IDSアライグマ・ハクビシン・スズメバチ駆除日記 -8ページ目

IDSアライグマ・ハクビシン・スズメバチ駆除日記

ハチ・有害獣駆除担当のヴェスパ1号、アライグマ駆除担当の変人プロチョーネ1号、太ったネズミ駆除担当ムスムスクルスムスクルス初代 そして、ハクビシンのツヨシとヨワシの日常の奮闘ブログです♪
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 さて、先月見通したとおりか分かりませんが、ひとまずアライグマの捕獲は落ち着いてまいりました。これもしっかりと自治体の捕獲データを踏まえているから予測できることだと思うように、捕獲する事以上に捕獲したことを踏まえることが重要です。そのためにも11月に専門家の方々に集まってもらいセミナーを開いたわけですけれども、今一度11月の内容を振り返っていくとしましょう。

 

 おおまかな内容は当時述べたとおりですが(https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12547790941.html?frm=theme)、満員の会議室でまずはおなじみの加藤先生に講演をして頂きました。

 加藤先生の発表の重要点はとにかく アライグマがなぜ法律で特定外来種扱いされ、駆除されなければならないほど危険かについてです。単純に「外来種」とされる生物は動植物入れても日本国内で2000種を越えています。

 

https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list.html

(環境省 「特定外来生物等一覧」)

 

 環境省のページにあるように、現在日本で「特定外来生物」は哺乳類から植物まで含めて148種日本とされています。かといってこのすべてがアライグマのように行政総出で駆除されているわけではなく、「特定外来生物」の中から「被害を及ぼしていたり、及ぼすおそれがある特定外来生物については、必要に応じて防除を実施」されることになっています。

 

 また、環境省も他人事のように引用形式で述べてますが「この際、「計画的かつ順応的」に、「関係者との連携」のもと、「科学的知見に基づき」行うこと、「費用対効果や実現可能性の観点からの優先順位を考慮して、効率的かつ効果的に実施すること」等とされています」という形で防除すべきかの見極め、防除方法を定めるのが本来の方針だそうです。

 

 ただ、ここにはもちろん法律によくある理想と現実の乖離が現れております。アライグマを防除する際に果たしてこのような形で「効率的かつ効果的に実施」がされているのであれば、もう20年近くも経ってから民間業者の人間がわざわざ専門家の方々を集めてこの問題について対応することもなかったでしょうね・・・ぼけー

 

 この点について加藤先生も問題視されていました。本来、アライグマを危険だと見なして防除する上では基本的な情報を集めるところから始めなければならなかったわけですし、環境省もおおまかな生息地、生息数の調査はやっていますが全て後手に回っており、そこからアライグマを減らすための方法や、彼らが増殖したり生息するのに向いている場所の割り出しなど重要なことができているようには見えません。

捕獲数と捕獲データは年々積もっていく一方ですが、膨大なデータを扱いきれずに持て余している。これが行政の防除における大きな問題でしょう。何てったって、彼らは生物関係の専門家でも現場での防除経験もありませんから・・・それにどこぞの環境大臣が外来種のことをどれほど知っていることか怪しいものです・・・シラー

 

 データの扱いや効果的な対策については僕らが模索していく他ありませんが、なぜアライグマが危険かについてはいくつかの指標から出されました。

 特に重要なのはこの通りの3点ですが、見ての通り全て該当します。

 

 生態系への影響

・元々両生類の捕食に優れているのでアライグマほどの天敵もおらず

 動きも遅い日本の在来両生類、甲殻類などを急激に減少させる危険

 性がある。

・かといってマングースのように絶滅危惧種や固有種を狭い島で食い

 荒らして絶滅に追い込む ような目に見えた「危機」を演出しているわ

 けでもないので一般的な観点からは危険性が認識されにくい(見た目カワイイし)。

・近縁種は他にいないので在来種の遺伝系を攪乱する危険はない。

 

