前回記事でもお知らせした、短期ワークショップ「台本読解塾 vol.4」

スケジュールが決まりました!!

 

今回は、内容を分けて4日間の開催となります。

 

 

①基礎講義(オンライン)

11月19日(土)19:00〜21:00

 

②台本読解1(オンライン)

11月21日(月)19:00〜21:00

 

③台本読解2(オンライン)

11月24日(木)19:00〜21:00

 

④シーンワーク 

11月29日(火)10:30〜17:30

 

(※①〜③:当日ご参加できない方は、アーカイブでの視聴も可能です。)

 

 

1日目は、台本読解だけでなく演技全般の基礎講義。

2日目、3日目に、作品の抜粋シーンを用いて実際に台本を読解するワークを行い。

4日目には、その読解した台本を実際にスタジオで演じてみるという実技に突入します!!

 

1〜3日目は「Zoom」によるオンラインで実施するので、自宅で気楽に受講可能。

 

また、「1日目だけ受けたい」「スタジオには行けないので、3日目まで受講したい」といった、皆さんのご都合や目的に合わせてカリキュラムを選べるようにしようと思っています。

 

募集開始は、11月5日(土)  20時

詳細アップまで、もう少しお待ちくださいね!!

 

 

 

 

 

 

さて。

台本読解の上で犯してしまうミスの中で、特に多いのが、コレ。

 

「あらぬ方向へと想像を広げすぎてしまう…」

 

 

コーチや先生、演出家に「もっと役を想像して」と言われ。

その言葉を鵜呑みにして、どんどん想像を広げていく。

 

例えば「この役は、どんな家庭に生まれ、どんな幼少期を過ごし、どんな食べ物が好きで、どんな友達がいて……」など。

いわゆる "役のプロフィール" の詳細をあれこれ想像する。

 

あるいは。

セリフの裏側に探りを入れ、言葉のウラのウラの、そのまたウラまで考えていく。

 

 

気づけば。

「何を読解して、どこまで想像すればいいの??」

という、底無し沼にハマり込んでいる……。

 

 

そして、こういう時って。

台本の読み方が、「台本を元に、想像の風呂敷を "広げていく"」というような感覚になっているはずです。

 

 

 

でも……

 

 

その想像、ちょっと待ってください!!

 

 

 

もし、今あなたがやっている読解や役作りが、「想像の風呂敷を "広げていく"」という感覚があるのなら、それは誤った方向に舵を切っているかもしれません。

 

実は。

台本読解というのは、「風呂敷を "広げる"」のではなく、「風呂敷を "畳んでいく"」感覚になるのが正解です。

 

 

 

さぁ、これはどうことなのでしょう??

 

 

 

役には必ず、作品を通して貫かれる、たった一本の「行動」があります。

これを「貫通行動」と言います。

 

 

例えば。

「スーパーマリオ・ブラザーズ」というゲームをご存知だと思いますが、このゲームの主人公・マリオの貫通行動は、

「ピーチ姫を救う」ことです。

 

 

 

 

ゲームの中では、マリオは非常にたくさんの行動を実行します。

クリボーを踏んづけたり、キノコをゲットしたり、土管に入ったり。

時には、海の中をスイスイ泳いだり。

実にいろんなことをしますよね。

 

でも、それら一つ一つの行動は、「ピーチ姫を救う」という "貫通行動" の中で行われています。

 

 

つまり。

マリオがやっている行動は、元を辿れば「たった1つ」なんですね。

彼は常に、「ピーチ姫を救うという "1本の道"」の中にいます。

 

 

 

 

 

 

役の貫通行動には、法則があります。

 

 

まず。

貫通行動は、それぞれの役に必ず「1本」ずつ設定されています。

これが「2本、3本」と増えることはありません。

 

「ピーチ姫を救いたいけど、キノコもたくさんゲットしたい」と、2つの貫通行動が存在するのではなく。

「ピーチ姫を救いたい」から、そのために「キノコをたくさんゲットする」という具合に、行動には必ず優先順位があり。

その結果、マリオが絶対に実行したい行動=貫通行動は「ピーチ姫」という1本に絞り込まれます。

 

 

あるいは、マリオが「ピーチ姫も、キノコも大事」というような葛藤の中に置かれ。

苦悩した結果、キノコを捨ててピーチ姫を選ぶ……。

 

そうした場面も、よく見ますよね。

 

