3ヶ月 演技ワークショップ、2024年1月〜3月期の受講生募集が開始となりました!!

 

 

早速、たくさんのお申し込みをいただいております。

ありがとうございます!!

 

現在の残席状況は、こちら👇

 

▶︎ベーシッククラス

・火曜:2名

・金曜:2名

▶︎会話クラス

・火曜:2名

・金曜:2名

 

ご検討中の方は、ぜひお早めにお申込みくださいませ!!

 

 

……さて。

先月、ロシアから、スタニスラフスキー・システムの世界的な権威であるセルゲイ・チェルカッスキー氏を日本にお招きし、演技ワークショップを開催しました。

(僕は、運営チームに協力として参加しました)

 

 

 

WS終了後、受講された方々からのご感想をうかがったのですが。

実はそこから、ある大きな問題点が見えてきました。

 

今回は、そのお話に触れてみたいと思います。

 

 

 

  まっ二つに割れた感想

 

受講者のご感想は、大きく二分していました。

 

一つは「とても分かりやすく、素晴らしい内容だった」

もう一つは「よく分からなかった」

 

そこでまず、僕の3ヶ月ワークショップにしばらく通ってくださっている方のお声をご紹介します。

 

この方、まだまだ海外の演技講師のレッスンを受講するのは不安だったようで、当初は見学で申し込まれていたのですが……。

その1日目、レッスン終了とともに、すぐに僕のところに駆け寄ってくださり。

 

「いつものクラス(僕のクラス)でやっているのと同じだったから、すっごく分かりやすかった!!

『これならついていける!』って、自信を持てました!!」

 

と言って、その場で翌日の申込みを<見学>から<参加>に変えてくださったんですね。

 

つまり、この方にとっては、チェルカッスキー氏の内容は、決して「よく分からない」ものではなかった。

いつも学んでいる演技術とも統一されていて「すっごく分かりやすかった」わけです。

 

実際、スタッフとしてクラスを見ていた僕も、まったくの同意見。

チェルカッスキー氏が指導する内容は、多彩なエクササイズやワークを取り入れつつもその内容には常に一貫したものがあり、それはとてもシンプルで、めちゃくちゃ分かりやすいなぁと心底感心していたんです。

 

しかし、一方で。

後日、他の受講者からのお声を聞くと、一定数の方が「よく分からなかった」というご感想を抱いていたことを知りました。

この違いは、一体なぜ、どこから生まれてしまったのでしょう??

 

▲ちなみに。

今回のお話をするに当たり、俳優と講師との間には「相性」があることもお伝えしておきますね。

「よく分からなかった」というご感想の中には、単に「講師との相性が悪かった」「自分にとっては講師の教え方が合わなかった」という方もいらっしゃると思うので、その点はご了承ください。


  日本の俳優トレーニングの「遅れ」

 

もちろん僕のクラスでは、スタニスラフスキー・システムをベースに指導を行っているわけですから、それを受講してくださっている方が「分かりやすかった」と思われるのも当然なのでしょう……。

 

ですが。

チェルカッスキー氏のクラスが「よく分からなかった」というご意見をくださった方の中には、演技経験者や他のスタジオで学んでいる方も多数いらっしゃいました。

 

その方々にとって、今回のクラス、一体なにが起こっていたのでしょうか……。

 

ひとつ。

ここでよく言及されるのが、日本の俳優トレーニングの「遅れ」という問題です。

俳優の教育システムが整備されていなかったり、そこにお金が回っていなかったり、芸能界の仕組みに問題があったり……そうした「遅れ」の結果、俳優の育成ができておらず、欧米よりもレベルが低い、ということが度々指摘されます。

 

確かに、これは一理あります。

というより、多くの部分で紛れもない事実でしょう。

 

しかし、一方で。

最近では、日本にも多くの海外の演技講師たちが来日してワークショップを開催したり、それを学んだ国内の講師もどんどん増えていると思います。

また、書籍だけでなく、インターネットでも演技についてのたくさんの情報を手に入れることができます。

あるいは、海外の映画やドラマは普通に日本でも見れますから、欧米人と同じように、彼らのハイレベルな演技には常に触れることもできているわけです。

決して、日本の環境が悪いということではないと思うんですね……。

 

果たして、このような現実を見て。

日本はただ「遅れている」という言葉だけで言い切ってしまって良いものでしょうか。

今回のチェルカッスキー氏のクラスを見ていて、僕の中にはそんな疑問が湧き上がりました。

そして僕は、「この状況を、アクティングコーチとして正しく判断する必要がある」と感じたんですね。

 

▲この疑問、解決するぞ!!

