北杜市立中学校再編整備地域説明会              

 

 度々伝えてきましたように、山梨県北杜市では中学校の統合が行政によって進められようとしています。2007年12月に北杜市立小中学校適正規模等審議会(第1次審議会)が設置され、2009年に答申が出されました。それに基づいて、2014年2月に市内中学校8校を4校に統合する「北杜市立中学校統合計画(案)」(「4校案」)が公表されましたが、最終的な合意を得ることができず、2017年1月に市議会にその旨が報告されました。

 その後、2019年8月から2022年3月まで北杜市立小中学校適正規模等審議会(第2次審議会)が設けられ、その答申を受けて、2022年7月から2025年1月まで、北杜市中学校再編整備検討委員会が計9回開かれました。

 今年2025年5月からは、市民に「これまでの経過について知っていただくとともに、中学校を2つに統合する案に関わる考え、意見を伺いたい」という趣旨で、中学校の再編整備(統合)に関わる説明会が、市内各地域で開かれています。



 第2次審議会が設置されて以来、私は「統合の行方は地域の行方を左右する」という問題意識に立ち、その動向を追い続けてきました。昨年11月に北杜市議会議員になってからは、これを合併によって生じた地域づくりの課題と捉えて取り組んでいます。今日までに説明会が3回開催されましたが、2回の説明会に参加してきました。

 ここでは、私の住む大泉町で開催された5月13日の説明会の模様を報告して、統合をめぐる今後の議論の参考にさせていただきたいと思います。

 

多かった参加人数

 

 会場の大泉総合会館にはおよそ70人もの市民が入っていました。その前に参加した須玉町における説明会の参加者がおよそ30~40人だったことを考えると、多い人数であり、市民の高い関心を窺うことができました。

 

教育委員会の説明

 

 市の再編(統合)案は2つあり、①明野、須玉、高根、泉の各中学区を1学区とし、残る長坂、小淵沢、白州、武川の中学区をもう1学区とする「A案」と、明野、須玉、高根、武川の中学区を1学区とし、残る長坂、泉、小淵沢、白州の中学区をもう1学区とする「B案」となっています。そして、いずれの案を採用した場合も統合後の校舎は新たに建設するとしています。

 説明会はまず、北杜市立中学校再編整備のこれまでの経過について報告があり、続いて市教委の担当者が、少子化の進む中で全学校に専門教科の教員を配置できないこと、学年ごとに複数の学級を置くことで進級時のクラス替えが可能になり、人間関係の固定化を防げること、学校規模が大きくなることによって組織的な指導が実施できること、希望する部活動に所属しやすくなることなどを挙げ、理解を求めました。

 

市民の質問と教育委員会の回答

 

 その後、市教委が示した検討案をめぐって、参加者と市教委の間で質疑応答が行われました。参加者は銘々まじめに疑問を伝えていました。貴重なやり取りですので、可能な範囲で紹介します。

 

 ①(大泉町)

 Q1「スクールバスの集合場所までの送迎がとても負担になる。考慮してほしい。」

 A1「中学校区と学級が決まってから集合場所を決める。ただし、何回もバスが停車すると所要時間がかかってしまう。」

 Q2「統合について私は積極的に賛成できない。『仕方なし』という感覚。学校の統合ではなく、部活動の統合にしたらどうか。」

 A2「すでに合同部活動も行っているし、土日の部活動は地域移行を進めている。しかし、平日の部活動を考えると、ある程度の規模の学校が必要。」

 Q3「資料にある統合中学校の生徒数の中にアメージング・アカデミーの生徒は含まれているか。」

 A3「小淵沢中学校の全校生徒数の3分の1を占めるアメージング・アカデミーの生徒は、資料に入れていない。しかし、彼らも統合中学校に通学することになる。」

 

②(大泉町)

 Q1「現行のバス停はそのまま使われるのか。」

 A1「現時点ではわからない。今後検討する。」

 Q2「広大な北杜市の面積を考慮してほしい。300平方キロメートルを超える面積にたったの1校という例は、全国を見てもまれ。早朝からスクールバスを何台も運行させなければならなくなるが、バスの数と運転手の数は、将来にわたって確保し続けることはできるのか。」

