
65年近く生きてきて、そのうち40年近くは自分達のバンドがあって、解散したいとか脱退したいと思ったことは一瞬たりともなかった。それ故に、「バンドに入りたい」という欲求が生じた経験に乏しい。
自分達のバンドをとても気に入っていた。
生きながら失った最大の宝物。
幾つか例外はある。
1986年に就職した音楽雑誌社が、LOUDNESSか!? BOØWYか!? 或いは吾妻光良氏のブルース・ギターか!?、という専門誌で、常時、掲載されている情報で、認知していたバンドがVAN HALENくらいしかなくて困惑した。特に当時、盛り上がっていたヘヴィー・メタルとやらに疎かった。
そこで、同誌のメンバー募集のページに「ベース加入希望。好きなベーシストはルディー・サーゾ。」という告知を掲載して貰って、身を持って体験してみることにした。
演ってみなきゃ解らんからな。
凄かったぜ?当時は。
積み重ねたら高さ15cmくらいのハガキが届いた。その中で歌唱力がしっかりしていた女性Vo.のヘヴィメタ・バンドに参加して、2年くらい続けた。渋谷にあったLIVE INNで演奏したこともある。ロン・ウッド & ボ・ディドリーの来日公演の翌日だった。
並行していた自分達のバンドのパートは唄だけで、スピッツみたいなオリジナル曲を先取りしていたらしい。(ホントか?笑)
上記ヘヴィメタ・ベース出向の頃は、Ds.とB.が出たり入ったりしていたが、やがてスピッツではなく、Gt.とおれが思うハードなブルースやロックン・ロールに嗜好がまとまっていく。
もう1つ。
ジィンを欠いていたKISSのトリビュート・バンドのオーディションを受けて、「左利きなのが、ちょっと」。(「Cold Gin」のネック振りがデキナイからかな?)で、落選したことがある。
だが、今、思えば、完コピなんて、おれには最初からムリなハナシだった。
自分達のバンドはオリジナルを殆ど演らず、名曲のカヴァー・アレンジばっかしだった。Gt.がもう1人居たり、Kb.が居たこともあったけど、基本的にはDs.、Gt.、B.& Vo.の3ピース。
バンド特有のリズムを模索したり、即興を加えるなら少人数のほうが圧倒的に演り易い。3人、若しくは3人+スタンディングVo.。THE ROLLING STONESは5人居るけど、ギタリストは2人で1人分みたいなもんだからな。(笑)
代表的なパターンは、そのTHE ROLLING STONES FAN CLUB JAPANの事務局女史に「ちょっと鈴木君!何!? 今のJumpin’ Jackは!」という大顰蹙を頂戴した「Jumpin’ Jack Flash」で、MOTORHEADみたいな簡略化。MOTORHEADだから当然2バス。会場の都合でツイン・ペダル。サビはツイン・ペダルに依る3連のベタ踏み。
豪快で爽快だったなあ!
それは後に、新橋にある吉田 拓郎ではなく、よしだ たくろうのファンが集う〝落陽〟でも披露させて頂いた。
すると、よしだ たくろうのファンの中にも「天国への階段」を弾き始める方がいらっしゃって、しょーがんねーから唄った。もちろん、1973年M.S.G.の指先を加えて。
先人達が創り上げてきた音楽を1音1音丁寧にコピーするのは学習で、幼き日のベートーヴェンが忌み嫌った如何にもクラシック的なアプローチだ。先人達が提案してきた音楽を自らの感覚と創造性で自由にリサイクルしていくのがロック!かと。
エディー・コクランの「Summertime Blues」なんて、あんた、聴いてるかい?
もはや、バンドを〝創りたい〟とは思っていない。
メンバーを集めたり、詞や曲を書いたり、ンなこたぁもうさんざ演ってきた。面倒臭い。既に1日3時間寝ればオッケイ!みたいな元気もなければ、未だ未だ楽隠居でもねー。
出来る時間は限られている。残る余生は、唄でもベースでも演者を努めていきたい。
昨年の11月末、KISSのセッション大会に参加してみた。
当初はB.& Vo.で4曲エントリーした。LED ZEPPELINやDEEP PURPLEだったらともかく、KISSの楽曲の尺や演奏の難易度から、4曲くらいはラクショーかと思いきや、それは自分達のバンドみたいな〝なんちゃってカヴァー〟だったら、だ。
セッションの場合、演者同士が互いに初対面ってこともザラなんだから、共通認識としての完コピは最低限の礼儀だべ。
一応、挑戦した。
1音1音全部拾って、ジィンが弾いてるとおりに・・、
弾けねーっ! 指が届かねーっ!
当たり前だ。
身長が違う。指の長さが違う。職業が違う。人生が違う。おれは3,000人なんて斬ってない。(笑)
参加総人数40数名のセッションを実際に目の当たりにして得た教訓は、KISSは先ず体重なんだな。
会場はマニアが経営しているライヴハウスで、手ぶらで参加できる楽器と機材が揃っていた。参加者全員ほぼ同じ条件で、特にジィンとエイスはガタイがいい男性がいい音を出していたような。KISSって高身長ばかり取り沙汰されてきたけど、ジィン、ポール、エイスって、ヘタな野球選手よりも断然いいカラダしてるんだぜ? 楽器の鳴りに弾いてる人間の肉体そのものが関わってるなんて初めて知った。
おれ自身は結局、1曲だけ何とかベースを弾いて、唄は他の方に唄って戴くブザマな顛末だったけど、とても楽しかったので、今年もまた1曲くらいはちゃんと礼儀を正すかな。
ジィンの唄だったら、トリビュート・バンドのオーディションで失格を喰らった唄い方がある。(笑)
Facebookの〝バンドやろうぜ〟グループには2年くらい前に登録して、配信には常に眼を通している。活動拠点が都内近郊で、B.でも唄でも、その両方でもいいんだけど、ポール・マッカートニーの真似だけは絶対にヤ! 出来ねーし。
勤めていた音楽雑誌の全盛期と較べたら、同グループの活気はまったくないに等しく、2年間、まったくカスリもせず。
そんな折・・。
(かつてのオダギリジョーの口調で)つづくぅ!(かも。)
※文中敬称略









