高パフォーマンス企業の特徴を備えた企業事例
先日のブログの記事で、ブリニョルフソンやメンデルソンとジーグ
ラーの研究から高パフォーマンス組織の特徴として次の3点を
上げました。
・意思決定の権限は分散化されている。
・価値観、目標など意思決定の判断基準となる考えが浸透している。
・意思決定に際して必要な情報が広く共有化されている。
このようなポイントは、あくまで高パフォーマンス企業がもつ特徴で
あり、それを具体化する仕組み、制度は、企業毎に異なります。
その企業の社風や歴史、経営トップの意思・哲学、事業形態などに
よって、実現方法は異なるはずです。
このような高パフォーマンス企業の特徴を、具体的に実現している
例としては、京セラさんのアメーバ経営が上げられるでしょう。
アメーバ経営を紹介する書籍が出版され、ベストセラーになって
いるので具体的な内容は、そちらを参照してください。
- 稲盛 和夫
- アメーバ経営―ひとりひとりの社員が主役
アメーバ経営の特徴は、社内の小組織に責任と権限を持たせ、
その小組織があたかも一企業のように経営努力を行うことにあり
ます。それでいて京セラとしての経営の一体化を図るために、
企業哲学として「他利の心」ということを社員に徹底すると共に
各アメーバの経営状況とアメーバーを串刺しにした商品別採算を
タイムリーにオープンにしています。このことを通じて、京セラとして
のパフォーマンスの最大化を念頭に置きながら、アメーバそれぞ
れが高パフォーマンスを追い求めています。小組織の独立性と
企業としての全体最適を実現しているところにアメーバ経営の
すごさがあります。
ただ、京セラさんの例を見ても、それを実現することは簡単でない
ことが分かります。京セラさんも、最初から上記のような高パフォ
ーマンス企業の特徴が分かっていて、それを実現するためにア
メーバー経営を作ったわけではありません。理想とする経営のあり
方を試行錯誤しつつ、結果的にできあがったのがアメーバー経営
です。アメーバー経営としての形ができあがり、アメーバー経営とは
何かとふりかえってみれば、高パフォーマンス企業の特徴と同じで
あったということであると思います。
この意図して作ったのではなく、結果的にできたというところに
難しさを感じます。
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高パフォーマンス組織の特徴
先週エリック・ブリニョルフソン教授の「インタンジブル・アセット」と
いう書籍を紹介しました。またしばらく前には、早稲田大学経営
専門職大学院の平野雅章教授の「IT投資で伸びる会社、沈む会
社」の紹介を行っています。この二つの書籍は、共にIT投資で
効果を上げるためには、インタンジブル・アセットが重要であるこ
とを指摘しています。
エリック・ブリニョルフソン教授の「インタンジブル・アセット」では、
高いパフォーマンスを上げる組織のあり方としてデジタル組織という
形態を例示し、その組織が共通してもつ7つの特徴を列挙しています。
・デジタルの業務プロセスへの移行
・意思決定権の分散
・オープンな情報アクセスとコミュニケーション
・業績に基づく給与と報酬制度
・事業目的を絞り、目標を共有する
・最高の人材を雇う
・人的資本に投資する
一方、平野教授の「IT投資で伸びる会社、沈む会社」でも、高い
パフォーマンスを上げる組織には共通性があり、それが組織IQという
指標で測ることが可能であると指摘しています。組織IQとは、
1990年代後半にメンデルソンとジーグラーによって発表された
企業の意思決定能力を測定するためのツールです。組織IQには、
以下の5つの原則(特徴)があることが指摘されています。、
・外部情報感度
・内部知識流通
・効果的な意思決定機構
・組織フォーカス
・継続的革新
平野教授は、日本企業に対象とした業績と組織IQの関係性について
の調査を行い、組織IQが高い企業と高パフォーマンス企業の間には
正の相関が見られることを指摘されています。
いずれの研究も、多くの事例を収集し、その分析から共通する特徴を
導きだしていますが、ブリニョルフソンのデジタル組織とメンデルソンと
ジーグラーの組織IQには、
・意思決定の権限は分散化されている。
・価値観、目標など意思決定の判断基準となる考えが浸透している。
・意思決定に際して必要な情報が広く共有化されている。
など共通する部分が見られます。高パフォーマンスな組織を実現する
ために、上記の3点はポイントとなるのかも知れません。
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エリック・ブリニョルフソン著「インタンジブル・アセット」
- エリック ブリニョルフソン, Erik Brynjolfsson, CSK
