H31技術士合格法(9.1 記憶するコツ) | 技術士を目指す人の会

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勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

9 解答の記憶
(1)記憶するコツ
記憶力は低下する

これまで情報の整理、解答の作成について話をしてきましたが、いよいよ勉強の最終段階です。

解答の記憶です。
記憶というと学生時代のことを思い浮かべるのではないでしょうか。
学生時代は英単語や年号等を一発で記憶することができたかもしれませんが、こうした芸当を大人になってやるのは容易ではないです。
なぜなら、記憶力が低下しているからです。
例えば、出合った人の名前をなかなか憶えることができなくなります。
大切な物をどこに置いたのか忘れることもあります。
このように記憶力が低下すると、憶えることのできる情報量が減少します。
さらにまずいことに、忘れるスピードも早くなります。
何度憶えても、記憶が定着していないという状況にイライラしてしまい、勉強のやる気を奪うことになります。
特に、40代前後になってくると、経験や勘で仕事をこなせるようになります。
新しい知識を憶えるという作業をしなくても、仕事自体は何とかなるようになります。
このため、憶えるという作業がめんどうなものに思えます。これがやる気を奪うことにつながります。
大人になってから記憶という作業をこなすのは予想以上に難しいです。
これまで頑張ってきたにも関わらず、最後の最後になって、やる気が失せてしまう可能性があるわけです。
こうしたことから、大人向けの記憶法を知っておくべきです。

憶えても忘れてしまう
エビングハウスの忘却曲線というのをご存じでしょうか。
人の記憶は、8時間後には50%、1日後で32%、7日目以降は25%しか記憶に残らないというものです。
この理論によれば、時間が経てば、憶えたことをどんどん忘れてしまう。最後は全部忘れてしまうことになります
そこで、多くの勉強本では、しばしばこの理論を引き合いに出して、復習の大切さを説くわけです。
しかし、「結局、時間が経てば、最後は全部忘れてしまうのでは?」という不安が生じます。

復習するにしても、「毎日、毎日、復習するのは時間がかかるからめんどう。」という気持ちになります。
さて、どうすればよいのでしょうか。

 

 

記憶作業を行う前にやっておくべきこと

記憶とは、何かの情報を見たり聞いたりして、その情報を頭の中に入れて、その情報を頭の中から取り出せる状態にすることを意味します。
電話番号をチラッと見て、番号を憶えてから電話するというがいい例です。この段階のことを、短期記憶と言います。
この短期記憶は、そのまま何もしなければ、忘れ去られてしまいます。
先程のチラッと見て憶えた電話番号を翌日思い出すことは不可能に近いです。
しかし、短期記憶も繰り返し憶え直すことによって忘れなくなります。記憶が定着するわけです。
この時の記憶を長期記憶と言います。
例えば、自分の携帯電話の番号や固定電話の番号を変更した時、最初のうちは思い出せない状況が続くかもしれませんが、最終的にはちゃんと記憶していると思います。
これは短期記憶から長期記憶に移行したからです。

このように、私たちが何らかの情報を記憶するためには、まず情報を憶えて、次に、その情報を憶えているかどうか確認します。それがちゃんと合っているかどうか確認します。
そして、その情報を忘れていたら憶え直します。
憶えるまでこれを繰り返します。
試験で得点するためには、①憶える、②思い出す、③確認するという作業を繰り返す必要があるわけです。
そして、僕らはこの作業がしんどいから困っているわけです。
なぜ、こんなにもしんどいのでしょうか?
それは何回憶え直せば、記憶が定着するのか分からないからです。
誰しも、試験に合格するためには、記憶を定着させる必要があることを分かっています。何度も、何度も、憶え直せば記憶が定着することも理解できます。
でも、それはめんどくさいです。
とは言え、手を抜けば憶えることができません。これは嫌です。
このように、何回憶え直せば、記憶が定着するのか分からないという不安が、記憶作業をしんどいものにする大きな要因になっています。 
このため、記憶するにあたっては、あらかじめ、憶え直す回数を決定しておくことが重要になります。

 

憶え直すべき最適なタイミング

というわけで、ここからが本題です。
資格コンサルタントで作家の高島徹治さんが、記憶を定着させる効果的な方法について説明しています。
その方法とは、復習するタイミングを工夫するというものです。
記憶は、何もせずに放置しておくと、エビングハウスの忘却曲線に沿って消えていきます。
ちょうど1週間目あたりを節目に、完全忘却(まったく思い出せない)に移行するのだそうです。
逆を言えば、1週間目が到来する前に、もう1回憶え直せば、その情報が忘却の彼方に行くことを防ぐことができるわけです。
もちろん、1回、憶え直すだけで記憶が定着するわけではありません。
記憶のメカニズムを考慮すると、1日、1週間、1か月を節目に憶え直すという作業を行えば、記憶が定着するのだそうです。
エビングハウスの忘却曲線によれば、1週間目で残る記憶量が25%、2週間後ではさらに忘却が進みますが、1週間目に憶え直せば、2週間後でも70%を超える記憶が残ることになるのだそうです。
さらに、1か月後、憶え直せば、かなりの情報量が長期記憶に移行します。
つまり、1日、1週間、1か月、計3回、憶え直せばいいことになります。

仮に、1週間毎日、憶え直すという作業を行うと7回やることになりますし、1か月毎日行うと30回になります。
これを3回に減らすわけです。
闇雲に記憶するのではなく、スケジュール感をもって、タイミングよく記憶する必要があります。

それから、試験に合格するだけではなく知識化することが重要ですから、1か月くらいの期間を確保して、しっかりと記憶することが大切です。

 

5回想起法

ただし、1日、1週間、1か月を節目に3回記憶するというのは、あくまでも基本の回数です。

記憶力には個人差があります。
人それぞれのやり方が必要です。
そこで、実際にやって効果があったのが「5回想起法」です。3回に2回プラスしたものです。
具体的には、1日、1週間、その翌日、1か月、その翌日という具合に5回、確認と憶え直すという作業をするものです。
1週間目の翌日と1か月目の翌日を追加したがポイントです。
記憶というものは、寝ている間に定着するのだそうです。
つまり、憶えているかどうかの確認を一日に何度も何度も繰り返してやるよりも、一旦睡眠をとってから、翌日、憶えているかどうか確認した方が合理的だということです。
寝ている間も脳が勝手に勉強してくれると考えると、少し、気持ちが楽になります。
それから、翌日というのは、前日の夜、記憶したものを翌朝確認するのがいいと思います。
前日やったことを記憶していることを確認できれば、努力が報われることを体感できます。

これがモチベーション維持につながります。それから、朝勉強するという習慣も身に付きます。 
 

 

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