昭和歌謡あれこれ Vol.20 本当は怖い話?!もしくは自己チュウ? 太川陽介『Lui-Lui』 | 茶々吉24時 ー着物と歌劇とわんにゃんとー
私がパーソナリティを務めさせていただいている
エフエムあまがさきの番組
「昭和通二丁目ラジオ」木曜日。

昭和の歌をお送りする番組です。
今年度から、昭和歌謡のちょっと不思議な歌詞を掘り下げたり、
その曲の思い出を語る時間を設けています。

子ども時代にはよくわかっていなかったけど、
今この歳になって聞くと面白い「昭和の歌詞」を
番組内で深堀りするコーナー。


昨日は太川陽介さんの曲を深掘りしました。

太川陽介さんと聞けば、昭和世代の人はほぼ全員、
「ルイルイ!」と言いながら、
膝をちょいと曲げ、手をクイクイしたくなることでしょう。
『Lui-Lui』は間違いなく、太川陽介さんの代名詞、代表曲です。

太川陽介さんのレコードデビューは1976年12月。
名前は芸名で「太陽」の文字を配置したものなのだとか。
最大のヒット曲になる『Lui-Lui』は
1977年7月に発表された3枚目のシングルです。

それでは歌詞を見てみましょう。
これ以降、勢いに乗っている部分は、
敬称略で失礼しています。ご容赦ください。

『Lui-Lui』
(作詞:石原信一  作曲・編曲:都倉俊一)
眼を醒ませよ さあ眼を醒ませ
ほらほらきみ 食べられちゃうよ
オオカミなんかじゃないけれど
くらくら迷ってしまいそう


眠っている女性を起こすところから始まります。
寝ていたら食べられちゃうよって、
女性にとっていきなりのピンチ!
知らせてくれてありがとうと言いたいところだけど、
よくよく聞いたら、彼女を食べようとしているのは、
起こしてくれた本人ですやん?!
オオカミじゃないから、即パックンとはいかず、
くらくら迷ってしまいそう、というヤワな感じではありますが、
ここまでで十分要注意人物だと判断しますワ。

さみしい夢 いつまでみるの
きみのほほを つねってあげる
これでおしまいと わからせたいよ
さあ踊ろう 太陽の下

さあさ ルイ・ルイ・ダンス
ララ ステップ踏んで
もう恋にやぶれた 昨日はバイバイなのさ
ほらこんなに可愛い きみに逢えたもの
まるでごきげんさ ルイ・ルイさ


私はこの歌が流行っていた当時、
恋に破れて暗くなっていた彼女を、
新しい恋に誘ってあげる歌だと思い込んでいました。
恋に破れた昨日はバイバイだよって。

しかしよくよく読んで考えてみるとですね、
”こんなに可愛い女の子に逢えて、
ご機嫌だ〜ルイルイだ〜”
と浮かれているのは、男性の方なんですよ。
どうなってるんだこれは?
もしかしたら恋に破れていたのは男性の方だったのか?!

だいたい、会って間もない男性に、
頬をつねられたくないっちゅうの!
女の子はそういうことされたら喜ぶとでも?
少女漫画の読みすぎちゃいますか。
気安く触ってくれるな!
まぁ相手がジュリーか、郷ひろみか、あいざき進也なら
話は別やけど。
(太川陽介さんファンの方、スミマセン!
 勢いで言っております)

そもそも「ルイルイ」って一体なんでしょうか。
1960年代の洋楽に、
綴り違いで「Louie Louie(ルイルイ)」という曲があるのですが、
このダンスを踊ろうと言っているのでしょうか?
浮かれすぎやわ。



では二番。

眼を醒ませよ さあ眼を醒ませ
赤い靴は 海にすてたよ
あんまりきゅうくつすぎるから
自慢の素足が かわいそう
小麦色の 肌が好きだよ
もっとそばに 寄ればいいのに
ふるえてるなんて まだ子供だね
さあ踊ろう しぶきのように
さあさ ルイ・ルイ・ダンス
ララ ステップ踏んで
もう恋にやぶれた 昨日はバイバイなのさ
ほらこんなに可愛い きみに逢えたもの
まるでごきげんさ ルイ・ルイさ