 A2「現在においても、運転手は人材不足。運転手を確保できる職場環境づくりをタクシー・バス会社にお願いしていく。今後しっかり検討していきたい。」

 Q3「地元の学校に通わせたいので、統合に積極的に賛成することはできない。仕方なく話している。」

 A3「文科省の基準に則れば、教員の配置数は学校の学級数によって決まってしまう。主要教科については(常勤)教員を配置することができるが、専門教科については県費負担の教員を配置することができない。したがって、大規模化は止むを得ない。」

 Q4「なぜ、専門教科を非常勤教員で授業してはならないのか。」

 A4「努力していくので、ご理解いただきたい。」

 Q5「11年前の『4校案』が実現していたとしても、さらに生徒数が減っていたならば、『2校案』は検討されたか。」

 A5「検討されただろう。」(教育部長)

 

 ③(大泉町)

 Q1「一昨年の保護者説明会の席で、『大泉では垂直統合という選択肢もある。』と教育長が言われて、その言葉に期待していたので、その後説明なく2校案が示されたことにショックを受けている。私の子のように『障がい』を持っていてスクールバスに乗ることが難しい子供も、現在のように学校が徒歩圏内にあれば通学することができるが、遠距離になると、保護者が送迎できなかったら、通学することができない。(地域に学校を残してほしいという希望が多い)大泉に特色ある地域の学校があってもいい。」

 A1「『再編してよかった。』と思っていただけるように努力するので、ご理解いただきたい。」(教育長)

 

 ④(大泉町)

 Q1「私は養護教諭です。不登校生徒への対応は?」

 A1「ステップルームを活用しながら、対策を取っていく。」

 Q2「不登校生徒への対応等もあって、養護教諭は多忙です。市内8校に各1人配置されているが、現在でも手一杯。統合後、養護教諭が生徒にゆきとどいた対応を行なえるか、心配。それについて、検討委員会で議論はされたのか。」

 A2「2つの再編案を示したので、『どちらの方が豊かな学びをできるのか』という観点からご意見をいただきたい。」

 

 ⑤(長坂町)

 Q1「2校だけ設置するのではなく、分校的な『拠点』を作ってはどうか。」

 A1「ご意見として承る。」

 

 ⑥(大泉町)

 Q1「スクールバスによる時間的負担をどのように解決するのか。」

 A1「清掃の時間が無い日を作るとか、日課の中で調整する。」

 Q2「地域の子ども同士のつながりについてはどうするのか。例えば、大泉では泉小中学校運営協議会もあるように、小学生と中学生とのつながりが伝統的な特色となっている。」

 A2「泉地区のつながりに加えて他地区とのつながりが増えるということでご理解いただきたい。」

 Q3「資料の中に統合によるデメリットが記されていないが、デメリットも示された方が分かりやすい。」

 A4「市教委のホームページに審議会の議論が載っているので、それを読んでほしい。統合によるデメリットとしては、『大きな集団の中に個が埋もれてしまう』『競争が激しくなって、ストレスが強くなる』といった指摘が出されている。しかし、多くのメリットがあるというところで、2校案とした。」

 

 ⑦(長坂町)

 Q1「文科省の『学校の適正規模・適正配置のあり方に関する調査研究協力者会議』が今年の3月から始まっていて、文科省の説明も、地域によっては小中一貫校も選択肢に入れた再編成を認める方へと変化している。例えば、校舎の改修であっても、従来は3分の1の国の補助率だったのが、2分の1に変更された。適正配置についての国の説明が変わってきていることについて、教育長はどう考えるか。」

 A1「全教科への教員配置が今回の統合の目的。もう一つの目的は、中学校再編が『いじめ・不登校』の解決策になるということ。学校規模を大きくすることによって、人間関係の固定化を防ぎ、母集団の飛躍的な増加と人間関係の固定化の解体により、『いじめ・不登校』は解消する。」「国の最新の方針に照らし合わせても、北杜市では今回の再編整備案が妥当だと考えている。」「通学については、市営バスや列車を利用してもいい。」(教育長)