 これに加えて彼らは「繁殖力がすごい」と言われてますし、僕もこれまでにその繁殖能力について述べてきましたが、あくまで加藤先生はアライグマであっても度を越した繁殖力を持っているわけではなく、着実に増えることができるだけの個体数がおり、何十年も対応されないまま放置されてきたからこそここまで増えた、という指摘をされています。

 そりゃそうですよね、当初は誰も原産地のアメリカから遠く離れた列島中に何万何十万頭まで増えるとは思わないからこそ輸入して可愛がっていたわけですから・・・。

 

農作物等への被害

・食性が広いために今後より広い範囲の農作物が被害対象になる恐

 れがあり、現在でも野菜から果樹まで幅広い被害を受ける。

・被害の形がイノシシとシカとは別なので、彼らとは別の角度から農作

 物被害の上昇に”貢献”してしまう。

 

 まあこれも日頃から色々と彼らが食い荒らしてる様子を見ていれば当然分かりますね。僕の見る感じでは皮が分厚いからか、近年まで一部しか手を付けていなかった柑橘類まで食べるようになってきたので、そのうちキウイなどが食べられるようなってもおかしくはないでしょうね(今のところキウイの食害は見たことありません)。

 

 

生活環境への被害

・住居侵入、糞尿による汚染、感染症被害

・ペット、家畜類への被害

 

 この点を加藤先生は過小評価されていると強調しており、「ヒトの生活圏でも生活できる」点はかなりの危険をもたらす可能性があると言われていました。これはハクビシンにしても言えることですが、「でも」ということ、つまりは自然環境とヒトの生活環境両方で生活ができるということは両方を行き来して、両方の環境のウィルス、病気を媒介してしまう可能性があるということです。

 最近は都内や富士見市あたりまでイノシシが出てきて騒ぎになっていましたが、基本的にあれくらい大きな動物はそれなりに広い自然環境がなければ暮らせないので一時的に迷い込んだ結果ああなっているだけです。それがアライグマになれば住み着けるわ、行き来もできわでイノシシやシカ、その他野生動物の持つ病原菌をヒトやペット、またはネズミなどに持ち込んでくる、またはその逆がありうることになる。これは今までになかった感染ルートを作ってしまうことであり、それによってかつてなかった感染を発生させてしまうかもしれない。

 感染といえば豚コレラ、色々と呼び方を直して豚熱とかCSFとか呼ばれているものが浮かぶかもしれませんが、今のところアライグマがそれを媒介した例は確認されていないそうです。しかし鳥インフルエンザは媒介するし、単に媒介するだけでしたら皮膚や毛に付着するだけでもいいと思うので、可能性が無いとは言い切れません。

 

 つまり、アライグマはかなり危険であり、彼らが増加して生息範囲を拡大するほど危険性は増すということです。

 特定外来種の中でもその度合いが強い為にここまで駆除されるわけですよ。まあ、環境省の対応からすると今後も駆除しなければならない対象は増えるとは思いますがね・・・。

 

 

 

 

 

 

 明けましておめでとうございます合格 今年もアライグマを捕獲しなければならないでしょうからよろしくお願いしますうーん

 

 で、年明けの昨日から普通にアライグマは捕まってました。

 これまた大きなメスでした。しかも捕まったのが富士見市と志木市の間で、去年から数頭こういったのが続いてるので東京沿いでも彼らは続々移動して繁殖しているようです。

 

 で、前回(https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12562389505.html)で扱ったミカンの木がある家で今日捕獲の知らせが来ました。映っていたのはハクビシン、タヌキ、猫だけだったのでアライグマはいないと言っていましたけど・・・

 しっかりとアライグマが捕まっていました。

 年末年始の間に捕まったわけでもなく、明けてから1日置きでの捕獲だったのでおそらくこの数日の間に現れて捕まったのだと思われます。見ての通り小さく1歳程度でしたが、なんとメス。これまでのパターンに従えば、この近くにこいつの母親や姉妹がいる可能性があります。この地域は捕獲をしている人も少ないのでいつしか入り込んだ家族がいてもおかしくはないでしょう・・・。

