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Strategic Capability Network

 

今回は、Strategic Capability Network(以後、SCNと表記)に
ついて取り上げます。SCNとは、IBMのワトソン研究所により
開発された、価値(ビジネス戦略上の目的や狙い)を創出する
ために必要な企業能力(Capability)と実現手段(Enabler)を洗い
出すための考え方のことです。

 

SCNでは、価値、実現能力、実現手段の関係を下図のような
図式に整理して、関係性を明示します。


SCN


上図は、徳島県ICT推進本部(平成18年度第3回)の

報告資料12ページに記載されているSCN図を例として

添付したのものです。


SCNは、実現したい経営課題を、「この経営課題が実現され
ている状態というのは、具体的にどういうこと?」という問いを
繰り返し、課題の内容を詳細化することで作成します。その
問いを繰り返し行い、実現方法が具体的にイメージできる
レベルにまで詳細化された課題が実現手段となります。
(詳細化された課題を、その課題を実現すると読み替えると
実現手段に変わります)

 
このSCNを具体的にどのような際に使用するのかというと、
拙書「経営課題の実効性を高める 情報システム計画の
立て方・活かし方」では、戦略の整理から重点施策の

洗い出しの作業で使用することが想定されます。

 

拙書の中では、事業戦略をバランス・スコアカード(BSC)で
整理し、その過程で明確化された経営課題の実現策抽出の
検討結果を重点施策展開表に整理しています。この抽出

過程におけるドキュメントを拙書では定義していませんが、

SCNはこの間を埋めるドキュメントに該当します。

 

このSCNの優れていると感じるところは、この課題を詳細化し
実現手段を導き出す過程を、企業能力(Capability)の整理と
表現しているところです。この「能力」という抽象的な概念を
いれることで、目先の実現方法に囚われず、課題を実現する
ために必要なこととして、組織や人員、人材の能力、業務プロ
セスや、顧客やサプライヤーとの関係など、様々な側面での
実現が必要となる要素に目を向けやすくなります。

 

 

一方、注意すべき点としては、価値(経営課題)を詳細化して
実現策を導き出すため、スタートである価値の定義が非常に
重要です。間違えた価値からその実現策を導き出しても、
このような図式で提示されると、中身の論理展開の妥当性に
注目が集まり、価値(経営課題)が妥当かどうかというそもそも
論的な観点が忘れさられてしまうようなことが起こります。
ドキュメントや方法論に目を曇らされないということに注意が
必要です。

 

二つ目に、このSCNによって導き出されるのは、「どのような

実現手段が必要か」という項目の整理だけです。その手段を

実現することで、どの程度のレベルで課題が実現されるべきか

という達成水準は明らかになりません。情報システムで言えば、

検索機能が必要なことは分かるが、事業戦略である顧客への

サービス向上のために、その検索が1秒で回答を返す必要が

あるのか、1分でもよいのか、が分かりません。この達成水準が

明確にならなければ、価値(経営課題)は実現されません。また、

1秒で結果を返すことが必要であるが、それが物理的に不可

能であれば、この手段は絵に描いた餅で、手段として意味を

なしません。どのような実現手段が必要かという項目だけでなく、

それがどれだけのレベルで実現できなければならないのかと

いう達成水準についても明らかにすることに注意を払う必要が

あります。

 

この経営課題を実現するための各手段の達成水準を明確に

するためには、拙書で記載しているようなKPIのブレイクダウンが

必要です。経営課題のKPI(KGI)から、その実現に必要な能力、

手段へとKPIを詳細化していくことが必要です。そうすることで、

各実現手段の達成水準が明確になり、二つ目に指摘したような

問題点を回避することが可能です。

 

 

このような注意点があるとは思いますが、戦略からITを含め実現
手段(経営に貢献するための必要事項)を洗い出す方法論として
良い考え方だと思います。

 

 

  

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COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その6

 

最後に・・・

  

今回各種取り組みの整理を行いましたが、私のようなコンサル
タントが、この問題について事業会社様に対してどのようなお手
伝いすれば実現に寄与できるかを、見直すよい機会になりました。


現在弊社で提供可能な支援の内容でいうと・・・ 



一つ目として、「経営に貢献するIT」というのは、非常に抽象的な

テーマで、人によってその実現イメージや狙いのポイントが

異っていることが多いものです。「経営に貢献するIT」とは、自社に

とって具体的にどのようなものかについて、社内の認識の共有化が

大切です。そのために、考え方の例や他社事例を題材として提示し

つつ、一緒に討議(あるいは、ファシリテート)することがあげられます。



二つ目として、各種仕組みの導入方法が分かりづらいわけですから、
「経営に貢献するITを実現する」という目的を押さえながら、各種
仕組みの導入をお手伝いすることがあるかと思います。

 

そのお手伝いの方法としては、

 

