5/3(火)・5(木)に開催予定の、GW特別ベーシック クラス

 

早速、受講生のお申込みをいただいております。

ありがとうございます!!

 

(※定員となりました。ありがとうございました!!)

 

 

今回のクラスは、演技の "基礎の基礎" を1から学んでいただくことで、

▶︎ビギナーの方は、入り口を間違えずに、正しく演技習得をスタートする

▶︎経験者の方は、基礎の見直しや、「今さら聞けない」演技の超基本を押さえられる

……ということを目標にしています。

 

 

結局のところ。

「演技には、相手役とのコミュニケーションが必要だ」

「演技の基本は、相手役をよく『見る・聞く』ことだ」

といくら言ったところで、その本当の理由を知らないと、どうしても基礎の習得がおろそかになってしまいます。

 

あるいは。

「良い演技、自由な演技」

と言っても、そもそも、その意味が分からない。

何を手がかりにすれば良いのか、何を目指せば良いのか、分からない。

"基礎の基礎" からしっかり理解していないと、「結局、自分はどこに向かったらいいの?」と迷子になってしまうんですね。

 

 

そうしたことを、なんとか阻止し。

正しい入り口、そして、ゴールをしっかり見極めていただくこと。

 

それが、今回の僕の使命だと思っています!!

 

 

詳細・お申込みは、こちら👇

 

 

 

基礎を知らないことによる、演技の「迷子」

スタートやゴールの見極めができていないがために起こる、俳優の「思い込み、勘違い」

 

 

今回の記事では、これに関係する、僕が実際に経験した事例をお話しします。

 

 

 

そのお話を始める前に。

まず、こちらの記事の内容を復習しておきましょう👇

 

右 思考ではなく、直感的な閃き。それを、いかに手に入れるか??

右 「信じられる演技」をするには、どうすれば良いのか??

右 「演技のウソ」という怖~いオバケを退治する方法!!

 

 

この記事の中で。

「良い演技」とは、「今、そこにあるもの」を使えているかどうかである、という、一つの答えをお伝えしました。

 

「良い演技」とは、「信じられる演技」のこと。

そして、「今、そこに "本当に" あるもの」を使うことが、「信じられる演技」への道だ、というお話でしたね。

 

 

……これ、当たり前と言えば、当たり前ですよね。

「今、ここには "無いもの"」を、演技だからといって無理やり表現するということは、つまり「ウソ」をやってるということなんですから。

 

「虚構(ウソ)を真実にする」という俳優の仕事そのものの定義が、「ウソ」を演じた段階で、崩れ去ることになる。

だから俳優は、「ウソ=今、ホントはここに "無い" こと」を演じてはいけないのです。

 

それは、物理的な意味でもそうですし。

感情や感覚も同じ。

 

本当は感じてもいないのに、あたかも「感情的なフリ」をする。

これも、ウソですよね。

 

 

だから、まず。

俳優の訓練は、まず真っ先に、「今、ここにあるもの」に、本当にしっかりフォーカスすることから始まる。

 

それが、「(本当に)見る・聞く」という基礎訓練の意味に繋がってくるのです。

 

 

 

▲まずは「本当に見る」訓練。

そこから「信じられる演技」が始まります。

 

 

 

さて。

これを踏まえて、今日の本題のお話。

 

 

 

……それは、数年前。

とある "大劇場ミュージカル" の稽古でのこと。

 

あるシーンで、僕は、フランス革命に参加する群衆の一人を演じていました。

 

 

その日に実施されたのは、このシーンの「ステージング」(立ち位置や、動きを決める稽古)

 

「群衆が、舞台上のA地点からB地点へ、走って移動する」

という場面を作っていく稽古です。

 

 

演出家・振付師は、アメリカ人のチーム。

 

 

さぁ。

それじゃ、稽古を始めよう。

 

まず僕らは、ステージングを担当していたアメリカ人の振付師の指示に従い。

A地点での僕らの立ち位置と、続いて、B地点での立ち位置が決められました。

 

 

その後、振付師が、

「オーケー、それじゃ、A地点からB地点へ、走って移動してみよう!」(※英語で)

と言った、その時。

 

 

複数の日本人キャストから、「待った!」の声がかかったんです。

 

 

 

 

 

その「待った!」をかけた日本人キャスト達は、アメリカ人の振付師に、こんなことを申し出ました。

 

「おいおい、ちょっと待ってくれよ。

A地点(スタート)とB地点(ゴール)の立ち位置は決まったけれど、移動する『動線』が決まってないよ!」

 

すると。

それを言われた振付師は、一瞬キョトンとした後、こんな風に答えたのです。

 

 

「……空気で。」

(※英語で)

 

 

 

▲「空気で」

 

 

 

……つまり。

このアメリカ人の振付師は、

 

「移動する動線なんて決めなくていい。

そこは、周り(の空気)を見て移動すれば問題ないだろう。」

 

という意味のことを伝えたかったのです。

 

 

そして。

それに対し、日本人のキャスト達は、怒り出したんです。

 

「おい!! 動線を決めないで移動したら、危ないだろ!!