- インタンジブル・アセット―「IT投資と生産性」相関の原理
昨日のブログで、ITの戦略的活用を実現するための取り組みが
システムそのものからインタンジブル・アセットの整備に向かって
いるとの記事を記載しました。
その中で、アメリカにおける電気と電気モーターによる生産性の
拡大の例の話を記載しましたが、その話を知ったのが、この書籍
エリック・ブリニョルフソン著「インタンジブル・アセット」です。
(他の書籍でも同様の話を引用されていたのを読んだ記憶があり
ますが、思い出せません。)
著者は、MITスローンスクールの教授で、ITと生産性の相関に
関する研究の第一人者です。クリントン政権のIT政策特別チームに
おいて中心的な役割を果たし、米国商務省の「デジタルエコノミー」
シリーズにも論文が引用されています。 (著者紹介より引用)
この書籍では、ITの投資効果を得るためには、インタンジブル・ア
セットが重要であることを指摘しています。そして、その能力を
備えた組織をデジタル組織となずけ、デジタル組織が備えている
特徴を7つ挙げています。
・デジタルの業務プロセスへの移行
・意思決定権の分散
・オープンな情報アクセスとコミュニケーション
・業績に基づく給与と報酬制度
・事業目的を絞り、目標を共有する
・最高の人材を雇う
・人的資本に投資する
これらはITの投資効果を上げるために必要と言うよりは、ITを活用し
高いパフォーマンスを発揮する組織の特徴と捉えるべきものです。
ITは高い可能性をもった強力なツールですが、あくまでツールであり、
最終的にパフォーマンスにつなげることができるかどうかは、それを
使用する人に依存します。だからこそ、その人がやりがいや目的意
識をもって主体的に高度な業務に取り組む環境を整えることが重要で
あることを指摘しています。
ITがツールであるように、COBITやEA、UISSなども同じくツールです。
それそのものが何かを劇的に変えてくれるわけではありません。
最終的には、前述の7つの組織特性のようなものを組織に根付かせる
ために、これらツールをどのように活用するのかが大切です。
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「ITの戦略的活用」とインタンジブル・アセット
経営資源として「人・物・金」ということがよく言われます。最近では
それに「情報」が加えられるようになりましたが、「人・物・金・情報」
の大小のみで、企業のパフォーマンスが決まるわけではありません。
この差を生み出す源泉として捉えられているのが、インタンジブル・
アセットです。
インタンジブル・アセットとは、業務プロセス、社員のスキル、ノウ
ハウ、取引先との関係、顧客満足度、社員の忠誠心、ブランドや
評判・評価などのことで、企業がビジネスにて高いパフォーマンスを
出すために必要となる隠れた要素です。
これまで取り上げてきたCOBITやEA、UISSなどを通じて整備を
図ろうとしている対象の多くが、実はインタンジブル・アセットです。
COBITで整備しようとしているガバナンスの仕組みやUISSが目指す
人材育成、EAが実現しようとしている事業最適化された組織やITの
設計方法などが該当します。
ここ数年のこのような取り組みは、「ITを戦略的に活用する」「ITを
真に経営に寄与させる」という目的を実現するために、「どのような
ITを構築すべきか」という議論から、「ITを活用するための組織力
(インタンジブル・アセット)をいかに強化すべきか」という視点に
変化してきています。歴史を振り返ってみると、これは非常に
重要な変化だということに気付きます。
スタンフォード大学の歴史学者ポール・デービッド教授が電力と
電動モーターの誕生がアメリカの生産性にどのような影響を及ぼ
したかについて研究されています。
1900年代初期に新世代の電動モーターが開発され、利用が進ん
だが、1920年代まで生産性が向上することがなかったそうです。
なぜ、20年間もの間、電動モーターの導入効果が上がらなかった
かというと、工場の構造に問題があったからだそうです。
電気+電気モーターが開発されるまでの主たる動力は蒸気機関で
した。蒸気機関は生み出した動力の伝達が困難だったため、蒸気
機関を中心としてその周りに工作機械などを配置することが一般
的でした。このため作業の流れとは関係なく機械を配置していたた
め、物の移動などが複雑になり、非常に効率が悪いものでした。
しかし、当時はそれが当たり前だったそうです。
電気+電気モーターが開発され、工場への導入が進んだ当初、
電気モーターは蒸気機関の代替として設置されました。従来どお
りの機械配置のまま、蒸気機関から大型モーターへの置き換えが
