COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その4
本日は私がこれまでに「経営に貢献するITを実現する」と
いう事に関して取り組んできたことと、COBITやValIT、ITIM、
EA、UISSなどの各種取り組みの関係について整理したいと
思います。
私がどのような形で「経営に貢献するITを実現する」という
ことに取り組んできたかは、拙書「経営戦略の実効性を高める
情報システム計画の立て方・活かし方」に記載されています。
もちろん、その周辺領域についての各種取り組みが多々ある
わけですが、主として
・事業戦略から必要となるITを如何に導きだすか
・その実現を如何にマネジメントするのか
が、拙書のテーマになっています。
COBITなどの各種取り組みとの関係で言えば、前者の「事業
戦略から必要となるITを如何に導き出すか」は、EAにおける
戦略からビジネスアーキテクチャ、アプリケーションアーキテク
チャの設計の領域とほぼ重なっています。また「その実現を
如何にマネジメントするか」については、ValITやITIMにおける
IT投資マネジメントの仕組み構築の領域と重なっています。
対象とする領域としては、上記の重複があるわけですが、
重きをおいている部分には違いがあります。一つは、EAや
ValITなどの取り組みが、「経営に貢献するITを実現するための
概念を整理し、実現に向けてのフレームワークの定義」に
重きを置いている一方、拙書では、フレームワークの定義に
加えて、「実際にどのようにして、その仕組みを実現するのか」
を明らかにすることに重きを置いています。
例えば、EAにおいて、ビジネス、アプリケーション、データ、
テクノロジーの4つの領域について整合性をもったアーキテ
クチャを設計すべきとの考え方が示されています。そして、
その実現方法としては、現行アーキテクチャと将来アーキテク
チャを明らかにし、そのギャップを段階的に埋めていくことで
将来アーキテクチャの実現を行うとなっています。
EAに関する最大の難しさは、将来アーキテクチャを如何に
設計するかにあります。まずは、ビジネスアーキテクチャー
ということで、現行ビジネスアーキテクチャーを元に、より業務
効率が高いビジネスアーキテクチャ(業務フロー)を設計しても
意味がありません。将来の事業のあり方(商品、地域、仕入先、
顧客、競合他社、事業規模、市場の成長性・・・等々)を踏まえて
このビジネスで自社が狙うべきポジションを得るために、どの
ような事業形態をとるべきかから、将来アーキテクチャを導き
だすことが必要です。つまり、事業戦略を明らかにし、その戦略
から将来アーキテクチャを導き出さなければなりません。
この戦略から将来アーキテクチャを導き出すために、具体的に
どのように考え、どのような作業を、どのような手順で行えば
良いのかが、EAでは不明瞭です。EAの解説書籍などを読ん
でも、戦略はBSCで整理し、そこから将来ビジネスアーキテ
クチャの設計ドキュメントである業務フローや、組織モデルなどを
描き出すとされていますが、具体的にどのように検討を進めれ
ばよいのか記載されていません。
例えば、
BSCというのは業績管理のためのフレームワークとして開発
されました。それを戦略立案のためのフレームワーク、さらに
ITのアーキテクチャを描き出すためのインプットして使用する
場合、業績管理用のBSCとしての描き方と同じでよいのか、
別途留意すべきことがあるのか?
事業戦略をBSCで記載する場合、その事業とはどのような
単位か?
立案する事業戦略は、何年先を想定すればよいのか?
BSCは誰が作成するのか?
BSCで導き出された戦略を、どのようにアーキテクチャに
落とし込めばよいのか?(具体的方法は?)