 

  本当に日本は「遅れ」ているのか?

 

ここでちょっと、歴史的な視点からこの問題を考えて見ましょう。

 

さて、皆さん。

実は、ロシアをはじめとした西洋演劇の方が、俳優トレーニングの分野では日本などの東洋演劇よりも遅れている(遅れていた)という歴史的事実があるのをご存知でしょうか?

 

スタニスラフスキーが「システム」によって、俳優トレーニングの方法をまとめ上げたのが、約100年前。

西洋演劇の文化における「組織的な俳優トレーニング」の歴史は、まだまだ非常に浅いんです。

 

では、西洋ではそれまでどうしていたかというと。

各劇団や演劇団体が、それぞれバラバラの方法を「徒弟制度」という形で伝えており、統一された方法や考え方などはありませんでした。

 

一方、東洋の演劇文化では。

たとえば日本では、15世紀にまで遡る能楽や、狂言、浄瑠璃、歌舞伎など、組織的な俳優トレーニングの伝統がありました。

こうした伝統は、南インドのカタカリや中国の京劇など、東洋演劇の文化では古くから存在していたんですね。

 

実は。

100年前の「システム」の開発の裏には、そうした「西洋と東洋の違い」が影響していました。

 

西洋の演劇文化において、組織的な俳優トレーニングが存在しないために、めちゃくちゃざっくり言えば「俳優たちが演技術に伸び悩んでいた」わけです。

そうした現実に直面した西欧の演劇人たちが、ちょうど19世紀から20世紀への変わり目の頃、「こりゃ、なんとかせにゃいかん!!」と考えたわけなんですけれども。

その裏側には、「東洋では、組織的・体系的な俳優トレーニングが存在している」という事実を彼らが知るようになったから、それに触発されたという事情があります。

 

つまり、日本をはじめとした東洋の演劇文化は、西欧の「先輩」であり。

僕らが古来から持っていた演劇文化に刺激を受けて、西欧の演劇人たちが演技の「共通言語」の開発に乗り出し、最終的にスタニスラフスキーが「システム」を作り出したわけです。

 

日本は元々、演劇文化や俳優トレーニングの面では決して「遅れていた」わけではなかったんですね。

 

▲僕のブログではお馴染み、コンスタンチン・スタニスラフスキーさん。

 

  世界標準の演技の「土台」

 

ただし、100年前にスタニスラフスキーが開発した演技術(システム)は、いわゆる「リアリズム演技」と呼ばれるようなものでしたから、日本などの伝統的な東洋演劇シーンでの「様式」的なものとは違います。

つまり、僕らがいつも映画やテレビドラマで見ているような、いわゆる今日の「フツーの演技」ですね。

 

ちなみに日本では。

元々、様式の演技術の伝統が続いていましたが、主に「新劇」と呼ばれる演劇運動の中でスタニスラフスキー・システムなどのリアリズム演劇を輸入したのが、現在の映画やテレビドラマの「フツーの演技」の始まりになっています。

 

そして、先ほどもお伝えした通り。

スタニスラフスキー・システムというのは、リアリズム演劇の実践論として、世界で初めて「(リアリズム演技の)共通言語」としてまとめられたものです。

これが、システムが今日の世界標準の演技の「土台」であるという理由です。

 

ここから、アメリカでさらに発展したり、イギリスの演劇と融合したりして、新たな方法論へと進化していくわけです。

そして、その進化の過程で、さまざまに分岐していくんですね。

 

▲その後、リアリズム演技術はさまざまに進化・発展し、分岐しました。

スタニスラフスキー・システムは、その大元になる「幹」と言えるかもしれません。

 

  いま、僕が目標とするもの…

 

さて、話を現在の日本に戻しましょう。

このブログでも以前書いたように、日本は、システムを土台としたリアリズム演劇だけでなく、旧来の様式的な演劇の影響もあり、その間で俳優たちが混乱を起こす状況が起こっているように感じます。

 

 

