来期(10〜12月)の "EQ-LAB  3ヶ月ワークショップ" の詳細が決まりました!

 

募集は、水曜・夜間金曜・午後金曜・夜間の3クラス。

(※クラスによっては、すぐに定員になってしまう可能性があります。その場合はキャンセル待ちとなります。)

 

午後クラスは、14:00〜17:00

夜間クラスは、18:30〜21:30

 

9/20(火)  20時より募集開始です。

 

詳細は、こちら👇

 

 

その他、今月は "短期ワークショップ" も予定しています。

 

▶︎9/24(土)『声優のための演技クラス』

▶︎9/29(木)『俳優のためのエチュード、サイレント・アクト』

 

詳細は間もなくアップします。

お待ちくださいね!!

 

 

 

 

……さて。

前回記事は「声優の演技」の話題でした👇

 

 

 

最近は、声優さんの演技コーチをさせていただくことが本当に多くなってきました。

 

声優の専門学校や、声優の芸能事務所が運営する養成所のクラスなども担当させていただいているほか。

上述した、僕の演技ワークショップ "EQ-LAB" にも、声優の方々が「リアリズム演技」を学びにいらしてくださるようになったんです。

 

 

こうした、声優さんに教える機会が増えている理由としては、まず、声優を目指す人がめちゃくちゃ多くなったということが考えられますよね。

 

しかし、それだけではなく。

発声や滑舌などは学べても、本格的に演技を学べる場所が少ないというレッスン事情もあるみたいです。

 

 

ちなみに。

こうした状況は、よくミュージカル俳優さんからも耳にします。

「歌やダンスは習えるけれど、演技を習う場所がない」と……。

 

 

お一人でも多くの方のお力になれればと、こちらも鋭意、頑張っておりますm(_ _)m

 

 

さて。

僕が声優さんにも演技法をお伝えするようになった裏には、そうした「声優さん側の事情」も多分にあると思うのですが。

 

実は、僕自身の中にも、

「ぜひ、声優の皆さんに演技をもっと学んでほしい!」

「声優さんたちのために、僕にもお役に立てることがあるのでは!」

と強く感じた出来事があったんですね。

 

 

 

以前、とある声優事務所の養成所で。

こんなストーリーの海外ドラマを題材に、演技のレッスンを行いました。

 

 

……主人公は、10代後半の女の子。

 

彼女の母はアル中で、再婚した義理の父はとんでもない暴力野郎。

経済的にも、貧乏な生活を強いられています。

 

その荒んだ生活から抜け出すために、ある日。

主人公は一人、ハワイへと旅立ちます。

 

なぜなら。

彼女は類いまれなサーフィンの才能を持っていて、ハワイにいる「とある知り合いの男」に頼めば、スポンサーがついてプロサーファーになれる可能性がある。

 

人生の一発逆転をかけて、彼女は、ハワイへの片道切符を手に旅立ちます……。

 

 

 

▲あかん、人生どん底や……。

(※以下、その海外ドラマとは無関係の画像です)

 

 

▲そうだ、ハワイへ行こう!!

 

 

▲だって私、サーフィンの腕前は天才的なのよ!!

ハワイでスポンサーをつけてプロになれば、人生大逆転できる!!

 

 

▲夢のハワイに向け、片道切符でいざ出発〜!!

 

 

 

さて、この後。

主人公はハワイでその「知り合いの男」と合流し、自分をプロのサーファーとして出資してくれるスポンサーへの口利きを頼みます。

 

 

 

▲ねぇ、お願いがあるの……あなたの知り合いのスポンサーに、私に出資してくれるように頼んでくれないかしら?

 

 

 

レッスンでは、このシーンの後の「その『知り合いの男』から、スポンサーからの出資OKかNGかの返事を聞く」場面を演じて頂きました。

 

 

 

この場面では。

残念ながら、スポンサーは彼女への出資を認めず、彼女はその男から「残念だけど、ダメだった……」という返事を聞くことになるわけなんですけれども。

 

 

 

▲出資はできないよ〜!!

