ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)の現状 | 医学ニュースの深層

ヒトiPS細胞(人工多能性幹細胞)の現状

 もう早いもので、ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)が樹立されて1年か。


 これについては、稀にみるブレイクスルーであることは間違いない。

詳細については、京大の優秀な大学院生が、論文を実に丹念にフォローしているので、ご覧いただきたい。

http://ameblo.jp/regenerative-kyoto/entry-10120313599.html


 ところで、昨日は、下記のように、京大で、ヒトのiPS細胞の発見者である山中教授の会見があったらしい。


 京都大の山中伸弥教授が1日、記者会見し、ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)作製の発表から1年を振り返った。「患者のため、治療への実用化を進めたい」と語り、国内外の研究機関と協力して研究を進める考えを強調した。

 山中教授は、iPS細胞研究が11月に先端医療開発特区(スーパー特区)に選ばれたことについて、「オールジャパン体制の基盤ができた。実用化に向け、国内外、産学問わず協力していく」と語った。国際協力のため、カナダのトロント大と10月に協定を結び、年明けには米国のハーバード大の研究者と会合を開くという。

この1年の印象深い出来事として、難病の娘を持つ母親から「iPS細胞の報道を知り、初めて娘に『10年くらいしたら治るかもしれない』と言えるようになった」と聞かされたエピソードを紹介し、涙を見せる一幕も。「患者の声は影響がある。本当に励ましもいただいた」と話した。 (朝日新聞)


 ・・・ということだが、この1年、日本としては膨大な税金が、この研究に投入されている。ただし、米国に比べれば100分の1なので、まだ増額せよという。

 私もそう思う。しかし、iPS細胞研究でないと、いかに医学的に重要であっても予算が通りにくい現状は、いささか問題である。他分野における様々な技術進歩があってこそ、iPS細胞研究自体も更に進むし、iPS細胞研究は、他分野の技術進歩を誘発する可能性もある。この調子なら、iPS細胞研究自体にも支障がでるだろう。


 一方、京大以外の「オールジャパン」のメンバー研究機関からは、1年たっても、超一流誌はおろか、1つもiPS細胞研究論文が出ていないのは憂慮すべき事態である。(「元 バイエル社の社員が書いた問題の多い論文は論外であるが・・・。)

 しっかり非常に多額な援助が政府から出ているにも関わらず・・・。ハーバード大学からは、月に2~3編ほどのペースで、いい論文が出ているが・・・。

 また、国内では、たまに「自分らもできた。京大のよりも安全な方法で」とか新聞に載ってたが、これも、いまだに論文が出ないのは、どういうことか?・・・おかしな話である。ひどいのになると「新しい進歩があったかのように見せかけ、よく読むと、これから、やる予定」などというふざけた「大学の宣伝記事」が載っている。


 もはや、オールジャパンなんぞ、どうでもいい。

山中Japanで十分だ。(山中先生は、こういう呼び方は嫌でしょうが・・・)


 ちなみに、私は、ハーバード大学との共同で、ヒトiPS細胞関連で、かなり画期的な成果を示せた。内容の1部は、患者さんの治療に、かなり早く使えるようになるだろう。論文が、出次第、紹介しよう・・・。