等々、実際に作業をしようと思うと、良く分からないことだらけ
だと思います。
BSCで経営課題を整理し、内部プロセスの視点で「在庫の
削減」が課題として導き出されても、「在庫の削減」が必要な
のはBSCで戦略を整理するまでもなく、理解されているはず
です。そうなると何のための戦略の整理なのか、そんな戦略
をインプットにして、将来アーキテクチャを描き出す意味が
あるのかという不毛の議論に陥ってしまいます。
目的を実現するための方法の概念を整理し、その全体像を
フレームワークとして整理することは大切なことです。ただ、
概念とフレームワークだけでは不十分であり、その実現方法
が明確でなければなりません。
拙書では、戦略の整理からその戦略を実現するために必要と
なるITを描き出すためのフレームワークに併せて、どのような
手順で、どのような作業を、どのような観点で実施していくのか
を明らかにしています。この「実現方法を具体的に明らかに
する」という部分に大きな違いがあると思っています。
例えば、戦略を整理し、そこから必要となるビジネスアーキ
テクチャやアプリケーションアーキテクチャを描き出すためには、
次のようなことを明らかにする必要があると考え、記載しています。
事業戦略整理 ・・・ 経営課題の抽出
・その戦略を表現するBSC(バランススコアカード)の書き方
・BSCの各視点の記述に当たっての検討の観点
・戦略をITをつなげるためのBSCでの定義内容
・経営課題を具体化するKPI(KGI)の項目定義
・戦略のゴール設定としてのKPI(KGI)の目標値設定
重点施策の整理 ・・・ 経営課題から実現施策の抽出
・経営課題からその実現策である施策の抽出方法
(現状調査→仮説立案→シミュレーション)
・施策の目的を明確化するKPIのブレイクダウン方法
IT化要件の整理
・戦略とITを連携させる、KPIのブレイクダウンによる
IT化要件の抽出方法
等々
(どのようなことを記載しているかは、書籍の目次を参照いただ
ければイメージが湧くのではないかと思います。目次は、こち
らを参照ください。 URL : http://www.ipbc.co.jp/publish.html )
COBITをはじめとした各種取り組みにおいて、概念やフレーム
ワークが定義されていますが、これらの検討にあたっては、
おそらく多くの企業などでの活動がベースになり、検討がなされ
ているはずです。それらから、ポイントなる部分を精錬し、概念や
フレームワークにまとめられているのだと思います。
一方、その概念やフレームワークの導入(実現)方法は、その
企業なりがおかれている状況により、最善な方法は異なることが
想定されます。それゆえに、実現方法の詳細な解説は、
フレームワークの定義の範疇で行うことは、非常に難しいので
あろうと想像されます。
このような検討が米国を中心にして進められており、日本には
検討のベースとなった事例や具体的な導入方法などが抜け落ち、
精錬された結果としての概念やフレームワークのみが紹介され
ているように感じます。これは、自分で考えることなく答えだけ
教えられいるようなもので、実力がつかず、自分でいざ行おうと
しても、何もできないというようなことになりかねない事態だと
危惧をしています。
米国産の概念やフレームワークの方が、正しく、成功が約束
されているような気持ちになりますが、答えを丸写しをして
効果が上がるものではありません。実現方法を自ら検討し
それを実践し、結果概念やフレームワークを描き出さないと
意味がないという思いで取り組み、その内容をまとめたものが
拙書です。
「経営に貢献するITを実現する」という目的が同じであるため
概念や全体像としてのフレームワークは、各種取り組みと拙
書では非常に似ています。しかし、概念にとどまらず、自ら
考え、具現化していった実際の活動をから得られた各種ポイ
ントや実現方法にまで踏み込んでいる点に違いがあるのでは
ないかと考えています。
- 柴崎 知己
- ~経営戦略の実効性を高める~ 情報システム計画の立て方・活かし方
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つづく。
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COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その3
前回からのつづきです。
会社の仕組みとITの関係を考えた場合に、IT(部門)の運営のさ
れ方は、事業戦略に直接的にひもづいておらず、それがITが
経営に貢献できない理由であるとの問題提起をしました。そして
COBIT等の取り組みは、その問題を改善することに主眼が
起これており、戦略基点でのITのあり方について、ガバナンスや
人材などの側面から考え方のフレームワークを示しているのだ
との見方を示しました。
昨日までの記事は、
COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その2
COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その1
ここからの続きです。
各種取り組みでは、COBIT等で整理されたフレームワークに
基づいて社内にITを戦略的に活用するための仕組みを作ることを、
求めています。しかし、仕組みというのは作れば自動的に効果が
あがるものではありません。効果が出るようになるためには、その
仕組みの意図や目的が社員一人ひとりに理解され、日々の運営
の中に馴染まなければなりません。まさに仕組みが、インタンジ
ブルズとして組織力に転化しなければ効果は得られません。そ
のためには、仕組みを改良しつつ効果が上がるまで執念を持って
運営し続けることも大切です。
さらに、継続して運営し続けるためには、経営者が「是非、経営に
貢献するITを実現したい」という意思をもっている必要があります。
その意思がない場合に、どのような取り組みを進めても、継続
できませんし、良い結果も期待できません。経営者が、その必要
性を認識し、実現したいという強い意思を持つこと、および、実現の
ために何が必要か(何を整備すべきか)ということを理解することが
大切です。
理解を得るためには、「こうすればできる」ということを、経営者が
イメージできることが大切です。しかし、COBITをはじめ、EA等に
ついても「①戦略」から「③のITのあり方」に落とし込むことの重
要性を指摘していますが、どのように検討、作業をすれば、実現
できるのかについて、概念的な説明しかなされていません。できる
かどうかわからないことに、全社あげて取り組むという意思決定は
経営者としてやりづらいわけですから、「具体的にこうすればでき
ます」ということを示すことが、重要な課題であると思います。
各種資料等では、「①戦略」から「③のITのあり方」の導き出し方に
ついて、次のようなことがポイントであると示されています。
a. 戦略の整理はBSCを使用する。
b. BSCで戦略を実現するための経営課題を明らかにする。
c. BSCで整理した経営課題とITの(投資)目的の連携を図る。
d. IT投資の効果は、経営課題の達成目標(KPI)で表す。
上記のポイントについて異論はありませんが、問題は、a~dの各
ポイントの実現方法について非常に概念的にしか記載されていない
ことです。
・BSCは業績管理のための仕組みとして作り出されたが、それを
IT戦略の立案やITの投資効果説明のインプットして使用する
場合に、どのような点に注意して作成する必要があるのか。
・BSCはどの単位で記載するのか。どの程度の詳細さで作成す
るのか。
・経営課題からITの投資目的を、具体的にどのようにして導き出す
のか。また、それをどのように表現するのか?
・経営課題実現のためには、IT以外の取り組みが重要である。
またその両者が整合していないと効果は期待できない。
IT以外の取り組みとITとの関係を、だれがどのように整理する
のか。
等々
具体的にどのような検討を行い、どのように作業を進めれ
ば、上記が実現できるのかが分からないことです。実現方法が
提示されなければ、絵に描いたもちに過ぎません。
これまで見てきたように、「経営に貢献するITの重要性」に
ついては広く必要性が指摘され、その実現に必要なポイントを
体系化したフレームワークの提示は進んできています。10年
前に比較して、これは非常に大きな進歩であると感じます。
その一方で、「それがどのようにすれば実現できるのか」に
ついては、まだ具体的に提示されていません。提示されている
考え方の多くが概念的なものにとどまっています。もっともな
概念を並べても、実現できず、効果を得られなければ絵に
描いた餅にすぎません。今後は、概念を組織の実行力、つまり
各種フレームワークや概念をインタンジブルズに落とし込んで
いく方策の拡充が必要です。
「ITの戦略的活用」というテーマは、考え方の整理から実現に
向けて次のステップに進む必要があると感じます。
つづく
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COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その2
先日の続きです。
前回の記事では、会社の仕組みとして次の①~⑥を提示した上で、
ITに関しては、①の戦略から他の仕組みが落とし込まれておらず、
それがITが経営に貢献できていない理由であるとの問題提起を
しています。
①戦略
②事業計画
③業務プロセス(製造設備等各種経営資源を含む)
④組織
⑤人材(スキル・ノウハウ)
⑥経営管理の仕組み
前回の記事はこちら
COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その1
ここからが、続きです。
