本の取得を予定されてる方にはお役に立てるような内容になるかと思います!

 

さて、前回は帰化されたペ・ヨンジュン様(仮名)の韓国戸籍を取得するにあたり、

登録基準地の情報が必要であることは書きました。

 

第1話をごらんになりたい方はこちらをクリックください↓

https://ameblo.jp/jnext-shihoushoshi/entry-12612639570.html

 

 登録基準地とは・・・・韓国での本籍地(番地まで正しい情報が必要) 帰化する直前なら尚可

 ※氏名と本籍地の情報がないと領事館側の人も調べることができません。

 

日本国内での戸籍謄本登録基準地の情報、(今回は代理取得なので相続人からの委任状も)

この2つが揃ったのでもう大丈夫・・・・・

ということでいざ窓口へ!

 

 

 

 

日本の戸籍謄本と登録基準地!

これさえあれば領事館の人もすぐ調べられるはず・・・・・・

 

 

 

領事館「これだけじゃ足りないです」

 

 

 

 

自分「え!?」

 

 

 

「委任者の相続人の方の情報が足りません」

 

 

 

 

「・・・・そ、相続人????」

 

 

 

 

・・・・・

 

そもそも、亡くなられた方(被相続人)の相続手続きをおこなう際、

大体のケースではご親族(相続人)が、市役所に戸籍謄本や住民票を貰いに行きますよね。

 

 

その際、被相続人が亡くなられた事と、「被相続人との続柄」がわかる書類が必要になります。

たとえば、同じ戸籍に載っている戸籍謄本のコピーや被相続人の死亡診断書ですね。

※同じ市内に親子で住んでいた等、役所側が把握できるのであれば不要です

 

 

 

日本国内でしたらその戸籍謄本のコピーでOKなのですが、

 

 

 

もし相続人の方が帰化されている場合、

さらに「相続人の帰化前の名前が載っている戸籍謄本コピー」が必要です。

たとえば帰化直後の日本戸籍謄本コピーですね。

 

 

「平成●年●月●日 ~市より帰化。韓国従前の名前チャン・ドンゴン(仮名)」

帰化された方の直前の戸籍謄本には、上記のような記載があります。

 

 

 

 

今回のケースでは、委任を受けた相続人の方も帰化されていたので、

その情報が必要だったというわけです。

 

 

 

 

相続人が帰化されているかどうか

これにより必要な書類も変わりますので、もしご親族で帰化されている方がいる場合はご注意ください。

※ちなみに親子同時に帰化しているのであれば、同じ戸籍に帰化情報も載るので別々に取得する必要はありません。

今回は別々に帰化されているケースでした。。。。

 

 

 

かくして、再び韓国領事館から退散し、数日後、相続人の戸籍謄本を持って出直しました。

そしてやっと韓国戸籍を発行してもらえましたが、最初の申請からここまでくるのに1カ月以上はかかりましたえーん

 

まさか一つの戸籍謄本をGETできるまでこれほど時間がかかるとは・・・・・帰化戸籍、かなりの難敵でした。。。

また、当然ながら韓国の戸籍謄本はほとんどの内容がハングルで書かれてますので、

取得したら今度は日本語に翻訳する必要があります。

 

 

特に我々のおこなう相続登記では、内容を日本語に翻訳してから提出しなければなりません。

戸籍謄本を取得したらすぐ手続き!というわけにはいかないんですね。

 


 

今回のおさらい(韓国領事館へ戸籍謄本取りに行く方は是非ご参考に!)

 

あらかじめ用意しておく情報

①亡くなられた方の帰化前のお名前

②登録基準地

③相続人が帰化されているかどうか

 

 

用意しておく書類

1.申請書

韓国領事館にも置いてある様式です。ホームページからもダウンロードできます。

これは1つの戸籍を取るごとに1通書く必要があります。

たとえば帰化前に韓国で2回転籍していると、その2つの戸籍分の申請書を書いて出さなければなりません。

3回転籍しているなら3通、4回転籍しているなら4通ですね。

 

 

(お客様からご依頼を受けた士業事務所様向け)

復代理人を立てる場合は、上記に加えてさらに代理人から復代理人への申請書を書く必要があります。

 

1.ご本人(またはご親族) → 代理人

2.代理人 → 復代理人

 

1.2で1セット、これで一つの戸籍分が申請できます。

なので帰化前に4回転籍していたら合計8通ですね・・・・

出生までさかのぼって戸籍を取得される際、長期戦となる可能性があるのは覚悟しておいた方が良いかもしれません(笑)

 

また、申請書には委任状と同じ印鑑が押されてないと受け付けてもらえません。

 

 

2.委任状(代理人を立てる場合)

日本国内でも同じですが、司法書士などの士業にお願いする際は委任状が必要です。

韓国戸籍の場合は、下記の文言を委任状に入れておかなければなりません。

 

「家族関係登録などに関する法律」第14条及び「家族関係の登録などに関する規則」

第19条に基づき登録簿などの記録事項などに関する証明申請書提出及び受領などに関する一切の行為

 


 

さて、ここまでいかがだったでしょうか。

韓国から帰化された方への相続、一筋縄ではいかないという事はご理解いただけたかと思います。

今回は、私たちも初めてのケースだったので非常に苦労しました。

 

でも、とても貴重な経験でしたし、

帰化された方はこんな手続きを踏むんだ、という勉強にもなりました。

 

 


 

JNEXT司法書士事務所では、相続登記のほか、会社設立や不動産登記など、多岐にわたりお客様のサポートをしております。

相談料は無料でございますので、是非お気軽にご相談ください。

 

JNEXT司法書士事務所

司法書士 落合 康人(おちあい やすひと) 

 

住所:東京都豊島区東池袋3-23-13 池袋KSビル7F

※池袋・サンシャインシティの近くにございます。

TEL:03-5951-7141 FAX:03-3590-1865

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相続案件で、時間と手間がかかる作業のひとつ・・・・

 

それが戸籍謄本の収集

 

被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸籍謄本を集める作業です。

人によっては転籍を繰り返していたり、ご親族が多い等、戸籍が膨大な数に登ることもあります。

相続をするにあたって、戸籍謄本の収集はひとつの山です。

 

 

こんにちは!