赤い靴ってなんですか、
異人さんに連れられて行っちゃった横浜の女の子の暗喩ですか?
靴を海に捨てられたということは、
この女の子が居眠りいていたのは海浜公園のベンチかなにか?
それにしても人の靴を捨てるなんて乱暴すぎるワ。
自慢の素足が窮屈そうで、かわいそうだからって言うけれど、
これは解釈のしようによっては、
この場から逃げられないようにしたと思えなくもない。
そう考えたら、彼女が震えているのは、
恋に臆病になって はにかんでいるのではなく、
実際に恐怖を感じているからじゃないの?

いきなり
「食べられちゃうぞ〜」と起こされて、
履いていた靴をポイっと海に捨てられちゃったら、
普通の女の子なら怯えますよ。
それを「ふふふ、まだ子どもなんだね」って良いように解釈、
「失恋とはおさらばだ〜、ご機嫌だ〜、ルイルイダンスだ〜」と
浮かれている男性。
この歌はもしかして『本当は恐ろしいグルム童話』的な話なのか?!
最大限好意的に見ても、かなり自己中心的な男性の歌だと思うわ。

それなのに太川陽介さんが歌うと、なぜか爽やかな印象しか残らない。
それは太川陽介さんの個性プラス、曲調が素晴らしいおかげでしょう。
さすが音楽界の貴公子 都倉俊一!
(私の勝手なイメージです)
太川さんの「ラ行」の発音が甘いのが気になるけど
新人賞総ナメしたのは納得です。

Youtubeからお借りしました。
アップ主さまありがとうございます。


ちなみに「ルイルイ!」のところの手の角度は
「L」の文字を表しているんですってよ。

特にノリの良いイントロのギター演奏を
しっかり聞けるスタジオ録音盤はこちら。
アップ主さま、お借りします。ありがとうございます。


ちなみに私は舞台で太川陽介さんを拝見したことがあります。
1989年、大阪近鉄劇場で見たミュージカル『エニシング・ゴーズ』。
演出・振付 宮本亜門、主演 大地真央でした。
私はもちろん真央ちゃんを見に行ったんですよ。
その他の出演者は、川崎麻世さん、柏原芳恵さん、太川陽介さん、植木等さん。
芸名で説明しますと、もともと真央ちゃんと川崎麻世が恋人同士だったのに、
川崎麻世が柏原芳恵に浮気して、真央ちゃんを捨ててしまうんです。
私は、どこを取っても真央ちゃんが柏原芳恵に負けるはずがないやろ、と
架空の世界なのに立腹していました。
(柏原芳恵ファンの皆さま、すみません)
そして後年、とある騒動でカイヤ夫人に睨みつけられている
川崎麻世を見て、溜飲が下がる思いでした。
(全くの筋違いです。川崎麻世ファンの皆さま、ごめんなさい)

話を戻しますと、恋人に裏切られた真央ちゃんの前に登場するのが、
太川陽介。
なんだか能天気で無邪気な青年にポッとする真央ちゃん……
という展開。
『エニシング・ゴーズ』は
太川陽介さんにとって初めてのミュージカルだったそうですねぇ。
ある場面で周囲に促され、
太川陽介さんが「ルイルイ」をしたのがとても印象に残っています。
おそらく、アドリブに見せかけて毎日させられてはったのでは?
ミュージカルのストーリーには何の関係もないはずなのに、
お客さんは大喜びしていましたよ。
私ももちろん笑っちゃいました。
ともかく場が和みました。

太川陽介さんは『Lui-Lui』を歌っていた当時は、
意味不明だし、振付も嫌だと思っておられたそうですが、
今となっては、財産ですね。


きゅうくつな赤い靴は、
過去に縛られていることの暗喩だとは思いますが、
あえて文字通りに解釈させていただきました。


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