ハート働く女性たち…「雀の恩返し 朱雀子」 雀は益虫で稲作や農民の味方・駆け込み寺居酒屋ポン吉 49話

音吉は1階のベランダで「チュンチュン」と騒ぐ雀の鳴き声で目が覚めた。薄目を開けて窓を見るとまだ薄暗いから5時前だと判断したが、これはまだ起きるのは早いと目を閉じた。するとすぐに寝付いたが、やがて夢の中にいるような気分になりなにやら夢を見ていた。この音吉は夢の中の出来事を一生懸命覚えてそれを小説のネタにするクセがあった。つまり、「夢の中でこれは夢を見ているのでこのシーンをはっきり覚えておこう」といつも脳に言い聞かせていた。

そしてこの早朝の夢もそうであった。夢の中には真っ白な生地に青い竹の笹が描かれた和服の若い美女が出て来た。その美女は朱雀子(すずこ)と自己紹介している、そして、
「音吉さん、音吉さんはたしかブログや電子書籍で小説を書いていますよね~」
「はい、今は連載でこの「働く女性たち…駆け込み寺居酒屋ポン吉」と「伏見稲荷大社の物語」の2本を書いています」
「そう、その伏見稲荷大社の物語の話なんですが、そこには雀は稲穂を食い荒らす農民にとっては害鳥と書いてありました。そしてその害鳥の雀を捕獲して食べる「焼き鳥」が伏見稲荷大社の名物だと書かれていますがそれは間違いになります」
「ほう、しかし、稲穂を荒らすことには間違いはない」
「いぇ、私ら雀は稲穂は食べません。それはまだ熟していない稲穂は殻が固くてたべられないのです。そこで収穫の時の落穂を拾って食べているたけです」
「そうでしたか~」
「はい、それだけではなく私たち雀の主食は稲に悪い影響をもたらす虫を食べています。一羽の雀が生涯に捕獲する農民にとっての害虫を約100万匹は食べていますからもし雀がいなければお米の収穫も約半分にしかなりません」
「ほう、それは初耳になる。雀は稲作にとっては害鳥としか思っていなかった」

「はい、昨今流行っている無農薬の稲作には私たち雀や他の小鳥がいなければ一粒のお米もできません」

音吉は夢の中だから寝たままの会話でしかも目はつむっている。さらに朱雀子は、
「今年の冬は珍しく京都は雪の日が多かったのです。ただでさえ冬は虫もいません、食べるのは雑草の種だけですが、その種も雪では見つけられませんでした。私たち雀というのは丸1日もなにも食べなければ死んでしまいます。そんな折に音吉さんは私たちに毎日パンくずを与えてくれました」

この音吉は毎朝行くパン喫茶から食パンの耳をもらっていた。それを細かく刻んで雀というより小鳥に与えていたのだ。そしてこの朝もこの小鳥たちのさわぐ声で目が覚めていた。さらに朱雀子は、
冬場には雀の約半分が栄養失調で死んでしまうのですが、あのパンは雑草の種や虫などの栄養価の5倍は栄養があって、この地域の雀は音吉さんのパンくずをそれぞれ巣に持ち帰り赤ちゃんやお年寄りの雀に分け与えていました。おかげさまで私たちは辛い冬を生き延びこうして春を迎えられました」

その朱雀子はここまで一気に話をしてからスルスルと着物を脱いで真っ赤な長襦袢姿で音吉のベッドに入って来た。音吉の脳は働いているが、身体は「金縛り」になっているのか身動きはまったくできない。やがて音吉は今まで体験したことがないほどの快感を全身で感じていた。もちろんこれが夢の中だということを音吉が音吉にいい聞かしてはいるが、その得体のしれない全身を貫く快感には降参をしておもわず歓喜の声を上げていた。

音吉が二度寝から目が覚めたのは6時だった、ベランダでは相変わらず雀たちがパンくずの餌を待ってるのか、催促をしているのか騒いでいる。音吉はまな板の上にパンの耳を並べて細かく切りながらさっきの夢を思い出していた。たしかにまだ股間にはそんな快感の後の余韻はたしかにあることはあるが、と思いながら餌をお皿に入れて雀にやると一斉に飛びついてきた。

と、その中に珍しい白い雀が一羽混じっていた。その白い雀と目が合った瞬間に音吉の脳に、
「音吉さん、さっきはどうもありがとうございました」
と聞こえるではないかい、その音吉も口にはださないがテレパシーで、
「いぇ、こちらこそありがとうございました」
「もし私でよかったらいつでも…今度は夜にうかがいます」
「それはそれは…ありがとうごさいます」

こんな会話を白い雀としていると携帯電話が鳴った。音吉はあわて電話を取るとそれはパン喫茶のママからで、
「もしもし、音吉どん…生きていますか~」
「あっ、はいはい、生きていますよ~」
「どうしたのいつも7時には来るのに…もう8時よっ!」
「えっ?、そうか~二度寝に三度寝をしていたのか…それにしてもいい夢だった…」
「あらら、そんないい夢を見ていたの?、相手は誰なの?」
「いゃ~雀の…それがあのパンの耳を雀にやっていると…」
「あらら、それって雀の恩返しではないの…ホホホ、そのパンは私のだから、音吉さんは私にもそれと同じことの恩返しをしてくれる?」
「………………」

 
 
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