 そして、こうして野生動物たちが群がってるおいしいミカンの木があれば本来そこにはいなかったアライグマも寄ってきてしまうことが分かりましたね。これからさらに餌もなくなっていきますから果物を育ててる方はご注意下さい。ムクドリやヒヨドリ以外の動物も来るかもしれませんよ。

プロチョーネです。今日はヴェスパさんが扱ってる工場に厄介なアライグマ(トラップシャイ)がいるらしいので一緒に見に行く予定でしたが、突然

「ちょっと待って、具合が悪い」

という連絡が来て中止になりました。その後遅れて出社したらしいですが会社の人たちによると食あたりみたいです。昨日何かを食べ過ぎたのかもしれませんね。これだから平日のクリスマスは危ないんですよ・・・ドクロ 僕も中学生の時にショートケーキをホールで食べようとして吐いた覚えがありますイヒ

 

 

 というわけで先週カメラを仕掛けたミカンの木の様子を見に行きました。

 先週このようにひどい有様だったところにカメラを仕掛けておきました。

 

 さっそく記録映像を見てみました。すると・・・

 

 手前の草が邪魔ですが、イラッ まずはハクビシン。こいつが連日にわたってミカンの木に登って荒らしていたようです。

 次はダニに寄生されて背中の毛が抜けたタヌキ。よぼよぼ歩いていました。

 お次はふとましいネコ。カメラを舐めてからおケツを向けてのっしのっし去っていきました。

 で、今度は健康でフサフサしたタヌキ。ハクビシンが落としたミカンをムシャムシャ食べてました。なんか木彫りのクマみたいですね。

 どうやらアライグマは来ていないようなのでよかったですが、こうして野生動物がミカンに目をつけるようになると食べつくすまでたかられるわ、動物たちの生活が豊かになるわ、以後も覚えられてお仲間がやってくるわ大変なことになってしまいます。

 

 そうそう、今日は被害続きのミカン園のある山で久しぶりにアライグマが捕まってました。ミカンに飽きて餌のリンゴに気移りしたのかもしれませんが、こんなことは滅多にないでしょうね。

 他の所はだいたいメスたちを捕まえられた分、ここの家族をどうにかしなければならないとは思いますけれども、餌がたくさんある限りは対処も難しいでしょう・・・。

 

 明日が年内最後の日ですが、無事に終わるよう気を抜かないように致します。皆さんも誰かさんみたいに調子に乗って食べ過ぎないようお気を付け下さい。

 

 年末最後の週なんですが・・・この週明けもえらく大変でした。先週金曜に予想外の3頭捕獲だったのに、まさか3頭捕獲が12月に続くとは思いませんよ・・・。

 泥だらけの1歳くらいのメス。最近メスが捕まっている場所とは違って町の外側の山で捕まったので、その奥のメスがたくさんいると推測してるところから出てきたのだと思います。あまり動かないとされるメスでも必要に応じて(餌が無いとか、メス仲間に追い出されたとか)少しは移動していると思われます。

 3歳くらいのオス。土曜に捕まって散々暴れまわったらしく罠のあちこちが壊れていました。自分の歯も折れていましたが。ここは今月ずっとメスが捕まっていたところでしたのでようやくメスの母娘が途切れたようです。それでもただでさえ捕まらない冬に4頭も捕獲されている場所なので、メスたちの存在がオスを引き寄せているのかもしれません。その仕組みを解き明かせればいいのですが・・・。

 

 最初見たときはメスかと思うようなお顔でしたが、実際はオス。捕獲場所は町の外側でしたので別の所から入ってこようとしたのが捕まっただけなので、いつあってもおかしくなく、別段変わったケースではないっすね。しかし去年12月の捕獲数を現時点ではるかに超えておりますので、気温が高いためか、メスが侵入してるからなのか、餌が不足しているのか、異様に捕獲が多い理由はよくわからないままです。

