欧州金融委員会のアルムニア委員長は昨日、「 ハンガリーの歳入と歳出は予想以上の

バランスを保つように改善がなされた。 当初同国財政赤字は対 GDP 10.1 %

見られていたが、改善の方向にある。 特に増税法案可決以降、 60 % の歳出削減が

なされ、 40 % の歳入増となり、より均衡が保たれようとしている。 ただ中期的な見通しに

課題が残るため、今年 12月の報告書を精査してみたい」と述べ、夏前から続く相次ぐ

構造改革に一定の評価を示した。  

またハンガリー国立銀行のチーフ・エコノミストであるハメッツ理事は、「2007年度の予算に

おいて、相対的に歳入は過少に、歳出は過大に見積もられている。 ゆえに来年度の

ハンガリーの財政赤字は、欧州連合のみならず、同国政府の予測をも下回る可能性が

高い」と述べた。


ただ同国の財政赤字見通しは依然として通貨統合基準を大きく下回っており、2010年の

ユーロ導入はかなり困難との予測が支配しており、市場では 2013-14年以降との

見通しが支配的。

これら相次ぐ好評価に対し、敏感に反応したのが外為市場。 フォリントは対ユーロで

一気に買われ、1ユーロ 205.00 から 202.30まで急伸。 前日比 0.8 % 高となっている。

一方のハンガリー債券市場、こちらも為替市場と同じく大賑わい。 昨日は 3年および

15年ハンガリー国債の入札が実施されたが、

ハンガリー国債落札結果

平均利回り

応札額 (Bil)

落札額 (Bil)

倍 率

03年債

09/F

6.50%

08-12-2009

8.13 %

263.95 Bil

89.99 Bil

2.93

15年債

20/A

7.50%

11-12-2020

7.02 %

62.55 Bil

24.99 Bil

2.50

 と、両銘柄とも予想以上の札を集め、3年国債は当初発行予定の 700億フォリントから

900億フォリントに増額、 15年国債も200億フォリントから 2500億フォリントに増額

発行となった。 また3年国債の 2.93 (増額後の倍率)は、史上最高の落札倍率となり、

かつ前回 9月の 3年国債入札時の落札レートからわずか 1ヶ月で 41 bp もの利回り

低下となる、絶好調の入札であった。

ただあまりの過熱感に来週 14 (火曜日)に発表される 10 CPI、および

1120 (月曜日)のハンガリー国立銀行インフレ報告書を警戒する向きもあり、今後の

動向に注視が必要との声もある。

フォリント・債券市場とも活況な一日となり、3年債は前日比 9bp10年ハンガリー

国債は 8 bp、ともに大きく利回りを引き下げて一日を終えている。


昨日欧州委員会は、欧州各国の秋季経済見通し (改定値)を公表。 とりわけ東欧諸国全体に

今後 2年間の景気鈍化を予測している。 同改定報告書によると、


ハンガリーおよびチェコは景気に加速がついていることと旺盛な個人消費の伸びにより、

今後 2年間にインフレを芽生えさすとし、ハンガリーは付加価値税などの増税措置に

より、今年 + 3.9 % CPI見通しが来年には + 6.8 % と、ほぼ倍増の数値を見ている。

また経済成長に関しては世界的な景気の鈍化と原油高の後遺症により、今年大きく

伸びたポーランドやハンガリーも + 0.5 %   1.0 % の減速を予測。

財政赤字はポーランドが通貨統合基準である対 GDP + 3.0 % を今後下回り合格点。 

累積債務はチェコとポーランドが基準値をクリアしているものの、ハンガリーに関しては

今後 2年間にわたり達成が困難。 一層の構造改革を要求する数値予測となっている。

同時に欧州委員会はブルガリアとルーマニアが来年 1月に通貨統合参加を見込み、

チェコ、ポーランド2009年を予定。 スロバキアは 2009年予定に遅れが出る見込み。 

エストニア、ラトビア、リツアニアが 2010年。 ハンガリーも 2010年参加を予定して

いるが、市場では 2014年以降になるとする見通しが支配的である。



昨日ハンガリー政府は 2007年度予算案を正式に発表した。 同草案によると今年の

財政赤字 対 GDP比で + 10.1 % であったが2007年度は増税と歳出削減により

+ 6.8 % (欧州連合財政赤字計算方式での数値) となる見込み。 

 



