医学ニュースの深層 -21ページ目

明日の放送・・・NHKスペシャル “生命”の未来を変えた男~山中伸弥・iPS細胞革命~について

 
 10月4日に発表されるノーベル医学・生理学賞に最も近い1人とされる京都大学の山中伸弥教授。山中教授らが世界で初めて作製した万能細胞「iPS 細胞」は、“医療革命”をもたらすとして、世界中の研究者や製薬会社が研究や開発を進めている。がんや認知症といった治療が難しい病気の解明や治療薬の開 発が進展すると期待されているからだ。さらに、臓器や組織を再生する「再生医療」への応用、それに、遺伝子の働きや寿命といった生命の謎を解き明かす研究への期待も高まっている。

 その一方、「iPS細胞」の技術を使うと、同性同士の遺伝子を持つ子どもの誕生や、人間と動物を掛け合わせた「キメラ」も可能になるなど、これまで人類が経験していない社会の到来も見えてくる。

NHKでは、立花隆さんと国谷裕子キャスターを聞き手に、世界が注目する山中教授に初めて、5時間に及ぶロングインタビューを行った。「銀河鉄道 999」で「永遠の生命とはなにか」をテーマに描いてきた松本零士さんが、番組のために描き下ろした漫画も挿入しながら、人類にとっての“パンドラの箱” を開いた山中教授と「iPS細胞」の世界を伝える。(NHK)


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 この時期に「国営放送」が必死だな(たぶん関西での視聴率は、東京でのそれの1.5倍になるだろうよ)。まあ、10月4日の夜19時あたり(日本時間)に発表されるノーベル生理・医学賞の受賞の「前祝い」的な意味合いでしょう。しっかし、NHKは、夏前にも、山中先生番組をやってたし。今年は力入ってるな・・・。

今年、彼の受賞の可能性が高いと踏んでいるのかなあ? 

 まあ、ノーベル生理・医学賞選考委員会があるカロリンスカ研究所は、今年の受賞テーマを何にするか?によるが・・・。免疫がテーマなら、「大阪大学の審良教授」、コレステロール・代謝あたりなら「スタチン発見者の遠藤先生」。私は、まだ、山中先生の受賞は無いだろうと思うがね。


 ただ、彼が受賞されるまで「毎年のように」、こういう企画が続くのでしょうかね・・・(去年、私も民放で出演しましたが)?

 まあ、こういう「Media」の扱いを見ていると、結局、日本人は、研究内容はあんまり?なのだが、「ノーベル賞」自体が大好きで、 なんだかんだ言って、iPS細胞は、彼がノーベル賞を受賞してしまったら、専門家を除いて、急激に熱が冷めてしまうような気がする。

 まあ、落ち着いて研究できるようになるじゃないかと思ってる専門家が多いだろうが、別の意味で、そうでもないかもな。まさに、今までよりも金のかかる「トランスレーショナル」研究・「臨床応用」研究に入る寸前で、「iPS細胞に飽きた」政府・官僚が、研究費を適正に(笑)減らす可能性があるからな・・・。


 それにしても、他に重要な医療問題は多々あるがな・・・「臓器移植改正法」施行後発生している、医療現場の大問題とかな。


 なお、今回の「放送内容」のほとんどは、文藝春秋の9月号(先月発売)に詳しく載ってる内容とほぼ同一だろうな。立花隆と山中先生の対談ということで、カブるし。(なお、そこでは私のネタの1つも、チョコッと紹介されてたりする・・・笑)。



バルザン賞に山中・京大教授、iPS細胞評価

 イタリアとスイスに本部があるバルザン財団は6日、優れた研究者らに与えられる今年のバルザン賞を京都大の山中伸弥教授(48)に授与すると発表した。iPS細胞(新型万能細胞)開発を評価した。AP通信などが伝えた。山中教授のほかに、ブラジルの数学者ら3人も受賞者に選ばれた。授賞式は11月19日にローマで行われ、賞金として75万スイスフラン(約6200万円)が贈られる。同財団は、イタリアの著名なジャーナリスト、故エウジェニオ・バルザン氏を記念して設立された。自然科学や人文科学分野の研究者のほか、数年おきに人道や平和に貢献した人にも贈られる。1978年にはマザー・テレサが受賞したほか、日本人では、2007年にカーボンナノチューブを発見したとして名城大の飯島澄男教授(71)が受賞している。(読売新聞)



