終活業務日誌~U様のケース② | JNEXT司法書士事務所のブログ~終活業務日誌~池袋 相続・遺言書・認知症対策

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池袋のJNEXT司法書士事務所と申します。
相続といえば日本一と言われる様、日々精進してまいります。
また、終活に関する記事についても掲載していき、見てくださった方の参考になりますと幸いです。

みなさん、こんにちは!

 

司法書士の落合です。

 

本日は、前回お話しをさせて頂きましたU様の事例の2回目になります。

(1回目を見たい方はこちらをクリックしてください↓)

https://ameblo.jp/jnext-shihoushoshi/entry-12591248741.html

 

今回は、U様が生前に残された遺言の手続きを中心にお話しをさせて頂きます。

 

U様は、法定相続人にあたるご兄弟や甥がいらっしゃるようですが、自身の残った遺産については日本赤十字社にすべて寄付することを望まれておりましたので、遺言書の内容もその通り記載をしております。

 

では、実際に日本赤十字社に寄付するためには、誰かがその手続きを行う必要がありますが、その手続きを行う人を遺言書で予め定めておくこともできます。

その人を「遺言執行者」といい、遺言執行者を予め定めておくことにより、遺言執行者が遺言の内容を実現するために必要となる預貯金の解約・払戻し、不動産の登記手続などを行うことができます。

なお、遺言執行者を定めておかない場合には、法定相続人にあたる方が全員でそれらの遺言の手続きを行う必要がありますので、相続人全員の意見が合わない場合、相続手続が進まないこともありますので、通常専門家が遺言書作成に携わる場合、遺言執行者を定めておくことをお勧めしております。

 

U様の場合、生前にサポートをされていた想いコーポレーション株式会社さんが遺言執行者として定められています。

(遺言執行者は相続人や士業などの個人はもちろん、法人でもなることは可能です)

 

したがって、想いコーポレーションさんが遺言執行の手続きを行うことになりますが、今回私自身の役目としては相続調査や不動産の相続登記など専門性が高い手続きについて、想いコーポレーションさんから委任を受けてサポートする形で携わっています。

 

まず、法律上、遺言執行者就任通知を法定相続人全員に通知する必要があるため、U様の相続関係を把握する必要があります。

 

戸籍調査からスタートする形になりますが、U様の場合、生涯独身だったため、配偶者や子にあたる方がいなく、ご両親もすでに他界していることから、ご兄弟にあたる方が法定相続人になります。

さらに、調査を進めていくと、すでに亡くなっているご兄弟もいらっしゃいましたので、そのご兄弟に子供がいれば、その方が法定相続人になります。

さらにその戸籍を追っていく必要があることから、相続調査だけで1か月半程度かかってしまいました。

 

相続調査の結果、U様の弟にあたる方が1名、甥が4名の5名の方が法定相続人であることが判明しました。

 

相続調査終了後、早速法定相続人全員に対し、U様がお亡くなりになった旨や遺言書の内容等についても併せて記載した遺言執行者就任通知を送りました。

 

通知を送付してから数日後、甥っ子さんの2人からご連絡を頂きました。

お2人とも叔父であるU様と突然連絡が取れなくなって、数十年が経っていたこともあり、突然の通知に驚かれていたようでしたが、U様の安否についてとてもご心配をされていたようでした。

 

私自身、U様の生前に親族のことをお聞きした時があったのですが、U様自身があまり親族のことを話したがらなかったため、親族とはあまりいい関係ではなかったのかななどと勝手に思っておりましたが、甥っ子さんからは、どのような状況で亡くなられたのか、お墓はどこにあるのかといったことなどについても問い合わせがあり、U様のことを本当にご心配されていた様子を感じ取れたので、正直意外な反応であったと記憶しております。

 

また、ご連絡を頂いた甥っ子さんに他の相続人の状況も伺ったところ、連絡を頂いた甥っ子さん同士はそこまで連絡を取り合ってはいないようでしたが、それぞれが他の相続人と繋がっているようでしたので、U様が亡くなられたことによって、兄弟が自分1人になってしまったなどと弟様が寂しがっていたと話されていたことや、遺産を寄付するというU様のご遺志は理解しましたとのご回答を頂きました。

 

さらに、U様自身からはあまり親族のことを聞くことができなかったので、甥っ子さんの1人にどういう叔父さんでしたかと聞いてみたところ、交流があった時は甥っ子さんの家(U様のお姉さん家族の家です)にもよく遊びに来ていたらしいのですが、突然来なくなって、それ以来連絡が取れなくなってしまったとのことでした。

甥っ子さんもおっしゃっていましたが、U様には気難しいところがあったため、もしかしたら、ご兄弟と何かあった時に一方的に自分から姿を消してしまったのかなといったお話しもお聞きすることができました。

 

今回、相続人の方々と直接お話しをさせて頂き、U様の違う一面を見ることができましたが、相続人の方の反応は予想以上にU様に対して好意的であったため、自分から姿を消す前にU様の方からももっとご兄弟に歩み寄れなかったのかなという思いもある一方、今こうやって私自身もU様の手続きに携わらせて頂き、色々と学ばせてもらうことが多々あり、すごく複雑な感情でもありました。

 

本日はここまでとさせて頂きます。

次回は、不動産の相続手続について話しをさせて頂きます。

ここでも予想外の出来事がありました。