昨日。
レギュラー開催している3ヶ月ワークショップと、9/24(土)・29(木) の短期ワークショップの受講受付が開始となりました。
早速、おかげさまで、今回もたくさんのお申込みをいただいております。
ありがとうございます!!
まず、EQ-LAB がレギュラーで開催している「3ヶ月ワークショップ」。
クラスは、水曜夜間/金曜午後/金曜夜間の3クラスを開催いたしますが、すでに金曜午後と金曜夜間が満席で、キャンセル待ち状態になっております。
→現在、全クラスキャンセル待ちとなっております。申し訳ございません。
(キャンセル待ちの詳細については、直接お問合せください)
3ヶ月ワークショップの詳細・お申込みは、こちら👇
そして、1日限定の短期ワークショップ。
9/24(土) は、声優向けクラス。
9/29(木) は、俳優向けクラス。
どちらもまだお席は若干名の余裕がございます。
皆さまとお会いできるのを、楽しみにしています!!
短期ワークショップの詳細・お申込みは、こちら👇
……さてさて。
上の「短期ワークショップ」で、今回は特に 9/24(土) の「声優向け」クラスのメイン・イベントの一つとして、がっつり触れようと思っていることがあります。
それは、台本読解。
これまでも、本当にたくさんの方から「台本読解ができない……」というお悩みをいただいてきました。
▲う、う〜ん……分からない(汗)
俳優は、アスリートやダンサーと違い、「ミスをしても怪我をしない」と言われています。
(もちろん、舞台から落ちたりしたら怪我しますけども……)
アスリートやダンサーは、入念なウォーミング・アップや適正な身体の使い方をしないと、あっという間に怪我をする。
しかし俳優の場合、セリフと動きの段取りだけ覚えていれば、大きな怪我などすることなく、なんとなく「できてる」感覚になってしまうということです。
でも。
実際、役を演じるのが仕事であるはずの俳優が「台本が読解できない」というのは、「役を掴めていない=演じられない」のと同じこと。
それは、大怪我してるのとおんなじです!!
特に、声優の場合は。
俳優と違って身体の動きがないために、読解ができていないことに余計に気付きづらかったり。
その問題に気づいていても、結局「なんとなく」その場を乗り切ってしまっているケースが多いように感じます……。
そんなわけで、今回の短期ワークショップでは、「声優向け」クラスで台本読解をガッツリ実施することにしました
(なお、「俳優向け」のクラスでは、身体行動やモメント・トゥ・モメントといった「演技の流れ」にフォーカスするため、あまり読解のいらないシンプルな台本を用意しています。)
……でも、実のところ。
声優さんが「台本読解」に無頓着だったり、サボっているとは、僕は決して思っていないんです。
というのも、「台本読解ができない」という声は、俳優よりもむしろ声優の方々から多く聞かれるんですね。
ひとつに、俳優の訓練では「台本読解力」が常に求められるのに対し。
声優の場合、「マイク前に立って、映像に声を "当てる"」ということに訓練時間の多くが割かれるため、台本読解を学ぶ機会が圧倒的に少ないのかもしれません。
でも、多くの声優さんが、専門学校や養成所で「もっと役について想像しなさい」と指導されていることも事実で。
皆さん、多くの時間と労力を使って「役の想像」を本当に頑張っているように感じています。
……ということは、つまり。
それだけ、台本と睨めっこをして「役の想像」をたくさん巡らせているのに、いつまでも「台本読解ができない」と悩み続けるということは、そもそも「その読解のやり方が間違えている」可能性が非常に高い、と言わざるを得ません……。
▲そのトンネルをなかなか抜け出せない、ということは、そもそも「やり方が間違えている」からなのかも……。
……そうなんです。
皆さんがやっている「役の想像」と「台本読解」は、ちょっと違うかもしれない!!
そして、その想像はむしろ、
読解を困難にしているかもしれない!!
台本読解で、まず真っ先にやらなくてはいけないこと。
それは、想像や解釈ではなく「事実確認」です!!
……自分が、「役」という犯人を追う探偵になったつもりで聞いてください。
台本には、いくつもの「事実」が書かれています。
これは、犯人を追い詰めるための「証拠品」です。
これらの証拠品をきちんと揃えないまま、どんどん想像や解釈を巡らせてしまったら……??
探偵が、証拠をしっかり発見しないままに「この犯人はこんな人物で、こんな気持ちで……」と勝手に思いを巡らせてしまったら、決して犯人は捕まらないどころか、犯人のプロファイリングはとんでもない方向へと道を逸れていってしまいますよね。
実際、実に多くの俳優たち、声優たちが。
コーチや先輩、演出家に「もっと役を想像しなさい」と言われた結果、こうした捜査ミスを犯してしまっています!!
▲この足跡の犯人はきっと、こんなことがあって、あんなことがあって……。
その推理、ホントに台本に即していますか??
想像や解釈が一人歩きしていませんか??
