医学ニュースの深層 -93ページ目

首相の晩ご飯

 前に、麻生総理による「俺様のレストラン」でも出版されれば、「ミシュランガイド」なんぞよりも信頼のおけるガイドブックになるだろうと書いた。(11月30日)


 先ほど、何の気なしにスポーツ紙を見てたら、以下のような連載記事を見つけた。

タイトルは「首相の晩ご飯」。毎日、総理がどこで晩飯を食べたかが、淡々とつづられている。


http://www5.nikkansports.com/general/gohan/top-gohan.html



これに、各店の詳細なレポートでもつけて出せばいいのに・・・。




任天堂が世界に誇るWii・・・の症候群って?

「任天堂」が世界に誇る「Wii」。

まだまだ、人気ですな。


さて、その「Wii症候群」なるものが「新しい疾患概念」として最初に紹介されたのは、世界最高峰の医学誌とされているN Engl J Med誌 2007。


 近未来の某国の「医師国家試験」には、次のような問題が出るかもよ(笑)。




問題: 60歳男性。1週間前から続く肩関節と肘関節の痛みを訴えて来院した。肩および肘の疼痛以外異常は認められないが、右手第2指MP関節に胼胝(たこ)を認める。生来健康であり、生活習慣病の所見も認められない。ただし、3ヶ月前にあるゲーム機を購入している。


(1) 考えられる疾患はどれか。


a 変形性関節症
b 関節リウマチ
c 全身性エリテマトーデス
d 骨肉腫
e Nintendo Wii症候群

(2) 適切な治療法はどれか。


a 人工関節置換手術
b ステロイド薬投与
c メトトレキセート投与
d 右上肢切断術 + 放射線照射
e 非ステロイド性消炎鎮痛剤投与 + 一週間のゲーム中断





<解答>

×a 変形性関節症ならばX線にて骨棘形成等異常所見が認められるはずであるが、それがない。
×b 関節リウマチの診断基準を一つしか満たしておらず、除外されうる。
×c 全身性エリテマトーデスの診断基準を一つも満たしておらず、論外である。
×d X線で何らかの所見が認められるはずであるがそれがない。
○e 典型的なWii症候群で、正解。

(2)
×a 単なる一過性の炎症性疾患であり、人工関節置換は禁忌である。
×b この程度ではリスクベネフィットの観点からステロイドは適用にはならない。
×c MTXは慢性関節リウマチの治療に用いるもの。
×d Wii症候群で腕切断するなど言語道断。

○e 適切である。(正解)


・・・dなんかを選んだ医学生は、この時点で他の部分が満点でも「不合格」だな(笑)。こういうのを、医師国試における「地雷」問題といいます。

今年の漢字は・・・

例年のように「今年の漢字」が発表された。

今年は・・・「変」だそうだ。


「株価暴落や円高ドル安など金融情勢の変動や、異物混入に代表される食の安全性に対する意識の変化、日本の首相や米大統領の交代など、政治的な変革などが理由。さらに、ノーベル賞受賞や北京五輪など、日本人の活躍に良い変化があったこともあり、良くも悪くも変化が多い1年で「来年は良い年に変えていきたい」という期待も込められた。」(MSN)


ふ~ん、なんか、しっくりこないな。

去年の「偽」は良かったが。


よくも悪くも変化が多いって・・・世の中、悪い変化ばっかりじゃないか。

「崩壊」の「崩」で、ばっちりだと思ったが・・・。

これからの再生への期待をこめて。

京都大学; がん抑制遺伝子p53の発現抑制は、ヒトとマウスのiPS樹立効率を大幅にあげる

 すでに中国チームによる論文報告がありますが、京大の山中チームも、がん抑制遺伝子p53の発現を抑制することによって、ヒトとマウスのiPS細胞の樹立効率を改善することができたようですね。神戸で開催されているBMB2008で発表されたようですね。


 マウス:p53のノックアウトマウス由来の線維芽細胞に「山中ファクター」を導入すると、5%以上の確率でiPS細胞が作製できた。これは、かなり大幅な改善ですな。

 また、p53遺伝子をノックアウトした方が、c-Mycを入れたほうよりも強力にiPS細胞樹立が促進されたとのこと。

 ヒト:中国チームとは異なり、p53siRNAでp53を抑えるのではなく、p53遺伝子のドミナントネガティブ遺伝子を「山中ファクター」と共に線維芽細胞に導入することで、表題の事項をヒトでも証明したそうです。
なお、p53siRNAの使用の場合でも同様という報告。


