【電験40】R2理論の問15(三相交流回路) | 技術士を目指す人の会

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2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

●先週学んだこと(勉強再開から22週間目:4/4〜4/10)

令和2年度の「理論」について、TACの「電験三種 理論の教科書&問題集」の何ページを読めばこの問題を解くことができるのか、という視点で説明していきたいと思います。これ以降、TACの「電験三種 理論の教科書&問題集」のことを「TAC理論」と呼びます。

今回はR2の問15です。

 

 

問15は三相交流回路の問題です。

 

 

三相交流回路については、TAC理論のP234~P257に説明があります。

線間電圧と相電圧、デルタからスターへの変換等、基本的な事柄について説明があります。

ただ、この説明を読んだだけで、三相交流回路のことを理解できるわけではありません。

三相交流回路は難しいです。

三相交流回路の問題は、TAC理論では13問が掲載されています。

これら問題の解説を理解することによって、初めて三相交流回路のことを理解できるようになります。

 

この問15の(a)は、TAC理論の問題集部分のP264問7を理解できれば、解くことができます。

この問題は、以下の手順で解きます。

①負荷をスターからデルタに変換する

②負荷の合成インピーダンスZを求める

③線間電圧Vℓを相電圧Vpに変換する(Vp=Vℓ/√3)

④スターの線電流Iℓを求める(Iℓ=Vp/Z)

⑤デルターの相電流Ipを求める(Ip=Iℓ/√3)

 

①についてですが、

負荷がデルタの場合、これをスターに変換するには、3分の1すればいいです。

この問題の場合、抵抗Rは9Ωなので、デルタをスターに変換すると3Ωになります。

 

②についてです。

負荷の合成インピーダンスZは、リアクタンスと抵抗の合成値です。

Z=X+Rではありません。Z=√X^2+R^2 で算定します。

というわけで、Z=5Ωになります。

③については、問題で与えられているのは線間電圧Vℓ=200Vです。

相電圧Vp=Vℓ/√3ですから、Vp=200/√3になります。

 

次に④についてですが、スターの線電流Iℓを求めます。

Iℓ=Vp/Zですから、Iℓ=200/√3÷5=23.1

 

ここで終わってはいけません。

求めるのは、Iabはデルターの相電流です。

最後に⑤についてです。線電流を相電流に変換します。

Ip=Iℓ/√3ですから、Ip=23.1÷√3=13.3A

となります。

というわけで、正解は(2)です。

 

もしも、この問題の難易度が低い内容なら、ここで三相交流電力を計算させて終了です。

P=√3・Vℓ・Iℓ・cosφ です。

Vℓは200V

Iℓは40/√3

cosφは、R'/Zになります。R'=3Ω、Z=5Ωでしたから、cosφ=3/5です。

というわけでP=√3・Vℓ・Iℓ・cosφ=√3×200×40/√3×3/5=4,800W となります。

 

ところが、この問題の(b)は、単相電力を求めるものです。

これで難易度がグッとあがります。

 

というわけで、問15の(b)の解説です。

この問題は、TAC理論のの問題集部分のP270問9を理解できれば、解くことができます。

ちなみに、僕はこの問9を理解できていませんでした。

問題集に自筆したメモ書きを見たら、「深入りすると一般的な問題まで失点することになるからパス」と書いてありました。

だから、試験本番で、三相交流回路の単相電力計を見た瞬間、「これはダメだ」って思いましたね。

実際、正答できませんでした。

こうして復習をするなかで、ようやく理解することができました。

 

解説します。

この問題ですが、単相電力計は、電流はa相に繋がれ、電圧はb-c線間に繋がれています。

というわけで、単相電力は、線間電圧Vbcと線電流Ia、これらの位相差θにより、以下の関係式が成立します。

P=Vbc・Ia・cosθ

 

Vbcの大きさは、200Vです。

Iaの大きさは、(a)の計算途中で算定しています。Iℓ=200/√3÷5=23.1Aです。

ここまでは比較的簡単に計算できます。

問題は、cosθです。これをどうやって求めるか。

これを算出するには、ベクトル図を書く必要があります。

まずは、Vbcについて考えてみます。

問題文の図より、bを基点に考え、a,b,c相それぞれの相電圧をEa,Eb,Ecとすると、ベクトル図は下のようになります。

線間電圧Vbcは、Ebと-Ecの合成ベクトルになりますので、赤線のように表すことができます。

 

 

VbcとEbの位相差はπ/6(=30度)です。

EbとEaの位相差は2π/3(=120度)です。

これに線電流Iaを付け加えます。

下図のようにIaを青線で描いてみます。

 

IaとEaの位相差はφです。

求めたいのは、cosθです。

上図のとおり、VbcとEaの位相差はπ/2(=90度)で、φとθの合計がπ/2(=90度)です。

つまり、cosθ=sinφが成立します。

sinφ=X/Z=4/5 です。

以上のことから、

P = Vbc・Ia・cosθ = 200×23.1×4/5 = 3,696W = 3.7kW 

というわけで、答えは(3)になります。

 

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