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 来月の(たぶん)10月4日から、ノーベル生理・医学賞を皮切りに、今年のノーベル賞の発表が行われる。

 まあ、その前の9月21日(日本時間の22日)に「ラスカー賞」の発表が行われる。


 昨年、山中先生は、基礎医学部門で、ラスカー賞を授与された。

近いうちに、臨床医学部門でラスカー賞をもらってほしい。

iPS細胞が臨床医学の発展に大きく貢献した証になる。

その後、ノーベル生理・医学賞に輝くというパターンが最高でしょう。


 今年は、2年前に臨床医学部門でラスカー賞をもらわれたスタチン発見者の遠藤先生が、ノーベル生理・医学賞をもらわないかなあ。今年の受賞テーマ次第だが、今年は、カロリンスカ研究所200周年の記念年でも、ある。「代謝」関係のものが受賞テーマになるなら、遠藤先生が最有力だろう。


 一切、上記の表題の賞の話を書かないのは、「まあ、どうでもいい」賞だからです(笑)。


私は・・・さあ、どうでしょうね(笑)。

ちなみに、今日、誕生日です(笑)。


ヒトiPS細胞と「死の舞」

ヒト万能細胞、たんぱく異常で「死の舞」 理研が解明
ES細胞(胚(はい)性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)などヒトの万能細胞は、一つずつにばらして培養すると99%が死ぬ。この「細胞死」の仕組みを、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターが解明した。細胞の形を保つたんぱく質が過剰に働き、細胞が踊るように動く「死の舞」をして死滅した。

細胞死については特定の酵素の働きを抑えると細胞死を3割程度に減らせることはわかっていたが、その仕組みは明らかになっていなかった。

理研の研究チームがヒトES細胞を観察したところ、ばらした直後、細胞の周りが膨らんだりしぼんだりしながら激しく動き、数時間後に破裂して死んだ。「死の舞」は、細胞の形を保つたんぱく質「ミオシン」が過剰に働くことが原因。細胞をばらすと酵素が働き、ミオシンが過剰に活性化され「死の舞」が現れ、細胞死するという。

一方、「死の舞」をしない細胞は腫瘍(しゅよう)になる確率が5倍程度高かった。「死の舞」は正常な細胞に備わっている特徴という。笹井芳樹・器官発生研究グループディレクターは「安全な細胞を選ぶ目安になる」と話す。6日付の米科学誌「セル・ステムセル」に掲載される。(朝日新聞)

万能細胞の死のメカニズム解明 理研、移植治療に貢献
人体のさまざまな組織や細胞に成長する能力を持つヒトのES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞(人工多能性幹細胞)の塊を一つずつバラバラにして分散培養すると、高い確率で細胞死を引き起こす原因を理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)のチームが解明した。細胞移植治療の安全性向上に役立つという。日本時間7日付の米科学誌セル・ステム・セルに論文を発表した。

チームは平成19年、ヒトES細胞やiPS細胞に限り、分散培養を行うと99%の確率で細胞死を起こすという問題を発見。「Rhoキナーゼ」という酵素の活性化により細胞死が起こることから、この酵素の働きを阻害する薬剤を使い、細胞死を抑えることに成功したが、詳しい原因はわかっていなかった。

チームは詳細な観察を行い、分散培養の開始直後から、細胞が表面を泡立たせる激しい細胞運動を起こし、破裂して死に至る特有の現象「死の舞」を突き止めた。細胞分散と同時に細胞死を促す信号が発信されることで、細胞の骨格タンパク質「ミオシン」が過剰に活性化されることが引き金になっていた。

また、長期培養を続けると、ごくまれに死の舞を行わず、細胞死しないヒトES細胞が発生することがあることも発見。その細胞を移植すると高確率で腫(しゅ)瘍(よう)化することも分かった。

チームの笹井芳樹ディレクターは「死の舞を起こさない細胞を除けば腫瘍化を防ぐことができ、細胞移植治療の安全性向上につながる」と期待を寄せた。
(MSN産経ニュース)



コメント:


 「iPS細胞(人工多能性幹細胞)などヒトの万能細胞は、一つずつにばらして培養すると99%が死ぬ。」

・・・私のような寂しがり屋の細胞種ということだねえ・・・「万能細胞」は(*^▽^*)


シンパシーを感じるぜ!