 癌抑制遺伝子の代表格の発現を抑制することでiPS細胞の樹立が加速されるというのは、iPS細胞と癌細胞が、ある意味、良く似ているということ。どこをどういじれば、iPS細胞の癌化リスクが避けられるのか?ここから、面白いヒントがでてくるでしょう。

 ・・・で、我々は、もうやりました(笑)。ちょっと違うアプローチですが・・・。


 なお、薬剤でp53の一過的な抑制を誘導することが、当面の間は、最も安全かつ効率的な樹立方法になりうるとは思われます。

京大iPS細胞研究センターと海外企業の協定・・・どうした?オールジャパン

 さて、仕事を終えて、一端帰宅しようかと思ってたら・・・次のようなNewsに出くわしました。


yahooニュースから・・・「京都大は9日、人工多能性幹(iPS)細胞をヒトの膵臓(すいぞう)細胞に分化させる研究で、 米企業ノボセル社と提携したと発表した。同大iPS細胞研究センターが海外の企業と協定を結ぶのは初めて。
 同センターによると、ノボセル社は糖尿病の細胞治療法開発などを行っており、ヒト胚(はい)性幹(ES)細胞から膵臓細胞を作成することに成功している。提携により、iPS細胞からの分化に取り組み、糖尿病の病態解明や再生医療につなげたいという。」
・・・ということです。


 ヒトiPS細胞(皮膚繊維芽細胞由来)から膵臓細胞、あるいは肝細胞に分化させるのは、神経や心筋細胞に比べて、まだ難しいというのが現状です。ヒトES細胞からそれらの細胞への「分化誘導」成功例を、そのまま拝借してやっても、あんまりうまくいきません。ちなみに我々は、「肝細胞への分化誘導」を成功させつつありますが、今、詰めの段階・・・。もう、研究費が底をつきそうだが、懸命にやってます(自腹もふくめて)。


 ヒトES細胞から膵臓細胞への分化誘導プロトコールの1つを持つ海外企業と協同して行うことを京大が決めた。これは、その「海外企業」が持つ分化誘導プロトコールが、ヒトiPS細胞から膵臓細胞への分化誘導を行う際にも、少なくとも現状では世界で一番役に立ちそうだという判断をしたからでしょう。特許の点では、ほぼ5分5分のクロスライセンスだと推察します。


 iPS細胞研究「特需」で急にお金持ちになった、オールジャパン(仮)メンバーの大学研究者の方々(京大以外)・・・ちゃんと仕事をしましょうよ(笑)。それにしてもiPS細胞研究論文、この1年、1つも出さなかったね、京大を除いては。

 そもそも、ヒトiPS細胞自体、彼ら(京大を除く、他の日本のチーム)がちゃんと樹立できているのか???ですが・・・。


 もう、今のオールジャパンは、1回、年内解散しませんか?

来年、春あたりまでに、野球のWBC開催とともに、このときまでに海外一流誌に載せた大学・研究機関のみで再結成!というのは、いかがでしょう?

 


ロールケーキ

 今日(正確には昨日)は、元 学生さんから、堂島ロールをいただきました。

堂島ロールは、日経新聞朝刊の「日経PLUS1」の「何でもランキング おすすめのロールケーキ」で全国第1位に選ばれた売れ筋のケーキ。

東京では、銀座で買えるそうです。しかし、行列が大変なようで・・・。


こちら(東京)では、自由が丘ロールっていうのがあるそうですね。



人生…いきあたり、ばったり!-ロールケーキ

ごちそう様でした!



ヒトiPS細胞に関する京大シンポのマスコミ報道に関して

 すいません。久しぶりの更新なのに、テーマが堅くて。


 京大への出張の合間に、時間が断続的に開いたので、以下のシンポをみてきました。山中、岡野先生の講演及び質疑応答が終わると(約1時間)、会場の大半の方々が席を立ちました。私も当然、その1人でした(笑)。