このように従来のIT部門の位置づけを捉えた上で、近年の「経
営に貢献するIT」を実現するための取り組みを振り返ると、す
べてのおいて「① 戦略」部分の強化がテーマになっています。
COBITやValITはガバナンスがテーマですが、何を基準に統制を
かけるかというと、それを「事業戦略や事業方針」に求めています。
つまり、ITがどうあるべきかを事業戦略の中で明確にし、それが
実現されているかどうかで統制を行います。このため前述の
①~⑥の仕組みでいうと①の部分をどのような観点で整理すれば
IT統制に活用できるようになるかが、非常に重要なテーマに
なっています。COBITでは、このような①部分の整理と整合性
とりながら⑥のどのように管理すべきかというフレームワークの
定義を試みています。
また、EAは、「経営に貢献するIT」の導き方(方法論)です。経営
戦略から業務プロセスやITのあるべき像を設計する考え方、検
討の進め方が中心になっています。検討対象は、データアーキ
テクチャ、アプリケーションアーキテクチャ、テクノロジーアーキ
テクチャなどあるべきITの設計が中心となっていますが、その
「あるべき像」の方向性を与えるものとして「事業戦略」を位置づ
けています。事業戦略から如何にビジネスアーキテクチャを導き
だし、さらにITの仕組みであるデータ、アプリケーション、テクノロ
ジーの各アーキテクチャを描き出すか、その方法論がEAです。
前述の①~⑥の仕組みでいうとEAは③の設計が目的となって
います。その③を設計するにあたり、どのような③を設計するの
かの方向付けとして「① 戦略」からの落とし込みを志向してい
ます。
さらに、UISSは「経営に貢献するIT」を実現するために必要と
なる人材像の整理を行っています。「経営に貢献するIT」を考え
た場合に、COBITやEAでの検討と同様に①の戦略から必要と
なるITを導き出すことが重要であるとの認識に立っています。
このため、従来からの開発・運用面のスキルを持つ人材である
プロマネ、設計、開発、運用の各要員に加えて、事業戦略から
必要となるITを導き出すスキルを持った人材としてのストラテジ
スト、アーキテクトといった人材像が加えられてきています。
この新たに追加されてきている人材像は、①②から③を導き
だす人材であり、「経営に貢献するIT」ということの実現のために
必須の人材であることが強調されています。
前述したような間接部門的な運営形態にあったIT部門を、事業
部門と同様に事業戦略に直接ひもづいて、事業を成功させる、
競合他社に勝つための役割を担う組織に変えるための取組が、
COBIT、ValIT、EA、UISSなどの取組です。
そして、これらすべての取り組みにおいて、「事業戦略の実現に
貢献するITを如何に実現するか」という点が、もっとも重要な
ポイントとして、検討の中心になっています。
つづく
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COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その1
10月に入ってからしばらくの間、ここ数年のITに関する各種
取り組みの再確認と「ITの戦略的活用」という側面からの関
係性について整理を試みてきました。一旦、中間のまとめを
したいと思います。多少長い文章になりそうですので、何回か
に別けて記載したいと思います。
ここ数年ITの世界では、今回取り上げたようなCOBIT、Val IT、
EA、UISS/ITSSなど様々な取組が進んでいます。SOX法の
絡みでITガバナンスが注目されたり、情報システム試験の改
革でスキル標準が注目されたりと、取り上げられ方が異なる
ためバラバラの動きのように見えますが、実はそれぞれの
検討目的は共通しています。各取り組みの説明資料の主旨、
目的を読むと、必ず「経営に貢献するITを実現する」との意
味の文言が見て取れます。では、それぞれが「経営に貢献
するITを実現する」にどのように関連しているのでしょうか。
COBITのガバナンスの話にせよ、UISSのスキル標準に
せよ会社の仕組みに関わる話なので、ちょっと話がずれま
すが、会社の仕組みについて一旦整理をしたいと思います。
その会社の仕組みとITの関係を明らかにした上で、それを
改善するための取り組みとしてのCOBIT等の各種取り組
みがどのように関連しているのかに説明を進めていきたいと
思います。
会社の仕組みを社内に限定して考えると次のような要素か
らなっていると思います。
①戦略
②事業計画
③業務プロセス(ITや製造設備等各種経営資源を含む)
④組織
⑤人材(スキル・ノウハウ)
⑥経営管理の仕組み
事業の主体は③④⑤ですが、それに目標・方向付けを与え
ているのが①②、そして目標どおりの成果を③④⑤が上げて
いるかを確認し、正しい方向に導くのための仕組みが⑥です。
この仕組みは、事業という単位で捉えても上記の通りですし、