 こんな場合はだいたい、挙げた理由全部が複雑に関わりあった結果だ、というのが無難でしょうからそういうことにしておきます。イヒ

 プロチョーネです。昨日閑散だとか言ったのですが・・・今日は急に3頭も捕獲がありました。それも、ハクビシン2頭にアライグマ1頭。さらに罠の設置依頼まで。この自治体ではハクビシンなんてほとんど捕まらず、冬なんてなおさら捕まった覚えもないんですが、それが同時2頭なんてことは記録を見返しても無かったと思います。

 1頭目はかなり暴れたらしく、額の皮膚がすっかり剥がれています。その後もギャオギャオ吠え続けていました。

 身長は85cmで体重は4.16㎏とハクビシンにしては重め。

 2頭目はまだおとなしかったですが、こちらの方が体格がよく身長95cm、体重は4.68㎏でした。

 どちらもメスで乳首も出ていたので子育て中だった可能性もあります。ハクビシンはアライグマのように決まった繁殖期も無いので1年中各々で出産子育てをしているので、さっぱり動向が読めないんですよね。アライグマなら最近書いているように、ある程度関係性などを推測できるのですが、ハクビシンは捕獲がそもそも少なく目撃情報もないのでさっぱりです。そんなわけなので注意深いであろう子育て中のメスが2頭も同時に捕まるなんて驚きました。

 

 で、アライグマの方は昨日(https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12560827615.html)書いた、姉妹が捕まったところで捕まったのですが、またもや同じ体格のメスでした。間違いなく3頭目の姉妹でしょう。さすがにもうメスは続かず、周囲をうろついていたオスではないかという予想をアライグマの多産ぶりはあっさりと飛び越えていきます。

 この姉妹の母親として推測しているのが・・・9月の初めに捕まったとびきり太ったメスです。(https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12524158630.html)これだけ大きければ何頭もの子供を産んでいても不思議ではないですし、このあたりにはあまり罠を設置してる従事者の人がいないのでその間をすり抜けて夏と秋の間暮らしていたのかもしれません。

 

 そして、設置依頼があった家に行きますと、ここもミカンが食べられていました。

 ここの度合いもすさまじく、以前見に行ったミカン農園のある山並みに食われています。おそらく複数の何かが来ているのでしょう。痕跡は確認し辛く、ハクビシンもアライグマも来ている可能性がありますのでどうなるか見ものです。カメラも仕掛けてみましたので、もしかすると年末前に連中がミカンを食べる姿を撮影できるかもしれません。

 

 ともかくこれであと1週間で年末ですので年末前最後の週末を大切に過ごすとしましょう。

 

 

 さすがに12月も半ばを過ぎるとアライグマたちの気配もなくなってきていますが、地味に捕獲があります。今週捕まった2頭はいずれも1歳になったばかりのメスでした。

 これは先週捕まったメス。その時はまだこいつにつきまとってるオスがいるので注意してと従事者の方に言えば・・・今週明けすぐに捕獲がありました。オスかと思えば

 ほとんど同じ体格(6.5㎏、70cm程度)のメスでした。間違いないく姉妹でしょう。どことなく皆さんにも似てるように見えません?目のつぶらさとか。

 

 ↓ おっさんの写真を見て比較してみてください。

 参考 2週間前に捕まったそれなりに年がいったオス。毛の色あせ方とか全然違いますよね?

 

 

 この姉妹の捕獲から言えるのは、今年の春にこの自治体の中に妊娠したメスの侵入を許してしまった結果、そこで子供が育ち、オスの子供はどこかに旅立ったか捕まり、メスの子供は自治体に留まって暮らしていたということです。これを放置しておいたらそのうちよそから来たオスとの交際が始まり、来年の春先には子供を産んでいた恐れがあります。

 

 これは今日捕まった、また1歳程度のメス。こいつの母親らしき個体は今月の頭に同じ場所で捕まっていました。

 罠が大きいので小さく見えますが7.5㎏はあった大きなメスでした。確実に何頭も産んできたと思われます。前のブログで話した、夏にトウモロコシを襲っていた親子の親がこいつだと思われます(https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12549764668.html)。おそらくこいつが捕まった後もこの娘はこの近辺で暮らしていたのでしょう。既に親離れはしているので母親がいなくなっても分からなかったのかもしれません。