 Q2「甲陵中学校を再編整備から除外せず、市内8校と平等に扱ってほしい。除外するなら、その合理的な理由を教えてほしい。」

 A2「甲陵中学校は中高一貫校なので、他の8校とは成り立ちが違うから。」「高校の教員が中学校に教えにきたりとか、スーパーサイエンス・スクールであったりとか、中高一貫校の教育的効果がある。」

 Q3「『地域の特色ある小中学校を残してほしい』という住民の希望があるので、2校案以外について再検討してほしい。」

 A3「過去の保護者説明会では、小中一貫校の希望もあった一方で、反対の希望もあったので、検討委員会ではさまざまな検討をした上で、この2校案に至っている。」

 Q4「この説明会の内容を始め、統合に関する情報を市民と共有して欲しい。」

 A4「市立小中学校適正規模等審議会・市立中学校再編整備検討委員会の議論については、市教委のホームページ上に開示されている。」

 

 ⑧(大泉町)

 Q1「学校を減らすのは、登校にかかる時間と保護者の負担の面から心配。」

 Q2「子供にとっては、専門教科の教員が複数校をかけ持ちしてくれた方が安心。」

 A2「専門教科を非常勤教員がかけ持つと、週に1日しか教員が学校にいかないから、質問ができない。」

 Q3「登校時間が長くなると、学業に影響が出るのではないか。」

 Q4「私たちの世代は1クラス35~40人の規模で1学年に複数クラスあったが、子供の人数が増えたらいじめや不登校が無くなるとは思わない。規模が大きいと教師の目は行き届かなかった。2校案だと、都会からわざわざ移住してくる子育て世代の数が減ってしまう。大泉は新旧住民の間もしっくりいっている。せっかく今、良い状態なのに、それを崩す必要はない。」

 A4「『私の思いだけが先走ってしまった』と反省している。しかし、母集団が変化(大規模化)しない中では、不登校・いじめ対策に限界がある。」(教育長)

 「魅力的な大規模校を新設することによって、移住者が減らないようにしていきたい。」(教育部長)

 

今後に向けて

 以上、5月13日の説明会の内容を紹介してきました。

 終わりに、今回の市教委の回答について覚えた疑問をいくつか挙げておきたいと思います。

市教委は、将来的な人口減少を前提に今回「2校案」を示しました。しかし、適正規模の名のもとに再編整備して学校規模を大きくしても、少子高齢化と人口減少が進むなかでは、統合して誕生する2校もいずれ小規模化し、再度統合することになるのは容易に想像できます。事実、「11年前の『4校案』が実現していたとしても、さらに生徒数が減っていたならば、『2校案』は検討されたか。」という参加者の問いかけに対し、「検討されただろう。」と教育部長は答えていました。そうであれば、現在の再編整備の方式は、「消えゆく論理」であり、私たちが目指すべきものではありません。

 今度の説明会では、学校が教育機関として重要な役割を果たすだけでなく、地域統合の象徴、また、地域振興、特に子育て世代を地域につなぎ止める有効な施設としての役割が指摘されていました。これらの役割を重視することは、市教委が現在進めようとしている中学校再編整備とは逆の考えです。

 そこでは、現在の小規模校の持っている良質な文化を明確に残しながら、新しい学校を作っていくという途、すなわち地域に学校を残す形での統合が希望されていました。

 次に、「今回の統合の目的の一つは、中学校再編が『いじめ・不登校』の解決策になるということ。学校規模を大きくすることによって、人間関係の固定化を防ぎ、母集団の飛躍的な増加と人間関係の固定化の解体により、『いじめ・不登校』は解消する。」という教育長の回答についてです。

 正直に言って、この回答については驚きました。なぜなら、これまでの説明会では話されていなかった「目的」だったからです。いじめ・不登校に関する市教委の従来の回答は、「それらの背景は千差万別であり、事情がそれぞれ異なるので、個別に対応する。したがって、今度の再編整備からは切り離して考える。」というものでした。事実、5月11日の須玉町で開催された説明会でも同様の答えがされていました。