迷った挙句、自分の貫通行動を優先する主人公に、観客は心を揺さぶられたりするものです。

 

 

 

▲貫通行動は、必ず「1つ」。

でも、それを惑わす誘惑の魔の手が現れ、主人公は葛藤する……。

 

 

 

また、「貫通行動から道が逸れる」ということも、「貫通行動が途中で変わる」ということもありません。

 

例えば。

マリオが途中で水を飲みすぎて、トイレに行きたくなるとします。

この「トイレに行く」という行動は、一見、ピーチ姫を救うという「一本の道」から逸れている行動に思えるかもしれません。

しかし、この行動すらも、必ず貫通行動の上で行われていると考えます。

 

想像してみてください。

トイレに行く時だけ、貫通行動が途切れているとしたら?

すると、マリオはその間、ピーチ姫のことを忘れ、安心してトイレで用を足すことになるでしょう。

 

しかし、貫通行動の上に行われる「トイレ」の時間だとしたら??

おそらく彼は、用を足している間も、ピーチ姫のことが心に引っかかっていて、ソワソワすることになると思います。

 

このように。

すべての細かな行動が、役の大きな1本の行動の上で行われ、貫通行動が決して途切れないことを「途切れぬ線」といいます。

貫通行動は、決して途切れることはなく、すべての細かな行動にまで作用しているのです。

 

 

 

▲役は、貫通行動を忘れて寄り道することはありません。

もし寄り道をする場面があるとしたら、そこには何らかの「(貫通行動に関係した)理由」があるのです。

 

 

 

また。

マリオの旅の途中、別の素敵なお姫様が現れたとします。

そのお姫様に惚れ込んでしまった結果、マリオが「ピーチ姫の救出、や〜めた!」と貫通行動が途中で変わることはありません。

 

 

実際の人生では。

ずっと、「自分の生きる道は、役者になることだ!」と思っていた人が、他にやりたいことが見つかって別の道を選択するということはよくあることです。

しかし、演技の世界では、そうやって人生が「途中で路線変更する」ということはないのです。

 

 

 

▲役の貫通行動が途中で変わることはありません。

(変わらないから、「貫き通す行動=貫通行動」なわけですから)

もし、物語の中で、役が大きな行動を途中で変えたとしたら……。

例えば、「この会社の社長になる!」と頑張っている役が、途中でその会社を辞めて、物語の後半は別の行動に向かったとしたら。

その人の本当の貫通行動は「この会社の社長になる!」ということではなく、「最初から別のところに貫通行動が眠っていた」と読み解くことができますね。

 

 

 

「役を本当に生きる」というリアリズム演劇において。

この、はっきりした貫通行動の存在が、実人生のリアルとは大きく違う(違って感じる)部分と言えるかもしれません。

 

なぜなら、実人生では。

「自分の一生の貫通行動がたった1本で、しかも決して途切れることはない」とは、なかなか思えないのではないでしょうか。

 

 

どんなに追い求めていた夢でも、途中であきらめてしまったり。

あるいは、人生で貫きたい行動は1本ではなく、2本、3本と複数ある、という人もいるかもしれません。

 

 

これは。

実際の人生というものは非常に長いので、劇に登場する役よりもずっと複雑な道を歩いている、ということなのだと思います。

 

でも、劇の世界というのは、もっとシンプルでなくてはならないのです。

 

たとえ90年間に及ぶ主人公の人生を描くにしても、それが2時間の映画なのであれば、それに収まるように人生をシンプルに見せなくてはいけない。

 

だからこそ、役を演じるためには。

「貫通行動」というたった1本の道をしっかり把握し、役の人生をシンプルに捉えることが大事なのです。

 

 

 

▲でも。

もしかしたら本当は、実人生にもやっぱりたった1本の「貫通行動」があるのかもしれない……。

ひょっとしたら、死ぬ瞬間に誰もが「あ、俺の人生にはたった1本の貫通行動があったんだな」と気づくものなのかもしれませんけど。

いずれにしても、その人生の真っ只中にいる時は、それはあまりにも複雑で、未来を知ることもできないですし。

それに、自分の人生を、俳優が台本を読むように俯瞰して見ることなんてなかなか難しい。

だから、もしも実人生に貫通行動があるとしても、それを生きているうちに見極めるのは至難の技なのでしょう……。

これが、"実人生" と "役を演じること" の違いに繋がっていると、僕は考えています。

 