JNEXT司法書士事務所、補助者のやまもとです。

 

 

本日は、そんな相続での特殊な体験談をいたします。

長い戦いでしたので、何話かに分けようかと思います。

 

正直、ここまで長い戦いになるとは思わなかった・・・・・・・

 

 

とある相続登記を依頼されたお客様で、被相続人が韓国から帰化されていらっしゃいました。

 

 

相続登記では、被相続人の生まれてから亡くなられるまでの戸籍謄本が必要ですが、

韓国戸籍から帰化された方でもそれは同じです。

今回で言えば韓国領事館(大使館)から、帰化前の戸籍謄本を取り寄せる必要があります。

 

 

今回、初めて韓国領事館で戸籍謄本の取り寄せを行ったのですが、

これが一筋縄ではいかない困難な道のりでした・・・・・

長編となりますので、本日は第1話とさせていただきます。

 

 

 

 

まず、窓口に何を持って行けば良いかわからない!

日本の戸籍であれば、委任状と身分証明書、戸籍関係が証明できる書類等を役所へ持っていけば大体OKなのですが、

韓国戸籍を取得をするためには、その他に何が必要なのか不明確です。

とりあえず最初は、インターネットでかき集めた情報を元に、わかる限りの書類を持って韓国領事館へ行きましたが、

窓口で見事に玉砕しました

 

申請書の書き方、委任状の形式、印鑑をどこに押す必要があるか?押す印鑑は何なのか?請求する書類によって何の申請書を書くか等々・・・・

正直、「そこまで必要!?」と思ってしまうくらいたくさんの指摘を受けました。

 

 

細かい決まり事や、書類の書き方については後日の記事でお伝えしようかと思いますが、

まず必要な情報でキモだったのが

 

登録基準地という情報です(最初にハマった落とし穴でした

 

登録基準地とは、いわゆる韓国における本籍地です。

これがわからないと、領事館の人も何も調べることができません。

当然、番地まで正確にわからないといけません。

 

日本で取れる戸籍謄本には、帰化した人の韓国での本籍地は記載されてません

本来、日本国内で転籍していると、戸籍謄本には「〇〇県〇〇市~~番」に転籍しましたよーと記載されるのですが、

帰化した人だとこの情報が正確に載っていないのです・・・・・

 

せいぜい「〇〇市から帰化」までしか載っていません。

日本でいえば、東京都豊島区までです。これじゃ調べようがないですよねアセアセ

 

 

最初は、私もこの情報を知らないまま窓口へ行き

 

「〇〇市のペ・ヨンジュンさん(仮名)の戸籍を取りたいです!委任状もあります!」

 

と、〇〇市くらいしか書いてない申請書を出してたんですね(笑)

 

「これだけじゃわからないです」と返されてしまうのも無理もないです。

 

 

登録基準地は、パスポートや帰化証明書を見ないとわかりません。

もしくは、法務省が保管している外国人登録原票に載っています。

ただ、この外国人登録原票は取得がとても大変で、発行まで時間が膨大にかかるそうです。

 

幸い、今回はご親族の方が被相続人のパスポート情報を持っていたので、事なきを得ました。

 

 

さて、ご親族の協力を得て、どこから帰化したかがわかりましたので、

これですんなりぺ・ヨンジュンさんの戸籍を取れるでしょうか?

 

 

 

はい、これじゃダメだったんですねえーん

 

 

 

次なる試練が待っていました。

→第2話につづきます。

 


 

韓国領事館ってどんな所?

麻布十番駅近くに位置する建物で、

主にビザの申請や証明書の発行をおこなっています。

私の行った戸籍謄本の窓口は二階でしたが、綺麗に整理されていて内装もオシャレでした♪

 

領事館ホームページ

 


 

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こんにちは!

JNEXT司法書士事務所、補助者のやまもとです。

 

本日は、公務員の人権についてお話します。

 

ただその前に、前回記事の更新から少し日が経ってしまいましたので(私の力不足で申し訳ありません……

これまで連続して話してきた内容について、少しおさらい&補足をしておきます。

 

 

まず、ここまで基本的人権について記事を更新してまいりましたが、基本的人権とはどのようなものでしょう?今一度確認しておきます。

 

 

基本的人権とは「自由権」「社会権」「参政権」のほか、受益権などの基本的権利を指す。

そして、人は生まれながらにこれらの権利を国から保障されている。

 

 

権利の内容はご存知の方も多いと思いますので、この場での説明は省きます。

 

では、次に論点となるのが保障の範囲、

すなわち”基本的人権は「誰に」保障されるのか?”という点です。

 

万物誰しもが保障されるのか?人(自然人)ではなく法人はどうなのか?

日本に国籍を置いてない外国人も当てはまるのか?

 

 

答えは、内国法人は当てはまる。

外国人も保障の内容は異なるが当てはまる(詳細は前回記事をご参照ください。)

 

 

以上の結論が出ました。

これですべての人が網羅できたでしょうか?