 ちなみに、私は、この市教委の回答に同意できません。不登校児童生徒数が少数であるならいざ知らず、北杜市の小・中学校における不登校の児童生徒数は令和5年度が138人で、前年からさらに28人増加しています。不登校児童生徒数がこれだけ増えているというのには、個々の事情によるのではない、現在の教育のあり方そのものにかかわる要因があるとみるのが妥当です。もちろん、その要因は、「母集団の飛躍的な増加と人間関係の固定化の解体によって、解消」するものでもありません。

 今回の説明会では参加者から内容の濃い質問が出されていました。それは、市立中学校再編整備に対する参加者の高い関心の現れであったと思われます。2019年から始まった今度の市立中学校統合をめぐる過程で見えてきたものは、この課題が学校を統合するかしないかということに限られず、むしろ私たちの地域の今後のあり方、あえて言えば地域づくりの課題と密接につながっているということ、そしてそれは住民の自治の課題でもあるということです。

 北杜市立中学校再編整備地域説明会はあと5回開催されます。多くの市民が参加されることを希望しています。

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 ゴールデンウィークが終わりました。皆さんはどのように過ごされましたでしょうか?

 

 連休の最終日、私は息子と小淵沢駅を起点にしてJR小海線を走る「ハイレール1375」星空号に乗車しました。



 先日、八ヶ岳定住自立圏3市町村議員交流会が原村の八ヶ岳自然文化園であり、「星降る里」としての同村の取り組みに印象を受けました。

 そこで、「星見里」と書いて「ほくと」と読み、星空のすばらしさを謳っている北杜市でも何かヒントがないかと思っていたところ、「ハイレール1375」星空号で「星の案内人」を務めている市民の方から誘われ、子供と乗車しました。



 皆さんの中で「ハイレール1375」星空号を知っていらっしゃる方はどれくらいいらっしゃいますでしょうか?「1375」は小海線にある日本鉄道最高地点の標高1375メートルから取った名前です。1台だけある「ハイレール1375」星空号は1日3回、小海線を走っています。



 当日は生憎の降雨でした。乗車したとき雨は止んでいましたが、空は厚い雲に覆われて星は見えませんでした。ただし、その分、列車や「星の案内人」からのお話を満喫しました。





 下車した野辺山駅では、星に関わる設備があることを初めて知りました。



 連休の最終日ということもあり、乗客の数は多くありませんでしたが、魅力あふれる列車ですから、本市としてもJRと協力して活用等を考えていけたらと思いました。

 曇り空で星を見ることができなかったため、子供が楽しめなかったのではないかと、「星の案内人」さんは心配されていましたが、それなりに楽しめていました。

 星空が見える日に、また今度乗ってみようと思います。




 

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 一昨日は、八ヶ岳定住自立圏(長野県諏訪郡原村・富士見町、山梨県北杜市)3市町村議員交流会があり、会場の原村までいってきました。



 八ヶ岳西麓の標高900~1500mのなだらかな丘陵に広がる原村は、緑が美しく、湿度が低くて空気が澄んでおり、「星降る里」と呼ばれています。

 ランチミーティングで議員どうし交歓した後、八ヶ岳自然文化園を見学。青空の下、群生するカタクリがちょうど花を開かせていました。



 園内には、コンサートやピクニックの芝生広場と、ミニゴルフ場、サイクリングコースが設けられ、自然観察科学館にはプラネタリウム、蝶の常設展示室、草花・野鳥の展示コーナーや研修室、実習室などのセミナーハウスが併設されており、学芸員の方からの説明がありました。

 その後、施設内の大研修室で研修会。原村商工観光課 田舎暮らし推進係長の清水大史さんから、原村の移住・定住施策の取り組みについて聞きました。

 人口減少は全国共通の課題であり、地方はとりわけ苦しんでいるのですが、そのような状況の中にあって、なんと原村の人口は増加しています。令和5年度から6年度にかけて、北杜市の人口は1.0%の減なのに対して、原村は0.4%の増、富士見町は0.1%減です。

