●先週学んだこと(勉強再開から22週間目:4/4〜4/10)
令和2年度の「理論」について、TACの「電験三種 理論の教科書&問題集」の何ページを読めばこの問題を解くことができるのか、という視点で説明していきたいと思います。これ以降、TACの「電験三種 理論の教科書&問題集」のことを「TAC理論」と呼びます。
今回はR2の問15です。
問15は三相交流回路の問題です。
三相交流回路については、TAC理論のP234~P257に説明があります。
線間電圧と相電圧、デルタからスターへの変換等、基本的な事柄について説明があります。
ただ、この説明を読んだだけで、三相交流回路のことを理解できるわけではありません。
三相交流回路は難しいです。
三相交流回路の問題は、TAC理論では13問が掲載されています。
これら問題の解説を理解することによって、初めて三相交流回路のことを理解できるようになります。
この問15の(a)は、TAC理論の問題集部分のP264問7を理解できれば、解くことができます。
この問題は、以下の手順で解きます。
①負荷をスターからデルタに変換する
②負荷の合成インピーダンスZを求める
③線間電圧Vℓを相電圧Vpに変換する(Vp=Vℓ/√3)
④スターの線電流Iℓを求める(Iℓ=Vp/Z)
⑤デルターの相電流Ipを求める(Ip=Iℓ/√3)
①についてですが、
負荷がデルタの場合、これをスターに変換するには、3分の1すればいいです。
この問題の場合、抵抗Rは9Ωなので、デルタをスターに変換すると3Ωになります。
②についてです。
負荷の合成インピーダンスZは、リアクタンスと抵抗の合成値です。
Z=X+Rではありません。Z=√X^2+R^2 で算定します。
というわけで、Z=5Ωになります。
③については、問題で与えられているのは線間電圧Vℓ=200Vです。
相電圧Vp=Vℓ/√3ですから、Vp=200/√3になります。
次に④についてですが、スターの線電流Iℓを求めます。
Iℓ=Vp/Zですから、Iℓ=200/√3÷5=23.1
ここで終わってはいけません。
求めるのは、Iabはデルターの相電流です。
最後に⑤についてです。線電流を相電流に変換します。
Ip=Iℓ/√3ですから、Ip=23.1÷√3=13.3A
となります。
というわけで、正解は(2)です。
もしも、この問題の難易度が低い内容なら、ここで三相交流電力を計算させて終了です。
P=√3・Vℓ・Iℓ・cosφ です。
Vℓは200V
Iℓは40/√3
cosφは、R'/Zになります。R'=3Ω、Z=5Ωでしたから、cosφ=3/5です。
というわけでP=√3・Vℓ・Iℓ・cosφ=√3×200×40/√3×3/5=4,800W となります。
ところが、この問題の(b)は、単相電力を求めるものです。
これで難易度がグッとあがります。
というわけで、問15の(b)の解説です。
この問題は、TAC理論のの問題集部分のP270問9を理解できれば、解くことができます。
ちなみに、僕はこの問9を理解できていませんでした。
問題集に自筆したメモ書きを見たら、「深入りすると一般的な問題まで失点することになるからパス」と書いてありました。
だから、試験本番で、三相交流回路の単相電力計を見た瞬間、「これはダメだ」って思いましたね。
実際、正答できませんでした。
こうして復習をするなかで、ようやく理解することができました。
解説します。
この問題ですが、単相電力計は、電流はa相に繋がれ、電圧はb-c線間に繋がれています。
というわけで、単相電力は、線間電圧Vbcと線電流Ia、これらの位相差θにより、以下の関係式が成立します。
P=Vbc・Ia・cosθ
Vbcの大きさは、200Vです。
Iaの大きさは、(a)の計算途中で算定しています。Iℓ=200/√3÷5=23.1Aです。
ここまでは比較的簡単に計算できます。
問題は、cosθです。これをどうやって求めるか。
これを算出するには、ベクトル図を書く必要があります。
まずは、Vbcについて考えてみます。
問題文の図より、bを基点に考え、a,b,c相それぞれの相電圧をEa,Eb,Ecとすると、ベクトル図は下のようになります。
線間電圧Vbcは、Ebと-Ecの合成ベクトルになりますので、赤線のように表すことができます。
VbcとEbの位相差はπ/6(=30度)です。
EbとEaの位相差は2π/3(=120度)です。
これに線電流Iaを付け加えます。
下図のようにIaを青線で描いてみます。
IaとEaの位相差はφです。
求めたいのは、cosθです。
上図のとおり、VbcとEaの位相差はπ/2(=90度)で、φとθの合計がπ/2(=90度)です。
つまり、cosθ=sinφが成立します。
sinφ=X/Z=4/5 です。
以上のことから、
P = Vbc・Ia・cosθ = 200×23.1×4/5 = 3,696W = 3.7kW
というわけで、答えは(3)になります。
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