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BIツールの効果


日経コンピュータの2008年6月1日号のP28に、データを読むという

コーナーがあり、そこにBIツールの導入効果について記載が

ありました。(調査をしたのはアビームコンサルティング社)



その調査結果を見て、「ITで経営に対する効果を出す」ということの

難しさについて改めて考えさせられました。



調査結果によると

BI導入企業に導入効果を尋ねたところ・・・


96% 多様な切り口によるデータ参照

96% レポート作成作業の省力化

91% レポーティングの早期化

87% 適時でのデータ参照

------

64% 課題の早期把握による迅速な対応

58% 情報共有による社内コミュニケーションの円滑化

53% 効果的な施策の立案

49% 問題点の原因究明による適切な対応

------

47% 業務プロセスの改善

33% 顧客に対する理解の深耕

11% 新商品/サービスの開発



上記のアンケート結果を ----で3つの象限に区切っていますが、

アビーム社の調査報告レポートでは、上から順番に、以下のような分類が

なされています。


 ①データ可視化

 ②分析的活用

 ③戦略的活用


多くのBI導入企業では、①のデータ可視化は成し遂げられているが、

分析的活用が実現できているのは約半数程度、戦略的活用に

いたっては、一部の企業しか実現できていないということのようです。



①の効果を得るためには、BIツールを導入し、データが蓄積されれば

ほぼ実現可能だと思います。なぜなら上記①に関する直接的な

機能がBIツールの機能として提供されているからです。いわば、

BIツールを使いさえすれば効果を得られるという類の話です。

(データの品質が低く、効果が出ないという事もありえますが・・・)


一方②、③については、BIツールを使えばおのずと効果が出るという

ことではなく、BIツールを使って何かをするという『能力』が必要に

なります。



例えば、『顧客に対する理解の深耕』というのは、


「BIツールを使い、蓄積された販売実績や顧客の販売行動の

情報を分析し、自社商品の購買可能性が高い顧客属性とか、

購買タイミングを突き止める。」といったようなことを行うことを

指しています。このような分析を行うためには、販売行動として

どのような情報を把握すべきか、その情報をどうやって集めるか、

集めた情報からどのように分析して、仮説を導き出すのか、

仮説をどうやって検証するのか、これら一連のことを繰り返し

行い、いかにして結論に達するのか・・・・等々、行うべきことが

多数あり、またその実現は簡単なことではありません。


上記は一例ですが、ビジネスを推進し、成功を収めるために

何が重要なのか(競争力の源泉となりうるのか等)を考え、

その答えを見つけるために、上記のように何をなすべきかを

考え、実行し、結論を導き出すというのは、組織として相当な

高い能力が必要です。

その能力が不十分な組織に、いくら洗練されたBIツールを

導入しても、②や③といった期待されるような効果を得ることは

困難だということです。



ITの機能が自動的に効果を生み出すのではなく、そのITの

機能を使いこなすという組織能力が効果を生み出すという点が

アンケート結果からよく分かります。

これらは、BIツールだけでなく、SCMシステムにせよ、CRM

システムにせよ、同じことが言えるのだろうと思います。


経営者のITに対する期待が、上記で言えば①ではなく、②から

さらに③の象限へと移っていっている現状にあって、IT部門を

はじめIT担当者は、組織力の醸成とITによるその発現ということに

大きな関心を寄せる必要があると思います。





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中小・中堅クラス企業のIT活用の問題点


ITProで『コンサル泣かせの現場 “小さな王国”の弊害 』という

記事が掲載されていました。


私も、中小・中堅クラスの企業でお仕事をさせていただいたことが

何度もありますが、この記事に記載されているようなことは、

大なり小なりあることです。むしろ、中小・中堅企業でITを活用しようと

思うと、記載されているような「ITの管理者」がいないと、無理だろうと

思います。



中小・中堅クラスの企業の経営者から、自社のIT活用の状況の

妥当性について調査、評価を依頼されることもあります。

調査依頼の観点は、以下のようなことが多いです。


 ・コストとITの効果について、他社と比較して妥当か?


 ・現状のIT支出に無駄はないのか?(削減策はあるか)


 ・自社のIT要員は、現状のIT環境が最善といっているが、本当か?

