まもなく。
演技ワークショップ "EQ-LAB" の「春の特別クラス」の発表会が開催となります。
本番直前ですが、新ビジュアルも作成。
ぜひ、演技を学ぶ受講生たちのパフォーマンスを観にいらしてください!!
EQ-LAB
2023「春の特別クラス」発表会
スケッチ・コメディ
『犯人は山田』
Cast & Staff
▶︎ Cast(50音順)
大坪茉莉子……(A/B:作家)
小室拓也………(A:部下)
笹原康平………(A/B:オーナー)
佐藤祐月………(B: 部下)
高岡康平………(A:霊媒師)
橘真凛…………(B:霊媒師)
道下悠里………(A:探偵)
森正二郎………(B:探偵)
森田了介………(A:刑事)
吉北梨乃………(B:刑事)
▶︎ Staff
<演出/演技指導>
谷口浩久(イークエスト・カンパニー)
<作>
山岡幸紘(はちぽちヒッチハイク)
<制作>
イークエスト・カンパニー
作品紹介
▶︎あらすじ
あるペンションで起きた、殺人事件。
そこにやってきた刑事が、事件解決に乗り出します。
犯人逮捕の手がかりは、被害者が残したダイイング・メッセージ。
そこにはなんと、「犯人は山田」と犯人の名前がはっきり記されていたのです!!
事件はあっという間に解決するかと思いきや、捜査は予想だにしなかった展開へと急展開してしまいます……。
▶︎作品紹介
この作品は、都内で活動されているコメディ集団「はちぽちヒッチハイク」さんが、2016年にコメディ集団に初演したオムニバス公演の中の1本です。
台本は、演劇ウェブサイト「シナリオリーグ」にて一般公開されています。
▶︎作品紹介
今回の発表会、タイトルに「スケッチ・コメディ」という文言がついています。
これ、日本人にとっては別の言語で言い換えたほうが馴染みのある言葉なんです。
……スケッチ・コメディとは、フランス語で「コント」。
そう、今回の題材は、いわゆるコント作品。
定義としては、1〜10分程度の短いコメディ。
さらに厳密に言えば、コントやスケッチ・コメディというものは、「大まかなプロットが決まっている中で、演者が即興を用いて演じるもの」のことです。
しかし今回は、いわゆる即興演技には頼らず(稽古過程においては即興は生じますが)、それをきちんと定められた身体行動に変換。
それを厳密に実行していくことで物語を繋いでいくという、いわばスタニスラフスキーの「身体のスコア」を利用した "演劇作品" として構築しています。
▲容疑者たち。誰が真犯人でしょうか……!?
今回の見どころ
▶︎基礎訓練から一歩進んだ、作品創りのクラス
演技ワークショップ "EQ-LAB" では、通年開催している「3ヶ月 レギュラークラス」のほか、そこから一歩進んだ「特別クラス」を開催しています。
演技の訓練生たちが、いよいよ作品創りに挑戦するクラスです。
観客の皆さまには、受講生たちが普段の基礎訓練の成果を腕試しするこの発表の場をぜひご覧いただき、彼らの訓練を応援してくださったら嬉しく思っています。
さて。
そうは言っても、劇場でお客様に観ていただいての上演です。
ただの技術的な訓練では終わりません!!
受講生の皆さんには、"訓練" と "実際の上演" の違いを知っていただくためにも、演技指導だけでなく、演出というものも経験していただいています。
「演技指導」と「演出」とは、根本的に別のものです。
そして俳優は、リアルな人間を演じるという基礎技術力とともに、演出(ディレクターに提示された方向づけ)の中でキャラクターをどう表現するかという力量も必要なのです。
そこで。
今回は、お客様にお楽しみいただくために、とある実験的な「演出」を試みています……。
▶︎今回の見どころポイント!!
まず。
メンバーをA・Bの2チームに分け、全体の上演時間(約60分)の中で、『犯人は山田』という作品を2回上演します。
観客の皆さまには、別キャストで、同じ作品を2回ご覧いただくわけです。
この時点で、
「え〜!? 同じ作品を2回も観なきゃいけないの!?」
と、すでにうんざりして観る気をなくしてしまった方もいらっしゃるかもしれませんね。
そりゃ、当然です。
ただでさえ、2回も同じものを観るのは、正直とっても面倒くさい。
しかも、2回目は完全にネタバレ状態になっているわけですから、確実につまらなく感じるはず……。
いえいえ、ちょっと待ってください!!
今回の見どころは、「あえて同じ台本の作品を2回観ていただくことで、その違いを感じていただく」ということなのです!!
同じ台本やセリフでも、俳優が違うとこんなに変わる、というのももちろんですが。
それ以上に、A・B両チームで、全く違うドラマ、なんなら、ジャンルすら違うものになっているのです!!
まず、1本目。
Aチームは、本来の台本の「意図」を限りなくストレートに受け取った、純粋なコメディ作品です。
台本という作品の設計図に描かれているテンポ感や情緒を、なるべくそのままにキャッチ。
その上で、俳優たちの「身体的行動」にフォーカスし、その動きを密に組み上げていくことで、作品を作り上げました。
手放しで楽しめる、ドタバタコメディに仕上がっていますので、何も考えずに思い切り楽しんでみてください!!
一方、2本目に上演するBチームは、台本に「もう一つの、別の状況」を投入することで作品を再構築し、そこから見えてくる "作品創造の可能性" に挑戦しました。
その結果、もはやコメディの枠を飛び出し、見方によってはホラーのような、あるいは社会派ドラマのような作りへと派生しているのです!!
