胃腸炎と下痢はほぼ治りましたが、昨日変な姿勢で寝たために腰が痛くなったプロチョーネです。きついですが、5月分のセミナーについてはもう一息で終わりますので今日のうちに書いておくと致します。
前回Ⅰの部分を扱った小河さんの発表に戻りますけど、Ⅱもまた実際の地名が多いので伏せつつお伝えします。
うちが防除を委託されている自治体の3年間の記録を基に中でも捕獲が多い地点について扱いました。その一例を挙げます。
小さくて申し訳ないですが、ここは前回お話した捕獲従事者の資格を持つお方が僕たちが防除に関わる前から何年にも渡って何十頭もアライグマを捕まえてきた場所です。拡大してもらえると分かるのですが、左上の地図には水路を示す青い線を引いており、これが南の自然公園の山の中から、従事者の方の敷地の真ん中を通って自治体の住宅地、さらに北の荒川へと繋がっています。(荒川があることくらいは伏せなくていいっすよね?)
この方はこの水路沿いに罠を複数台設置していて、この2年は年間10頭前後まで捕獲数は落ち着いたものの、1年目は30頭近く、本人いわく、一番多いときには40頭を捕獲した年もあったそうです。これはどこの自治体でもそうそうない記録だと思います。
ともかく捕獲が続いている要因として、ここが主に南側からこの自治体へ侵入するのにアライグマたちが使っているルートであることが挙げられます。地図を辿ってもこの南側には自然公園、さらに南の自治体の丘へと繋がっており、これは推測にすぎませんが、その丘の部分にアライグマたちのメスが暮らしている一帯があるのではないかと思いました。
ここは現在は空き家になっているところで、我々が毎週設置してある罠を見に来て管理している場所の一つです。たまに所有者が別の自治体に住んでいるなどの理由で、加えてそこで捕獲が多く見込めそうな場所な場合は僕らが自分たちで捕獲をするようにしています。現にこういった場所では年間10頭以上アライグマが捕まる場所も多く、単に従事者の皆さんの捕獲に頼るだけでは捕まえられないアライグマを多く捕まえることが出来ました。
この場所は15年ほど前からアライグマの生息が住民の方々に確認されていた場所でしたが、当時は「被害性が無いなら対処はしない」という役場の対応によって放置された結果、その10年ほど後の2017年の冬にアイディーサービスが罠を仕掛けたところ次々とアライグマが捕まり、書いてあるように、通常は捕獲が少ない冬場だけで10頭も捕獲がありました。メスも多かったため、長年ここでアライグマが繁殖していたと思われます。おそらくここのあたりにメスが複数住み着き、よそからオスが、青い線で示してある川沿いにやってきたのでしょう。
去年の2年間にわたって捕獲を続けたことで今は通りすがりのオスが捕獲のほとんどを占めるようになりましたが、いかにこうしたメスの繁殖場所、生息地を自治体内に作らせず、早期に発見する必要があるか改めて実感できます。
現に去年と今年にかけて、この自治体内でメスが繁殖した場所はほとんどなく、(こうした例外(https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12480286982.html)も数箇所ありましたが、すぐに従事者さんかこちらで捕獲をしています。全部捕獲できたかは分かりませんが・・・)捕獲のほとんどは外周部に侵入、通過中の個体の状態にできています。
つまり、様々な自治体での防除で言える事として
・自治体内のメスの生息地の認識とメスの排除
・自治体内にアライグマが侵入してくる経路(主に水路や川、林など)を特定してその付近で監視、防除を続ける
これが最低限必要だと言えるでしょう。以下のスライドにも同じようなことが書いてあります。
やはりアライグマが多く捕まる場所を見てきて言えるのは、必ずそこを多くのアライグマが使う理由があるということです。それは主に
通路 餌場 住居(繁殖所)
の3つですね。古谷先生も言っていますし、他の動物にも言えることですが、この条件を多くみたすほど連中が利用する可能性は高く、現にそう言った場所がこの自治体の捕獲を多く占めているのも確かです。また、今年の冬にやたらと捕まる場所から確信できたここに加えられる条件として
メスがいる場所(交際場所)
がアライグマ社会の場合は挙げられるでしょう。前のブログにも書いたように、去年の冬より今年の冬に捕獲が多い理由は自治体内に春先から侵入して繁殖をしたメスがこの時期まで生き残り、その娘たちが近所でくらし、そこによそから来たオスが誘われてやってきた からなのは明白ですからね。
何度も強調しますがアライグマのメスは母親の周囲からあまり動かずに暮らして、そこによそから長い距離を移動してきたオスがどういうわけか探し出して(この探し方を研究することが出来ればさらにいいのでしょうが・・・)冬に交尾をして、春先に妊娠をしたメスがより条件のよさそうな場所に移動をして出産する。
ですから・・・この自治体でも未だに外周部でメスばかりが捕まる場所があるんですよね・・・。この発表では扱わなかったのですが、こんな場所があることから言えるのは・・・この自治体の外周部、この発表で扱った隣接自治体とのちょうど間の、丘陵地帯や林の中にメスたちが狭い範囲で多数生息している群生地があるのではないか、ということです。
ですからある自治体内からアライグマを減らせたとしても隣接してる自治体から減らさないことには延々外から入ってくる可能性はありますし、仮にある隣接してる自治体をこの自治体と同じ状態に持ち込めたとしても、その間に手つかずの群生地がある限りはそこにオスがやってきて繁殖、春先にメスが出てきて各地でまた繁殖・・・を繰り返して彼らの母数が減ることはないでしょう・・・・。
この予想図から言える結論は単純です。
本当にアライグマを減らすなら、これまで人の手が及ばなかった群生地を攻撃する必要がある
発表最後のスライドですが、今後は自治体内部からアライグマを排除しつつ、捕獲データからその周囲のどこから彼らがやってきて、メスたちがどこで暮らしているのか特定し、さらにそこへ直接攻撃を仕掛ける必要があると小河さんも言ってます(さすがに毒餌は禁止されてるので言い過ぎですが)。
以上が5月のセミナーでお話した内容です。これからはこのような方針に御協力を頂ける専門家の方々を集めつつ、いかに実現していくかを県や議会などと協同しつつ進めていくかが問題になっていくでしょう。
あー、疲れた。この週末で腰が治ればいいですが。