一葉です。(。-人-。) 藤道奨物語シリーズ番外編2をお届けです。
お楽しみいただけたら幸いです。
前のお話はこちら↓
藤道奨物語シリーズ・番外編2
■ 深める彼 ■
冴菜とともに恩師片桐の元を訪れ、冴菜と婚姻したことを無事報告できた藤道は、その日の午後、キョーコと顔を合わせていた。
キョーコの姓が変わったことで様々な変更手続きの必要が出たからなのだが、弁護士だからかさすがに藤道は手慣れていて、あっという間に片は付いた。
キョーコからカーネーションを譲り受けたかつての喫茶店で、向かい合わせに座った二人はもうどこからみても親子にしか見えなかった。
「 へぇ、そう。じゃあ本当に昨夜は僕が言った通り、敦賀くんの家に行ってそのまま泊ったんだ 」
「 はい。結果としてそうなっちゃいました 」
「 ふふ。愛する娘の朝帰りか……。お父さん、喜んじゃうよ? 」
「 逆!普通そこ怒るトコ!…っていうか、別にそういうお泊りじゃありませんので!どうして敦賀さんがあの噂を否定し続けなかったのかを問い詰めていたら時間があっという間に過ぎちゃっただけなんです 」
「 そう。それは嬉しい成り行きだったね 」
「 藤道さん!!そういうこと、間違っても言わない!敦賀さんに迷惑がかかっちゃいますから! 」
「 そうかな。君を普通に自分の家に泊めるぐらいだ。敦賀くんだってそれを迷惑とか別に思わないと思うけど。何しろ今まで一度もそういう噂が無かった人気俳優が自分の意思でそういうことをしているんだから 」
「 それは、ちょっと不思議ですけど。でも敦賀さん、時々妙な反応をする時があるから、だからだと思います。怒りポイントとか、なんで?…って所で発生したりするので 」
「 へぇ、そう 」
「 そうです。だから……そういうこと、言わないで下さい。頭の中、こんがらがっちゃう 」
「 そうだなぁ。キョーコちゃんが僕に向かって、お父さん、そういうこと言わないで。キョーコ、こんがらがっちゃう…って言ってくれたら考えようかな。ちなみに敦賀くん、なんて言ってた? 」
「 ああいう噂は否定すると余計に興味を煽ってしまうものだから、何も言わないのが得策なんだよって。
でも本当のことじゃないのに煩わしくないですかって聞いたら、じゃあ本当のことにしてもいいよ?なんて満面の笑顔でからかって来て!その繰り返しだったんです 」
「 なるほど、それで朝帰り。お父さん、喜んじゃうよ? 」
「 逆!そこ怒るトコ!! 」
「 ……ま、敦賀くんの言うことも一理ある訳だし。そのまま放っておけばいいと僕も思うよ。特に害がある訳でもないんだし 」
「 ……はぁ… 」
踏み出そうとしているようで、それでいて彼が踏み出しきれない風なのは、恐らく蓮が秘密を抱えているせいだろう、と藤道は思った。
もしかしたら目標を叶えるまではどんなにキョーコを愛しく想えたとしても、それ以上の動きをセーブする気でいるのかも。だとしたらこれが彼のギリギリに違いない。それぐらい大きな秘密だと藤道は思うから。
けれど藤道は信じていた。
どんな噂が流れたとしても、キョーコのそばから離れる気などないと、彼ははっきり言葉にしてくれたから。
「 あ、そうだ、思いついた 」
「 ……なんですか? 」
「 いままでは下宿先に戻れるのが夜11時を過ぎるなら…って条件だったけど、これからは11時までに帰れないようなら敦賀くんの家に泊めてあげて欲しい…に変更しようかな。
その方が敦賀くん自身の時間の節約になるだろうし、そもそも夜遅くの運転は事故を誘発しかねない。あらゆる危険を回避する意味でその方が僕も安心できる。これぞまさしく一石三鳥 」
「 なっ…何を言っているんですか!映画の撮影はこれからもっと佳境に入るんですよ!!それじゃ毎日のように敦賀さん家のお世話になっちゃうかもしれないじゃないですか!! 」
「 え……そうだったんだ。それは素晴らしい情報を得た。よし、善は急げ。早速、敦賀くんに条件変更を申し入れよう 」
「 ちょっ…バカなことを言わないで下さい!藤道さん、携帯を置いて!!そんなことしたらそれこそスキャンダルになっちゃうじゃないですか! 」
「 スキャンダル?違うよ、キョーコちゃん。そういうのはハートフルロマンスって言うんだ♡ 」
「 なにがハートフルロマンス!!! 」
それに、人は障害があるほど燃えるから。
彼のキョーコちゃんを想う気持ちが本物なら、高く聳える障壁ほど恋の成就を煽るだろう。
そしてそれは、同じようにキョーコちゃんの気持ちも……。
「 藤道さん!!いまどこに電話をしようとしているんですかっ! 」
「 敦賀くんに決まってる。……あ、残念。留守電になった。仕方ない。あとでまた連絡を入れることにしよう 」
「 ダメ!!そんなこと絶対しちゃダメ!!しないで下さいね、藤道さん!! 」
「 なんで。キョーコちゃんだって敦賀くんと一緒に居たいだろう? 」
「 私のことはどうでもいいのぉぉぉ!!! 」
「 どうでもなんて良くない。僕は自分の娘が一番かわいいんだ!! 」
キョーコの恋を応援する気持ちも変わらず。
二人はこれからもっともっと、親子の絆を深めてゆく。
E N D
キョーコちゃんは簡単に弱音を吐くような子じゃないけれど、もしキョーコちゃんがこっそり涙を流している所を目撃なんかしちゃったら、この人、本気の全力で頑張っちゃうんでしょうね。それこそ凄いことしそう!…とか思う。
ちなみに本編最終話のタイトルを「はぐくむ彼」としたのは、藤道さんはこれから、「妻への愛」や「親子の絆」をはぐくんでいくと共に、キョーコちゃんが倖せを育んで行けるよう手助けをしていくその最中にクーさんとの友情もはぐくんで行くのだな~っていう、何て言うか、色々なはぐくみが見えたからでした。
最強の義理父を味方に付けて、キョーコちゃんの未来はものすごく明るそうな気がします♪
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※番外編3⇒「厳冬を願う彼」
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