特定の部署の単位で捉えても、基本的には同じような仕組み
で運営がなされています。
当然IT部門も例外ではなく、上記の仕組みで運営がなされて
いるはずですが、ITに関する①がない状態で②~⑥の仕組み
が作られていた場合が多かったように感じます。例えば、各事
業部門から集められたIT化要望を取りまとめたIT予算②を
ベースに、その要望を実現するための開発体制と既存システ
ムの運用体制(③~⑤)が作られていました。そして、そのITを
管理する仕組み⑥は、IT部門の予算管理が中心となっていま
した。
IT戦略が立てられている場合でも、多くの場合、ダウンサイジン
グや基幹システムのパッケージへの移行、メールやグループ
ウエア等のコミュニケーションシステムの導入など、IT側面から
インフラ整備計画の要素が強く、事業戦略と一体化したIT戦略と
いえるものではない場合が多かったように思います。
会社の仕組みである①~⑥は、如何にして事業を成功させる
かという①の戦略に直接的にひもづいて成り立っています。
プロフィットセンターとして位置づけられているかどうかは別に
営業部門でも製造部門でも、事業部門は戦略と直接的に
導き出される形で仕組みが構築されています。しかし、IT部門に
関して言えば、「戦略」から直接的にではなく、「事業部門の要
望に応えるために」というところから②~⑥の仕組みが形作ら
れているように思います。
会社の中で、戦略との関係性で見た場合にIT部門と同様な
位置づけにあるのは、間接部門が当てはまります。事業戦略と
の関係が希薄であり、要望されることを如何にミスなく、低コスト
で実現するかと言う観点で仕組みが作られています。
つまり、従来のIT部門は、経営者がいくら期待しようと、社内での
位置づけ、運営のされ方などは間接部門的であり、「経営に貢献
する」といっても、それは戦略への貢献ではなく、できることはコ
スト削減ぐらいの裁量しか与えられていなかったといえるのでは
ないでしょうか。
つづく
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経済産業省+IPA 「共通フレーム2007」
共通フレーム2007とは、経済産業省とIPAが取りまとめた
ソフトウエアの企画から開発、運用、保守、廃棄までのライフ
サイクル全体に対して「誰が何の作業をおこなうべきか」を
規定したものです。これまでは「共通フレーム98」がありまし
たが、ITを取り巻く環境が大きく変化してきているため、この
たび改定がなされたとのことです。
詳細については、10月25日に書籍として出版がなされるとの
ことで、私もまだ中身を確認できていませんが、日経コンピュ
ーターの10月15日号に記事が記載されています。
共通フレーム98から2007への改定の中で、重要なポイントは、
従来の上流フェーズを拡張し、超上流という考え方を導入して
いることです。超上流とは、ソフトウエア開発における最初の
作業である要件定義の前段階の作業で、経営的視点から全
社のシステム化の方向性を整理するフェーズやそれを受けての
システム化計画の立案フェーズのことです。
(方向性整理+システム化計画+要件定義を超上流としている
ようです)
ITの経営における重要性が増してきていることを踏まえ、個別
ソフトウエアの開発だけでなく、経営的な視点からITの活用の
あり方を整理し、その内容を踏まえて個別のソフトウエア開発が
なされるような仕組みが検討されているようです。
イメージとしては・・・・
あるソフトウエア開発に際して、要件定義を行ったところ、A、B、
Cの3つの要件が導き出された。しかし、今後計画されている新
事業を想定すると、既存事業に特化したソフトウエアの開発では
なく、両事業で共通的に活用可能でできるA、Bの二つの要件で
ソフトウエア開発を行い、以後の事業展開を見た上で、拡張を
図るほうが投資対効果が高いと判断した。この結果、今回の
案件は、要件を一部限定したA、Bのみの開発にと留めることと
なった。
と、いう感じではないでしょうか。
利用者的視点からあるべき像的に抽出された要件に先立って、
経営的視点(事業の行く末、事業戦略、スピード感、投資余力など)
から前提条件を整理するフェーズを設けたということです。
(実際の運用においては、上記のイメージで示したように、ToBeと
しての要件に対して、前提条件を適用して制約を加えるという形に
なるのではないかという気がしますが)
COBITやEA、UISSなどここ数年進められている取組みと同様、
共通フレーム2007も、ITの開発において経営の意思、意見を
如何に取り入れるかが、課題となっていることを表しています。
共通フレーム2007が、この課題についてどこまで具体的に実現
方法を提示しているのか不明ですが、今後確認したいと思います。
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