 ・・・で、京都新聞に関連記事が載っていたので、見ました。


 「慶応大医学部の岡野栄之教授らのグループは4日、ヒトiPS(人工多能性幹)細胞から作った神経幹細胞をマウスに移植して、運動機能の回復を確かめる実験を始めたことを明らかにした。すでにヒトES(胚性幹)細胞で治療効果を確かめており、岡野教授は「来年にもサルで実験し、人の脊髄(せきずい)損傷の治療に近づきたい」としている。 同日、京都大(京都市左京区)で開かれた慶大と京大の連携記念シンポジウムで、山中伸弥京大iPS細胞研究センター長とともに報告した。 ヒトES細胞やヒトiPS細胞から神経細胞の元となる神経幹細胞を作り、脊髄の一部を壊して下半身の運動機能を低下させたマウスの脊髄に移植した。先に行ったES細胞での実験では、80日後に移植しないマウスと比べると、後ろ脚の運動機能が明らかに向上したという。 グループはこれまでに、マウスのES細胞で運動機能の回復に成功していた。 ヒトiPS細胞の実験は年明けにも結果が出る見込みで、引き続いてサルで実験する。臨床応用について岡野教授は「がん化しない細胞を選別する技術を確立し、安全性を高めることが必要だ」と話している。



 なお、日本経済新聞は、京大がALSや筋ジス患者などの皮膚からiPS細胞を樹立したという、ハーバード大学がすでにやってるものをわざわざ「社会面」に持ってきていましたが・・・。


このシンポの注目点は、そんなところでは、ありません!


 ただ、京都新聞が最後に少しだけ、触れていますが・・・。

iPS細胞を使う再生医療では、癌リスクを避けなければなりません。

周知のようにC-Mycを使わないことで、それは、ある程度避けられます。

このシンポでは、C-Mycを用いない3因子で樹立されたiPS細胞から神経幹細胞へ分化させて移植する際に、まだ未分化な細胞(神経幹細胞になりきってない奴=つまり「不純物」)が0.05%ほど混じっていると、マウスに癌が発生したということです。「しっかり、神経幹細胞に分化した細胞のみ」を移植したマウスでは癌が発生していないとのことです。

 それで、今後の対策としては、セルソータで、そういう「不純物」を除くことが確実にできるようになれば更に安全性が向上するだろうという報告でした。


 それから、癌の発生メカニズム解明、あるいは癌治療のためにiPS細胞を利用する価値に関する話題、それと「iPS細胞の個性」に関する話題が、質疑応答の場面の中で印象的でした。

 まあ、それは将に今、私がやっているからですが(笑)。


 なお、このあとの17時くらいからの再生医学研究所の講演(英語)で、山中先生が、最近、サイエンス誌上で報告された研究を紹介されておられました(事前登録がいりますが、公開されています)。

 その内容は、「ウィルスベクターを用いずに人工多能性幹細胞(iPS細胞)を樹立することに成功」・・・「京都人」さんの丁寧かつ詳細な解説を参照してください(彼のブログの10月10日あたりを)・・・というものです。



 私が、注目していたのは、この方法(ウィルスベクターを用いずにプラスミドを使う)で樹立されたiPS細胞では、マウスに癌が発生したのか否か?という点でした。

 

 結論としては、すべての報道・・・「癌化リスクが減るとか、安全性が向上する」・・・といった報道結果は「裏切られ」て、私の予想通り、マウスに癌が発生しました。

 通常のレトロウイルスを用いてC-Mycを除く3因子で樹立されたiPS細胞からでは、癌が発生しなかったわけですが・・・。


 山中先生は、1枚のスライドを示し、このことをお示しなさり、「やはりC-Mycを使ってたからだろう」と、言われていました。


 c-Mycを省いた上でのウイルスの使用は、意外にも安全かもしれませんね・・・更なる研究が必要ですけれど・・・。

 今後、ウィルスベクターを用いずにプラスミドを使って、C-Mycなしで、iPS細胞を樹立する場合であれば、VPA(バルプロ酸)を投与すべきだなと、思いました。まあ、たぶん、山中先生らも、その方法を試しておられることでしょうが・・・。

 その方法なら、たぶん、うまくいきそうに思います・・・。まあ、ウイルスを使う方法であれば、規制当局も将来的に、臨床での使用を承認しにくいようなので、是非、この方法で成功できればいいですね。


 で、ここまでで言いたいこと。それは・・・。

 

 せっかく、非常に誠実に山中先生が、ここまで公開されておられるのだから、これこそ、リアルタイムに報道すべき内容でしょう。なのに、報道しない。

 なんで???


 それとも、何か。ほんの1ヶ月前の各紙1面で取り上げた話題の価値が下がるとでも思ったのか?(まあ、勝手に最新の方法なら、より安全だと解釈したマスコミが、誤報となるのを恐れたのか?)