だから、私の研究対象として、相性が良かったのかな?(笑)


 死の舞をおこさない「万能細胞」の安全性は非常に悪く、かといって、簡単に死んでもらっても困る。


「長期培養を続けると、ごくまれに死の舞を行わず、細胞死しないヒトES細胞が発生することがあることも発見。その細胞を移植すると高確率で腫(しゅ)瘍(よう)化することも分かった。」

・・・と記事にあるが、われわれも、ヒトiPS細胞で確認済みで、それがどんな性質を持つかのみならず、どうすれば「腫瘍化」が防げるかもわかっている。


 臨床応用上では、ヒトiPS細胞の「標準化」を進めるのと同時並行で、長期的に安全性および生存率が高い「ヒトiPS細胞の保存方法・培養方法」を確立することが重要であろう。


花火などなど

 前の記事のコメント欄に「スパコン創薬」の続きを書いておいたので興味のある方は、どうぞ。



 さて、もう「都内の花火大会」は、一段落したのかな?

あと、神宮外苑とか東京湾くらいが残ってそうに思うけど・・・。

 私、今年は一度も、花火をみてません。まあ、夕方、移動中の電車内で見かける女性・・・いい女に限る・・・の浴衣姿のほうが、花火よりも数段いいけどね(*^▽^*)


 夜空を見上げることも、そういえば、最近、無いな・・・。

今年の夏・・・去年よりも、全く、気持ちに余裕が無い。

(医学の)研究成果は、去年より出てるけどな・・・。


 まあ、秋には「大輪の花」の「第一発目」を、皆さんに見ていただこうヽ(゚◇゚ )ノ


スーパーコンピュータ利用の医薬品の開発

東京大学先端科学技術研究センターと富士通は8月5日、
共同で記者会見を開催し、がんの治療薬開発に利用する
スーパーコンピュータを構築したと発表した。
世界で初めて、複雑なタンパク質同士の相互作用を
分子動力学でシミュレートし、人工抗体を設計する。
実現すれば、効果的で副作用も少ない、
画期的ながん治療が可能になると見られている。

 国の最先端研究開発支援プログラム
「がんの再発・転移を治療する多機能な分子設計抗体の実用化」
のために導入したもの。
ブレードサーバ「PRIMERGY BX922 S2」(Xeon X5650×2CPU)を
300ノード使用したPCクラスタシステムになっており、
ピーク性能は38.3テラフロップス。
約4億円をかけて富士通が開発し、8月1日に稼働を開始した。
 この研究で狙っているのは、
再発や転移を伴う進行がんの治療に使える抗体医薬品の設計。
人工抗体を作り、がん細胞のみを狙い撃ちしようというもので、
従来の抗がん剤による治療に比べると、副作用が小さいというメリットがある。
 抗体医薬品自体は従来もあったが、この研究では新しい手法として、
分子動力学によるシミュレーションを取り入れた。
分子1つ1つの動きを計算する分子動力学を使えば、
抗体と抗原(がん細胞)の相互作用を正確に知ることができ、
より効果的な抗体の設計が可能となる。
しかしタンパク質同士の相互作用は複雑で、
周囲の水分子まで模擬する必要があることから、
計算量が膨大になって従来は難しかった。
 そのため、この研究のための専用機として、スパコンの導入を決めた。
最近はペタクラスの計算機も出てきており、
それに比べると性能は2桁ほど落ちるが、
それでも地球シミュレータとは同等の能力。
これを占有できれば、計算リソースとしては決して小さくない。
納入した富士通TCソリューション事業本部の山田昌彦本部長も
「このくらい大きなシステムを研究室レベルで単独利用するのは
初めてのケースでは」と驚く。
 この研究では、肝臓がん、大腸がん、肺がんといった
3種類のがんをターゲットとして、新しい抗体医薬品を開発する。
 中心研究者である東京大学先端科学技術研究センターの児玉龍彦教授は、
「薬の開発には特許があるので、2番手になると実用化できない。
1番になるしかない。全力で取り組んで、2年半で人工抗体の設計を終えたい。
3月からの5カ月で、世界トップレベルの計算機をフルに使えるように仕上げられた。
このスピードを持って、いまの患者さんが生きているうちに
薬を実用化したい」と意気込む。