  代替策はないのか?


 ・老朽化した現状システムを、最新のIT技術で代替すべきか?

  (実現性の評価、投資対効果、その他影響度の評価)



実際に調査をすると、多くの場合、IT環境については20年以上近く前に

構築されたオフコンのシステムが使用されていたりと、旧態然とした

状況にあることが多いです。各アプリケーションは、機能組織の業務

分掌に基づいて構築されており、業務間の連携はなく、その間を

書類・伝票の回付でつないでいるという状況です。


インターネットにせよ、雑誌にせよ、メディアからは最新のIT活用に

ついての情報があふれており、それと自社の老朽化したIT環境を

比較すると、「適切に運営できていないのではないか」「もっと、よい

やり方があるはずだ」と疑問を持たれる経営者の気持ちは

よく分かります。


しかし、現在提供されているIT関連製品やサービスの中から厳選し、

自社に適用すればもっと効果の得られる、すべてが解決するかというと、

そうはいかないのがIT活用の難しいところです。



このブログでも何度も取り上げていますが、ITを活用し効果を得る

ためには、インタンジブルズが重要になります。インタンジブルズとは

「見えない資産・能力」のことで、限定して言えば、ITを使いこなす

能力のことです。


たとえて言うなれば、同じゴルフクラブを使っても、使う人により

スコアは異なります。それは、ゴルフクラブの性能以上に、使う人の

能力に、成果が依存するからです。ITは、いわばゴルフクラブの

ようなもので、ITそのものに性能があるわけですが、それを使いこなし

成果を得るためには、使う人の能力・力量が大きな意味を持ちます。


中小・中堅クラスの企業では、このインタンジブルズの蓄積が低く、

ITを使いこなすということに、大きな問題を抱えています。確かに最新の

製品やサービスを使用すれば、見栄えがよく、様々な高度な機能を

もった情報システムを導入することは可能です。しかし、そのシステムを

用いて、ビジネス上の効果を出すためには、それを使用する現業部門の

人員、それを運用、メンテナンスするIT部門の人員が、そのシステムを

使いこなせるように、スキルアップを図ることが必要です。

特にIT部門の人員は、これまでの経験やスキルとはまったく異なる

技術を一から学ぶということが求められる可能性が高いものです。


ITProの記事の例では、IT管理者のIT活用能力が、全社のインタンジ

ブルズの最大値になっており、このIT管理者ができること=自社の

IT活用力になってしまっているということです。このIT管理者や事業

部門でITを活用する人たちのIT活用能力を高めない限り、最新の

ITを導入しようが、得られる成果は限定される可能性が高いと

思われます。




中小・中堅企業にとって、最新のIT環境を整備し、自社の競争力を

高めるというのは、有意義なことです。ただ、その実現には、組織の

IT活用能力を向上させることが必須で、長期的な取り組みが必要です。

(単純にITを入れ替えてもすぐには効果はでないということです)


IT技術と組織のインタンジブルズをどのようにステップアップさせることが

短期的な投資対効果の最大化につながるか、長期的な視点と短期な

視点の両方のバランスをとりつつITの導入を検討することが、

中小・中堅企業のIT活用では重要です。


(実際には、上記視点は大企業でも同じです。ただ、大企業の場合は

人員数が多く、様々なスキルセットを持った人がいるため、組織として

もつインタンジブルズに幅があるため、中小・中堅企業ほど制約が

大きくないだけです)



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ITPro : PMBOKの次は「BABOK」が来る?


ITProで、「PMBOKの次は「BABOK」が来る? 」という記事が掲載されて

おりました。



このブログでも、以前に「BABOKっていうのがあるんだ」というだけの

内容で記事を書きました。その後、「BABOK」という言葉で検索し、

当ブログへアクセスされる方が、相当数おられます。それだけ、注目さ

れているのでしょうね。

(アクセスされた方、中身がない記事で申し訳ありません。)