そんな中で、リアリズム演技も多種多様に分岐していくわけですが。

日本は、その中核となる方法を持ち合わせていなかったために、新しく海外から入ってくる、ないし国内で提唱されるものがすべて「並列に乱立」されている状態になっていると感じます。

 

単純に言えば。

何がベースで、何がその派生した形で……という整理がついていないので、もう、ワケが分からなくなっている状態なんだと思います。。。

 

今回、チェルカッスキー氏が教えてくださっていた内容は、リアリズム演技の土台となる「システム」の部分だということさえ分かっていれば、その内容はかなりシンプルなものだったと思うんですね。

 

しかし、ひょっとすると。

「よく分からなかった」という受講者の中には、事前からとても多くの情報がアタマの中に「並列に乱立」していて、それでうまくキャッチできなかった方もいらっしゃったのでは……と感じたんです。

 

あまり良い言葉ではないかもしれませんが……つまり、ちょっと「混乱」してしまっているのではないかな、と。

(受講者の方々の演技を批判する意味ではありませんので、そのあたり、ご理解くださいね。念のため……)

 

この混乱状態の中で、結果的に「何をキャッチすべきか」が分からなくなっていたからなんじゃないだろうか。

 

それが、今回いろんな方々のご意見・ご感想を聞いているうちに見えてきた、僕なりの「結論」であり、日本の俳優トレーニングが抱えた大きな「問題」であると感じます。

 

決して「いろんな種類の演技を学んではいけない」と言っているわけではありません。

ぜひ、たくさん学んで、ご自身の演技術の書棚をいっぱいにしてください。

それはとても、豊かなことです。

 

しかし。

その豊かさの一方で、書棚の本を整理しながら一冊一冊を手に入れていかなければ、その書棚は「混乱」したものになってしまいます。

 

そこに、たとえば「演技の歴史」や「演劇論」といった、整理するためのツール(=知識)が必要になると思うのですが、今日の日本では、多くの俳優たちがそうした学びを受けていません。

かつて、俳優トレーニングが今ほど豊かでなかった時代はそれでも良かったかもしれませんが、この豊かな時代では、それを知らないことは「混乱」に向かってしまう。

もう、そういう時代なのです。

 

やがて、こうした混乱は、俳優としての自分自身の能力が低いのではないか? と自己否定に走ったり。

あるいは、他の方法論を頭ごなしに否定したり、攻撃したりするようになる。

他人の演技術をあれこれ非難して、マウントしようとする。

 

事実、SNSの時代には、そうしたことも簡単にできてしまいます。

 

でも、それじゃ何も始まらないんです。

ただでさえ、俳優たちが置かれた社会的地位も低ければ、AIの脅威によって仕事が激減する可能性も叫ばれています。

俳優たちが互いにリスペクトし合いながら、健全で有効な情報交換をし、上昇していかなくては。

そうでなかったら、本当に、日本の俳優の世界は堕ちてゆき、自由な活動も豊かな生活もできなくなってくるんです。

 

この混乱を、鎮めていかなくてはいけない。

 

演技の知識を正しく伝えていきながら、俳優たちの書棚を整理していく。

そうしないと、せっかく学んだことも「よく分からない」ことになってしまうし、使い物にならない。

この混乱状態の中で、多くの俳優たちが、すっごく大変な思いをしているんじゃないかと思うんです……。

 

さぁ。
この問題に立ち向かい、決着させていきましょう。

そうすれば、演技は意外にもシンプルで、分かりやすくて、もっともっと素晴らしいものだと気づいていただけるはずです!!

 

アクティング・コーチとして。

チェルカッスキー氏のWSに協力させていただいて、僕はあらためて、俳優たちの「混乱の解決」という目標に誓いを立てました。

 

 

 

あらためまして、現在、2024年1月〜3月期の「3ヶ月ワークショップ」の募集をしています。

 

こうしたクラスは、とても小さな活動かもしれませんが、今の僕にできることの精一杯をさせていただくつもりです。

日本の俳優たちに巻き起こっている「混乱」を、トレーニングを通して整理し、まとめ上げていくことを一つの目標に、僕もコーチとして全力でがんばります。

ぜひ、演技経験者の方々も、奮ってご参加ください。

 

もし、ご自身の中に「混乱」が生じているのだと少しでも感じるなら……


僕のクラスを、ぜひ強くお勧めさせていただきたいと思います!!

 

詳細は、こちら👇

 

 

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