SS 結託する彼 | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 一葉です。いつも有難うございます!!

 予想外に人気があって嬉しいこちらのシリーズをお届け致します♡


 ちなみにプロットを立てた見通しではあと4話で完結に至れるハズ!たぶん


 MでGでHな藤道さんが繰り広げる「キョーコちゃんのお父さんになろう計画」。

 かなり間が空いているので前話を読まないとたぶん理解に至らないと思われますが、前話と比較すると今回は割と短めです。



 前のお話はこちら↓

 その時の彼

 そのあとの彼【前編 後編】

 諦めたくない大切なこと

 その次の彼

 お休みの日の彼

 翌日の彼(5話目のおまけ)

 接近する彼

 後押しする彼

 広がる波紋(番外編)

 探察する彼

 閃きを得る彼


藤道奨物語シリーズ本編10話目

■ 結託する彼 ■





 この男なら間違いない。

 そんな確信が藤道の中にあったからこそ出来たこと。


 空になったグラスをテーブルに戻すと、蓮の頭から伝い落ちる雫が瞬く間にいくつもの水溜まりをテーブルに作った。



 少し離れた位置に腰を下ろしていたマネージャーがアワアワとしている。ひょっとしたら突然豹変した藤道の行動に蓮も内心では驚いていたのかも知れない。

 しかし立ち上がった藤道を見上げる蓮の双眸には吃驚や困惑、疑心の色は微塵も見当たらなかった。



 静穏なまなざしの蓮を見下ろしながら藤道はふと思い出す。

 自分がキョーコの弁護士となることで迷惑をかける事はない…と、LMEの社長に宣言したばかりだったのだ。


 自然と浮かんだ苦笑い。


 もしかしたらその表情は、若造をコケにする熟練男の余裕顔のように周囲の人間には見えたかもしれない。



「 ……敦賀くん。君は本当にいい青年だな 」


 口から洩れた賛辞は藤道の本音。

 続いた言葉は渾身の策。


 それは、未来の娘であるキョーコの恋を後押しし、且つ自分が欲する最上冴菜をおびき寄せ、確実に手に入れるために必要なものだった。



「 だけどね、君がどんなにいい青年だと知っても簡単にキョーコちゃんを渡す気にはなれない。なぜならキョーコちゃんは僕にとって、とても大切な存在だから 」


「 ……俺だって、簡単にいくなんて思っていませんよ 」


「 おや。そう返して来るとは思わなかった。正直なのは気持ちがいい。けど、いいのかな?そもそも君は人気商売なんだろう? 」



 先ほどまではほんの数人がチラ見をしていただけだった。だが今は驚くほど四囲がざわついている。

 間違いなく店内に居る誰もが二人の動向に注目していた。



「 俺は人気の有無を商売にしている訳じゃありません。俺の仕事は役者です。そして役者の仕事は演じることです 」



 挑みかかる強烈な視線。

 何かを察したのだろう剛直なセリフ。


 藤道は歓喜に背筋を震わせた。



 挑発に乗った演技をしているのだと自分だけに判るように伝えて来てくれた。それだけで充分だと思った。

 藤道の顔には恍惚とした表情が浮かんだ。だがそれも、周りの人間の目にはもしかしたら勝利を確信した男の顔にしか映らなかったかもしれない。


 実際それに相違なかった。

 藤道はこの時点で確信していたのだ。


 冴菜を確実に手に入れられるだろう未来を。




「 敦賀くん。……僕が君に言ったこと、忘れるなんて許さないよ 」


 この先どんな噂が流れたとしても、君だけはキョーコちゃんの味方で…



「 あなたこそ、俺の言葉を決して忘れないで下さい 」


 あの子がそれを嫌がっても俺は俺が出来る事をします。




 小さく頷いた藤道は2枚の伝票を拾い上げるとまるで戦に勝利した武将のような微笑みでテーブルから離れた。

 無言のまま会計を済ませて振り返ることなく店を出る。


 慌てて駆け寄るマネージャー。だが社とは対照的に蓮は妙に落ち着いていた。

 落ち着いて、耳を澄ませていた。



「 蓮、平気か?! 」


「 ええ、大して濡れていませんし 」



「 ……おい、いまのって特ダネじゃないか?


敦賀蓮と一緒にいた男は誰だ?知ってるか?


なんか、どっかで見た事があったような…… 」



 蓮には判っていた。藤道が自分に水を掛けたのは、周囲の人達の視線を集めるために違いないと。



 この店を選んだのは自分だった。


 業界人とはいえ人間だ。人の口に戸は立てられない。

 人が知らないネタを持つなら尚更そういう人が出る。


 だからそれを利用して、先の噂話を打ち消すためにもう一つの噂話をここから流そうとしていたのだ。


 結果としては恐らく目的は達成したことになるのだろう。

 藤道が意図した通りに。蓮が目論んだ通りに。



 問題は、その内容ということになるのだが。




おい、キョーコ…っていうのは誰のことか分かるか?


これってまさか、奪い愛?


まさか、敦賀蓮が?


ウソだろ?親子ほど年が離れているように見えたぞ?


それこそ判らないだろ。間に女が入れば…… 」



 コソコソ耳に障るそれらを聞きながら蓮は考えていた。


 注目を集めてからの藤道の発言は明らかな意図を持っていた。それはまるで一人の女性を巡っての話し合いを示唆するかのようだった。

 その結果、周囲の人間がその話をどう受け止めるのか、弁護士を生業としている彼が気付かない訳が無い。


 しかしあの子を娘と思えばこそ、藤道が京子の名に泥が付くような真似をわざとしたとは考えにくい。

 それを証明するかのように見上げた藤道の眼差しは父親そのもののままだった。



 だが藤道は何も言わずに出て行った。

 つまり彼はこの会話から受け止められるそのままを噂話にしていいと考えたということだ。



「 蓮…どうする?周りに声をかけていくか? 」



 心配そうに自分の顔を覗き込むマネージャーの社に向かって蓮はほっくりと目を細めた。



「 いえ、その必要はありません。それよりすみませんでした、社さん。完璧に俺のプライベートなのに付き合って頂いて… 」


「 いや、そんなのはどうでもいいんだ。ただ、蓮… 」


「 じゃ、帰りましょうか 」


「 帰るのか?本当にお前、それでいいのか? 」


「 良いも悪いも、話し相手が居なくなったのにこれ以上俺がここに居る意味が無いでしょう 」


「 そりゃ…そうだけど…… 」


 腰を上げた自分を心配そうに見つめるマネージャーに申し訳ないと思いつつ、蓮は朗らかに微笑んでみせた。



「 さ、帰りましょう 」


「 ……わかった、帰ろう 」



 信用するしかない。いま自分に出来る事はそれだけだ。


 矛先のすべては自分に向けて構わないと言った、彼の言葉を自分は信じるしかないのだ。



 藤道のそれに倣い、蓮もまた敢えて何も語ろうとはせず、そのままカフェバーを後にした。


 当事者たちが居なくなった店内で、興味本位が膨らませた噂話が深く根を下ろそうとしていた。






     E N D


結託…不正を行うためにグルになること(笑)多くは悪い意味に使う。

良い意味の場合は団結や連携になります。しかしこれに限ってはタイトルに偽りありですよね。


正確には、結託する彼らだ!!



⇒結託する彼・拍手

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※本編11話目「愛おしむ彼」 に続きます。



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