金融市場は「過去 6年間 歳出過多の予算が続き同国の評価を下げる要因となって

いたものの、2007年度の予算でようやく歯止めがかかり、痛みの伴った数値となった」と

まずまずの評価を与えている。

今後ジュルチャーニ政権は更なる構造改革のため、医療費補助、教育、地方政府

支出削減などに手をつけざるを得ず、野党である青年市民同盟との確執がさらに

増えてくる可能性も残る。 

先週日曜日には再び首相辞任デモが起こり警官隊と衝突している。 

このような不安材料が残るものの金融市場は安堵感が席巻し、ハンガリー債券市場は

イールド・カーブ全体に約 10 bp前後も買われ、フォリントは対ユーロで今年 5月以来

5ヶ月ぶりの高値 259.70をタッチ。 引けにかけて利食いに押されたものの、かなりの

買いを集めて引けを迎えている。


なおハンガリーも本日「 All Saints Day 」で祝日。  また今週土曜日の

11 4日に週末連続の市民デモが予定されているが、小規模になる模様。




ハンガリー政府、2007年度の財政赤字を対 GDP比で + 6.8 % (今年 + 10.1 %)

2008年度の財政収支を国債利払い前の数値で黒字化へとする予算案を承認。 

(: 2007年度の財政赤字 + 6.8 % には高速道路建設債務が含まれておらず、

これを加えると対 GDP 比で + 8.2 % となる)

