ハート働く女性たち…「雪女 ゆき」自己破産に自力で挑戦・駆け込み寺居酒屋ポン吉 34話

京都の金閣寺がある北とJR西大路駅近くにある「洋風居酒屋ポン吉」の南の標高差は約55mはある。これは東寺の五重塔が約55mだからこの塔と同じぐらいの所に金閣寺があることになる。たかが55mとはいうが南で雪がチラチラ舞えば金閣寺は積雪5cmの雪景色になる。そんな雪の夜に「駆け込み寺居酒屋」といわれているポン吉の掲示板に美山の「ゆき」という27歳の女性から今から美山を出発して明日の朝に京都に着きますという連絡があった。

ボン吉のマスターの音吉が時間を見ると午後10時だった。そこでゆきのケータイに電話するとゆきは、
「借金の追い込みの男たちが実家の周りで私の家を探しているという情報が友人からあったの。その男たちの車はノーマルで雪で動けなくなっているそうだが、明日の朝になると家に来るから今夜中に実家に迷惑がかからないように脱出するの」
「もしもし、脱出はいいが、もう美山からJR園部駅のバスはないだろう」
「はい、雪でバスも電車も動いてはいません。だから自転車で京都まで走ります」
「おぃおぃ、車でも1時間半はかかる、それに大きな峠が二つもある。自転車では無理だ!」
「いえ、私はロードサイクルでインターハイに出場して優勝していますから、それと美山をでると山の中でケータイは園外になります。音吉さん心配しないでゆっくり寝てください」
というなり電話は切れた。

このゆきは美山の高校を卒業したのちに京都市内のコンピューター専門学校を卒業して大手のアパレルメーカーに就職をしていた。この会社で大手のカード会社のカードをもらいお洒落にかなりの金を使っていた。それが消費者金融のカードに手を出すまでに2年もかからなかった。毎月これらの返済に追われて同僚からの誘いもあり夜のスナックのアルバイトを始めていた。

その生活は派手になる一方で借金も雪だるま式に増えてその額も500万円を超えていた。ゆきはそれらを返すためにはより高給なセクシーキャバクラに勤めていたが、その時の客で会社の総務部の課長に見つかりゆきはあえなく解雇されていた。そしてついに闇金融にも手を出していたが、この闇金融が経営する売春クラブで働いて借金を返せという脅迫が連日あった。このゆきはまだそこまでは堕ちたくはないと駆け込み寺居酒屋で知られる「洋風居酒屋ポン吉」の音吉に相談をしていた。

音吉はそれなら「自己破産」をしてゆきの人生のやり直しを勧めていた。この自己破産というのは弁護士に依頼するのが普通だが、その弁護士費用ももはや工面できないというので音吉はゆきに、
「ゆきさん、それなら少し手間はかかるが自分で自己破産の申請をすれば3万円ほどでできる」
「でも…そんなこと私に…」
「いやPCで
「京都フラワーランジェリー物語 13話(完)」で検索してその小説を読めば誰でも自前で自己破産できます。もうこれを読んで成功した人は数多いと聞いている」

ゆきは音吉のいう通りにこの小説を読んでいた。そこで決心してゆきは美山の役場に
戸籍謄本を取りに実家に帰っていた。そして両親や家族に誰が来ても「もう京都地裁に託してある」といってほしい、それでもなんかあればすぐに110番してほしいという説得をしていた。なにはともあれ大至急「自己破産」の申請をして即日受理されればもう暴力団系の闇金融といっても手も足もだせなかった。その裁判所への申請が明日と決まっていたから、ゆきはこの大雪の中を自転車で京都まで走ってくるという。

音吉は友人の武竜という個人タクシーで国道162号線を美山に向かっていた。タクシーはチェンを巻いて高尾まで来たがここから先は雪で通行止めになっていた。時計を見ると午前3時になっていたが、その通行止めの国交省の役人に聞いてもまだ女性の自転車、もしくは歩いての姿は見ていないという。ゆきのケータイはまだ通じていないから山の中だと判断していた。

午前6時ごろタクシーのライトになにか人影が見えた。それは頭からすっぽり雪を被った女で顔は雪より白くまるで雪女が歩いて来たように音吉も武竜にも見えた、音吉は通行止めの柵から這って出て来たゆきを抱きかかえていた。ゆきは音吉のマンションで風呂に入ってやっと顔に血の気が戻ってきた、そして、音吉に、
「京北町の最初の峠の下りで自転車がパンクしてそのまま歩いてきたの、そんなことより裁判所に出す「上申書」を読んで」という。

そのゆきが書いた「上申書」には、ゆきが最初に手を出したカード会社から始まりそれがやかで消費者金融になり、そして何に使ったか、その借金を月々支払うためにどんな仕事をしたか、そして暴力団金融から売春をせよと迫られたことまで事細かく書いてあった。そして最後には、もし自己破産が認められたら私は今後一生懸命働いて二度と借金をしないという誓約で終わっていた。そして債務者一覧表には14社565万円と書かれてあった。音吉は、
「よし、これは完璧です」

音吉とゆきは一睡もしないで午前9時の一番で自己破産の申請書を提出していた。裁判所の書記官はこのゆきと音吉が弁護士事務所の事務員と勘違いしたのか、
「ご苦労様です。はい、完璧ですから受理します」

もうこの受理が終わればよほどの詐欺的行為がなければ自己破産が認められないことはないが、この判決はこれより数か月はかかり、ゆきは新たな気持ちで当面は「洋風居酒屋ポン吉」でアルバイトをすることになっていた。ゆきは美山から高尾までの8時間もかけて歩いてきたことを一生忘れないと音吉にも更生を誓っていた。

 

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