社内の関係メンバーに対してプロジェクトを立ち上げる前にトレー
ニングを実施して、取り組み内容や手順、検討すべき観点などを

事前に理解いただくということがあるかと思います。

 

また、実際の導入プロジェクトに参画し、プロジェクト計画の立案
から運営まで、プロジェクトが円滑に進むように支援作業を行う

ことが上げられます。

 

 
三つ目に、仕組みを導入した後に運営し、自社にあった仕組みに
なるように手直しを入れながら、根付かせるという活動が必要です
しかし、うまく行っている/いっていない、うまくいっていない場合に

どのような修正を加えるべきかなどを、初めての取り組みに対して

判断することは難しいものです。そこで、他社の取り組みや事例を

持つ第3者であるコンサルタントが、制度導入後の運営に参画し、

制度を機能させ効果が上がるように改善を行うお手伝いをさせて

いただくことがあげられます。

 

 
四つ目に、「経営に貢献するITを実現するため」に必要な各種

具体的作業を部分的に担当(お手伝い)することが上げられます。

例えば、

 

 事業戦略の整理を行う。 (立案のお手伝いを行う)。


 事業戦略からIT戦略を立案する (そのお手伝いを行う)。

 

 個別プロジェクトのプロジェクト計画を事業戦略から整理し
 企画書(稟議書)を作成する。

 

 IT投資マネジメントの評価会議の議長を務める。
 あるいは、このような会議資料の事前作成を担当する。


                                  等々


これらのご支援は、事業会社様が「経営に貢献するIT」を

実現するための取り組みの支援が中心です。しかし、多くの

事業会社様で、開発や運用業務をアウトソーシングしている

現状を考えると、アウトソーサーであるSier様も、その動向を

理解し、対応していくことが求められてくるのではないでしょうか。


事業会社様の立場に立ち、「経営に貢献するIT」を実現する

ためにSierとして何ができるかを検討する、あるいは、

その支援サービスを担当する人材の知識やスキルの向上の

ためのトレーニングに活用いただければと思っております。



最後に・・・ 


結局は、いままで様々なお客様に提供させていただいてきた

取り組みと同じことだというのが実感です。ただ、中身については

各種取組が進展し、概念やフレームワークが整理されてきている

わけですから、その内容と整合性を取るように微調整を加えることが

必要だと感じています。

  

「経営に貢献するITを実現する」ということに関心をお持ちの方は
是非お問合せください。実施内容、実施方法は、ご要望に応じて
個別に検討いたします。

 

よろしくお願いいたします。

 



  

インタープレイコンサルティング株式会社

 

東京事務所

  〒108-6028
  東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟28階

  TEL: 03-6717-6479  FAX:03-6717-4141

 

大阪事務所

  〒550-0002  

  大阪市西区江戸堀2-1-1 江戸堀センタービル9階

  TEL: 06 - 6225 - 1208  FAX: 06 - 6225 - 1212

 

いずれの事務所の場合も、柴崎宛でお問合せください。

なお、メールの場合は、info@ipbc.co.jp  にお願いいたします。

 

  

 

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Biz Innovation 2007 経産省の吉崎審議官の話

 

10月末にBiz Innovation 2007というセミナーがあり、経済産業省の

吉崎正弘 大臣官房審議官(IT戦略担当)の講演の記事を読みま

した。

 

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20071026/285605/

 

 

その講演の中で、統計データを元に、次のような問題を指摘

されています。

 

・日本企業は、米国企業に比べて,企業の生産性向上にITが

 寄与していない。(約10倍の差がある)

 

・企業資本に占めるIT資本(投資)の割合も,日本企業は

 米国より劣っている。(日本は米国の6割に過ぎない)

 

 

このような大きな差が生まれている大きな原因として、

 

「統計データを見る限り,生産性向上の“特効薬”であるIT活用の

効果が,まだまだ多くの企業に認知されていない」ことを指摘され

ています。つまり、経営者がIT活用の効果を十分に認識してい

ないと。

 

この指摘は、非常に的を得た指摘だと思います。

「経営に貢献するIT」を実現するに当たって、最大のボトル

ネックは、「簡単にITの経営効果が見えないこと」です。

 

先週の記事

COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その5

で記載したように、「経営に貢献するIT」を実現するためには、

 

 ・ 事業戦略を立案する

 ・ 戦略を実現するアーキテクチャをデザインする

 ・ アーキテクチャを実現する取り組み(IT構築を含む)を推進する

 ・ 取り組みをマネジメントし成果を回収する

 

といった仕組みを社内に作りこむ必要があります。

 

 

経済産業省では、これまでに

 

 ・情報基盤強化税制(前・IT投資減税)」を提案・推進

 ・IT投資の質を高めるためにITの専門家を派遣する

 