 

 

しかし。

スーバーマリオのように、すごく単純に「ピーチ姫を救いに行く」という貫通行動がハッキリと描かれていれば良いのですが。

実際は、「貫通行動が台本上にハッキリと描かれていない」という役の方が圧倒的に多いです。

 

マリオで言えば「クリボーを踏んづける、ジャンプする、キノコをゲットして巨大化する」といったことに当たる、表面化した「具体的な行動」がセリフやト書きとして書かれていて、「根底に流れる、たった一つの "貫通行動"」がはっきりと書かれていない……。

主人公でも、そうした役はたくさんありますし。

脇役に至っては、非常に多くの役がそれに当たります。

 

 

もし、貫通行動がはっきりと書かれていなかったら。

俳優は、台本上に書かれた一連の「具体的な行動」を手がかりに、「役が本当にやりたがっている、一本の貫通行動」を炙り出すという "台本読解" の作業が必要になるのです。

 

 

 

これは、すなわち。

台本上に散らばり広がった数々の細かな情報や、役の具体的な行動を、たった一つの大きな行動へと収束させる作業とも言えます。

 

そうやって、「広がった風呂敷(台本上に書かれたセリフやト書きなどの様々な行動)を、小さく畳んでゆく」というのが、"台本読解の極意" ともいえる考え方になるのです。

 

 

 

台本とは。

1つの大きな行動(ピーチ姫を救う)の中で、無数に弾け飛んだ行動の数々(クリボーを踏んづける、ジャンプする、キノコで巨大化する、泳ぐ……)が収録されたもの。

小さな行動の数々が、大きく複雑に広がってしまっている風呂敷です。

 

その広がった風呂敷を、俳優は手渡される。

 

だから、そこから再び、一つの風呂敷へと小さく畳む必要がある。

それが、台本読解の大きな役割なのです。

 

 

そうやって、たった1つのシンプルな行動(貫通行動)へとしっかりまとめ上げられた役は、統一感があって非常に演じやすく、力強く、感情的になり、強い存在感を放ちます。

 

一方で、しっかり畳めていない風呂敷で演技をしようとすると、それぞれの行動にバラつきが生まれ、役の存在感がボヤけてしまいます。

 

 


今回お伝えした「貫通行動の読み解き」は、台本読解の一部分ではありますが。

同時に、役を演じるためにはもっとも重要な作業でもあります。

 

ぜひ、参考にしてみてくださいね!!

 

 

 

 

短期ワークショップ「台本読解塾 vol.4」の開催は、以下の4日間となります。

 

①基礎講義(オンライン)

11月19日(土)19:00〜21:00

②台本読解1(オンライン)

11月21日(月)19:00〜21:00

③台本読解2(オンライン)

11月24日(木)19:00〜21:00

④シーンワーク 

11月29日(火)10:30〜17:30

 

①〜③は、Zoomによるオンライン開催。

④は都内スタジオです。

 

オンラインの開催については、アーカイブもご用意。

また、全日程参加できなくても、①だけや、②③のみの受講でもOKの内容を予定しています。

 

募集開始は、11月5日(土)  20時です。

 

 

 

▶︎クラスの受講生募集については、LINEの公式アカウントでもお知らせいたします。

ぜひ、ご登録くださいね👇

 

▶︎また、Twitter でも関連情報をアップしております。

こちらもフォローお願いします👇

 

 

<人気記事> 

右  名優は、レストランのメニューを読むだけで人を泣かせる!?

右 演技のヒント…渋谷のスクランブル交差点は「空気で」乗り切れ!!

右 台本読解が苦手な理由…役の想像、解釈はNG!? 重要なのは「事実確認」です!!

右 役になりきる必要なんて、ない!?…演技における「リアリティー」の捉え方について。

右 「役になりきる」のは精神的に危険か? 実例から「演技」と「憑依」の境界線について考えてみよう。

 

 
 演技ワークショップ “EQ-LAB”
地球 開催予定/開催中のクラス
▶︎ 短期ワークショップ「台本読解塾 vol.4」

鉛筆 随時受付中!


スマホ LINE公式アカウント

演技のお役立ち情報、ワークショップのお知らせを直接お届け!!

 

 YouTube

▼演技講座を配信中【演技向上チャンネル】

 

▼人気ミュージカル作品を徹底解説【ミュージカル探偵社】