ジュルチャーニ首相は 10 31日までに議会通貨が必要である暫定予算案をまとめ

政府の承認を取り付けた。 2007年度の財政赤字は総額で 1 7,180億フォリント

( 9,700億円)となり、その方策として主に財政支出抑制を計画。更なる健康保険・

医療システムの改正と教育関係の支出削減を実施する方向で、具体的には医療費の

追加負担、いくつかの病院・大学の閉鎖などが上げられている。

ただこれら支出削減に対し、野党である自由主連盟などが猛反対。 先般可決と

なった往診医療費追加負担などを含め、その是非を問う国民投票実施の要求を

突きつけており、オピニオン・ポールでも国民の 62 % が悪法であるとしている。

しかしながら一院制議会総議席数 386席のうち 210議席を占める社会党を中心と

した現与党、強引に可決に持ち込む可能性が強いため、ハンガリーの更なる財政赤字

削減が実施される方向になってきた。

また先般行われた「ハンガリー動乱 50周年記念式典」の後に起こった市民デモ

反政府暴動に関し、野党である市民フォーラム党のビクトル議長が扇動していたとの

観測が強まり、国内で大きな非難となっていることも今後の予算法案可決に持ち込む

与党にとっては追い風。



次々と出てくる財政赤字削減に向けた政府の動きを、ハンガリー金融市場は大きく

評価。 国内外の資金が再び大きくなだれ込み、2年国債は 15 bp10年国債も

10 bp 利回り低下。 またフォリントは対ユーロで 4ヶ月ぶりの高値をつけ、債券・

為替とも高値引け。





予てから政策金利の引き上げが予想されていたハンガリーであるが、ハンガリー国立

銀行は昨日の定例理事会 (理事 13) で基準金利となる 2週間の預金金利を

25 bp 引き上げ、欧州諸国で最も高い 8.0 % とすることを決定した。 

ハンガリーは5回連続の利上げ実施となる。

当初市場では 50 bpの利上げ予測が大勢を占めていたが、市民デモが実施された

あとにジュルチャーニ首相が議会で信任されたことから政治的な落ち着きが見え始め、

過去一週間利上げを見越したフォリント買いが継続。 平行して金利の買いへと波及

したことでハンガリー金融市場が穏やかな動きとなったこと。

また小幅ながらも財政赤字削減に対して医療費改革法案などが可決となったことで、

ハンガリー国立銀行は 25 bpの小幅利上げに留めたようだ。

とはいえ付加価値税などの増税の影響で、今後同国の CPI が上昇することになり、

中銀インフレ・ターゲットである 2.0 4.0 % の上限を 超え、2009年まで下回ら

ない可能性が高い。ヤライ・ハンガリー中銀総裁は、「原油価格などの下落でインフレが

当初見通しよりも落ち着いており、非居住者の資金回帰でフォリント高になったことで

小幅利上げに抑えた。 ただ次回の利上げに関しては、コメントを差し控えたい。」と、

インフレを睨みながら金融政策の運営継続を示唆した。

ハンガリーのCPIは付加価値税の引き上げ、エネルギー補助金の削減、電気・ガス

料金の引き上げで9月は 年率 5.9 % とここ 2年来の高さとなっている。 ハンガリー

中銀は 年率 4.2 % まで誘導することを望んでおり、今年末までにもう一段の利上げ

見通しが強く、市場では 8.5 % が当面のターゲットか。

一方相次ぐ利上げによりハンガリー政府は来年の同国 GDP 2.2 % とし、今年の

計画である 3.9 % から約半減する。 これは主に増税と金利高により各種 ローンの

支払い増の結果、可処分所得減少が消費を押さえ込むとしている。

昨日のハンガリー金融市場、フォリントは買戻しで戻したものの、月曜日の市民デモの

後遺症と利上げの影響が重なり、債券市場は売りが先行。 前週末比 2年債は

12 bp10年債も 5 bp利回りを押し上げて引けている。




金曜日のハンガリー金融市場は IMFが「ハンガリーは財政および経常赤字を削減する

ために緊急行動が必要である。 新 EUメンバーの中で最低のパフォーマンスとなって

いる」と声明を出したにもかかわらず、債券市場は2日連続の大幅高。 

フォリントは週末の利益確定売りにやや押されたものの、債券市場は再び大賑わい。

特に短期債へのニーズが続き、金曜日も 10 bp の利回り低下。 木・金曜日の

わずか 2日間で、合計 30 bp金利を押し下げることになった。

これは東欧の中で出遅れ間の強かったハンガリー金利に対し、政治の落ち着きが見え

始めた先週初旬から短期投資家が戻り始め、流れに沿って欧州域内の一般投資家が

参加したこと。 トルコ金融市場の回復なども好材料となり、週末特有のショート・

カバーや東欧諸国の株価下落に伴う金利の買いなどで金曜日も賑わいを見せたと

思われる。 


10年債も小動きながら終日堅調。 前日比 3 bp利回りを落として引けている。




昨日は各新興諸国通貨が大きく買い上げられた。 きっかけを作ったのがトルコ・リラ。 

水曜日トルコ政府が国営銀行である Akbankの株式 20 % をシティ・グループに

売却すると発表。 また近日中に国営第 2位の規模を持つ Halkbankも売却予定と

述べたことからトルコへの資金流入を期待した買いが入りリラが対ドルで上昇。

さらに欧州時間に入り今度は東欧通貨やルーブルに買い物色。  特に地方選で

社会党惨敗したハンガリーは、政府虚偽報告も含め大きく売られていた反動もあり、

債券・フォリントを含め資金が急速になだれ込んだ。

ハンガリーは来週火曜日 (10/24)にハンガリー国立銀行 定例理事会の開催が予定

されており、ここで 2550 bpの利上げ予測が出ているため、その利上げ効果が

フォリントそのものへの買いとなったようだが、国内に好材料も散見。

財政赤字削減が急務となっているハンガリー政府は水曜日夕方、健康保険改革

法案を可決。 元来無料であった医者による家庭往診その他医療サービスに対し、

その費用負担を徴収するという法案で、大幅改革にはまだまだ取るに足りないが、

政治混乱後の構造改革着手を金融市場は評価したようだ。

またハンガリーは来週月曜日 (10/23) 「建国記念日」で祝日。 3連休を前にした

あわてたショート・カバーも債券・為替市場に入ったようだが、同時に今年同国は

ソビエト体制離脱 50周年ということもあり、一部ご祝儀相場も重なったのではとの