 大事なのは、医学・医療報道では特に、リアルタイムでリスク・ベネフィットの報道を行うことです。


 せっかく、山中先生が誠実に、希望と限界をまさにリアルタイムで報告されているのに・・・。

「ドナーの気管と自分の幹細胞を用いた気管支移植が成功」した論文を基に・・・




 他人から提供された気管(気道)と患者自身の幹細胞を用いて作られた
気管支を移植する手術が初めて実施され、成功していることが報告された。
 患者はスペイン、バルセロナ在住の30歳の女性Claudia Castilloさん。
彼女は15歳と4歳の2人の子どもをもつ母親でもある。
 現在のところ拒絶反応を予防する免疫抑制薬の使用が不要で、
子どもの世話をすることが可能になったほか、階段を上ることができるようだ。


 手術を実施したスペイン、バルセロナ・ホスピタルクリニック、

英ブリストルBristol大学、イタリアのミラノ工科大学

及びパドゥアPadua大学の医師らは、今回の手術経過を英医学誌「The Lancet」

オンライン版で11月19日に報告した


 Castilloさんは4年前に咳(せき)の症状が続き、結核と診断された。

その後、肺虚脱にまで至った。

その後、今年(2008年)3月には子どもの世話が不可能になるほど容態が悪化。

治療の選択肢には肺摘出もあった。

しかし、その方法では生存できても生活の質(QOL)が著しく侵害される。

よって、バイオ工学によって作られた「新しい」気道の移植を受けることになった。


 研究チームは、患者自身の骨髄から採取した幹細胞から上皮細胞と軟骨細胞を作り、

脳出血により死亡した51歳の女性から提供された7cmの気管にこの細胞を植えつけた。

4カ月後にできた「ハイブリッド」臓器を、6月に患者の左気管支に置き換えて移植。

提供された気管は25回の「洗浄サイクル(washing cycles)」を経て、

移植した組織に対する拒絶反応の原因となる抗原が除去された。

 この手術による合併症はみられず、Castilloさんは手術後10日で退院したという。


 組織バイオ工学は身体の他の部位にはすでに利用されているが、

これまで気道に利用されたことはない。

 米レノックスヒルLenox Hill病院(ニューヨーク)のLen Horovitz博士は・・・

「幹細胞が提供された気管をうまく覆い、気管と一体化すれば拒否反応は起きない。

この種の移植手術は今回が初めてで、幹細胞を免疫モジュレーター(調整器)として利用し、

臓器を元の型から望ましい型へと変換するもの」と説明する。

 その一方で・・・

「幹細胞が気管提供者の細胞の機能をどれほど引き継ぐことができるかで成否が決まる。

この方法が今後の主流となるかどうかには、より多くの患者での研究が必要」という

慎重な意見を述べている。


 米テキサスA&M健康科学センターのRonald Kuppersimth博士は・・・

「免疫抑制薬を使用する必要がない点でこの新しい手術に大きな期待を示しており、

肺癌患者のように免疫システムが低下している患者にも有用なものとなる可能性がある。」

と述べている。



・・・というニュースですが・・・、

この論文をネタにして先ほど学生さん相手にゼミをやってきました。

 元の論文(Lancet・・・医学界のトップ誌に掲載されている)の要旨を当番の方に、

10分でプレゼンして貰って、その後、皆で様々な角度から論文の批評をします。

 その後、それらを踏まえ、この研究を発展させるために、どのようなアイデアがあるか

・・・などを議論してもらっています。



 この論文は、幹細胞研究の現状の到達点を示す論文の1つです。


 ただ、今話題の患者由来のiPS細胞が安全に用いることができるようになれば、

この臨床研究が抱える現状の問題点を大きくクリアできるようになるでしょうね。

患者由来のiPS細胞の樹立効率の向上と安全性の向上は、まだ両立しません。

 が、この問題をクリアする端緒になる発見を我々は、ハーバード大学との共同で

みつけ、今、論文作成中です。


 

iPS細胞研究の続報と・・・

 まずは、京都人さん

http://ameblo.jp/regenerative-kyoto/entry 10120313599.html )も掲載されておられる記事です。


iPS細胞で海外と研究協力 山中・京大教授が表明



 「再生医療の切り札とされる人工多能性幹細胞(iPS細胞)を開発した京都大の山中伸弥教授が1日、記者会見し、米ハーバード大やカナダのトロント大など、海外の研究機関と実用化に向けた協力や共同研究を検討していることを明らかにした。