そこには、一見、不可解に思えるかもしれない展開が待ち構えています。
しかし、その「意図」が読み解けた時、とあるメッセージが浮かび上がってきます!!
そんな風に、Bチームは、観客側の想像力が試される、挑戦的な仕掛けも施されているのです……。
台本に書かれていることを丁寧にトレースし、身体的行動によって紡ぎあげたAチーム。
それに対し、台本に描かれている表面上の情報から一歩深く入り込んだところで作品構築を試みたBチーム。
双方のアプローチの違いは、演技のタッチやスタイルの差としても現れています。
また、身体からスタートするAチームと、より内面的な作業からスタートするBチームのプロセスの違いは、結果的に、俳優と役との距離感の違いとしても表現されています。
このように。
観劇好きの方も「2作品の対比」を楽しんでいただける内容ですし。
演技を勉強されている方々がご覧になった時には、演技の手法という部分での学びや考察ができる。
こんな仕掛けができたら、「演技ワークショップの発表会」と銘打つ価値があり、意味がある……。
そんな願いの中で立ち上げた作品創りのクラスは、その目標へと到達しようとしています!!
メッセージ
上述した通り。
今回は、あえて同じ作品を2回ご覧いただくことで、演劇のさまざまな楽しみ方や、その無限大の可能性を感じていただきたいと思っています。
たとえば同じ台本であっても、工夫次第で、多様な "探究の道" が花開くのです。
今回の "探究の道" は、前回の「特別クラス」(2022年7〜8月)のそれとも、まったく違うものです。
1997年のアメリカ映画『グッド・ウィル・ハンティング』を題材に上演した前回は、映画を観ているような、より写実的な演技で作品を立ち上げました。
こちらは、内面から創り上げるアメリカの "メソッド演技法" の流れを主に取り入れた作業でした。
対して、今回の発表会は、台本選びの段階から、そうした写実的・内面的な演技法から距離を置いた手法を想定し、身体側からのアプローチを重視しようという目標の上に立っていました。
前回とは大きく違うアプローチでしたので、受講生たちの中には最初戸惑いを感じた方もいらっしゃったようですが、こうやって演劇の可能性を多面的に捉えていき、一つのやり方に固執せず、その幅を広げていくのは非常に重要なことだと考えています。
そんな探究を、私たちは、どこまでも夢中になって進みたいと考えています。
なぜなら、そうした試みが、俳優ならではの豊かで特殊な視点を育てるからです。
その視点とは、直感力や感受性、美意識に優れ、常識や思い込みに囚われない自由な思考や、多くの人たちが気づかない物事の真理への気づきができる能力です。
また、舞台の一座を「カンパニー」と表現するように、それは会社と同じく一つの組織であり。
そこで要求されるのは、高い社会性や協調性、また、自分の意見をしっかりと主張できる表現力やコミュニケーション力です。
さらには、役を演じるに当たって必要な観察力や、人間心理の洞察力、共感能力、知識……。
このように。
正しい演技訓練によって育まれる俳優の能力は、非常に高度で、広く深いものです。
訓練された俳優の研ぎ澄まされた能力は、日本の芸術・文化レベルの向上、その他さまざまな形での社会貢献ができる素晴らしいチカラになっていると思うのです。
俳優とは、そうした非常に特殊な技術職であり、だからこそ俳優は、舞台やカメラの前はもちろん、それ以外の非常に多様な場で能力を発揮させ活躍することが可能なはずです。
ところが、俳優の立場は、特にこの日本ではとても弱いものになっています。
俳優という素晴らしい仕事であるにも関わらず、その能力が社会に認知される機会が失われ、どこか俳優は社会の「異端者」のような扱いになっているような気がします。
当然、そんな異端者たちは、社会的にも経済的にも置いてきぼりを食わされ、なかなかマトモな形で社会貢献をする場が認められません。
一方、演技教育の現場もまた、非常にいびつな問題を抱えています。
それはもはや、職業訓練の場としては "機能不全" に陥っていると言っても過言ではありません。
そうした現状を改善するために、この “EQ-LAB” は、受講生たちとともに前進しようとしています。
今回は、フリーカンパ制という形で、終演後、受付に募金箱をご用意することにいたしました。
これは、こうした活動と、その能力を高めるべく努力を続けている俳優たちの訓練をぜひ応援していただきたいという思いから、設置させていただくものです。
皆さまからの募金は、今後の訓練のための軍資金として、すべて俳優たちに分配いたします。
もちろん、ご無理のない範囲で構いません。
その険しい道を、志高く勇気を持って歩んでいる彼らに、お力をお貸しくださったら幸いです。
3ヶ月 レギュラークラス(4月〜6月期)の受講生を募集しております。
現在、各クラスの定員が、
▶︎火曜午後(会話)※定員のため締切となりました。
▶︎火曜夜間(身体)残り1名
▶︎金曜午後(身体)残り1名
▶︎金曜夜間(会話)※定員のため締切となりました。
(2023.3.25現在)
となっております。
ぜひ、お早めにお申込みくださいね!!
詳細・お申込みは、こちら👇
引き続き、「台本読解塾 vol.4」アーカイブ動画も販売しております。
・視聴期間 2023年3月31日 23:59まで
・販売期間 2023年3月31日 12:00まで
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