いや、まだ一つ述べるべき対象となる人物がいます。誰でしょうか?

 

 

国家に従事する人々、すなわち公務員です。

 

 

公務員は、われわれ一般人とは異なり、国家との「特別権力関係」などと呼ばれたりします。

※特別権力関係は、公務員のほかに受刑者も含まれる事があるため、ここでは一括にせずに「公務員」と表現します。

 

 

 

公務員の政治的自由

 

まず、公務員の基本的人権にあたって焦点となるのが自由権です。

たとえば、われわれ一般人は、特定の政党を支持したり政治的活動することも自由ですが、

 

公務員は違います。

 

公務員は、政治的行為の制限という法律が定められています。

地方公務員法36条 政治的行為の制限

国家公務員法102条 政治的行為の制限

 

 

ただ、すべての政治的行為が禁止されるというわけではなく、

政治的中立性が損なわれる政治活動が禁止されています。

 

尚、この政治的行為の制限は、どこからどこまでが制限されるか曖昧な部分が指摘されるほか、

そもそも公務員の政治的行為を制限することは合理性に欠けるという意見もある様です。

 

 

公務員の労働基本権

 

次に、公務員の労働基本権を挙げます。

 

労働基本権は、団結権・団体交渉権・争議権の労働三権からなります。

 

団結権・・・労働組合への加入などの

団体交渉権・・・労働組合が雇用主と交渉できる権利

団体行動権・・・労働条件の改善をもとめてストライキなどを起こせる権利

 

たとえば、警察官や消防署員、自衛隊員にはこの労働三権の適用が制限されます。

団体行動権にいたっては、すべての公務員に認められていません。

 

過去の判例では、

ストライキをおこなった農林水産省職員らに対し、6ヶ月の停職ないし3ヶ月の懲戒処分が最高裁判決により許容されています。(最判平12.3.17)

 

 


 

宣言解除によりいつも通り、とまではいきませんが、ゆっくりと世間が動き出してる感じです。

 

そんな中、プロ野球が開幕しましたね。

 

色々と意見が割れる所ですが、やはりいち野球ファンとしてはプロ野球が観れるだけで嬉しいものです。

 


 

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みなさん、こんにちは!

 

司法書士の落合です。

 

本日は、U様の事例の4回目です。

(前回までの内容を見たい方はこちらをクリックしてください↓)

https://ameblo.jp/jnext-shihoushoshi/entry-12591248741.html

https://ameblo.jp/jnext-shihoushoshi/entry-12598743381.html

https://ameblo.jp/jnext-shihoushoshi/entry-12599386669.html

 

前回は、U様のご自宅の相続手続きについてお話しさせて頂きましたが、こちらが把握していた自宅以外の不動産が見つかり、それがU様の地元にあるお父様から相続を受けた畑でした。

その畑について、どのような相続手続きを行ったかについて今回お話しをさせて頂きます。

 

畑の相続手続きについてどうすればよいのか、色々と考えてみました。

売却手続きを進めてもそもそも売れるのか?

もし、売れても値打ちがあるのか?

値打ちがなければ売却費用だけがかかってしまいますし、仮に売れたとしても農地法の許可という高いハードルがありますので、売却を進めることは現実的に難しいという考えがある一方、かと言って何もしなければ遺言執行者が畑を管理し続けなければならないので放っておくわけにもいきませんし...。

 

結局、私の中で出した答えは、今まで畑の管理をして頂いていた甥っ子さんに引き取ってもらえるのであれば、それが一番いいのではないかという結論に至りました。

 

遺言書では、すべての遺産を寄付するとありますが、相続人全員が合意すれば相続人に特定の遺産を受け取ってもらうことも可能となります。

U様の遺言の趣旨とは違ってしまいますが、この畑についてはU様も存在を忘れていらっしゃったようですし、売却することは困難ですので、今まで管理をして頂いていた甥っ子さんに引き取ってもらえるのであれば、それが一番の選択だと考えました。

 

なお、その甥っ子さんが畑を引き継いでもらえるのであれば、甥っ子さんはU様の相続人ですので、農地法の許可もいらずに甥っ子さんに登記名義を変えることができます。

 

そのためにはその甥っ子さんに了承して頂くことはもちろん、他の相続人全員の同意も必要となります。

 

まず、引き取って頂く予定の甥っ子さんに話しをしてみました。

その甥っ子さんの話しでは、畑を受け取ること自体は厭わないのだけど、負の財産になってしまう。

また、数十年この畑を無償で管理してきたので、当然管理をするための費用もかかっている。

畑を引き継ぐ代わりに今までの管理費用をいくらか支払ってもらうことはできないでしょうか?というご提案を頂きました。

 

一度検討させてくださいとお返事し、遺言執行者にも相談の上、U様の遺産から管理費用をお支払いすることについて了承を得ることができましたので、管理費用をお支払いをする代わりに畑を引き継いでもらうことで話しがまとまりました。

 

その後、他の相続人にも今までの経緯を説明し、甥っ子さんの1人が畑を引き継ぐことについて全員の了承を得ることができました。

 

なお、手続きとしましては、遺産分割協議書を作成し、相続人全員の印鑑証明書が必要となります。

相続人全員から遺産分割協議書の捺印と印鑑証明書を提出して頂き、先日無事、畑の相続登記も完了しました。

 

私がU様の相続手続きで携わった主な部分は以上です。

 