 距離から言って、9月に同時に捕まった姉妹(https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12524948094.html)もここから近かったので同腹の娘である可能性があります。 

 

 このように1頭のメスの侵入を許せば1年に渡って被害を受けると共に倍以上の数に繁殖してしまいます。この自治体の場合はせいぜい2,3家族程度の侵入で済んでいて、こうして捕まってくれますけれどもおそらくもっと広い自治体や、入り組んだ都市部ならメスたちが複数住み着いて繁殖し続けられてしまって大変だと思います。メスが捕まるところは要注意!これは原則です。

 胃腸炎と下痢はほぼ治りましたが、昨日変な姿勢で寝たために腰が痛くなったプロチョーネです。きついですが、5月分のセミナーについてはもう一息で終わりますので今日のうちに書いておくと致します。

 

 前回Ⅰの部分を扱った小河さんの発表に戻りますけど、Ⅱもまた実際の地名が多いので伏せつつお伝えします。

 うちが防除を委託されている自治体の3年間の記録を基に中でも捕獲が多い地点について扱いました。その一例を挙げます。

 小さくて申し訳ないですが、ここは前回お話した捕獲従事者の資格を持つお方が僕たちが防除に関わる前から何年にも渡って何十頭もアライグマを捕まえてきた場所です。拡大してもらえると分かるのですが、左上の地図には水路を示す青い線を引いており、これが南の自然公園の山の中から、従事者の方の敷地の真ん中を通って自治体の住宅地、さらに北の荒川へと繋がっています。(荒川があることくらいは伏せなくていいっすよね?)

 この方はこの水路沿いに罠を複数台設置していて、この2年は年間10頭前後まで捕獲数は落ち着いたものの、1年目は30頭近く、本人いわく、一番多いときには40頭を捕獲した年もあったそうです。これはどこの自治体でもそうそうない記録だと思います。

 ともかく捕獲が続いている要因として、ここが主に南側からこの自治体へ侵入するのにアライグマたちが使っているルートであることが挙げられます。地図を辿ってもこの南側には自然公園、さらに南の自治体の丘へと繋がっており、これは推測にすぎませんが、その丘の部分にアライグマたちのメスが暮らしている一帯があるのではないかと思いました。

 

 ここは現在は空き家になっているところで、我々が毎週設置してある罠を見に来て管理している場所の一つです。たまに所有者が別の自治体に住んでいるなどの理由で、加えてそこで捕獲が多く見込めそうな場所な場合は僕らが自分たちで捕獲をするようにしています。現にこういった場所では年間10頭以上アライグマが捕まる場所も多く、単に従事者の皆さんの捕獲に頼るだけでは捕まえられないアライグマを多く捕まえることが出来ました。

 この場所は15年ほど前からアライグマの生息が住民の方々に確認されていた場所でしたが、当時は「被害性が無いなら対処はしない」という役場の対応によって放置された結果、その10年ほど後の2017年の冬にアイディーサービスが罠を仕掛けたところ次々とアライグマが捕まり、書いてあるように、通常は捕獲が少ない冬場だけで10頭も捕獲がありました。メスも多かったため、長年ここでアライグマが繁殖していたと思われます。おそらくここのあたりにメスが複数住み着き、よそからオスが、青い線で示してある川沿いにやってきたのでしょう。

 去年の2年間にわたって捕獲を続けたことで今は通りすがりのオスが捕獲のほとんどを占めるようになりましたが、あせるいかにこうしたメスの繁殖場所、生息地を自治体内に作らせず、早期に発見する必要があるか改めて実感できます。

 現に去年と今年にかけて、この自治体内でメスが繁殖した場所はほとんどなく、(こうした例外(https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12480286982.html)も数箇所ありましたが、すぐに従事者さんかこちらで捕獲をしています。全部捕獲できたかは分かりませんが・・・)捕獲のほとんどは外周部に侵入、通過中の個体の状態にできています。