台本読解という手順の序盤では。
むしろ、役についての勝手な想像や解釈は禁物です。
まずはとにかく、台本から「事実」を拾い上げること。
その中には、たとえば役が「ウソを喋っている」といった、捜査を撹乱させるようなフェイクの証拠品もあります。
だから、事実を拾い上げたら、それを裏付ける "さらなる証拠" 探しも必要です。
(もちろん、それもちゃんと台本から拾い上げていきます。)
「事実」とは、役の「過去」です。
役は、過去にどこにいて、誰と、何をしていたのか……??
そうした「事実」だけを、まずはしっかり拾い上げること。
そして。
「事実」という言葉には、もう一つの側面があります。
それは、役が台本の中で行う「出来事」。
物語やシーンがスタートした段階では、それは役にとっての「未来」です。
が、時間の経過とともに、劇中で役はその「出来事」を経験していくことになります。
すると、それらの出来事は、役が経験した「過去」……つまり「事実」へと変化します。
これらの「物語(シーン)が始まる前の、過去の事実」と「劇中で経験する事実」とにしっかりと切り分けて把握することが、台本読解にはとても重要な第一歩になります。
▲役は、どんな過去の事実を経験しているのか?
役は、劇中でどんな出来事を経験するのか?
物語の中で「仲間を殺す」という出来事を経験する人物は、そのシーンが終わった時には「仲間を殺した」という事実を持つことになる。
そうしたことの把握・整理が、台本読解にはとても大切です。
さて、ここで注意。
こうした「事実」を拾い上げる際、俳優はどうしても「その時の役の気持ちは?」といった「想像」を巡らせたくなってしまうものです。
しかし、例えば役の「気持ち」といったことは、あくまでも俳優の「想像」であり、「解釈」なんですね。
それは「事実」ではないんです。
「事実」というのは、不動のもの。
動かぬ証拠です。
俳優が巡らせた想像や解釈、役の気持ちを推し量ることや、どういう演技にしようかという選択は、確定した「事実」ではありません。
まず押さえなくてはいけないのは、決して動かない「事実」なのです。
先日の記事。
「海外ドラマの吹き替え」についての内容が、この例に該当しますね。
事実確認が不十分で、役の気持ちや想像、解釈を先行してしまった結果、台本読解が出来ていなかったというケースです。
「主人公はなぜ、落ち着かず、不機嫌な態度を取っているのか?」
(厳密には、「主人公の女優さんは、なぜ、そうした態度で演じているのか?」)
という問いに対し、「一文なしで、翌朝10時にはモーテルを追い出されるため、ホームレスになる」という台本上の事実を見逃してしまい、「夢が叶わなくなると思っているから」「早く結果が知りたいから」といった想像、解釈だけの回答になってしまっていた、というもの。
詳しくは、こちらをぜひご覧ください👇
台本読解の第一歩は。
決して、俳優があれこれと勝手に想像したり、解釈することではありません。
もちろん、ある程度の段階から、想像や解釈が必要になります。
当然ながら、台本にすべてが書かれているわけではありませんから、俳優自身が想像を巡らせ、役の気持ちや行動、演じ方を選択しなくてはなりません。
しかし、いずれにしても。
まず重要なことは、「事実」を台本からしっかりと "読み解いて" ゆく作業です。
だから「読解」なんですね。
▲想像や解釈をする前に、まずは「事実」を拾い上げていくこと。
「台本読解ができない……」と悩んでいる方に、実際に演技をしてもらい、その後に役やシーンについて聞いてみると。
非常に多くの場合、「事実」をきちんと把握しきれておらずに、自分の「想像、解釈」を広げています。
そしてそれは、異常なほど複雑な想像のストーリーであったり、逆に、とても漠然とした抽象的な解釈だったりします。
しかし、「事実」を読み解けるようになると。
それはとってもシンプルで、具体的なものだと気付けます。
そして同時に、誰もが直感的に納得できるものです。
……さてさて。
9/24(土) の「声優クラス」では、今もなお世界中で大人気の戯曲作品『おかしな二人』からワンシーンを抜粋。
一緒に「事実」を読み解いていきます!
(※身体は使わず、朗読劇形式で進めます)
『おかしな二人』は、1965年に初演された、劇作家ニール・サイモンによる作品。
声優の方々は、舞台戯曲にはあまり馴染みがないかもしれませんが、このニール・サイモンという人は、日本を代表する脚本家である三谷幸喜さんがこよなく愛した人物。
その証拠に、三谷幸喜さんが大学時代に旗揚げした劇団「東京サンシャイン・ボーイズ」の名前は、ニール・サイモンの代表作『サンシャイン・ボーイズ』からそのまんま付けたものなんです。
日本を代表する脚本家が敬愛した、世界の劇作家の作品。
だからこそ、その本は本当によく出来ていて、奥深くて……読解の勉強にはもってこいなんですね!!
読解を進めていくうちに、演技にどんどん「中身」が備わっていく感覚。
時に、セリフの言葉の意味自体が「ひっくり返る」という、台本読解の面白さ、重要さ。
表面的な「なんとなく」の演技ではなく、正しく読み解くこと。
台本読解を学んで、大怪我をしない俳優を目指しましょう。
声優で活躍されている方も、声優を志している方も。
いえいえ、声優に限らず、俳優の皆さんも。
ぜひぜひ、クラスにご参加くださいね!!
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