新聞や雑誌で取り上げられた水循環、水道、下水道に関する記事のうち、技術士試験で出題される可能性があるテーマや継続研鑚の一環として勉強するべきテーマについて解説をしたいと思います。
今日は12月12日付けの『水道産業新聞』からです。
テーマは、「送水管路更新計画のLCC最適化」です。
●LCC
LCCは、ライフ・サイクル・コストです。
施設や設備を新設して、使い終わって除却するまでに要する費用です。
LCC=①設置費+②維持費+③運転費 です。
例えば、ポンプであれば、法定耐用年数15年ですから、LCCは一般に以下のようになります。
①設置費
②維持費=15年分の消耗品や部品の取替費用や点検費用
③運転費=15年分の電気代
例えば、Aというポンプと、Bというポンプがあったとします。
Aは価格は安いです。Bは価格は高いですが省エネです。
この場合、AとBどちらのポンプを購入するのが有利になるのかは、LCCで比較してみる必要があります。
●管路のLCC
では、管路の場合、どうなるのか?
管路の法定耐用年数は40年です。
配水管のLCCは一般に以下のようになります。
①布設費
②維持費=40年分の点検費用
例えば、口径100mmの鉄管と、口径150mmの鉄管を比較するとします。
管路の場合、ポンプと異なり運転費がないです。
このため、LCCを算定するまでもなく、当然、口径100mmの方が安価になります。
というわけで、管路更新にあたって、LCCの最適化を考える余地は少ないわけです。
(もちろん、管種、耐用年数が異なる場合、LCCの最適化は考えるべきです)
●送水管のLCC
ところが、送水管の場合は、事情が変わります。
なぜなら、送水元にはポンプが設置されているからです。
送水管の口径が100mmの場合と、150mmの場合では損失が異なります。
損失が異なれば、ポンプの能力も異なりますから、ポンプの設置費、そして、運転費も異なります。
つまり、ポンプと送水管を含めたLCCを算定して、何が最適なプランになるのか、検討する必要が生じるわけです。
実際、LCCを算定した結果、口径100mmの送水管よりも、口径150mmの方が安価になるケースはあります。
というわけで、送水管路を更新する際は、LCCの最適化を検討する必要があるわけです。
●必須科目対策に必要な下水道の基礎
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※「資源の循環」については こちら をどうぞ。
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