さて5月のセミナーですけれども、最後に発表したのはアイディーサービスのアライグマ担当の小河氏です。プロチョーネと同じ担当ということもあって日頃からお互いの捕獲情報などやりとりしています。この方は駆除業務の他に自治体や環境団体、そして議員の方々の間を動き回って会社ではこれまでにない働きかけをしてくださっており有難い限りです。このセミナーの企画もプロチョーネと一緒に行なって下さって大変助かりました。
小河さんが発表した内容は、駆除業者の立場からある自治体でアライグマの駆除を行ったデータに基づいてその中身や生息状況、捕獲がされやすい場所、さらには今後行うべき防除の方法についてでした。それは大変いいのですが・・・
発表内容が実際の自治体名と地名を明記した内容なので、この自治体に配慮させて頂く関係で具体的なデータや地名を扱った部分はブログで扱えないんです・・・。後で文句言われても困りますしね
なので結構内容を伏せた上で内容をお伝えいたします・・・
発表内容はこの通り、まずある自治体の防除データから(何年には何頭捕まり、どこ地区で何頭捕まり、どこが一番多い、またアライグマの捕獲従事者資格を持った人が捕まえたか、無資格の人からの依頼を受けて業者が罠を仕掛けて捕獲したかの割合などを記してます)色々と見解を示しています。
※おそらくブログでは扱ったことがなかったと思いますので補足しますと、「アライグマ捕獲従事者」とは狩猟免許とは別に増えすぎて手におえないので猫の手も借りたい一般の方々の手も借りたい埼玉県が独自に外来生物法に基づいて作った資格です(他の県でもあるかもしれません)。年に何度か県内各地で開催される2時間ほどの従事者研修を受ければアライグマに限り、自分で罠を使って捕獲する事が可能になる制度です。捕獲の多い県北では10年ほど前から資格を持った方々が捕獲を続けてくださっており、それが県内の防除に大きく寄与しています。ただ、さいたま市や川口市などアライグマが増えているものの都市部の方ではほとんど資格者がいないのが現状です。
詳しくはリンク先をどうぞ。特にさいたま市周辺の方々でアライグマ被害にお困りの方々はご覧になられるといいと思います。
アライグマ捕獲従事者資格、研修について(埼玉県みどり自然課)
http://www.pref.saitama.lg.jp/a0508/araigumahokakujuujisha.html
内容に戻りますが、結局3年間のデータから言えるのは
・業者が駆除に加わったことで2年目は県内1位の捕獲数を達成(喜んでいいのかは別として)
・3年目は捕獲数も減り、自治体の外周での捕獲が増えた。しかし周辺自治体の捕獲数はほぼ変わらず。
・結局、一自治体から努力をしてアライグマを減らしたところで全体数が減るわけでもなく周囲に移動したり、周囲で増える。
特にこのセミナーに際して小河さんが埼玉県内のほぼ全部の自治体に捕獲数を聞き取りして回ったのですが、県北はあまり変わらないものの、加須や越谷のある東部やさいたま市周辺から東京近くのあたりで捕獲、目撃共に増加しているという話でした。ごく一部だけ前年よりも捕獲が減った自治体もあったのですが、それもイノシシの被害が激増したとか、隣のアライグマ捕獲数が増加したなどの、動物たちの事情によるもので、ほとんど人間の手によってアライグマの生息数を減少させた自治体は無いようです・・・。
これまでにお伝えしてきたように、彼らの繁殖力と移動力と適応力がこの結果からも見えてきますね。1カ所でいくら業者と従事者が協力をして埼玉県1位の捕獲をしたところでよそで増えるだけで、その自治体と周りの自治体を行き来する経路を動物が好きに移動できる以上はどうしようもないのです・・・。だからこそ僕たちはこうして独自にセミナーを開いて専門家の先生や行政の方々と力を合わせて、現場から見える「今後やるべき防除」の方法を模索している所でございます。
さて、次回はどんな場所でアライグマが多く捕まっているかを特定材料をなるべく伏せつつお伝えいたします。