 つまり、様々な自治体での防除で言える事として

 ・自治体内のメスの生息地の認識とメスの排除

 ・自治体内にアライグマが侵入してくる経路(主に水路や川、林など)を特定してその付近で監視、防除を続ける

 これが最低限必要だと言えるでしょう。以下のスライドにも同じようなことが書いてあります。

 やはりアライグマが多く捕まる場所を見てきて言えるのは、必ずそこを多くのアライグマが使う理由があるということです。それは主に

 通路     餌場    住居(繁殖所)

 の3つですね。古谷先生も言っていますし、他の動物にも言えることですが、この条件を多くみたすほど連中が利用する可能性は高く、現にそう言った場所がこの自治体の捕獲を多く占めているのも確かです。また、今年の冬にやたらと捕まる場所から確信できたここに加えられる条件として

 メスがいる場所(交際場所)

 がアライグマ社会の場合は挙げられるでしょう。前のブログにも書いたように、去年の冬より今年の冬に捕獲が多い理由は自治体内に春先から侵入して繁殖をしたメスがこの時期まで生き残りその娘たちが近所でくらしそこによそから来たオスが誘われてやってきた からなのは明白ですからね。

 何度も強調しますがアライグマのメスは母親の周囲からあまり動かずに暮らして、そこによそから長い距離を移動してきたオスがどういうわけか探し出して(この探し方を研究することが出来ればさらにいいのでしょうが・・・)冬に交尾をして、春先に妊娠をしたメスがより条件のよさそうな場所に移動をして出産する。

 

 ですから・・・この自治体でも未だに外周部でメスばかりが捕まる場所があるんですよね・・・。この発表では扱わなかったのですが、こんな場所があることから言えるのは・・・この自治体の外周部、この発表で扱った隣接自治体とのちょうど間の、丘陵地帯や林の中にメスたちが狭い範囲で多数生息している群生地があるのではないか、ということです。

 ですからある自治体内からアライグマを減らせたとしても隣接してる自治体から減らさないことには延々外から入ってくる可能性はありますし、仮にある隣接してる自治体をこの自治体と同じ状態に持ち込めたとしても、その間に手つかずの群生地がある限りはそこにオスがやってきて繁殖、春先にメスが出てきて各地でまた繁殖・・・を繰り返して彼らの母数が減ることはないでしょう・・・・。

 

この予想図から言える結論は単純です。

本当にアライグマを減らすなら、これまで人の手が及ばなかった群生地を攻撃する必要がある

 発表最後のスライドですが、今後は自治体内部からアライグマを排除しつつ、捕獲データからその周囲のどこから彼らがやってきて、メスたちがどこで暮らしているのか特定し、さらにそこへ直接攻撃を仕掛ける必要があると小河さんも言ってます(さすがに毒餌は禁止されてるので言い過ぎですが)。

 

 

 以上が5月のセミナーでお話した内容です。これからはこのような方針に御協力を頂ける専門家の方々を集めつつ、いかに実現していくかを県や議会などと協同しつつ進めていくかが問題になっていくでしょう。

 

 

 あー、疲れた。この週末で腰が治ればいいですが。ゲホゲホ

 

 

 

 ・・・・・なんだかすごいことになってます。去年の12月の捕獲なんて月に10頭もなかったはずなのに、今年は既に今日で10頭に達しました。今日なんて、一気に3頭も捕まって驚いています。この時期の複数捕獲なんてほとんど覚えが無いんですけど・・・。

 いや、驚いてるだけでもないですしここでアライグマが増加しているというわけでもないとは思ってますよ。なんでここで捕まったかの推測は出来ます。そこは専門家ですからサーチ

 1枚目は昨日も大きなオスが捕まったところで捕まったオスだったので、おそらく加藤先生が言っていたように緩やかな社会性でもって一緒に行動していたのだと思われます。相棒が捕まったことから学ばなかったようです。食欲には勝てなかったのかもしれませんパスタ

 

 2枚目も先週メスが捕獲されたところだったので、おそらくメスの周囲をうろついていたか、メスを求めてやってきたオスだと思われます。

 

