先日、こんな記事を書きました👇

 

 

 

 

……良い演技って、何??

 

それを、ある歌舞伎役者さんの言葉をお借りしてご説明しましたね。

 

 

「一番良い演技は、『分かるし、信じられる演技』

二番目は、『分からないけど、信じられる演技』

三番目は、『分かるけど、信じられない演技』

そして四番目は、『分かりもしないし、信じられもしない演技』。」

 

 

上位と下位の違いは、その演技や役の存在が「信じられる」かどうか。

 

 

なぜなら。

俳優は、虚構を「真実」として観客に “信じさせる” 仕事だから。

 

 

その役が本当にそこに存在して、まるで本当にそこに生き、本当に会話しているように思わせられるかどうか。

そのキャラクターが本当に心を動かし、本当に人生の選択と決断をしているように感じさせられるかどうか。

 

演技の良し悪し、俳優の仕事の良し悪しは、そこにかかっているのです。

 

 

 

言うまでもなく。

観客がそれを「信じられる」ようにするには、俳優自身がその状況やドラマを「信じ」られなくてはいけません。

 

 

 

▲ゴジラから逃げるには、その状況を「本当に怖い」と感じること。

そうすれば、エキストラの一人一人も「虚構を真実にする俳優」という素晴らしい存在になれるのです。

 

 

 

では、今日の本題。

 

 

どうすれば、「信じられる」演技ができるのか??

どうすれば、俳優は虚構を信じることができるのか??

 

 

 

 

実は。

その答えは、と〜っても簡単なことなんです。

 

 

 

「本当に、“今そこにあるもの” を使う」

 

 

 

答えは、たったこれだけ。

 

 

 

詳しくご説明しますね。

 

 

例えば。

「悲しい」という感情がないのに、悲しい演技をしたら、それは「ウソ」になります。

「怒り」という感情がないのに怒る演技をしたら、その「ウソ」 “クサい演技” として、悪臭を放ちます。

 

 

だから、俳優は。

激しい「悲しみ」「怒り」を表現したい時には、その「激しさ」をウソで上乗せするのではなく。

 

「どうやったら、本当に “激しい” 悲しみや怒りを感じられるか?」に注目し。

それを本当に感じる必要があるのです。

 

 

当然ながら。

俳優自身が「“激しい” 悲しみ、怒り」を本当に感じていれば、それは「信じられる」演技になります。

 

だって、信じられるも、信じられないも。

そもそも「本当に感じている=演じてない」わけですから、ウソはどこにもありません。

 

そこから繰り出される演技は、当然のように、すべて「信じられる」ものになるはずです。

 

 

 

▲映画『ゴッドファーザーPART II』の、アル・パチーノ。

「怖い顔をする」といった、表面的な演技ではなく。

例えポーカーフェイスでも、俳優自身が、心の中で “本当の” 怒りや悲しみを感じている。

だから、その存在は「信じられる」。

そして、彼の心の痛みが、観客にもひしひしと伝わってくるのです……。

 

 

 

 

 

 

……と、ここまでは、わりと皆さんが予想していた解説だったのではないでしょうか??

 

 

本当にそれを感じる。

そうすれば、それは「信じられる」演技になる。

 

当たり前と言えば、当たり前のことですよね。

 

 

 

 

では、ここから。

「信じられる演技」「今ここにあるものを “本当に” 使う」というお話、さらに奥の深いところに突入していきましょう。

 

 

 

僕らの実人生は、「今そこにあるもの」をすべて利用して生きています。

 

目の前のパソコンのキーを、本当に叩き。

スマートフォンを使って、本当に調べ物をする。

 

本当にそこにあるペンを使って、本当にそこにある紙に、本当に文字を書き。

本当に目の前にいる人と、本当に会話をします。

 

 

すべて、今そこに「本当に」あるものを利用しています。

 

 

たとえ、ウソをつく時でも。

今そこには、ウソをつかなくてはいけない理由が “本当に” あり。

“本当に” そこにいる相手に、“本当に” ウソをつきます。

 

だからこそ。

 

「ウソがバレたら、どうしよう?」

「ウソついて、ごめんね」

「なんだか、悪いことをしてる気がする…」

 

そうした衝動や感情が、心の中に “本当に” 湧き上がる。

 

 

そして、一人になった時。

今、その心の中に “本当に” 湧き上がるる罪悪感や後悔に、“本当に” ため息をついたりする。

 

 

 

 

 

 

心は常に、「今そこにあるもの」だけに反応し。

その結果、今その心の中に、「本当に」感情が湧き上がる。

 

 

そのどれもが、その瞬間、その場所に「本当に」存在していて。

行動のすべてが、それに基づいて「本当に」実行されるのです。

 

 

どこにも、ウソの上乗せはなく。

すべてが「真実」の瞬間なのです。

 

 

 

ちなみに。

「過去を思い出して懐かしむ/涙を流す」

「未来を想像してワクワクする/不安になる」

 

そうした、「思い出」「記憶」「想像」。

 

これらは、物理的には「今、ここ」にはないものですけれど。

脳内にはちゃんと ”本当に” 存在していますよね??

 

何かを思い出したり、想像している時には。

本人にはちゃんと、本当に、それが視覚で見えてたり、感じたりして。

 

そして、その「今、本当に見えているもの/感じているもの」に対して、ワクワクしたり、ドキドキしたりしているはずです。

 

 

もちろん、視覚だけとは限りません。

が、いずれにしても、それを「本当に」思い出した時に心は揺れ、忘れている時(=今、頭の中には存在していない時)には、その感情も消えていますよね。

 

 

 

▲記憶や思い出もまた、今そこ(心の中や、脳裏)に “本当に” 存在しています。

 

 

 

信じられる演技。

それはすべて、「今、そこに “本当に” 存在しているもの『だけ』を使う」ことで生まれます。

 

 

それは、物理的なことでだけでなく。

記憶や想像も同じです。

 

台本に「何かを思い出す」というト書きが書いてあるから、とりあえず「思い出してる “風(フリ)” の演技」をする、というのではなく。

 

「本当に思い出す」ことが、信じられる演技には大切であり、必要なことです。

 

 

それが、見ていても信じられる演技になりますし。

そこから、本当の「信じられる “本当の” 感情」が湧いてくるのです……。

 

 

 

 

イギリスの演出家、デヴィッド・ルヴォーは。

演技に悩んでいる俳優に対し、こんなアドバイスをしたそうです。

 

「演技が分からなくなったのなら、それが『リアルかどうか』だけを考えれば良い。」

 

 

 

▲デヴィッド・ルヴォーさん。

数々の有名舞台作品を手がけている、世界的な演出家です。

 

 

 

“リアル” かどうか。

 

 

つまり、“本当” かどうか。

それが、信じられる演技、良い演技に繋がっているのですね。

 

 

 

 

……この、「今そこに “本当に” あるものを使う」というお話。

めちゃくちゃ重要なことなので、引き続き、お伝えしていきたいと思っています!!

 

 

 

 

▲今そこに、本当に「地面」があるから。

だからこそ、その上に立ち、歩くことができます。

地面が「あるフリ」では、その上に立つことも、歩くこともできないのです。

 

 

 

さて。

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