本日、無事自宅売却の決済も終わり、買主様に引き渡すことができました。

他の手続きについては、想いコーポレーションさんが責任をもってやって頂いていますので、相続手続きはこれでほぼ完了です。

 

お一人様であっても亡くなられた後の手続きは多種にわたり、U様の場合は亡くなられてから半年近くが経とうとしていますので、改めて大変だなと思い知らされました。

 

最後になりますが、私自身、U様とは初めてお会いしてから亡くなるまで、ほぼ1年という短い間でしか関わることができませんでしたが、去年といい、今回といい、併せるとたくさんの記事を書かせて頂きました。

それだけ私にとってもU様との出会いは濃い一年となりました。

 

亡くなられる2週間前にU様と一緒に公証役場に行ったとき、私がU様の車椅子を引いていったのですが、まだU様の体の重さの感触が手に残っています。

 

また、U様は亡くなるまでお住まいだったこのご自宅を特に気に入っていらっしゃっいました。

このご自宅はU様が定年まで働いて貯めたお金や退職金を使って購入されたようでしたので、それなりに思い入れがあるのかもしれませんが、先日遺品整理を行った時にふとベランダに出てみると、ベランダから眺めた景色がとても素敵で、U様がこのご自宅を気に入っていらっしゃった理由が凄くわかったような気がします。

 

今回、U様の終活を一から最後まで携わらせて頂きましたが、私自身も学ぶことが多く、また終活にご興味がある方はもちろん、終活のことを知らない方にも終活の現状を知って頂きたくU様の事例を書かせて頂きました。

 

この記事を書かせて頂くことは、甥っ子さんにも事前に確認を取らせて頂いたのですが、叔父の終活を皆さんに伝えてくださいと快諾してくださり、相続人の方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。

 

U様の事例は今回で最後となりますが、次回以降も引き続き他の方の事例をお話しさせて頂ければと考えていますので、ご興味があれば読んで頂けると嬉しいです。

 

 

 

みなさん、こんにちは!

 

司法書士の落合です。

 

本日は、U様の事例の3回目です。

(前回までの内容を見たい方はこちらをクリックしてください↓)

https://ameblo.jp/jnext-shihoushoshi/entry-12591248741.html

https://ameblo.jp/jnext-shihoushoshi/entry-12598743381.html

 

今回は、不動産の手続きを中心にお話しさせて頂きます。

U様は都内にご自身名義のマンションを所有されていましたが、遺言書ですべての遺産を日本赤十字社に寄付することを望まれていました。

しかし、遺産が不動産の場合、日本赤十字社側もそのまま受け取ることなどはしないため、不動産であれば売却し、現金化した上で寄付する必要があります。

 

ここで問題となるのが、U様のように身寄りがない方の場合、誰が不動産の売却手続を行うのかということになりますが、前回、お話しをさせて頂きました遺言執行者が遺言書で定められていれば、遺言執行者が行うことになります。

 

なお、遺言執行者が定めれていたとしても、遺言書の書き方には注意が必要です。

 

というのも、遺言執行者が不動産を売却した上で特定の団体に寄付する場合、流れとしましては、遺言執行者が不動産を購入してくれる買主を見つけ(実際は不動産業者にお頼みしますが)、買主が見つかれば、売却し現金化した上で寄付しますので、不動産登記簿の流れもU様名義から直接買主名義に移るものと思われますが、登記手続き上は違います。

 

今回で言えば、U様には法定相続人が5人いますので、一旦法定相続人全員の共有名義に相続登記をした上で、相続人名義から買主名義への所有権移転登記を行う必要があります。

したがって、売却手続き自体は遺言執行者が行ったとしても、相続人から買主への所有権移転登記を行う場合、登記手続き上は、相続人が登記義務者となるため、相続人全員と買主で登記申請を行うことが原則必要となり、相続人全員の印鑑証明書等をご準備して頂くなどの対応も必要となります。

 

U様の場合、幸い相続人全員が協力的であったため、お願いすれば印鑑証明書等のご準備もして頂けたかもしれませんが、相続人によっては自分には一銭も遺産が入らず、登記にだけは協力してくれというのは虫がいい話しでもありますので、ご協力を頂けない可能性も考えられますし、そもそも相続人の一部の方と連絡が取れないなどの事情で、せっかく買主が見つかっても買主名義の所有権移転登記を行うこと自体難しくなってくることも十分考えられます。

 

そこで、遺言書の書き方を清算型遺贈といって、「遺言者が有する全ての財産を処分又は換価し、その代金から遺言者の債務及び処分、換価のために必要な費用等を控除した残金を、〇〇に遺贈する」等といった文言にすることによって、遺言執行者が法定相続人に代わって、買主への所有権移転登記を行うことができます。(清算型遺贈の記載方法につきましては、専門家にご相談ください)

 

U様の遺言も清算型遺贈にしておりますので、遺言執行者が登記手続まで相続人に代わって行うことができますので、相続人のご協力を頂かずに手続きを進めることができます。

 

幸い、売却にあたってはお頼みした不動産業者さんが買主を見つけてくれたため、今月末に買主に物件を引き渡すことで段取りが進んでおります。

 

ここで余談となりますが、年が明けた1月の上旬、U様の自宅の遺品整理を行うということで、想いコーポレーションさんの担当者と一緒に遺品整理の現場に立ち会わせて頂きました。

U様のご自宅には生前も何度も伺っていましたので、本格的なカメラが数台置いてあるのを見つけ、趣味の一つが風景写真を撮ることだと聞き、撮られた写真を見せて頂く機会もありました。

