(2)いろいろな記憶法
●記憶は目、口、耳、手を使う
私達が何らかの情報を記憶するためには、まず情報を憶えて、次に、その情報を憶えているかどうか確認する必要があります。
ここでは、記憶する方法、記憶法について説明していきます。
記憶法を理解する上で、記憶には「憶える」、「確認する」という作業の間に、もう一つ、欠かせない作業があることを知っておく必要があります。
そのもう1つの作業とは、「思い出す」という作業です。
情報を憶える。それを思い出す。そして、その思い出した情報が正しいかどうか確認することで記憶という作業が完了します。
記憶法を考えるとき、多くの人は、憶えることだけ工夫することを考えがちです。
しかし、記憶は3つで1セットです。
「憶える(input)」
「思い出す(output)」
「確認する(check)」
これら3つの作業を工夫することではじめて、記憶の効率化を実現することができます。
次に、具体的な記憶法の決定ですが、目、口、耳、手のうちどこを使って、憶える、思い出す、確認するという作業を行うか決定する必要があります。
まず、「憶える」は、目(見る)、耳(聞く)、手(書く)を使って行うことができます。
次に、「思い出す」は、口(声に出す、頭の中でつぶやく)、手(書く)を使って行うことができますし、「確認」は、目(見る)、耳(聴く)できます。
憶える、思い出す、確認するという作業をどの部分でやるかによって組み合わせは多数あります。
記憶法は多数あるわけです。
このため、自分にあった記憶法を見極めて、それを実行することが重要になります。
●音読法
音読法は、解答を声に出して読むというものです。最もシンプルな方法です。かけ算九九を憶えた方法がこれです。
音読については、作家の野口悠紀雄さんが「超勉強法」のなかで提唱されています。
この書籍の中では、同じ教材をとにかく20回繰り返し音読することを勧めています。
音読法は、「思い出す」と「確かめる」という作業がありませんが、目、口、さらに、耳まで使う点で有効です。
音読法だけで、記憶することができれば、どの方法よりも短時間で記憶作業が完了するかもしれません。
また、音読という作業により、自分の書いた文章を黙読するだけでは感じ取れなかった文章の不具合を発見することができます。
どの記憶法を選択したとしても、1回くらいは音読することをお勧めします。
ちなみに、音読する場合、単に音読するのではなく、録音すれば、後で、聴き流し法等にも利用できます。
●書き写し法
書き写し法は、解答を紙に何度も書くというものです。
これもシンプルな方法です。漢字を練習帳に書いて憶えた方法がこれです。
書き写し法は、解答全体を最初から最後まで、繰り返し書き写してもよいです。
●聴き流し法
聴き流し法は、録音した解答を何度も聴くというものです。
イヤホンで聞けば、どこにいても、何かをしながらでも、「憶える」ことができる点で有利です。
ただし、技術士試験の場合、記憶用の用意された音源があるわけではありません。
このため、あらかじめ録音再生装置(ICレコーダー、スマホ等)に録音することが前提になります。
●ルックスピーク法
ルックスピーク法は、まず、原稿の一部を目で見て憶える。憶えたことを思い出して口にする。
そして、それが正しいかどうか原稿を見て確認するものです。
具体的には、解答の一段落を憶えてから、それを口にする。頭の中でつぶやいてもいいです。
そして記憶した内容が正しいか解答を見てチェックする。
憶えていたことが、正しければ次の段落に進み、間違っていたら、また、憶え直すというものです。
これまでに述べてきた音読法、書き写し法、聴き流し法と異なり、これ以降の方法は全て、「憶える」、「思い出す」、「確認する」という3段階で記憶します。「思い出す」という作業を重視しているのが特徴です。
音読法、書き写し法、聴き流し法に比べ、時間も労力もかかりますが、憶えたことを実感できる点で有効です。
特に、ルックスピーク法は、解答以外に何も準備しなくてもいい点で手軽です。
●ルックライト法
ルックライト法は、まず、原稿を目で見て憶える。憶えたことを思い出して手で書く。そして、それが正しいかどうか原稿を見て確認するものです。
具体的には、解答を全て憶えてから、それを紙に書き出します。解答を見比べて、内容が合っていれば良いわけです。
ただし、ルックライト法ですが、解答を全て書いたら、解答用紙(24行×25字)1枚当たり20〜30分はかかります。
5回復習するのであれば、1枚だけで2時間前後必要です。これは、時間がかかり過ぎます。手も疲れてしまいます。
現実的には難しい方法です。
しかし、どうにしてアウトレットの回数は増やしておきたいものです。
そこでおススメしたいが、コピーした解答用紙に略字で書くという方法です。
思い出せるからどうか確認するために書くわけですから、文字はぐちゃぐちゃでもいいです。
極端な話、点や横棒でもいいわけです。
手を動かすことを重視してください
そして、ポイントは、解答用紙をコピーして、それに解答を書き込む点です。
これにより、内容を憶えるだけではなく、記述量を目と手で憶えることができます。
記述量を把握していると、解答を再編成するにあたって、「くっつける」、「ひろげる」という作業が容易になります。
こうした小さな工夫により、試験本番において柔軟な対応が可能となります。
コピー代を節約するよりも、効率を優先するべきだと思います。
また、たくさん字を書くと手に負担がかかります。
この負担を軽くするため、書き味の良い筆記用具を使うべきです。例えば、グリップはゲル状、シャーペンを使うのであれば、2Bの柔らかい芯を使うといいです。
●ルックミックス法
ルックミックス法は、ほとんどルックライト法と同じです。
まず、原稿を目で見て憶える。憶えたことを思い出して手で書く。その時に口にしながら書くというのです。
それが正しいかどうかは原稿を見て確認します。
この方法は、目、手、口、耳の全てを使います。
このため、効果的に記憶の定着を図ることができます。
ルックライト法のところでも述べましたが、ルックスピーク法を使って解答の内容をおおまかに憶えるのが合理的です。
そして、全体を確認する際は、ルックライト法よりも、ルックミックス法を使うのがさらに有効だと思います。
●リッスンスピーク法・リッスンライト法・リッスンミックス法
リッスンスピーク法、リッスンライト法、リッスンミックス法のコンセプトは、これまで述べてきたルックスピーク法、ルックライト法、ルックミックス法と同じです。
違うのは、「憶える」と「確認する」が、目で見るのではなく、耳で聴くことにより行う点です。
具体的には、下図のとおりです。
リッスンスピーク法の最大のメリットは、歩きながらできることです。歩くことにより、足からの刺激が加わり、記憶が進むことが期待できます。
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