 ただし、まだ計算能力は足りないという。
児玉教授は「このシステムでは、1つの計算に10日くらいかかるが、
これだと10種類も計算すると100日になってしまう」と指摘。
時間がかかりすぎるとした上で、今後については、「計算能力が2桁は足りない。
1~2年の間にペタクラスにバージョンアップして、
こういった計算を1日でやれるようにしたい」と期待する。
 臨床試験もあるため、薬の実用化は「早くても6年後」(児玉教授)。
将来的には、次世代スーパーコンピュータ「京」も活用して、
抗体医薬品の開発をさらに発展させていく意向だ。


コメント:


 世界中で、この種の「試み」が多くなされているが、コンピュータを導入したから万事解決するわけではない。

 このシステムで、優れた薬の「候補」は、いくらかできるだろう・・・そのような候補の同定例がいくつかある。


 ただ、そういう候補を、今日、みつけたとして、臨床試験が終わるのに(要は、今の最善の医薬品よりも生命予後の改善が見込めることの証明が必要)、最低、6年は、かかる。ましてや、その前に、従来どおり動物実験(できれば霊長類での)を経なければ、ならないし、臨床試験のデザインなどなど、やることは山ほどある。


 私は、お金がないけど、ごく最近までに、こんなことをせずとも、海外の超一流機関で画期的と評される医薬品(がん、HCV)を2つみつけました。特許の問題があるので、詳しくはかけないけれど。


要は、スーパーコンピュータ<<<<<人間の「頭脳」ということさ!



iPS細胞でヒトの精子や卵子作製へ 国内初、慶大など

 体のあらゆる組織の細胞になる能力のあるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使ってヒトの精子や卵子を作る研究を、慶応大などのチームが計画し、学内 の倫理審査委員会に申請した。倫理委に認められれば、年内にも研究に着手する。iPS細胞からヒトの生殖細胞を作る研究は国内初。不妊治療などにつながる と期待されるが、技術的にも倫理的にも課題があり、情報公開を求める声も出ている。

 岡野栄之慶応大教授(再生医学)らと全国有数の不妊治療件数のある「加藤レディスクリニック」(東京都)、実験動物中央研究所(川崎市)が共同で研 究する。京都大の山中伸弥教授が白人女性のほおの皮膚からつくったiPS細胞を使い、生殖細胞に必要とされる遺伝子を働かせて精子や卵子に成長させる。受 精や着床は行わないという。23日に慶大の倫理審査委員会に申請した。

 ヒトの精子や卵子を作る研究については、4年前にiPS細胞作製の成功が発表された直後から、研究者らの間で是非が議論されてきた。

 iPS細胞の安全性がはっきりしない中、次世代に影響を残しかねない生殖細胞づくりの研究には慎重論が根強い。さらに、理論的には1人の人間から精子と卵子を作ることも可能で、法律で禁じられているクローン作製との線引きが難しい面もあり、国内では禁止されていた。

 しかし、生殖細胞ができる仕組みがわかれば、不妊症の治療研究にも役立つという研究者らの声を受け、文部科学省は今年5月、受精や子宮に入れることはせず、基礎研究に限るという条件つきで生殖細胞づくりの研究を認めた。

 生殖細胞の作製は技術的に難しく、米国の研究チームがヒトのiPS細胞から精子や卵子の元になる細胞はできたと報告しているが、文科省によると、完全な精子や卵子までできたという研究発表は今のところないという。

基礎生物学研究所の勝木元也名誉教授(分子生物学)は「iPS細胞の安全性に関する基盤的な研究もまだ十分ではなく、不妊患者の過剰な期待をあおる ことは戒めるべきだ。不都合な真実も含めて積極的な公表が必要だ」。国立循環器病研究センター研究所分子生物学部の森崎隆幸部長は「細胞の提供者への十分 な説明も重要だ。つくった生殖細胞の管理も適切になされなければならない」と指摘する。(朝日新聞)



 コメント:


  ヒトES細胞から精子幹細胞を樹立できたという論文が昨年の今頃、英国から報告された。

その論文は、不正のために撤回になっているが、同様のプロトコルで、ヒトiPS細胞から「精子幹細胞」の樹立ならば可能だろう。なお、上に精子や卵子の元になる細胞は米国の研究チームから報告されたとあるが、これもまた、「完全」ではないことをつけくわえておく。