なので、カメラが数台あることは知っていましたが、遺品整理をしたところ、部屋の中から押し入れの至るところに古いカメラやデジカメなど様々なカメラが何台も置いてあり、全部で15台くらいあったので驚きました。

 

また、以前見せて頂いた写真以外にもたくさんの写真が保管されており、中にはU様の若かりし頃の写真もあったので、担当者の方とU様にもこんな時代があったのですねなどとU様を懐かしむ時間がありました。

 

自宅の売却手続き自体は、まだ完全には終わっていませんが、順調に進んでいる一方で、私どもで把握しているU様の不動産はご自宅だけだと聞いていたので、自宅の処分さえできれば手続きもだいぶ終わるものだと思っていたところ、別にあることが判明します。

 

前回、相続人に遺言執行者就任通知を送った時に2人の甥っ子さんから連絡があったことを書かせて頂きました。

そのうちの1人の甥っ子さんがU様の家系を引き継いでおり、その方から教えて頂いたのですが、U様のお父様が亡くなった時にU様が相続した畑がありますよとご連絡を頂きました。

 

詳細な地番を教えて頂き、こちらで登記簿を調べてみたところ、確かに50年前くらいに相続したU様名義の畑がありました。

 

その甥っ子さんの話しでは、だいぶ昔にU様からその畑の管理を任せるからといったやり取りはあったものの、U様が消息不明となってしまい、消息不明後も周りの畑に悪影響を与えてしまうことから、甥っ子さんが今までその畑を整備したり、雑草処分などを行ってきたということでした。

念のため、グーグルの航空写真でも確認したところ、確かにU様名義の畑と思われる部分はきれいに整備されていました。

 

U様自身も50年前に相続した畑だったため、その存在を忘れていたのかもしれませんが、私自身も畑の存在は初耳だったため、その話しを聞いた当初は正直困りました。

 

というのも、遺言書上は不動産を売却して寄付するとなっているものの、そもそもこの畑を買ってくれる方が見つかるのか?

仮に見つかったとしても、畑の場合、名義を変えるためには農地法の許可が必要となり、農家以外の方が買主の場合、許可を取ることが難しいと言われているからです。

 

本日はここまでとさせて頂きますが、次回は残された畑の手続きをどのように対応したのかについて話しをさせて頂きます。

 

 

 

 

みなさん、こんにちは!

 

司法書士の落合です。

 

本日は、前回お話しをさせて頂きましたU様の事例の2回目になります。

(1回目を見たい方はこちらをクリックしてください↓)

https://ameblo.jp/jnext-shihoushoshi/entry-12591248741.html

 

今回は、U様が生前に残された遺言の手続きを中心にお話しをさせて頂きます。

 

U様は、法定相続人にあたるご兄弟や甥がいらっしゃるようですが、自身の残った遺産については日本赤十字社にすべて寄付することを望まれておりましたので、遺言書の内容もその通り記載をしております。

 

では、実際に日本赤十字社に寄付するためには、誰かがその手続きを行う必要がありますが、その手続きを行う人を遺言書で予め定めておくこともできます。

その人を「遺言執行者」といい、遺言執行者を予め定めておくことにより、遺言執行者が遺言の内容を実現するために必要となる預貯金の解約・払戻し、不動産の登記手続などを行うことができます。

なお、遺言執行者を定めておかない場合には、法定相続人にあたる方が全員でそれらの遺言の手続きを行う必要がありますので、相続人全員の意見が合わない場合、相続手続が進まないこともありますので、通常専門家が遺言書作成に携わる場合、遺言執行者を定めておくことをお勧めしております。

 

U様の場合、生前にサポートをされていた想いコーポレーション株式会社さんが遺言執行者として定められています。

(遺言執行者は相続人や士業などの個人はもちろん、法人でもなることは可能です)

 

したがって、想いコーポレーションさんが遺言執行の手続きを行うことになりますが、今回私自身の役目としては相続調査や不動産の相続登記など専門性が高い手続きについて、想いコーポレーションさんから委任を受けてサポートする形で携わっています。

 

まず、法律上、遺言執行者就任通知を法定相続人全員に通知する必要があるため、U様の相続関係を把握する必要があります。

 

戸籍調査からスタートする形になりますが、U様の場合、生涯独身だったため、配偶者や子にあたる方がいなく、ご両親もすでに他界していることから、ご兄弟にあたる方が法定相続人になります。

さらに、調査を進めていくと、すでに亡くなっているご兄弟もいらっしゃいましたので、そのご兄弟に子供がいれば、その方が法定相続人になります。

さらにその戸籍を追っていく必要があることから、相続調査だけで1か月半程度かかってしまいました。

 

相続調査の結果、U様の弟にあたる方が1名、甥が4名の5名の方が法定相続人であることが判明しました。

 

相続調査終了後、早速法定相続人全員に対し、U様がお亡くなりになった旨や遺言書の内容等についても併せて記載した遺言執行者就任通知を送りました。

 

通知を送付してから数日後、甥っ子さんの2人からご連絡を頂きました。

お2人とも叔父であるU様と突然連絡が取れなくなって、数十年が経っていたこともあり、突然の通知に驚かれていたようでしたが、U様の安否についてとてもご心配をされていたようでした。

 

私自身、U様の生前に親族のことをお聞きした時があったのですが、U様自身があまり親族のことを話したがらなかったため、親族とはあまりいい関係ではなかったのかななどと勝手に思っておりましたが、甥っ子さんからは、どのような状況で亡くなられたのか、お墓はどこにあるのかといったことなどについても問い合わせがあり、U様のことを本当にご心配されていた様子を感じ取れたので、正直意外な反応であったと記憶しております。

