終活業務日誌~U様のケース④ | JNEXT司法書士事務所のブログ~終活業務日誌~池袋 相続・遺言書・認知症対策

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池袋のJNEXT司法書士事務所と申します。
相続といえば日本一と言われる様、日々精進してまいります。
また、終活に関する記事についても掲載していき、見てくださった方の参考になりますと幸いです。

みなさん、こんにちは!

 

司法書士の落合です。

 

本日は、U様の事例の4回目です。

(前回までの内容を見たい方はこちらをクリックしてください↓)

https://ameblo.jp/jnext-shihoushoshi/entry-12591248741.html

https://ameblo.jp/jnext-shihoushoshi/entry-12598743381.html

https://ameblo.jp/jnext-shihoushoshi/entry-12599386669.html

 

前回は、U様のご自宅の相続手続きについてお話しさせて頂きましたが、こちらが把握していた自宅以外の不動産が見つかり、それがU様の地元にあるお父様から相続を受けた畑でした。

その畑について、どのような相続手続きを行ったかについて今回お話しをさせて頂きます。

 

畑の相続手続きについてどうすればよいのか、色々と考えてみました。

売却手続きを進めてもそもそも売れるのか?

もし、売れても値打ちがあるのか?

値打ちがなければ売却費用だけがかかってしまいますし、仮に売れたとしても農地法の許可という高いハードルがありますので、売却を進めることは現実的に難しいという考えがある一方、かと言って何もしなければ遺言執行者が畑を管理し続けなければならないので放っておくわけにもいきませんし...。

 

結局、私の中で出した答えは、今まで畑の管理をして頂いていた甥っ子さんに引き取ってもらえるのであれば、それが一番いいのではないかという結論に至りました。

 

遺言書では、すべての遺産を寄付するとありますが、相続人全員が合意すれば相続人に特定の遺産を受け取ってもらうことも可能となります。

U様の遺言の趣旨とは違ってしまいますが、この畑についてはU様も存在を忘れていらっしゃったようですし、売却することは困難ですので、今まで管理をして頂いていた甥っ子さんに引き取ってもらえるのであれば、それが一番の選択だと考えました。

 

なお、その甥っ子さんが畑を引き継いでもらえるのであれば、甥っ子さんはU様の相続人ですので、農地法の許可もいらずに甥っ子さんに登記名義を変えることができます。

 

そのためにはその甥っ子さんに了承して頂くことはもちろん、他の相続人全員の同意も必要となります。

 

まず、引き取って頂く予定の甥っ子さんに話しをしてみました。

その甥っ子さんの話しでは、畑を受け取ること自体は厭わないのだけど、負の財産になってしまう。

また、数十年この畑を無償で管理してきたので、当然管理をするための費用もかかっている。

畑を引き継ぐ代わりに今までの管理費用をいくらか支払ってもらうことはできないでしょうか?というご提案を頂きました。

 

一度検討させてくださいとお返事し、遺言執行者にも相談の上、U様の遺産から管理費用をお支払いすることについて了承を得ることができましたので、管理費用をお支払いをする代わりに畑を引き継いでもらうことで話しがまとまりました。

 

その後、他の相続人にも今までの経緯を説明し、甥っ子さんの1人が畑を引き継ぐことについて全員の了承を得ることができました。

 

なお、手続きとしましては、遺産分割協議書を作成し、相続人全員の印鑑証明書が必要となります。

相続人全員から遺産分割協議書の捺印と印鑑証明書を提出して頂き、先日無事、畑の相続登記も完了しました。

 

私がU様の相続手続きで携わった主な部分は以上です。

 

本日、無事自宅売却の決済も終わり、買主様に引き渡すことができました。

他の手続きについては、想いコーポレーションさんが責任をもってやって頂いていますので、相続手続きはこれでほぼ完了です。

 

お一人様であっても亡くなられた後の手続きは多種にわたり、U様の場合は亡くなられてから半年近くが経とうとしていますので、改めて大変だなと思い知らされました。

 

最後になりますが、私自身、U様とは初めてお会いしてから亡くなるまで、ほぼ1年という短い間でしか関わることができませんでしたが、去年といい、今回といい、併せるとたくさんの記事を書かせて頂きました。

それだけ私にとってもU様との出会いは濃い一年となりました。

 

亡くなられる2週間前にU様と一緒に公証役場に行ったとき、私がU様の車椅子を引いていったのですが、まだU様の体の重さの感触が手に残っています。

 

また、U様は亡くなるまでお住まいだったこのご自宅を特に気に入っていらっしゃっいました。

このご自宅はU様が定年まで働いて貯めたお金や退職金を使って購入されたようでしたので、それなりに思い入れがあるのかもしれませんが、先日遺品整理を行った時にふとベランダに出てみると、ベランダから眺めた景色がとても素敵で、U様がこのご自宅を気に入っていらっしゃった理由が凄くわかったような気がします。

 

今回、U様の終活を一から最後まで携わらせて頂きましたが、私自身も学ぶことが多く、また終活にご興味がある方はもちろん、終活のことを知らない方にも終活の現状を知って頂きたくU様の事例を書かせて頂きました。

 

この記事を書かせて頂くことは、甥っ子さんにも事前に確認を取らせて頂いたのですが、叔父の終活を皆さんに伝えてくださいと快諾してくださり、相続人の方々にも感謝の気持ちでいっぱいです。

 

U様の事例は今回で最後となりますが、次回以降も引き続き他の方の事例をお話しさせて頂ければと考えていますので、ご興味があれば読んで頂けると嬉しいです。