 精子幹細胞なら、どうにかなりそうだが、卵子は、それ以上に難しい。

また、それ以上に、ヒトiPS細胞の安全性についても、前の記事でも書いたように、まだ完全ではない。


ヒト正常細胞から低分子化合物のみによるiPS細胞は、もうすでに実は樹立できているが、

これは、他の樹立方法に比べて安全性の面で最も高い。

ガンリスク無いしね。L-Mycに変えたら死亡率が倍に増えたなんていう、変な現象も今のところ、無い。

(なんで、こういうことを知ってるんだw)

ここから、精子幹細胞を誘導することは可能だよ。


 無精子症の男性患者から採取した正常な細胞からiPS細胞を樹立し、そこからを精子幹細胞をつくれるのは、時間の問題だろう。まあ創れた精子がマトモか否かの保証は慎重な検討が必要だが、これを卵子に受精させて、体外受精を行って、受精卵ができた日には、この世はパニックだな。


受精は禁じるっていったって、上記の開業医さんだったら、やる気になればやれますよ。

ましてや、闇医者なら、どうやって、管理するの?

日々、不妊治療に携わる臨床医が、あるいは、患者が「誘惑」にどれだけ、耐えられると思ってるのかな?


だから、この問題は、ガイドライン制定じゃなくって、違反者は法的処罰ができるような法の制定・・・「臨床研究法」を、技術開発と同時並行で進めなければならないって、再三、言ってるわけ。



いやー、しかし、今日の記事は、我ながら、ものすごい情報を書いてしまった。

わかるヒトには、わかるだろうw









文科省、ヒトiPS細胞の動物移植を承認 東大が実施へ

文部科学省の専門委員会は28日、人の様々な組織に育つヒトの新型万能細胞(iPS細胞)をマウスや豚の受精卵(胚=はい)に移植する研究を承認した。中内啓光・東京大教授らが、動物の体内で人の移植用臓器を作る基礎研究の一環として申請していた。ただ、受精卵を動物や人間の子宮に戻すことは禁じた。

 人の細胞が混ざった動物の受精卵の作製が認められるのは、文科省が2001年にクローン技術規制法に基づく指針を施行してから初めて。

 文科省が同日開いた科学技術・学術審議会生命倫理・安全部会の専門委員会が認めた。

 研究は将来、iPS細胞の技術を使い、人工透析患者に移植できる腎臓などを動物の体内で生産することを想定。このためiPS細胞が動物の細胞と混ざったまま成長するかどうかを調べる必要があった。承認された研究では、実際に混じり合うかどうかを検証する。培養を数日間続けるが、臓器は作らない。(日本経済新聞)



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 前の記事との関連でいえば、C-MycをL-Mycに変えても、この研究が想定以上の成果をあげるためには、「レトロウイルス利用で樹立されたiPS細胞」では、非常に難しい。(レンチウイルスでも。)

 アデノウイルスのならば、若干ましかもしれないが、センダイウイルス利用で、Oct3/4, Sox2, Klf4, L-MycでのヒトiPS細胞ができれば(もう、着手しているだろうが)、より良いだろうが・・・。

 やはり、移植医療を目指すiPS細胞のベストは、低分子化合物だけで正常細胞から樹立されたヒトiPS細胞ということになるだろう。

今日発表されたiPS細胞研究のニュースについて:iPS細胞、がん化しにくく 京大が新製法!?

 京都大の中川誠人講師と山中伸弥教授らは、安全で質の高いマウスやヒトの新型万能細胞(iPS細胞)を作る手法を開発した。がんを引き起こす恐れがある遺伝子に代えて別の遺伝子を使うことで、がん化の危険性を大幅に減らした。ヒトiPS細胞の作製効率は5~10倍に向上した。iPS細胞作りの標準方法となる可能性があり、将来の医療応用に弾みがつきそうだ。成果は米科学アカデミー紀要(電子版)に27日掲載される。

 iPS細胞は皮膚などの細胞に4種類の遺伝子を入れて作るのが基本。このうち「c―Myc」という遺伝子はがんを引き起こす危険性があると指摘されていた。残りの3種類で作る安全な手法も開発されたが、この方法によるiPS細胞は品質が低かった。

 山中教授らの研究チームはc―Mycの代わりに構造がよく似た「L―Myc」に注目。それぞれの遺伝子の働きを比べるため、ほかの3遺伝子と一緒に 材料細胞に入れてiPS細胞を作製。できたiPS細胞から作ったマウスを育て、約2年調べたところ、c―Mycを使うと約7~8割で腫瘍(しゅよう)がで きたが、L―Mycではほとんどできなかった。