 清水係長の説明によれば、人口が微増傾向である理由は、昭和45年のやつがね住宅団地の分譲開始以来長期にわたる宅地や別荘地の分譲などを中心とした受入環境整備、「田舎暮らし案内人」(ボランティア)や地域おこし協力隊などの人材活用、移住体験住宅の整備といった取り組みによるものだということでした。

 要するに、人口の増加は移住促進施策の成果であり、移住者によって地域の賑わいが創出され、また、一人当たり1年で普通交付税10~20万円程度の増加が見込めるという話でした。

 これだけなら、他の市町村でも取り組まれている都市部をターゲットとした移住促進政策ですが、それだけではなく、原村は村で生まれ育つ若者もターゲットとしており、そのために郷土愛を育てる「原村学」を教育課程に導入しているということでした。

 「原村学」とは、要するに、村をフィールドにした「探究(プロジェクト)型の学び」です。中学生の3年間一貫して村の特色や課題、村の良さを学び、そのまとめとして中学生議会で執行部に質問するということでした。ユニークな試みで印象的でした。


 清水係長の話の後、各市町村の取り組みについて、テーブルごとワークショップを行いました。

 面白かったのは、原村議会議員の方から聴いた話です。

 例えば、原村に移住者が増えた背景に、かつて、60歳以上の村民の医療費を無料とした施策があったということでした。その結果、高齢者の転入が増加したため、令和2年から70歳以上に引き上げて1割の負担にしたということでした。それとともに、移住促進施策のターゲットを若者・現役世代に移していったということでした。

 係長の説明にはなかった内容で、人口増の背景は一面的ではないということが分かりました。また、原村議会の中学生議会が「原村学」の発表の場になっていることについても、「中学生議会の趣旨と合っているのか、疑問が残る。」と言われた村議もいました。


 私からは、原村の人口が増加している本質的と思われた理由について言わせていただきました。

 私が注目したのは、今年1月22日に原村が村政施行150周年を迎えたことです。150周年ということは、1875(明治8)年以来、合併することなく今日に至ったということです。その間、2003年には総務省の大号令の下、いわゆる平成の大合併が全国的に行われましたが、当時の清水澄村長は、「自立めざす」と住民自治を重んじる姿勢を明言し、合併せず村づくり宣言をしました。

 その結果、原村は現在まで続いています。

 https://youtu.be/dmOgwv2CKmc?si=3KkZhZqZFoWOj_VZ

 その原村の活力源となっているのが、移住者です。その始まりは、1964年の別荘地の造成ですが、そのことについて清水·元村長は、「別荘地を作って、新しい住人に来てもらって、都会の風を入れて村が発展していこうではないか、という思いが強かった。」と振り返っています。

 そういう村の姿勢もあり、原村は移住者が住み心地の良い村になっているようです。当日配られた資料には、「自然の豊かさはもちろんのこと、それ以外で探すと人の温かさだと思います。」「原村全体で見ても人を受け入れてくれている温かさを感じます。とにかく原村の方々はすれ違い時の挨拶が気持ちがいいです。」など、原村を好きな理由として「人の温かさ」を挙げる移住者の声が紹介されていました。

 原村には大きな店舗も、駅もありません。しかし、それだからこそ、「ここには風がある緑がある星がある」(八ヶ岳自然文化園)という、村にあるものを大切にし、それを活かしていこうという構えが随所に見受けられました。



 例えば、村にクラフト作家が住んでいることを活かし、全国から毎回100人以上のクラフトマンが出店する八ヶ岳クラフト市を催したり、美しい星空の下「星空の映画祭」や星空観望会を開いたり。そして、そういう村にあるものを活かして地域づくりをしようという取組みの象徴として「原村学」がありました。

 原村は街の幸福度 自治体ランキングでトップに輝いていますが、その理由は、村民が今、ここにある資源を地域の再生に活かし、自然とともにわが地域を楽しく暮らそうとして自足しているからだと思いました。