BABOKはまだ英語版しかないこともあり、日本語での情報があまり

ないですが、前述したITProさんの記事では、大きく全体の構成に

ついての解説がなされています。




さて、

以前にも書きましたが、ここ数年、ITの構築/活用に関する

作業領域の拡大が続いています。一昔前は、業務分析が

最上流の作業でしたが、今はビジネス分析が最上流の作業に

なってきています。おそらく、作業領域はさらに拡大され、

経営戦略の立案までITの作業領域とみなされる時代が来ると

感じています。



話がちょっとずれますが、・・・・


ビジネスというのは、当たり前ですが、多くの人が関与して

執り行われるものです。そして、この多くの人がコミュニケー

ションをとりながら、ビジネスの目的のために協業します。


例えばですが、組織というものがなく、集まった人たちが、それ

ぞれ自主的に製造したり、営業したり、ロジスティックスを担当し

たり、原価計算したりと自らビジネスに必要な役割を認識し、

互いにコミュニケーションをとりながら円滑に業務を推進すると

いうことができるでしょうか?


もし、このような形で上手くビジネスをまわそうと思うと、各一人

ひとりがノードとなり、各ノード間でネットワーク型のコミュニケー

ションのチャネルを持って、情報のやり取りをせねばならず、

そのコミュニケーションの負荷だけでパンクすることでしょう。


そのため、ある一定のまとまった業務のくくり毎に組織をつくり、

その組織内では、担当者間で密なコミュニケーションを取りながら

作業をできる体制が作られてきました。例えば、開発、製造、

物流、販売、経理、人事といったようなくくりです。

さらに内部では細分化され、より細かい一定のまとまった業務の

単位毎に下部組織が作られてきました。


この組織間では、システムで言うところのインターフェースの様な

形で、やり取りする情報や物、お金などとそのやり取り方法(XX

会議等)が定められてきました。


これら機能別階層的組織は、多くの人員で役割分担をして作業を

行うためには、情報のコミュニケーションの負荷が甚大で、その

負荷を下げる方法として考え出されたものだと思います。

これは、非常によく考えられたやり方だと思いますが、その一方で

運用する過程で、組織の壁が作られ、組織間の情報のやり取りが

制限されるようになってしまったのも事実です。この組織間の情報

流通の制限を安価に簡単に回避できればよいのですが、その手段が

ないために、一定の問題はあるにせよ、機能別階層的組織が

用いられてきたのだと思います。



一方、ITはというと、当初は、処理性能も扱えるデータ量や内容も

限られていました。このため、当初ITが活用されたのは、前述の

話で言えば、組織として閉じられた業務の一部の情報の処理だけ

でした。しかし、ITの技術が進歩し、処理性能、データ量や種類も

拡大するにつれ、特に組織内の業務に限定しなければならい

制約がなくなってきました。


組織間の壁により断絶した情報をITを用いて安価に流通・共有

させることで、組織の壁があったがゆえに、非効率になっていた

こと、パフォーマンスを低下させていたことを取り除ける可能性が

出てきています。


ITの技術革新に伴い、ITの適用範囲が、業務から、組織間に

またがる複数の業務、さらにビジネスプロセス全体に広がって

くるということが、当たり前になってきています。

SCMしかり、CRMしかりです。



このような背景を受けて、従来の業務分析ではなく、ビジネス

プロセス全体を理解し、それをITを活用して如何にパフォーマンスを

あげるかという視点が重要になってきています。BABOKが作られ

たのも、また注目されるのも、そのような背景があるのだと思います。


さらに、それを延長して考えると、今後の更なるITの技術進歩に

より、ITの適応領域はさらに拡大すると思われます。


前述したようなビジネスプロセス全体のパフォーマンスをあげる

ためにITを活用するということから一歩進んで、それを戦略的に

用い、他社との競争優位を作る(継続させる)ためにITを用いると

いう風になるのではないかと思います。

(米国を中心にした各種調査会社の調査結果では、その傾向が

見て取れます。)


そのときには、ITを用いて如何に競争優位を実現するかという

戦略をプランニングするスキルを持った人材が求められるように

なるのでしょう。仮にこのような人材のことを、ビジネスストラテジ

ストと名づけるとすると、BSBOKの定義が期待されるようになるの

かもしれませんね。




話は変わりますが、

拙書の「~経営戦略の実効性を高める~ 情報システム計画の立て方・活かし方 (アマゾンへリンクしています)は、どの階層の方を対象にした書籍かというと、ビジネスストラテジストでは