 

 

 

このシーン、元の映像を見てみると。

なぜか、主人公の女性は最初からずっと早口でまくし立てています。

 

 

 

待ち合わせをしているカフェに入ってくるなり、

 

「遅れてごめん」

と、すごく焦っているような、苛立ったような表情を浮かべているのです。

 

「いや、いいんだ。座って。」と促す、相手の男。

悪い知らせを持ってきた彼は、ひとまず雑談で場を和ませようとするのですが、

 

「そういうの、いいから。スポンサーは何て?」

と、主人公は終始落ち着かない様子で、彼から結果を聞き出そうとします。

 

 

 

▲(早口で、不機嫌そうに)ねぇ、雑談はいいから、早く結果を教えてくんない??

 

 

 

さて、この場面を受講生たちに演じて頂いたところ。

全員が、元の映像の中で演じている女優さんと同じように「早口で、不機嫌、落ち着かない様子」で演技をしていました。

 

 

もちろん、それはいいんです。

海外ドラマの吹き替えなので、元の映像の演技を踏襲しなくてはなりませんから。

 

 

 

ただ、問題はその先にありました。

 

 

 

「このシーンの主人公は、なぜこんなに早口でまくし立てているのだろう?

なぜ彼女は、終始落ち着かない様子なのだろう?」

 

僕は、受講生の皆さんに、こんな質問を投げかけてみました。

 

 

すると、ほとんどの方が、

「自分の夢が叶わなくなるから」

「早く結果が知りたいから」

といった回答。

 

 

 

「うん、確かにね。

自分の夢が叶わなかったらどうしよう?  という不安はあるでしょう。

もちろん、結果を早く知りたいという気持ちもある。

 

でも……彼女が『はじめから落ち着いていない』理由は、それだけだろうか??」

 

 

 

想像してみてください。

彼女は、自分の才能を信じており、今回の結果も「良い返事」を期待していたはずです。

 

そうでなければ、片道切符だけでハワイになんか来ませんよね?

 

 

それならば。

少なくも、カフェで相手の男性と会ってから返事を聞くまでは、もっと落ち着いている(少なくとも、落ち着こうとしたり、落ち着いているフリをする)か、あるいは、むしろ期待に胸を膨らませた表情をしている可能性だってあります。

 

 

「自分の夢が叶わなくなる」というネガティヴな理由は、その返事を「聞いてから」湧き上がる思いのはず。

だから、"最初から" 焦っている決定的な理由にはなっていないように思うんです。

 

 

 

しかし、確かに映像の中の彼女は、最初から焦っている……。

 

 

 

「ほかに、彼女が『落ち着かない』理由はありますか?

彼女が焦りや苛立ち、恐怖などを感じる『決定的で具体的』な理由って、他にあるでしょうか……??」

 

 

 

結局。

僕を納得させてくれるような「主人公がこのシーンの "最初から" 焦って落ち着かない」理由は、どの受講生からも聞くことができませんでした。

 

 

 

▲なぜ彼女は、このシーンの "最初から" 落ち着かなくて不機嫌なんだろう??

「夢が叶わなくなるかもしれない」「早く結果が知りたい」という気持ちも当然あるだろうけれど、決定的な理由にはなっていない気がするんですよね。

 

 

 

……ところが、この次のシーンを見てみると。

自暴自棄になって酒をあおりながら宿泊先のモーテルに帰ってくる主人公に向かって、モーテルの支配人が、こんなことを伝えています。

 

 

「おい、酔ってるのか?  まったく……。

いいか、チェックアウトは明朝10時だからな。

忘れるなよ!」

 

 

しかも。

酔った主人公は、翌朝寝坊をしてしまい、チェックアウトに間に合いません。

 

そこに訪れたモーテルの支配人は、

 

 

「チェックアウトの時間はとっくに過ぎてるぞ!