 で、3枚目は町の外周の林の中で捕まり、見た目も特に特徴は無い普通のアライグマに見えたのですが、罠を運ぼうとするとやたらと重い。昨日から胃腸炎で具合が悪いからかと思ったのですが・・・帰って測定してみると、なんと10.1㎏豚もありました。今年初の10㎏台であり、年間かなりの数のアライグマを見てきているプロチョーネたちでもここまで重いのはめったにお目に掛かれません。こいつだけでなく他のも6,7㎏はありましたのでやはりアライグマたちは人知れずにしっかりと餌を確保して冬に備えて太ってるのは間違いないですね。

 

 こっちは胃腸が痛くて痩せそうですが・・・。

 さて5月のセミナーですけれども、最後に発表したのはアイディーサービスのアライグマ担当の小河氏です。グッド!プロチョーネと同じ担当ということもあって日頃からお互いの捕獲情報などやりとりしています。この方は駆除業務の他に自治体や環境団体、そして議員の方々の間を動き回って会社ではこれまでにない働きかけをしてくださっており有難い限りです。このセミナーの企画もプロチョーネと一緒に行なって下さって大変助かりました。

 小河さんが発表した内容は、駆除業者の立場からある自治体でアライグマの駆除を行ったデータに基づいてその中身や生息状況、捕獲がされやすい場所、さらには今後行うべき防除の方法についてでした。それは大変いいのですが・・・

 発表内容が実際の自治体名と地名を明記した内容なので、この自治体に配慮させて頂く関係で具体的なデータや地名を扱った部分はブログで扱えないんです・・・。キョロキョロ後で文句言われても困りますしね

 なので結構内容を伏せた上で内容をお伝えいたします・・・

 

 発表内容はこの通り、まずある自治体の防除データから(何年には何頭捕まり、どこ地区で何頭捕まり、どこが一番多い、またアライグマの捕獲従事者資格を持った人が捕まえたか、無資格の人からの依頼を受けて業者が罠を仕掛けて捕獲したかの割合などを記してます)色々と見解を示しています。

 

※おそらくブログでは扱ったことがなかったと思いますので補足しますと、「アライグマ捕獲従事者」とは狩猟免許とは別に増えすぎて手におえないので猫の手も借りたい一般の方々の手も借りたい埼玉県が独自に外来生物法に基づいて作った資格です(他の県でもあるかもしれません)。年に何度か県内各地で開催される2時間ほどの従事者研修を受ければアライグマに限り、自分で罠を使って捕獲する事が可能になる制度です。捕獲の多い県北では10年ほど前から資格を持った方々が捕獲を続けてくださっており、それが県内の防除に大きく寄与しています。ただ、さいたま市や川口市などアライグマが増えているものの都市部の方ではほとんど資格者がいないのが現状です。

 

詳しくはリンク先をどうぞ。特にさいたま市周辺の方々でアライグマ被害にお困りの方々はご覧になられるといいと思います。

 

アライグマ捕獲従事者資格、研修について(埼玉県みどり自然課)

http://www.pref.saitama.lg.jp/a0508/araigumahokakujuujisha.html

 

 

 内容に戻りますが、結局3年間のデータから言えるのは

・業者が駆除に加わったことで2年目は県内1位の捕獲数を達成(喜んでいいのかは別として)

・3年目は捕獲数も減り、自治体の外周での捕獲が増えた。しかし周辺自治体の捕獲数はほぼ変わらず。

・結局、一自治体から努力をしてアライグマを減らしたところで全体数が減るわけでもなく周囲に移動したり、周囲で増える。

 

 特にこのセミナーに際して小河さんが埼玉県内のほぼ全部の自治体に捕獲数を聞き取りして回ったのですが、県北はあまり変わらないものの、加須や越谷のある東部やさいたま市周辺から東京近くのあたりで捕獲、目撃共に増加しているという話でした。ごく一部だけ前年よりも捕獲が減った自治体もあったのですが、それもイノシシの被害が激増したとか、隣のアライグマ捕獲数が増加したなどの、動物たちの事情によるもので、ほとんど人間の手によってアライグマの生息数を減少させた自治体は無いようです・・・。