 

また、ご連絡を頂いた甥っ子さんに他の相続人の状況も伺ったところ、連絡を頂いた甥っ子さん同士はそこまで連絡を取り合ってはいないようでしたが、それぞれが他の相続人と繋がっているようでしたので、U様が亡くなられたことによって、兄弟が自分1人になってしまったなどと弟様が寂しがっていたと話されていたことや、遺産を寄付するというU様のご遺志は理解しましたとのご回答を頂きました。

 

さらに、U様自身からはあまり親族のことを聞くことができなかったので、甥っ子さんの1人にどういう叔父さんでしたかと聞いてみたところ、交流があった時は甥っ子さんの家(U様のお姉さん家族の家です)にもよく遊びに来ていたらしいのですが、突然来なくなって、それ以来連絡が取れなくなってしまったとのことでした。

甥っ子さんもおっしゃっていましたが、U様には気難しいところがあったため、もしかしたら、ご兄弟と何かあった時に一方的に自分から姿を消してしまったのかなといったお話しもお聞きすることができました。

 

今回、相続人の方々と直接お話しをさせて頂き、U様の違う一面を見ることができましたが、相続人の方の反応は予想以上にU様に対して好意的であったため、自分から姿を消す前にU様の方からももっとご兄弟に歩み寄れなかったのかなという思いもある一方、今こうやって私自身もU様の手続きに携わらせて頂き、色々と学ばせてもらうことが多々あり、すごく複雑な感情でもありました。

 

本日はここまでとさせて頂きます。

次回は、不動産の相続手続について話しをさせて頂きます。

ここでも予想外の出来事がありました。

 

 

 

 

みなさん、こんにちは!

 

司法書士の落合です。

 

本日は、U様の事例についてお話しをさせて頂きます。

 

U様については、去年の8月に数回に分けて公正証書遺言を作成した経緯について記事を書かせて頂きましたが、昨年の12月中旬にU様が急逝されました。

 

原因は急性心不全だったようですが、U様がお亡くなりになる2週間前に任意後見契約公正証書作成のため、一緒に公証役場に行ってきたばかりだっため、その知らせを初めて聞いた時は大変驚きました。

 

2週間前にお会いした時は、足に不自由があり、歩くことがだいぶ大変そうであったため、車椅子で移動するなりの対応は必要でしたが、表情はお元気そうでしたので、私も別れ際に「まだまだ長生きしてくださいね」と声を掛けた記憶があります。

そんな矢先の出来事でしたので、最初は信じられませんでした。

 

U様は、生涯独身で親族とも疎遠となっており、都内にあるご自身のマンションに一人暮らしをされているいわゆるお一人様です。

 

亡くなっていることが発見された経緯というのも、毎日頼んでいた宅配サービスのお弁当を受け取らない日が数日続いたため、その宅配サービスからご連絡を受けたことがきっかけでした。

連絡を受けたU様のサポートをしている終活協議会の担当の方が急いでご自宅に伺ったところ、家の鍵はかかっていたため、中には入れず、玄関のブザーを押したり、ドアをたたくなどをしたものの反応がなく、そこで警察や救急に連絡をされたということです。

警察の到着後、たまたまU様の隣の家が改修工事をしていたこともあり、救急の方が隣の家からU様のベランダに回り、家の中で倒れているU様を発見されたということです。

 

救急の方の話しでは、家の中の洋服などが散乱しており、亡くなる前にだいぶ苦しまれたのではないかということでしたので、もしかしたらご自身で救急などに連絡ができる状態でもなかったのかもしれません。

 

ご遺体は、その後検死のため、警察が一度引き取り、私にもその日のうちに亡くなった旨のご連絡を頂きました。

 

次の日の朝、終活協議会の担当の方から電話があり、U様の場合、身寄りがないため、遺体の引き取り先をどうすればよいか警察の方が困っているという相談でした。

U様は、生前に死後事務委任契約を終活協議会と交わしておりましたので、終活協議会が責任をもって、亡くなった後の手続を行う必要がありますが、今回担当された警察の方が身寄りがないケースが初めてだったようで、言われるがままにご遺体を渡してしまってよいのか迷っているようでした。

 

担当の方からも終活の手続について警察に説明はされていたようですが、警察の方も終活についての知識がほとんどなかったこともあり、警察から私に終活について聞きたいという電話があるといった話しもありましたが、警察から電話がかかってきた時には、その担当の刑事も自分なりに終活を勉強されたみたいで、そのまま終活についてお答えをしたところ、納得して頂き、終活協議会が無事ご遺体を引き取ることができたようです。

 

その時に終活自体、まだまだ行政の面でも浸透しておらず、もっと終活を広めるための努力が必要であるなと思った記憶があります。

 

その後、U様のご遺体は終活協議会の担当者が責任をもって火葬しました。

火葬を行う際に私も立ち会いをしたかったのですが、あいにく終活セミナーの講師の予定が入っていたため残念ながら立ち会えなかったのが心残りです。

でも、その終活セミナーではU様のお話しをさせて頂き、ご参加頂いた方にU様の件をきっかけに終活についてもっと考えて頂く機会になったのではないかと考えています。

 

火葬後、ご遺骨につきましては、U様が海洋散骨をご希望されていたため、4月に海洋散骨をされたということで聞いております。

 

本日はここまでとさせて頂きます。

今回は亡くなった当時の出来事を記憶のままにお話しをさせて頂きましたが、もちろん亡くなった後の手続も多々発生します。

U様は遺言書を残されておりましたので、遺言書の内容を実現する必要があります。

次回はその話しをさせて頂ければと考えています。

 

 

 

 

こんにちは!