なく、ビジネスアナリスト向けの書籍だと思います。


ただ、社内に明確にビジネスアナリストという職種はないと

思いますので、その意味で言うと経営企画やIT企画の担当者の

方に使っていただける書籍だと思っております。

(もちろん、経営者をはじめ、いろんな職種の方に読んで

いただけば幸いですが・・・・)


また、そもそもの出版趣旨からは多少ずれるのですが、

バランススコアカード(BSC)の書き方などは、かなり

詳細に記載していることから、ITに関係なく、BSCの書き方の

参考図書として活用していただいたり、情報処理試験の

システムアナリストの論文対策として、アナリストがどのような

観点で仕事をしているのかを追体験する読み物として

活用いただいている場合も多いようです。


皆様のお役に立てれば幸いです。






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IT活用で成果をあげている企業,「コスト削減」より「顧客満足度」を重視


米UNISYSの調査で、『IT活用で成果をあげている企業,

「コスト削減」より「顧客満足度」を重視』という結果がでたそうです。



紹介記事はこちら

IT活用で成果をあげている企業,「コスト削減」より「顧客満足度」を重視



このところ、CIOマガジン、ガートナー、IBMなどの調査結果の

発表が相次ぎありました。その中で、注目している調査項目は、

『企業(経営者)は、ITに何を期待しているか』です。

この観点について、各調査結果はほぼ共通しており、経営戦略

そのものといってよい課題への貢献が期待事項になっています。



今回のユニシスの調査では、次の2点に興味を惹かれました。


① ITから成果を得ていると感じている企業の割合。


② 成果を得ていると感じている企業とそうでない企業では

   ITへの期待に違いがあるか。



①については、約25%の企業が成果を挙げていると感じているとの

調査結果がでています。逆に言えば75%の企業が、ITから適切な

成果を得られていないと感じていることになります。

そもそも期待されている成果が事前に明確になっているのか、

成果を適切に測れているのかなどの疑問もありますが、25%という

数字は、他の設備投資などと比較すると、やはり低いのではないかと

感じます。



②の調査結果については、紹介記事のタイトルどおりなのですが、

注目すべきは、コスト削減より経営戦略の実現をITに期待している

企業のほうが、成果を実感しているということです。


企業(経営者)のITに対する関心が、経営戦略の実現に向いている

ため、戦略的課題にITを活用している場合に、効果実感の評価が

高くなっているのでしょうか。それとも、従来から取り組まれていた

コスト削減と、近年取り組まれるようになった戦略的課題を比較した

場合、コスト削減はマンネリ化しており、少々のコスト削減では

満足できない。戦略的課題は、目新しく、ちょっとした効果でも

今までなかった分、新鮮に感じ、効果を大きく感じるということも

あるのでしょうか。


詳細はよく分からないのですが、それでも、ITの経営に対して

果たすべき役割が確実に変わりつつあるということを感じます。




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『松下電器の経営改革』を読んで



「松下電器の経営改革」 伊丹敬之他編著 有斐閣 を読みました。



松下電器の経営改革 (一橋大学日本企業研究センター研究叢書 2)