観測も出ていた。

フォリントはユーロに対し約 0.85 %の上昇。 債券市場は急騰を見せ、 10年債で

12 bp、為替の影響を直接受ける 2年債は 19 bp も買い上げられて引けている。 

ハンガリーの年内フォワード・カーブは 60 bp の利上げを織り込み済み。 ただまだ

織り込み方が小さいとの見通しも多く、来週の利上げを含め、年内毎月政策金利の

引き上げがまだ残っている。

同時にポーランド・ズロチもしっかり。 来週火・水曜日 (10/24-25)日のポーランド中銀

定例理事会では 4.0 % の金利は据え置きとの見方が大勢を占めているものの、

自衛党が再び連立政権に戻ってきたことから、当面の政治混乱回避と他の新興国

通貨上昇に連れ高。 ズロチは約 0.3 %対ユーロで上昇。

ポーランド国債 2年債も 4.0 bp近く買われている。 

なおポーランド政府は今年 110月の累積債務が 145億ズロチとなり、今年の

計画である 305億ズロチの 47.4 % となったと発表。 これは対 GDP比で 61.5 %

前後と予測され、今年初めて計画を上回ったとしている。




ハンガリー金融市場、政治的な混乱がピークを迎えつつあり、不安視した動きが市場

全体を覆っている。 統一地方選で大敗した社会党ジュルチャーニ首相は明日 6日、

自身の進退を決める信任投票を実施予定。 社会党と連立政権を組んでいる自由

民主連盟も支持を表明しほぼ新任される見通しではあるが、造反議員が出る可能性も

あり予断を許さない状況。 

信認回復に向けてジュルチャーニ首相は、2009年までの増税を撤回する観測もあり、

今後同国の財政赤字削減に影響を与えることも考えられる。

また野党最大であるフィデス青年民主連盟は、首相の信任投票が行われる同 6日に

再び大規模デモを計画。 再度警官隊との衝突などがあれば、当面政治的混乱が

続くと予想され、ハンガリー金融 市場にとって頭痛の種となりそう。 


これら政治問題を明日に控え、フォリントはユーロで続落。一時この一週間の安値で

ある 1ユーロ276.95をヒットしたが、自由民主連盟の政府支持の表明と、東欧

通貨が全面的に買われたことで引けにかけて戻していった。 金曜日の動向が気になる

ところではあるが、フォリントは対ユーロで 280が当面の支持ラインになると

為替市場は見ている。

 


債券市場は連日さえない動き。 ある程度小康状態となったものの、昨日も 3年債

10年債とも 5bp強利回りを上げて引けており、明日の信任投票の結果が出るまで

買い手が止まったままになると予測される。




週末 10 02 日曜日に行われたに行われたハンガリー統一地方選挙、社会党と

自由民主連盟の連立野党は 首都ブダペスト市長の議席は押さえたものの、野党で

ある青年民主連盟 (Fidesz)は、19県議席のうち 18議席を獲得。また23市長選の

うち 19議席を獲得するという大勝利を収めた。

ちなみに 4年前に実施された統一地方選では、与党連合が 15県議席、17市長選を

獲得していたこともあり、与党惨敗の選挙結果となってしまった。

この選挙結果のきっかけは 9 17日にラジオで暴露された録音テープ。 

ジュルチャーニ首相は「選挙勝利のために、ありとあらゆる嘘をついた」と公言した

内容の録音が流され、これがしない暴動デモへと発展。  18日夜からは増税と歳出

削減で不満を持った一般市民のデモへと発展し、社会主義体制崩壊後初の警官隊と

衝突。 さらには国営放送局選挙となり、中小規模デモは今回の統一地方選挙まで

続き、今回の地方選 与党大敗の要因となった。

9 26日には欧州委員会がハンガリーの緊縮財政政策に強い支持を打ち出し、また

野党である青年民主連盟が主導したといわれている大規模都市での一般市民の

暴徒化にはハンガリー国内からも強い批判の声が上がったものの、もはや流れは

止められず。一気に現政府批判へと流れた。

今回の統一地方選与党大敗に対しジュルチャーニ首相は選挙結果判明後、野党および

10 01日にテレビ演説したショーヨム大統領による首相退陣要求を改めて拒否。 

今週 6 () に国会で自身の信任投票実施を執り行うことを表明している。

ただ今回の地方選の結果から、国会議会自体が早期解散総選挙になる可能性は

小さいと思われる。

                                         - to be continued -




上から ↓


ハンガリーの政治は一院制。 386議席の内訳は、

  

社    会    党

MSZP

186議席

1与党

     

SZDSZ

20議席

2与党

フィデス青年民主連盟

Fidesz

140議席

1野党

キリスト教民主人民党

23 議席

2野党

その他

17 議席

 と、連立与党である社会党と自由民主連盟およびその他議員で 210議席

(過半数は 194議席)で占め、自由民主連盟も支持しているため、内閣不信任が

議案にあがっても否決になろう。 ただジュルチャーニ首相の新任動議に関しては、

小規模議席ながらも自由民主連盟の中で首相交代を述べる意見が出始めており、

仮に造反議員が多くなれば首相不信任の可能性はありうる。

いずれにせよ今回の統一地方選で、野党であるフィディス市民連合が得票率の

52 %を押さえ与党連合の 37 % を大きく引き離したことと、今週予定に上がっている

ジュルチャーニ首相の議会信任投票実施に対し、ハンガリー金融市場はこれを不安視。 


フォリントは寄り付きこそ売られたものの、選挙結果がほぼ読めていたため午後から

急速な買戻しで反発。 

ただハンガリー債券市場は政局に不透明感が増したことと首相の支持率が急落して

いるため、今後思い切った緊縮財政政策を採るのが難しくなるのではとの観測から

買いがストップ。 イールド・カーブ全体に大きく売られ、短期国債が前週末比 + 19 bp

長期債も + 17 bp 大きく利回りを押し上げて引けている。


ポーランド債券市場はこの影響を全く受けず。 欧州委員会が発表した四半期

報告書で、「原油高、ドイツの付加価値税引き上げ、保護主義および世界経済の

不均衡で来年のユーロ圏景気は鈍化する可能性がある」としたため、欧州債が堅調と

なったのを受けポーランド国債も小動きの中安定推移で引けている。