行われました。動力源を置き換えただけで他はなにも変わっておら
ず、また、当初の電気モーターの可動性もそれほど高くなかったこ
とから、置き換えにより大きく生産性が向上することはありません
でした。
しかしその後、電線を工場内に敷設し、小型のモーターを多数配置
することで、作業の流れに沿って機械を配置するということが行われ
るようになりました。この結果、爆発的な生産性の向上が生まれた
そうです。
つまり、電気+電気モーターは非常に大きな革新を生むパワーが
ありましたが、そのものだけで革新を生み出すものではありません
でした。それを使用して革新を生み出すためには、工場内の機械
配置を変更し、製造プロセスを見直し、人員のスキルを変更するなど
多種多様な取り組みが必要でした。
ITの世界では、「ITの戦略的活用」を実現するという目的のために、
MIS(経営情報システム)、DSS(意思決定支援システム)、SIS(戦略
的情報システム)などの取組がありました。これらの取り組みは、シ
ステムそのものが大きな変革を生み出すかのような幻想がありました。
まさに、「新しいモーターを開発したのでこれでイノベーションが生まれ
ます」といっているようなものです。
しかし、ITの技術が高度化する中で、ITが戦略的な効果を生み出して
いる場合とそうでない場合が散見されるなかで、ITそのものだけでなく、
ITを活用して効果を発現させる力の重要性がクローズアップされつつ
あります。
ITガバナンス、IT投資マネジメント、EA、スキル標準等、ITの活用力を
高めるためのフレームワークの検討などここ数年の取り組みは、ITの
戦略的活用にとって大きな前進であるように感じます。電気モーターが
20年かかって大きな生産性の革新を生み出したようなことが、ITにつ
いても今後起こりうるかもしれません。
「インタンジブルズを組織内に醸成する取り組み」、これが今後の大きな
取り組み課題になりそうです。
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「ITの戦略的活用」におけるUISSの位置づけについて
経済産業省 情報システムユーザースキル標準 Ver1.1の
冊子を読むと、冒頭の標準策定の背景と目的という記載の
中で、現状のIS(情報システム)の活用について、次のような
問題があると指摘しています。
①経営戦略とIT戦略のギャップ
経営環境の変化に対応するための業務改革とそれらを効果的に
実現するための情報システムの見直しが十分に行われていない。
②空洞化
企業規模が大きくなるにつれ、IS機能のアウトソーシング比率が
高まっている。
③ITガバナンス機能の不在
実質的なCIOの不在、または、その機能が欠如している。
④要件定義能力の低下
実現したいシステムの仕様が明確になっていないままISの構築に
着手している。
⑤IT投資戦略の不在
実現したい機能をベースにシステムコストを積算せず、予算あり
きでIS費用が決定している。
⑥利活用の未熟
IS機能の整備による効果を、組織力向上に結び付けることが
なかなかできていない。
これは、「企業IT動向調査2007」の調査結果からこのような
傾向が確認されたとのことです。上記にような問題が発生している
原因の一つとして、経営戦略の遂行を支援するために必要なIS機能と
ISに関わる組織や人材の役割が体系的に整理されていなかったことを
指摘しています。
このため、UISSの策定にあたっては、「経営戦略の遂行を支援する
ために必要なISの活用=(ITの戦略的活用)」を実現するために
必要となる業務タスクを整理し、そのタスクを担う人材のスキル
モデルの定義を行っています。
UISSの資料を読むと、「ITの戦略的活用におけるUISSの位置づけ」と
いうことでは、そのまんまですね。
これまで、COBIT、EA、UISSと見てきましたが、ほぼ同じことを目的に
検討がなされていることが分かります。それぞれ実現の手法が
異なるだけです。
こうなると気になるのは、COBIT、EA、UISSなど間の整合性でしょうか。
人材の側面から切り込んでいるUISSと、ガバナンスの側面から切り
込んでいるCOBIT、アーキテクチャーの側面から切り込んでいるEA等、
どの部分が共通で、どの部分に差異があるのかということが、気に
なります。また、各種定義の中で十分に検討がなされていない部分
(ポテンヒットになっている部分)がないのかも気になります。さらに、
各種定義と拙書の関係についても再整理する必要があると思ってい
ます。
このような作業を通じて、「ITの戦略的活用」を実現するために整備
すべき事項の全体像に近づけるのではないかと思っています。
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