上記のような取り組みを推進し、さらに今後

 

 (1)経営者向けの研修会を年90回から200回に増やす

 (2)eラーニング教材を提供する

 (3)CIO(最高情報責任者)バンクを設立して中小企業に派遣する

 

等の施策を強化していくことを検討しているとのことでした。

 

 

私は、IT投資効果を実感させるためには、先週記載したように

事業戦略や経営管理の側面にまで踏み込んだ取組が必要だと

考えています。その仕組みを作り、戦略立案から施策への

落とし込み、経営管理の仕組みへの展開、継続的なモニタリング

と改善活動の推進などを、経営者を補佐しつつ、社内の人員を

ファシリテートして運営する人材が必要です。

 

また、このような仕組みを導入したからといってすぐさま効果が

上がるわけではありません。効果が上がるようになるために、

仕組みが組織(経営から一般社員まで)の力として根付いて

初めて、効果が目に見えるようになります。このため、ある程度

中期的なスパンで、対象企業を支援する体制をとることが

必要です。

 

(3)のようなCIOを企業に派遣し、IT投資効果を経営者が実感

できるようにするということであれば、そのCIOは、ITだけに

限定せず、事業戦略立案や経営管理の仕組み構築まで含め

企業を支援できる人材でなければならないと思います。

 

ITをITの範囲で考えていては、「経営に貢献するIT」の実現や、

経営者がIT投資効果を実感するということは難しいのでは

ないかと思います。

  

 

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10月の人気記事ランキング

 

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いままで、ブログスタート時から今までの期間での総アク

セス数でランキングを出していましたが、今月からは

総合と単月との2種類のランキングを出したいと思います。



まずは総合ランキングから


1位 05/03 コンサルタントに必要なスキル

2位 08/15 夏季休暇 その4

3位 09/08 情報処理試験が大改革へ

4位 09/01 神戸三田プレミアムアウトレット

5位 09/04 NHKスペシャル「人事も経理も中国へ」を見て

6位 03/26 IBM社 「The Global CEO Study 2006"からの提言」を読んで

7位 09/05 「IT投資テーマ設定の新しい考え方」って・・・

8位 10/03 ITの戦略的活用についての検討の軌跡 (掲載記事一覧)

9位 07/10 「重点施策の展開」の作業内容と手順

10位 06/25 情報システム計画の立て方・活かし方の『目次』



次に10月度単月ランキング


1位 10/03 ITの戦略的活用についての検討の軌跡(掲載記事一覧)

2位 10/09 「ITの戦略的活用」は、何故わかりにくいのか

3位 10/10 「COBIT」「Val IT」「EA」「UISS/ITSS」「インタンジブルアセット」その関係

4位 10/11 「ITの戦略的活用」におけるCOBITの位置づけ

5位 10/26 COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その1

6位 10/01 インタンジブルズの重要性

7位 10/24 経済産業省+IPA 「共通フレーム2007」

8位 10/12 「ITの戦略的活用」におけるVal ITの位置づけ

9位 10/05 ディズニーアニメから経営戦略とITの関係を考える

10位 10/18 「ITの戦略的活用」とインタンジブル・アセット




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COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その5

 
昨日の続きです。

 

EAなどの各種取り組みが、「事業戦略から必要となるITを

如何に導きだすか」についての概念やフレームワークの定

義が中心となっているのに対して、拙書は「どのように実現

するのか」を明らかにしていることに違いがあることを昨日の

記事で指摘しました。

 

昨日までの記事は

COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その1

COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その2

COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その3

COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その4


もう一点の違いとして、各種取り組みが、ガバナンス、IT投資

マネジメント、戦略からITを導き出すための方法論、ITスキ

ル標準など、検討の範囲を一つのテーマに絞っているのに

対して、拙書では、戦略からITを導き出すための方法論と

IT投資マネジメントの2つを併せて検討を行っています。

 

この違いも、フレームワークの整理を目的とするのか、実

現の仕方まで見据えて検討するのかのスタンスの違いから

現れるものです。概念やフレームワークの定義だけであれば、

テーマを切り分けて、それぞれについて定義を行う方が分かり

やすいと思います。しかし、導入し実現を図る場合、戦略から

ITを導き出すための方法論とIT投資マネジメントの2つは、

一緒に検討することが必要であると私は考えています。

 
「経営に貢献するIT」を実現するためには、戦略や事業計画の

実現に対するITの役割を明確にすることが基本となります。

例えば、お客様サービスセンターのようなアフターサービス業

務をイメージした場合、お客様へのサービス向上のために、ア

ウトプットを出すまでのリードタイムの短縮が戦略として課題に

挙がったとします。その場合、実現のために、人員の増員、人

員のスキルの向上、業務フローの改善などに加えて、ITでどの

ような支援ができるのかを検討し、実現することが必要です。

 