JNEXT司法書士事務所、補助者のやまもとです。

 

本日は前回に引き続き、基本的人権の続きについてお話します。

 

前回の記事では、基本的人権はどこまで保障してくれるのかについてお話しました。

 

個人まで?それとも法人も含まれるのか?

答えは、規制の違いこそあれど法人にも適用されるという事でした。

 

 

 

では次に、外国人に対してはどうでしょう?

 

日本の憲法なんだから、基本的人権が保障されるのは日本人だけ!となるでしょうか?

日本国民だけが人権の保障がされるのでしょうか?

また、外国人に人権の保障が認められるとしたら、どれだけの範囲が認められるでしょうか。

 

 

有名な判例として、マクリーン事件を挙げて説明します。

 

 

マクリーン事件(最大判昭53.10.4)

 

日本で英語教師をしていたロナルド・マクリーンさんが、在留期間更新の申請をしたところ、

 

在留期間中に、日米安保条約反対等のデモ参加や無届での転職をした事を理由に、

 

法務大臣が更新を不許可処分とした。

 

この処分を不服としたマクリーンさんが、不許可処分の取消を求めて訴えを起こした。

 

 

この裁判では、外国人の人権享有主体性の問題や、政治活動の自由など多くの論点について述べられましたが、

 

結論として、マクリーンさんの在留更新の不許可は憲法違反ではないとされました。

 

・憲法21条1項の政治活動の自由は?

 

・憲法22条1項の居住・移転の自由は?

 

・そもそもマクリーンさんは永住資格を持つ人ではなく、一時滞在中である

 

これらの論点を踏まえ、裁判では

 

政治的活動の自由は権利として認めるが、在留許可更新の判断材料とされることは問題ない。

 

と結論づけたわけですね。

 

 

外国人の人権享有主体性は、日本国民のみでなく、在留する外国人に対しても及びます。

 

人権享有主体性・・・基本的人権が保障される主体のこと。

 

ただし、外国人の地位にかんがみて、これを認めることができないと解されることは除かれます。

つまり、「政治活動はできるけど、政治活動をしたら、在留期間更新の審査に支障がでるかもしれないというわけです。」

 

この判断に関しては、政治活動の自由なんて形式的なものじゃないかという批判もあります。

 

 


 

外国人に及ぶ基本的人権の保障は、他にどのようなものがあるでしょうか?

以下の権利を挙げて、個別に説明しますね。

 

1.幸福追求権

外国人には、幸福追求権が保障されます。

これは、指紋押捺制度を強制されない自由というものが判例で認められ、(最判平7.12.15)

その判断として、憲法13条の幸福追求権が保障されるという判断に基づいています。

 

2.参政権

日本における外国人の参政権は保障されません。

国政レベルの選挙・被選挙権が外国人に付与されることは認められていません。

 

3.選挙権

地方レベルの参政権についても保障されません。

保障はされませんが、地方議会の選挙に付与する事自体は憲法違反ではないという判例があります。(最判平7.2.28)

 

4.公務就任権

外国人が公権力行使等地方公務員に就任することは、保障されません。

ただし、非権力的職務は許されるとされています。

 

5.出国、入国、再入国の自由

憲法22条の居住・移転に関する定めでは、

外国人が日本に入国することについては、何も定められていません。(政府ポータルサイトの22条を参照)

ただし、出国の自由については、22条2項で定めがあり、外国人にも保障されます。

 

逆に、外国人の入国・再入国の自由については保障されていません。

入国の許否は、国の自由裁量により決定し得るとされ、許可する義務はないとされています。

再入国についても同様です。

 

6.生存権

国の生存権の保障義務を例にあげると、

生活保護や障害福祉年金の受給については、外国人の請求が却下されることについては、憲法違反とはされないという判例があります。

※ただし、永住・定住など一定の資格を満たした外国人であれば受給できます。

 

 

以上のことをふまえると、日本人と外国人の保障される基本的人権の違いについては、次のようにまとめられます。

 

精神的自由経済的自由権などは外国人であっても保障されます。

ただし、参政権や国務請求権などの国民主権に係るものについては、外国人には保障されません

くわえて、入国・再入国の自由は、国の裁量により、憲法では保障されません

 

 


 

JNEXT司法書士事務所では、相続登記のほか、会社設立や不動産登記など、多岐にわたりお客様のサポートをしております。

相談料は無料でございますので、是非お気軽にご相談ください。

 

JNEXT司法書士事務所

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こんにちは!

JNEXT司法書士事務所、補助者のやまもとです。

 

本日は憲法における「基本的人権」についてお話します!

 

 

憲法第3章では、国民の権利、人権、義務について規定しています。

 

第3章は、人権カタログとも呼ばれ、第10条~第40条までの31か条から構成されています。

 

条文はこちら(政府ポータルサイト)

 

第3章では、主に憲法上の権利と自由について多くの規定があり、それを「基本的人権」といいます。

 

 

憲法では、すべての国民は一人一人幸せであるべきであり、

 

一人一人が国家に侵害されない自由で平等な権利を持つべきであるとしています。

 

そして、国家からの自由が保障されるだけでなく、

 

貧富の差で生き方が決まってしまうような、不平等なことが起こらないように「社会権」を定めています。

 

国に縛られないだけでなく、時の権力者に縛られるようなことは絶対に有り得ない、というのが憲法の性格なんですね。

 

 

では、基本的人権は具体的にどのような構成がされているのでしょうか?