【目次】 

 第1章 中村改革の意義

 第2章 雇用構造改革

 第3章 事業構造改革

 第4章 家電営業改革

 第5章 管理会計とバランスシート改革

 第6章 IT革新

 第7章 テレビ事業に見る中村改革

 第8章 利益率に見る中村改革

 第9章 不変の経営離縁

 第10章 中村邦夫会長インタビュー

 第11章 歴史は跳ばない、しかし加速できる




この書籍は、松下電器産業が2000年から2006年にわたって

中村社長の下で行った経営改革について、一橋大学の伊丹

教授を中心にしたチームが、調査、分析を行ったものを

まとめられたものです。


各企業の様々な取り組みについて、ビジネス雑誌などで

紹介されることも多々ありますが、一企業の経営改革について、

340ページにも渡り、記載されている読み物は、非常にまれで

あり、また貴重であると思います。


ボリュームが多いだけではなく、中身も非常に濃いもの

になっています。行われた改革について、ヒヤリングした

結果を書き並べているだけではなく、市場データとの突

合せによるその時々の改革の意味や重みなどの分析を

行ったり、戦略論から改革の意味を読み解いたりと、

非常に示唆にとんだ内容になっています。



読んでいて、特に強く感じたのは、次の3点です。


① 改革の成否に、タイミングが非常に大きな影響を与える。


② 改革の成否に、改革力とでもいうべきインタンジブルズの

  蓄積が大きな影響を与える。


③ 組織がよって立つ基準(経営理念)の存在




企業なり、ビジネスの仕組みと言うのは、人が作り、人が

動かしているため、人の考え方や意識を変えることが

できるかどうかが、改革の最大の課題となります。しかし、

実際の改革の取り組み、特にその初期段階においては

改革を推進する立場と、現状を肯定し改革に否定的な立場

(改革される側)に分かれることがほとんどです。


誰しもそうですが、それなりに結果が出ているときは、色々

問題があったとしても、現状を変えることには、否定的に

なりがちです。下手に変更することで、現在得ている結果に

悪影響を与えるのではないかというリスクを感じてしまうのは

自分の日常からもよく理解できることです。改革の規模や

影響の大きさが大きいほど、ある程度危機的な状況に

追い詰められなければ、意識改革も起こりえないということが

あるのかもしれません。


中村改革では、大幅な赤字への転落という危機的な状況が

誰の目にも明らかになったこと、及びそれに対して、経営トップが

この状況から抜け出すには、従来タブーであった人員の削減に

まで含みこむ姿勢を見せることで、社内に危機意識が醸成

されらということがあったそうです。


組織を動かすにあたり、期を見る重要性が、この書籍を読むと

よく分かります。




また、この書籍を読むと短期間にこれだけ多くの改革を並行して

実施していることに驚かされます。それを実際に推進した優秀な

人材が数多く存在したことが、中村改革の成功要因の一つで

あろうと感じます。


しかし、これら人材は中村改革で促成栽培的に育成がなされた

わけではなく、それ以前の何年にもわたって様々な改革の取り

組みがなされており、その過程で育成されてきたと感じます。

改革に必要となるスキルは、通常の業務オペレーションで

必要となるスキルとは異なっています。この改革のスキルを、

過去の取り組みでOJT的に習得する機会があり、結果多くの

潜在的改革人材が社内に育成されていたのではないかと

思われます。


無策に現状に肯定し、その結果業績が危機的な状況にまで

落ち込んだということではなく、業績が悪化する過程においても、

改革の努力がなされていたことが、組織の改革力の醸成を実現し、

いざ改革となったときに大きな貢献を果たしていたのだあと

感じました。




また、

中村社長は、大きな意思決定に際して創業者である松下

幸之助であれば、どのように考えただろうかと、いう視点で

何度も自問自答したことが紹介されています。この創業者

の考え方、行動が整理され、まとめられたものが、松下電気の

経営理念になっており、中村社長は、経営理念と改革の方向性を

一致させるということに、心を砕かれていたことが伺われます。


松下電器にとって、経営理念というのは単なるお題目ではなく

社員一人ひとりから見てもよって立つものなのかもしれません。

言い換えれば、松下が松下であるためには、この経営理念と

経営が一致していなければならないということなのかもしれません。

改革によりそこがずれてしまえば、組織・社員の気持ちがバラ

バラになり、松下の再生はありえないということのようです。

だからこそ、中村社長は、自問自答を繰り返し、経営理念と

改革の方向性を一致させることに苦心されたのだろうと

推察します。


経営理念がこれほど重きを成すということに、正直驚きも

しますが、それを感じさせる面白い逸話が書籍の中で

紹介されています。(内容は、書籍をごらんになってください)


また、本書では、経営とITの関係について、色々示唆にとんだ

内容を多く含んでいます。経営に貢献するITとは、経営に貢献する

ITをいかにして実現するかということを考えるに当たって、非常に

参考になります。



おそらく、私が読み取れているのは、この書籍のごく一部のように

感じます。様々な経験を通して少し成長すれば、3年後、5年後に、

また異なる部分が読み取れるようになるのではないかという感じが

します。何度も、読み返したいと思います。





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