 作製したiPS細胞の品質は、iPS細胞から受け継いだ遺伝子が交配後も子孫に引き継がれるかで評価する。3遺伝子だけの手法では引き継がれる率が低いが、新手法は高率だった。さらに、新手法ではヒトiPS細胞の作製効率が向上。できた細胞の中でiPS細胞が占める割合も6~7割と高かった。

  iPS細胞は、体内の様々な細胞や組織に成長する能力を持ち、機能が損なわれた臓器を再生する治療や、創薬などへの応用が期待されている。山中教授は2006年にマウスの細胞から世界で初めて作製。翌年にはヒトの細胞でも成功した。(日本経済新聞)

 
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久しぶりに、iPS細胞がらみでのコメントになる。
L-Mycの使用・・・いわれてみれば、なるほどだ。
 マウスではあるが、長期フォローアップでの安全性検証の公開は非常に高く評価できる。
海外の研究機関は、なぜか、これを「やらない」から、余計に。
このようにマウスiPS細胞の安全性評価を、やり、公開すべきなのだ。(ここでも前から再三、言ってるように)。特に、トムソン4因子では、どうなるか知りたいのは私だけか?

 一方、論文をみれば、C-Myc抜きの3因子によるiPSでも、長期フォローをすれば、40%くらいで癌死しているから、あの3年前のNature Biotechnology掲載の京大の論文の価値は、これでほとんど無くなってしまうが、仕方有るまい。「これが、研究だ」。

 ただ、L-Mycを使えば、万事OKなのかについては、そんなに楽観的なコメントを書けない。
 L-Mycでの「死亡率」は500日超で急激に増加しており(20%から50%くらいに)、しかも癌によるものではないようだ・・・。

やはり、レトロウイルスの使用そのものが問題なのかな。
いろいろ調べているみたいだけど、もう一度、死亡例の「肺」を、もっと、よ~く調べてみることだ。
(本当は癌死かもしれないよw)・・・ちょっと辛口コメントだけどね・・・。

 総じて、 やはり、化学物質のみによる、ヒト正常細胞からのiPS細胞樹立と、その安全性評価に関する研究の公表が、今回の研究をより適切に評価する上でも、大いに役立つだろう。










「熱中症」

 今年もというか、例年にも増して、各地で「熱中症」の被害が相次いでいるようだ。

死亡例は「熱射病」がほとんどだろう。


さて、「熱中症」の対策は、どこのHPにも書いてあるので、あんまり、書かれていない事項のみ書いておこう。


 熱中症患者さんについては、どんなに症状が軽くても、暑い環境でのハードな仕事や運動を再開するには、1週間程度は避けてくださいませ。むろん、重症度によって、この日数は増えますけれど。


 さて、まあ、こんな、クソ暑い時期に仕事に精を出すのは、私らくらいで結構だw

金がある人は、レジャー、バカンスで、思いっきり消費してください(笑)。

私は、お金ないので働きます。


 さて、超一流誌編集部から投稿を、せかされている論文の仕上げにかかろうか。

民主党が代表選日程を先送り 9月11日か12日

 民主党が9月5日実施で調整していた党代表選日程は、1週間程度先送りされる見通しになった。9月11日か12日が検討されている。党関係者が21日、明らかにした。これにより法案審議などを行う秋の臨時国会召集も当初検討された9月13日から下旬以降にずれ込む方向だ。

 菅直人首相は当初、再選によって党内基盤を固めた上で秋の臨時国会に向けた野党対策を急ぐべきだとの観点から、9月の早い段階での代表選実施を目指した。だが、党員・サポーターが参加する8年ぶりの本格的な代表選となるため、事務的な準備が間に合わないとの判断に傾いた。

 参院選の選挙戦期間中に党執行部批判を展開した小沢一郎前幹事長の出方を見極めたいとの考えもあるとみられる。(共同通信)



コメント;


9月11日は、やめてね。

私の誕生日だから。

この日に、(まるで図ったように)非常に重大な研究発表をする予定だし。

私の発表の新聞記事の隣が、民主党の代表選の話題勘弁してね。


おまけに、この日はNYテロの日。


さて、今日も、暑い1日だけど、仕事だな。