オレ達をケガさせる気か!?」

 

日本人キャストたちは、

「誰がどのラインを通過してB地点に行くか、誰が誰の前を横切るか、全部決めてやらなきゃ危ない!!」

と言いたかったのです。

 

▲ケガしたらどうするんだ!!

 

 

 

結局。

 

それを聞いた、アメリカ人の振付師は。

(僕が見る限り)大変呆れた表情を浮かべた後、

 

「オーケー、じゃ、君らで決めてくれ」

(※英語で)

 

と答えました……。

 

 

 

つまり。

 

「動線なんか決めないで、周りを見ながら移動すれば大丈夫だ!」

と主張するアメリカ人の振付師と。

 

「動線を決めなきゃ、お互いにぶつかっちゃうよ!危ないよ!!」

という日本人キャストとの衝突が起こったんですね。

 

 

 

ちなみに、この顛末。

僕は、この先に起こることが想像できたので、あくまでも静観してました……。

 

▲そんな様子を、ちょっと離れて観察していた、わたくし……

 

 

 

この問答の結果。

誰がどこを通るか、誰が誰の前を横切るか、といった「動線」が、綿密に決められました……。

 

 

 

 

さぁ、その結果。

 

 

 

……言わんこっちゃない。笑い泣き

 

 

 

安全に、スムーズに移動ができるように、「動線」を決めたはずが。

かえって、お互いの動きがバッティングを起こし始めたのです。

 

 

誰か一人の動きがちょっと遅れただけで、お互いがぶつかりそうになる。

 

一人が一瞬でも遅れたなら、他の人が前を行けばいいのに、「誰が前を通る、後ろを通る」などと決め事を作ってしまったから、かえって、ガッタンゴットン、ノッキングを起こしてしまうようになってしまったんです。

 

 

そして、後で、

「すみません、ちょっと動き出しが遅れちゃって」

「ちょっと、あそこ、先に行くならさっさと行ってよ。危ないから」

そんなやり取りが、終演後の楽屋で交わされることになる……。

 

 

 

▲決めた通りに動かなかったらダメだろ!

ごめんなさい……。

 

 

 

……はい、その通りです。

アメリカ人の振付師の言うとおり、「動線」を決めない方が、うまく行ったんです。

 

 

彼は、渋谷のスクランブル交差点で、互いが一切ぶつからずに横断歩道を渡り切ることができるのを知っていたんです。

 

 

 

どういうことか。

 

 

つまり。

動線を決めずにやっていれば、常に「周囲に気を配る」ということが自然にできる。

 

ところが、動線という「決め事」を作ってしまったがために、周囲への注意がかえっておろそかになってしまった。

つまり、「今ここにあるもの」への注意力が落ちてしまったんです。

 

 

 

▲フランス革命どころか、この民族大移動が毎日繰り返されても、「空気」で動けばぶつからない。

 

 

 

これ、正直なところ。

僕は個人的に、日本の演劇の、とっても悪いところが露呈した非常に分かりやすいケースだと感じています。

 

 

相手役に注意を向け、相手とのコミュニケーションの中でドラマを起こすことが何より重要視される海外の演技に対し。

 

いまだに日本では、自分で演技を作り上げ、相手がどうあろうと、ただ「自分だけ」で演じてしまう。

 

 

相手役をはじめ、「今、ここにあるもの」にしっかりフォーカスを向けるのではなく、「どう演じよう、どう表現しよう」という自分の演技プランばかりを考えてしまう。

 

 

だから。

相手が違う動きをした時、瞬時に対応ができなくて、ノッキングを起こした。

意識が自分の中だけに向いてしまっていて、一番大事な「共演者」に注意を向けることができなくなってしまっていたんです。

 

 

 

今、ここに "本当に" あるもの。

つまり、今、この瞬間の「空気」にきちんとアンテナを立て、それを感じ取り、従ってさえいれば、毎回安全に、スムーズに、役を生きることができる。

 

アメリカ人の振付師さんの「空気で」という言葉は、そうした「信じられる演技」の論理にしっかり根付いたものだったんです。

 

 

ちなみに。

これは、俳優が扱う「人間」というものの性質をよく分かっているか否か、という問題にも直結していると思います👇

 

関連記事は、こちら👇

 

 

 

……「動線を決めなきゃ、危ない」

それは、演技というものの理解が浅いがゆえの、俳優の「勘違い」

 

 

もし、きちんと演技を理解して、その勘違いや思い込みがなかったなら。

振付師の「空気で」の言葉は、単なる「空気」だけで発した言葉じゃないってことに気づけたはずです。

 

 

 

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6月22日(水)  18:30

6月24日(金)  13:00

6月25日(土)  16:00

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