COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その5 | インタープレイ コンサルティング 株式会社  Blog

COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その5

 
昨日の続きです。

 

EAなどの各種取り組みが、「事業戦略から必要となるITを

如何に導きだすか」についての概念やフレームワークの定

義が中心となっているのに対して、拙書は「どのように実現

するのか」を明らかにしていることに違いがあることを昨日の

記事で指摘しました。

 

昨日までの記事は

COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その1

COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その2

COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その3

COBIT等各種取り組みと「ITの戦略的活用」の関係についてのまとめ その4


もう一点の違いとして、各種取り組みが、ガバナンス、IT投資

マネジメント、戦略からITを導き出すための方法論、ITスキ

ル標準など、検討の範囲を一つのテーマに絞っているのに

対して、拙書では、戦略からITを導き出すための方法論と

IT投資マネジメントの2つを併せて検討を行っています。

 

この違いも、フレームワークの整理を目的とするのか、実

現の仕方まで見据えて検討するのかのスタンスの違いから

現れるものです。概念やフレームワークの定義だけであれば、

テーマを切り分けて、それぞれについて定義を行う方が分かり

やすいと思います。しかし、導入し実現を図る場合、戦略から

ITを導き出すための方法論とIT投資マネジメントの2つは、

一緒に検討することが必要であると私は考えています。

 
「経営に貢献するIT」を実現するためには、戦略や事業計画の

実現に対するITの役割を明確にすることが基本となります。

例えば、お客様サービスセンターのようなアフターサービス業

務をイメージした場合、お客様へのサービス向上のために、ア

ウトプットを出すまでのリードタイムの短縮が戦略として課題に

挙がったとします。その場合、実現のために、人員の増員、人

員のスキルの向上、業務フローの改善などに加えて、ITでどの

ような支援ができるのかを検討し、実現することが必要です。

 

一定の期間を設けて、組織として多くの人が関与しながら取り

組みを進める場合、取組が計画通りの成果を上げているかど

うか、あげていない場合は対策をとるなど、マネジメントが必

要となります。よくある例としては、マネジメントと称して、次の

ような管理がなされている場合があります。

 

 人員の増員 
   ・・・ 月別に計画された増員計画の達成状況

 

 人員のスキル 
   ・・・ トレーニングの受講進捗

 

 業務フローの改善
   ・・・ 改善作業計画の進捗状況

 

 ITによる支援
   ・・・ 構築計画の進捗状況

 
進捗どおり取組が進んだからといって、戦略上期待している
リードタイムの短縮が実現されるわけではありません。重要

なのは、それぞれの取り組みを実行した結果、期待した成果が

上がっているかどうかです。マネジメントすべきは作業進捗では

なく、成果が上がっているかどうかです。

 

この成果をマネジメントするためには、各取り組みにて出す

べき成果(パフォーマンス)を明らかにしなければなりません。

また、最終のリードタイムの短縮は、個々の取り組みの成果の

総体として実現されるわけですから、リードタイムの短縮の

度合いと、個々の取り組みの成果は関連を持っていなければ

なりません。つまり、単純化して記載すれば、以下のような形で

それぞれの取り組みで実現すべき成果(パフォーマンス)を

明らかにする必要があります。


 

 リードタイム削減 x分
         =
 増員によるリードタイム削減成果   a分
         +
 スキル向上によるリードタイム削減成果  b分
         +
 業務フロー改善によるリードタイム削減成果  c分
         +
 ITによる支援によるリードタイム削減成果  d分

 

 

例えば、回答作成のために過去事例のDBを整備することで、

従来の冊子での参照と比較して、検索時間を半減するので

あれば、この半減時間が、ITが行える削減成果となります。

そして、構築されたこの過去事例DBシステムが、冊子での

参照と比較して過去事例を参照する時間を半減できているか

どうかがマネジメントの対象となります。

 

しかし、ITの成果である過去事例の参照時間の半減は、シス

テムの機能(例えば、検索レスポンス時間)だけで決まるわけ

ではありません。十分な過去事例の蓄積がないとそもそも

検索にヒットしませんし、お客様へのヒヤリングから事例を

検索するキーワードを適切に定義できないと、事例がDBに

蓄積されていてもヒットせず、結果事例の参照時間は短縮され

ません。

 

計画した成果が出ているかどうかを継続的にモニタリングし、

出せていないのは何に原因があるかを明らかにし、期待された

成果が上がるまで、ITの機能、ITのスペック、ITの利用環境、

IT利用者などの対象の改善を行うマネジメントが必要です。

このITそのものと、ITを活用する業務や人員を含めた改革を、

システム構築後に継続的に行い、成果が上がるまでマネジ

メントすることで「経営に貢献するIT」が実現されます。


ちなみに、経営課題であるリードタイムの削減(X分削減)が

KGIであり、ITによる過去事例の参照時間の短縮(d分)が

KPIに該当します。

 

 
一方、EA的な側面から考えると、経営課題であるリード

タイムの短縮が実現された後の事業の姿が、将来アーキテク

チャーです。ビジネスアーキテクチャでは、増員後の組織

体制があり、業務フローが変革されています。そしてその

業務において過去事例検索システムが利用されるようになり、

それがアプリケーションアーキテクチャの中で定義がなされて

います。


この将来アーキテクチャの設計においては、経営課題で

あるリードタイムの削減(X分削減)を実現するためには

という視点で、ビジネス、アプリケーション、データ、テクノ

ロジーの各アーキテクチャーが検討されます。
(通常は戦略課題は一つではなく、複数の課題が設定され、

それらのバランスを取りながら各アーキテクチャーの設計を

行うことが必要です)

 

つまり、前述した経営管理での管理対象となるKGIとKPIを

明らかにする作業が、EAなどの「戦略から必要となるIT」を

導き出す作業そのものに該当します。


戦略を立案し、EAなどのように推進後の将来アーキテク

チャーをデザインし、改善内容をKPIとともに明らかにします。

取り組みを推進し、定期的にその実現状況(KPI)のモニタ

リングを行い、KGIが達成されるまで改善を繰り返します。

これらの一連の仕組みが、セットで運用されて始めて

「経営に貢献するIT」が実現されるのです。


KGI・KPIマネジメントを軸に、「事業戦略から必要となるITを

如何に導きだすか」という方法論と「その実現を如何にマネジ

メントするのか」という経営管理のあり方を併せて、拙書では

実現方法を提言しています。


柴崎 知己
~経営戦略の実効性を高める~ 情報システム計画の立て方・活かし方
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つづく。




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