一葉です。いつもありがとうございますっ!!(。-人-。)
藤道さんで終わり、藤道さんで始まる年末年始(笑)
しかしこちらは本編7話公開後にふと思い浮かんだ番外編です。
ショータローが知っていた噂の内容と、ローリィ社長が知っていた噂の内容に若干の食い違いがあったことに気付き(執筆者が気付いてどうする)、なぜその差が生まれたのだろうかと考えて生まれたお話です。
人を介した数が多いほど言葉は変化してゆくもの。
言葉遊びの妙ですね。伝言ゲーム、一葉は大の苦手でした。自分の中で勝手に物語を作っちゃって覚えられないんですよね。
おまけ的なお話ですのでそれほど長くはありません。ちなみに時間軸的には「その次の彼」の後という事になります。
蓮くんsideでお届けです。お楽しみいただけたら嬉しいです。
前のお話はこちら↓
藤道奨物語シリーズ・番外
■ 広がる波紋 ■
つい先日、某テレビ局内で最上さんを通じ、一人の男性と知り合った。
彼女の母親の同僚だと紹介されたその人は、いかにも弁護士らしい明敏なオーラを放ち、かと思えば最上さんの事情に暁通していますと言わんばかりのフェイントパンチを繰り出した。
「 僕は、弁護士をしています。藤道ショウです 」
「「「 なっ…?? 」」」
あの、幼馴染を彷彿とさせる名乗りで、咄嗟に浮かんだ俺の…俺達の表情がよほど面白かったに違いない。
どうしてそんな嘘をつくのかと間髪入れずに最上さんがツッコむ前に、その人はひどく愉快そうに腹を抱えた。
「 藤道さん!どうしてまたそんな嘘をつくんですか! 」
「 ははははは…。だって、面白かっただろう? 」
「 ちっとも面白くないです! 」
面白いか、面白くないかで聞かれれば確かに面白くはなかったけれど
「 これが僕の本当の名前です。どうぞ 」
「「 藤道…ススムさん 」」
「 です。キョーコちゃんの母親の…最上の同僚です。最上とはキョーコちゃんが生まれる前からずっと職場が一緒でね 」
そう言って最上さんを見下ろした、藤道奨と名乗りを上げたその人の顔は、まるで彼女を愛おしんでいるかのよう。
それは、決して下世話な意味ではなく
とてつもなく神聖で
途方もないほど高潔に……
「 なんか、びっくりしたな、蓮。さっきの…… 」
ドラマ撮影班に合流し、スタンバイをしている間に社さんがそうこぼした。
俺は口元を柔らかく緩め、クスリ…と微笑んだ。
「 そうですね。色々な意味で… 」
「 あー!!敦賀君 」
「 はい? 」
「 なぁ、なぁ。さっき、何があったん? 」
「 え? 」
「 さっき!すごく楽しそうだったじゃん。誰と誰? 」
俺と入りがほぼ同じだったから、恐らくこのドラマ共演者の俳優はそれを目撃していたのだろう。
先ほどのやり取りを再び脳裏に蘇らせた俺はやんわりと質問に応じた。
「 ああ…。今日、ちょっと用事があって俺の事務所の後輩と待ち合わせをしたんだけど、話し始めて数分もしないうちにたまたま彼女の知り合いが通りかかって、それで挨拶しただけだよ 」
「 ふふーん。本当に? 」
「 ……ん?どういう意味? 」
「 もしかしたらアレ、本当は彼女の父親じゃないの? 」
「 クス…。そう見えた? 」
「 見えたよ。敦賀君、どうする? 」
「 ん? 」
「 もしわざと待ち合わせのタイミングに合わせて故意に敦賀君と自分の父親を引き合わせていたとしたら。
父親だってことを隠して敦賀君のことを紹介したのかも知れないじゃん?敦賀君を自分の彼氏だとかなんとか言っちゃったあとでさ 」
あの子の父親。
傍から見てもやはりそう見えたのかと思った。
藤道さんの笑顔はまるで、最上さんを見守る風だったから。
「 ……違うって。そうだったらいいのにね、とは思ったけど 」
「 え?!なに、敦賀君、ウエルカム状態なんだ?!いいの?そういうこと秘密にしないで?! 」
「 秘密?…いや、特に必要性を感じないけど… 」
「 え?秘密じゃない!?二度ビックリ!!すげーな、逆にカッコいいよ。マジ敦賀君、リスペクト 」
「 ……意味判ってる? 」
「 おう。ちゃんと判ってる。紹介された男性がいっそ父親だったら良かったのにって話だよな! 」
「 そ…そう、だけど…… 」
「 5分後に撮影開始しまーす!! 」
「「 はい、了解です 」」
中途半端に切れてしまったこの何気ない会話が
のちに大きな波紋となって、更に大きな波乱を呼ぶことになるのだが、まだ誰もそれに気づいていなかった。
E N D
暁通(ぎょうつう)…物事をよく知り抜いていること。
噂の出所は多少の目撃者とウラを取った某俳優の口からだった…みたいな真相(笑)
ただそれが書きたくなりました。
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※本編8話目「探察する彼」に続きます。
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