 これまでにお伝えしてきたように、彼らの繁殖力と移動力と適応力がこの結果からも見えてきますね。1カ所でいくら業者と従事者が協力をして埼玉県1位の捕獲をしたところでよそで増えるだけで、その自治体と周りの自治体を行き来する経路を動物が好きに移動できる以上はどうしようもないのです・・・。だからこそ僕たちはこうして独自にセミナーを開いて専門家の先生や行政の方々と力を合わせて、現場から見える「今後やるべき防除」の方法を模索している所でございます。

 

 さて、次回はどんな場所でアライグマが多く捕まっているかを特定材料をなるべく伏せつつお伝えいたします。

 

 

上 ツヨシ        下 ヨワシ   どちらもアライグマ並みに太ってます。冬に備えてるのかな?夏もこんな感じだった気がしますが。

 

 プロチョーネです。セミナー明けの今週もなかなか捕獲が多いです。月曜には先週も捕獲があった本庄から呼び出しがあって向かうと

 建物の外周に差し掛かるところで

 お尻を向けて待ってました。前回は1歳程度のオスだったので今回も兄弟か何かじゃないかと思っていたところ、予想は外れてメス。

 でもこれは被害に遭ってる人からするとあまりいい状況とは言えません。セミナー記事で書いたように、今の時期(11~12月)はアライグマの発情期で各地にいるメスを目指してオスたちがうろついている時期です。そしてオスに対してメスの移動範囲は狭く、母親から独立はするものの、平均ではせいぜい1.5km程度しか離れないみたいなんですよね。つまり、都市部の1,2駅間程度の親離れにすぎない。実家暮らしはしないものの、ほぼ地元暮らしするのがアライグマのメスたちの生活圏内のようです。

 ですから、今回の現場から考えられるのは・・・最初に捕まったオスは牙も伸びきっていない年なのに対してこのメスは一通り成長していたのできょうだいではない。しかし、このメスがこの現場の近所(せいぜい1,2km圏内)で育った可能性は高く、母親や姉妹が近所にいる可能性も同様にあり、そこにオスたちがやってきて来年の春頃にはそれぞれのメスたちからまた子供が生まれてしまう・・・。

 アライグマのメスが1頭捕まったら、その母親か姉妹、または娘が近所に数頭はいるものと思うべきでしょう。彼らを今の時期に捕まえることがかなり重要なのですが・・・今のところはこうして被害があった所で偶然捕まるのを待つくらいしかできないんですよね。

 

 また、今の時期であり得るのがカップル候補の捕獲です。

 今週月曜に別の場所でメスが捕まり、まだ周囲に足跡があるということなのでそこの人が罠を仕掛けていたところ・・・

 2日後に大きなオスが捕まりました。

 

 これもだいたい推測ができます。実はこの2頭が捕まったあたりでは6月頃にトウモロコシ畑が複数のアライグマ、おそらく親子に荒らされたのですが、電気柵をすぐに被害者の方が仕掛けたこともあって捕まらずじまいだったんです。おそらくそのまま親子がこのあたりで暮らして大きくなって独り立ちをしたメスが1頭目。で、よそからうろついてやってきたのが2頭目のオスだと思います。同じ地点で捕まったこともあってこの2頭はもしかすると出会ってから互いを確認しあう時期―つまりは交際時期ラブラブにあったのかもしれません。彼らの交尾期はだいたい1,2月と言われているので、それまでの開きの間に何が行われているかはよくわからないのですが、もしかすると鳥が求愛のダンスをして懸命にメスの気を惹くみたいにアライグマにもカップル成立するまでの駆け引きが行われているのかもしれません。

 まあともかく、1組の繁殖を防ぐことができたとは思いますが・・・こんな出会いが埼玉県中で、日本中で知らず知らずのうちに行なわれていると考えると・・・そりゃアライグマが減るわけはないですよね。

 

 かなり寒くなってきましたので皆さん風邪にはお気を付け下さい。