 臨床応用につなげるのが狙いで、近く専門家レベルでの意見交換を始める。山中教授は「競争が注目されがちだが患者に役立つことが最大の目標」と強調し、「国内外を問わず協力を進めたい。成果が早く出るなら未公表のデータも公開し合いたい」と語った。

 昨年11月に人のiPS細胞成功を発表してから1年。山中教授は難病の娘を持つ親から「10年たったら病気が治せるかもしれないと娘に初めて話せた」と激励されたことを紹介し、感極まって目頭を押さえた。

山中教授は今後の課題について「より安全なiPS細胞づくりや、知的財産権の取得に力を入れたい」と話した。(47NEWS)」


・・・それでは、我々の未公表データを公開し合って、切磋琢磨しながら、研究を進めましょうか・・・山中先生。

医学研究の目標は、すべからく「患者の治療に役立つ・・・現状のベストの治療よりも効果・安全性が上回るような治療方法を創造する・・・」ことですから。





 ところで、本日は、うちの大学の研究部門にサッカー日本代表の岡田監督が懇談にみえました。

 「原則的なことを日々きちんと学ぶことによって、逆境の中で動揺しない力強いチームを作る。」というお話に感激させられました。我々のチームも、「かくありたい!」ものです。

 

ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)の現状

 もう早いもので、ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)が樹立されて1年か。


 これについては、稀にみるブレイクスルーであることは間違いない。

詳細については、京大の優秀な大学院生が、論文を実に丹念にフォローしているので、ご覧いただきたい。

http://ameblo.jp/regenerative-kyoto/entry-10120313599.html


 ところで、昨日は、下記のように、京大で、ヒトのiPS細胞の発見者である山中教授の会見があったらしい。


 京都大の山中伸弥教授が1日、記者会見し、ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)作製の発表から1年を振り返った。「患者のため、治療への実用化を進めたい」と語り、国内外の研究機関と協力して研究を進める考えを強調した。

 山中教授は、iPS細胞研究が11月に先端医療開発特区(スーパー特区)に選ばれたことについて、「オールジャパン体制の基盤ができた。実用化に向け、国内外、産学問わず協力していく」と語った。国際協力のため、カナダのトロント大と10月に協定を結び、年明けには米国のハーバード大の研究者と会合を開くという。

この1年の印象深い出来事として、難病の娘を持つ母親から「iPS細胞の報道を知り、初めて娘に『10年くらいしたら治るかもしれない』と言えるようになった」と聞かされたエピソードを紹介し、涙を見せる一幕も。「患者の声は影響がある。本当に励ましもいただいた」と話した。 (朝日新聞)


 ・・・ということだが、この1年、日本としては膨大な税金が、この研究に投入されている。ただし、米国に比べれば100分の1なので、まだ増額せよという。

 私もそう思う。しかし、iPS細胞研究でないと、いかに医学的に重要であっても予算が通りにくい現状は、いささか問題である。他分野における様々な技術進歩があってこそ、iPS細胞研究自体も更に進むし、iPS細胞研究は、他分野の技術進歩を誘発する可能性もある。この調子なら、iPS細胞研究自体にも支障がでるだろう。


 一方、京大以外の「オールジャパン」のメンバー研究機関からは、1年たっても、超一流誌はおろか、1つもiPS細胞研究論文が出ていないのは憂慮すべき事態である。(「元 バイエル社の社員が書いた問題の多い論文は論外であるが・・・。)

 しっかり非常に多額な援助が政府から出ているにも関わらず・・・。ハーバード大学からは、月に2~3編ほどのペースで、いい論文が出ているが・・・。

 また、国内では、たまに「自分らもできた。京大のよりも安全な方法で」とか新聞に載ってたが、これも、いまだに論文が出ないのは、どういうことか?・・・おかしな話である。ひどいのになると「新しい進歩があったかのように見せかけ、よく読むと、これから、やる予定」などというふざけた「大学の宣伝記事」が載っている。


 もはや、オールジャパンなんぞ、どうでもいい。

山中Japanで十分だ。(山中先生は、こういう呼び方は嫌でしょうが・・・)


 ちなみに、私は、ハーバード大学との共同で、ヒトiPS細胞関連で、かなり画期的な成果を示せた。内容の1部は、患者さんの治療に、かなり早く使えるようになるだろう。論文が、出次第、紹介しよう・・・。