 

 

基本的人権は大きく「義務」と「権利」に分かれ、

 

義務は、国民の三大義務といわれる「納税の義務」「勤労の義務」「教育を受けさせる義務」があります。第3章<12条><26条2項><27条><30条>

 

権利は、自由権と社会権を中心に規定されているほかに、

 

包括的基本権、受益権(国務請求権)、参政権があります。

 

 

このように基本的人権は多種の保障がありますが、その保障の範囲はどこまであるのでしょうか?

 

日本国民なのか?個人だけなのか?それとも組織にも保障されるのだろうか?

 

気になりますよね。

 

 

次に、保障の範囲についてお話します。

 

 

11条では憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる と規定していますが、

 

この保障の範囲は、内国の法人にも適用されます。

 

法人は自然人が集まってできていますので、法律上は「人」として扱われます。

※人のことを法律では自然人といいます

 

法人にも保障される人権としては、「経済的自由」「精神的自由」」「国家賠償請求権」「刑事手続上の権利」などが認められています。

 

ただし、法人に自然人と同じ自由を与えてしまうと、権力が暴走してしまう恐れがありますので、

自然人より厳しい規制が敷かれています。

 

 

→part2に続きます

 

 

こんにちは!

JNEXT司法書士事務所、補助者のやまもとです。

 

本日は、日本国憲法における「天皇」についてお話します!

 

 

まず、現在の天皇は「国の象徴」であることは誰もが一度は聞いたことがあるかと思います。

 

かつて、明治憲法では天皇は象徴である他に「元首」とされていました。

 

象徴以外にも、国政を統治する権限を持っていたんですね。

 

現在の憲法では、天皇はあくまで象徴となっています。

 

 

では、その天皇は普段どのような事をするのでしょうか?

 

 

天皇は国事行為をおこない、内閣が国事行為に対して助言と承認を行う

 

 

この一文を一度は耳にしたことはあるかと思います。

 

 

国事行為とは、憲法で定められた儀礼的・名目的な行為を指します。

 

たとえば、内閣総理大臣の任命や衆議院の解散、こちらは国事行為です。

 

去年皇居でおこなわれた「即位礼正殿の儀」も国事行為の一つですね。

 

また、国事行為については、内閣の助言と承認の上でおこなわれるため、天皇が責任を負うことはありません。

 

国事行為一覧を以下に書いておきますね。

 

1 天皇は,日本国憲法の定める国事行為のみを行い,国政に関する権能を有しない(憲法第4条第1項)。

 

2 天皇の国事行為(憲法第6条・第7条・第4条第2項)

(1)国会の指名に基づいて,内閣総理大臣を任命すること。

(2)内閣の指名に基づいて,最高裁判所の長たる裁判官を任命すること。

(3)憲法改正,法律,政令及び条約を公布すること。

(4)国会を召集すること。

(5)衆議院を解散すること。

(6)国会議員の総選挙の施行を公示すること。

(7)国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

(8)大赦,特赦,減刑,刑の執行の免除及び復権を認証すること。

(9)栄典を授与すること。

(10)批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

(11)外国の大使及び公使を接受すること。

(12)儀式を行うこと。

(13)国事行為を委任すること。

 

3 天皇の国事行為には,内閣の助言と承認を必要とし,内閣が,その責任を負う(憲法第3条)。

 

引用:宮内庁ホームページ

 

 

 

次に、天皇家の財産である「皇室財産」について説明します。

 

一般的に財産というと、個人が持っている財産を思い浮かべるかと思います。

 

私達一般市民は、財産を私的に所有しています(私有財産)。

私的に所有しているので、個人間で受け取ったり譲ったりすることも個人の自由です。

ところが、皇室には私有財産がありません。

 

私有財産がない代わりに、皇室財産があります。

 

「皇室財産」は、私有財産のように自由に動かせるものではなく、以下のように憲法で定められています。

 

 

第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

 

第八十八条 すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。

 

 

皇室財産を動かすためには、国会の議決を経る必要があります。

 

※令和元年の即位で、皇室で財産を授受された時も国会の議決を経ています。

 

 

また、上で書かれている「皇室の費用」ですが、具体的には以下の3種類があります。

 

  • 内廷費・・・天皇及び内廷皇族の日常の費用。私費。食費や被服費、交際費や人件費が該当します。毎年3億2400万円とされています。
  • 宮廷費・・・公務に使う経費、公金
  • 皇族費・・・皇族としての品位保持のために支出されるもの。

 

こちらも、全て予算計上された上で国会の議決を経ています。

 

 


 

天皇や皇族の納税義務については考えられたことはあるでしょうか?

 

特に、私達の専門分野である相続の面から考えると、皇室の相続税については気になる所ですが・・・・・

 

結論から言うと、皇室も相続税を納めています。

 

実際に、昭和天皇が亡くなられ、約20億円もの遺産が皇后と上皇陛下(平成天皇)へ相続された際、上皇陛下は4億2,800万円もの相続税を納税されたそうです。

 

皇族も私達国民と同じく、相続税の納税義務があるという事ですね。

 

ただし、三種の神器などの宝物については『由緒ある物』として、非課税扱いだそうです。

 

このあたりは、流石皇族ですね!

 


 

JNEXT司法書士事務所では、相続登記のほか、会社設立や不動産登記など、多岐にわたりお客様のサポートをしております。

相談料は無料でございますので、是非お気軽にご相談ください。

 

JNEXT司法書士事務所

司法書士 落合 康人(おちあい やすひと) 

 

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