一定の期間を設けて、組織として多くの人が関与しながら取り

組みを進める場合、取組が計画通りの成果を上げているかど

うか、あげていない場合は対策をとるなど、マネジメントが必

要となります。よくある例としては、マネジメントと称して、次の

ような管理がなされている場合があります。

 

 人員の増員 
   ・・・ 月別に計画された増員計画の達成状況

 

 人員のスキル 
   ・・・ トレーニングの受講進捗

 

 業務フローの改善
   ・・・ 改善作業計画の進捗状況

 

 ITによる支援
   ・・・ 構築計画の進捗状況

 
進捗どおり取組が進んだからといって、戦略上期待している
リードタイムの短縮が実現されるわけではありません。重要

なのは、それぞれの取り組みを実行した結果、期待した成果が

上がっているかどうかです。マネジメントすべきは作業進捗では

なく、成果が上がっているかどうかです。

 

この成果をマネジメントするためには、各取り組みにて出す

べき成果(パフォーマンス)を明らかにしなければなりません。

また、最終のリードタイムの短縮は、個々の取り組みの成果の

総体として実現されるわけですから、リードタイムの短縮の

度合いと、個々の取り組みの成果は関連を持っていなければ

なりません。つまり、単純化して記載すれば、以下のような形で

それぞれの取り組みで実現すべき成果(パフォーマンス)を

明らかにする必要があります。


 

 リードタイム削減 x分
         =
 増員によるリードタイム削減成果   a分
         +
 スキル向上によるリードタイム削減成果  b分
         +
 業務フロー改善によるリードタイム削減成果  c分
         +
 ITによる支援によるリードタイム削減成果  d分

 

 

例えば、回答作成のために過去事例のDBを整備することで、

従来の冊子での参照と比較して、検索時間を半減するので

あれば、この半減時間が、ITが行える削減成果となります。

そして、構築されたこの過去事例DBシステムが、冊子での

参照と比較して過去事例を参照する時間を半減できているか

どうかがマネジメントの対象となります。

 

しかし、ITの成果である過去事例の参照時間の半減は、シス

テムの機能(例えば、検索レスポンス時間)だけで決まるわけ

ではありません。十分な過去事例の蓄積がないとそもそも

検索にヒットしませんし、お客様へのヒヤリングから事例を

検索するキーワードを適切に定義できないと、事例がDBに

蓄積されていてもヒットせず、結果事例の参照時間は短縮され

ません。

 

計画した成果が出ているかどうかを継続的にモニタリングし、

出せていないのは何に原因があるかを明らかにし、期待された

成果が上がるまで、ITの機能、ITのスペック、ITの利用環境、

IT利用者などの対象の改善を行うマネジメントが必要です。

このITそのものと、ITを活用する業務や人員を含めた改革を、

システム構築後に継続的に行い、成果が上がるまでマネジ

メントすることで「経営に貢献するIT」が実現されます。


ちなみに、経営課題であるリードタイムの削減(X分削減)が

KGIであり、ITによる過去事例の参照時間の短縮(d分)が

KPIに該当します。

 

 
一方、EA的な側面から考えると、経営課題であるリード

タイムの短縮が実現された後の事業の姿が、将来アーキテク

チャーです。ビジネスアーキテクチャでは、増員後の組織

体制があり、業務フローが変革されています。そしてその

業務において過去事例検索システムが利用されるようになり、

それがアプリケーションアーキテクチャの中で定義がなされて

います。


この将来アーキテクチャの設計においては、経営課題で

あるリードタイムの削減(X分削減)を実現するためには

という視点で、ビジネス、アプリケーション、データ、テクノ

ロジーの各アーキテクチャーが検討されます。
(通常は戦略課題は一つではなく、複数の課題が設定され、

それらのバランスを取りながら各アーキテクチャーの設計を

行うことが必要です)

 

つまり、前述した経営管理での管理対象となるKGIとKPIを

明らかにする作業が、EAなどの「戦略から必要となるIT」を

導き出す作業そのものに該当します。


戦略を立案し、EAなどのように推進後の将来アーキテク

チャーをデザインし、改善内容をKPIとともに明らかにします。

取り組みを推進し、定期的にその実現状況(KPI)のモニタ

リングを行い、KGIが達成されるまで改善を繰り返します。

これらの一連の仕組みが、セットで運用されて始めて

「経営に貢献するIT」が実現されるのです。


KGI・KPIマネジメントを軸に、「事業戦略から必要となるITを

如何に導きだすか」という方法論と「その実現を如何にマネジ

メントするのか」という経営管理のあり方を併せて、拙書では

実現方法を提言しています。


柴崎 知己
~経営戦略の実効性を高める~ 情報システム計画の立て方・活かし方
(amazonへリンクします)

 

つづく。




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