もう一日分、支払ってもらおうか。

……(持ち合わせの現金がない彼女に)クレジットカードをよこせ!!」

 

 

 

▲明日の朝10時には出ていってもらうよ。

 

 

 

……いかがでしょう??

ここに「主人公がなぜ結果を焦って、苛立っているか?」の決定的な理由が書かれているのに気がつきましたか??

 

 

 

彼女はすでに、一文なし

そして、宿泊先のモーテルを、翌朝10時には出て行かなくてはならないのです。

 

 

翌朝、10時。

彼女は、この時限爆弾を抱えた状態で、スポンサーからの返事を聞きに来ている。

 

この爆弾が爆発すれば。

いよいよ彼女は、知らない土地でホームレスにならなくてはいけないのです。

 

 

「夢が叶うか、叶わないか」

「結果を早く知りたい」

 

そうした受講生たちの回答は、決して間違いではありません。

でも、それだけでは抽象的すぎて、決定打にも欠けてしまう。

 

 

答えは、この場面の「直後」に語られていたのに。

全員が、その情報を見落としていたわけです。

 

 

▲「しまった、なぜ気づかなかったんだぁ〜!?」

 

 

 

シーンを演じるには、状況が必要です。

「なぜその役は、そういう行動や態度を取るのか?」

この疑問を正当化する、具体的な状況です。

 

ところが、

 

「元の映像の俳優がそう演じているから」

「ト書きにそう演じるように書いてあるから」

 

それだけの理由でシーンを演じてしまう……。

 

 

そうした具体性のない演技、説得力のない演技は、音声や身体表現の段階でも、どこか「物足りない」ものになってゆきます。

 

俳優自身が「なぜそういう態度を取るのか?」「なぜそのセリフを喋るのか?」を理解していない演技は、足場のない建物と同じ。

終始グラグラして、とても心許ないものです。

 

 

当然、状況をきちんと捉えきれていないわけですから、相手への反応や立てる言葉のチョイスなど、演技面にもミスが発生してくる。

 

 

そうしたことはすべて、「悪くはないけど、どこかおかしい……」という違和感となって、ディレクターや観客に届いていて。

その違和感をもとに、ディレクターは「音、カタチ」側からの修正をかけてきているのかもしれません。

 

 

 

▲「う〜ん、なんか物足りない……」「どこかがおかしい……」

ディレクターや視聴者、観客は、俳優の「読解ミス」を直感的な違和感としてキャッチしています。

 

 

 

実人生だって。

腑に落ちている言葉には、説得力があります。

 

誰かの受け売りではなく、自分の心から出た言葉は、真実味があるものです。

 

 

表面的な音やカタチだけではない、言葉の「真実味」というものをもっと大切にしていったら、表現は大きく変わる。

人の心を動かせる、説得力のあるセリフを喋れるはずです。

 

 

 

これから声優として羽ばたいてゆこうとしている方々が、役の具体的な状況をきちんと把握しないまま、台本に書かれた雰囲気だけで演技しようとしてしまっている。

役を演じる準備が不十分だということに気づかず、「うまく演技ができない」と悶々と悩んでいる。

 

 

この現状に対して、僕はアクティング・コーチという立場から手助けができるのではないか?

「音」という側面だけではなく、演技で本当に大切なものを伝えられるのではないか?

 

役の作り方。

演技の自由さ、楽しさ、素晴らしさ。

そんなことを、演技法を通して皆さんに伝えられるのではないか?

 

 

そんな風に感じて、本格的に、声優の皆さんのお力になろうと決意したのです。

 

 

 

現場では、確かに「音、カタチ」ばかりを指示されるかもしれません。

でも、それが演技のすべてだと思わないでほしい。

 

それに対処することだけに必死になって、演技で本当に大切なことを忘れないでほしい。

 

 

少しでもお役に立てるよう、僕も頑張っていきたいと思っています!!

 

 

 

 

右 「俳優の準備不足」と「演出」については、こちらの記事でも触れています👇

 

 

 

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