京都大学; がん抑制遺伝子p53の発現抑制は、ヒトとマウスのiPS樹立効率を大幅にあげる
すでに中国チームによる論文報告がありますが、京大の山中チームも、がん抑制遺伝子p53の発現を抑制することによって、ヒトとマウスのiPS細胞の樹立効率を改善することができたようですね。神戸で開催されているBMB2008で発表されたようですね。
マウス:p53のノックアウトマウス由来の線維芽細胞に「山中ファクター」を導入すると、5%以上の確率でiPS細胞が作製できた。これは、かなり大幅な改善ですな。
また、p53遺伝子をノックアウトした方が、c-Mycを入れたほうよりも強力にiPS細胞樹立が促進されたとのこと。
ヒト:中国チームとは異なり、p53siRNAでp53を抑えるのではなく、p53遺伝子のドミナントネガティブ遺伝子を「山中ファクター」と共に線維芽細胞に導入することで、表題の事項をヒトでも証明したそうです。なお、p53siRNAの使用の場合でも同様という報告。
癌抑制遺伝子の代表格の発現を抑制することでiPS細胞の樹立が加速されるというのは、iPS細胞と癌細胞が、ある意味、良く似ているということ。どこをどういじれば、iPS細胞の癌化リスクが避けられるのか?ここから、面白いヒントがでてくるでしょう。
・・・で、我々は、もうやりました(笑)。ちょっと違うアプローチですが・・・。
なお、薬剤でp53の一過的な抑制を誘導することが、当面の間は、最も安全かつ効率的な樹立方法になりうるとは思われます。