 人口が減らずに増えているのはその結果なのではないでしょうか。

 22年前、原村は合併を選びませんでした。しかし、住民はその選択に満足しているようです。

 「星見里」を愛称とする北杜市も、原村の姿勢と取り組みから学べることは多くあるように感じます。

 昨年、北杜市は合併20周年を迎えましたが、合併による正と負を検証した上でこれからのまちづくりを構想する必要があると思いました。

 「自立するかしないかは、住民が地域をどのくらい愛しているか、本当にやっていこうという気概を持っているかどうかに尽きるのではないか。」という清水・元村長の言葉が心に残っています。

 このような貴重な機会を設けるためにご尽力いただきました3市町村の正副議長の皆様、議会事務局の皆様、そして原村の関係者の皆様には有難うございました。




今日の午前は、アースデイ八ヶ岳のごみ拾いに参加してきました。

一昨年の鳩川、昨年の清里に続いて、3回目の参加となった今回、ごみ拾いの場所は、甲川でした。



始めると、見つかるわ、見つかるわ。トラックタイヤ、モーター、屋根など発見した時は、たまげました。



川はごみ捨て場じゃないのに😭

午後は、「ロックな校長 ロックな学校を語る」西郷孝彦先生講演会&交流会に参加するため、須玉ふれあい館へ。



校則をなくし、子供が幸せな3年間を送ることだけを唯一のルールにした、元桜丘中学校校長の西郷先生のお話を聴き、子供の幸福について考えました。



なかなか忙しかったですが、充実した1日でした。

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 今日は議会広報編集委員会があり、編集委員の1人として参加しました。



  議会が終わると、その内容を皆さんに知ってもらうために、議会広報紙『北杜議会だより』を発行します。定例会の内容の校正を編集委員で行って、デザインを業者に依頼します。

  誤字·脱字はないかな?見にくくないかな?議会と行政とのやり取りが正確に伝わっているかな?などなど、目を皿にして臨みます。議事録と比較したり、『記者ハンドブック』を引いて紙面での表し方が適切なものかどうかなども注意しながらの作業になります。

 議会事務局のご尽力もいただきながら、1回、2回、3回と回数を重ねて仕上げます。市民の皆さんの声も載せ、色々な人が携わって出来上がります。1人でも多くの人に読んでいただけたら嬉しいです。そして、ご意見をいただけたら幸せです。 



  さて、編集委員会が終わって帰宅したら、ビックリ。八ヶ岳山麓には雪が舞っていました。


 #北杜市

 #広報 

#山梨県


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 2025年第1回北杜市議会定例会の一般質問が終わりました。私からは二つの項目で質問に立たせていただきました。

 ここでは、私の2番目の質問とそれに対する執行部の答弁を報告します。なお、括弧内は、時間制限のため、議場では割愛した部分です。

 傍聴にこられた皆さまにおかれましては有難うございました‼

 

○質問事項No.2  住民が水道事業に参画する「水道サポーター」制度の新設について



飛矢﨑雅也北杜市議会議員

質問:(少子高齢化により、急速に人口減少が進んでいます。それに伴い水道料金収入も減少し、本市でも、財政面で非常に厳しい局面を迎えています。そこに追い打ちをかけているのが、水道管などの水道施設の老朽化です。)戦後、急速に整備された水道管は今、一斉に老朽化し、更新の時期を迎えています。加えて、職員の削減・技術継承難への対応など、本市の水道事業は現在、難しい局面を迎えています。水道という公共の財産をどのように長期的に維持していくのか、住民と自治体が一緒になって話し合うことが求められる時期にきています。

 一方、昨年12月の定例会における質問では、二体系の水道料金を市内統一し、一体系にして引き上げるという方針で水道審議会の案がまとまることについて、武川町・白州町の多くの住民は納得していないことが指摘されていました。

 1月24日には武川町・白州町在住の議員から、「水道料金改定に関し、市民説明会の早期開催を求める要望書」が市長に提出されたとも聞いています。

 北杜市の水道事業には、住民理解が進んでいないという問題があると思われます。

 過去にも、市内の水道料金を二体系に統一した際に「大泉町水道問題対策協議会」が起ち上がり、抗議行動の一環としての料金不払いもありました。これは当時の市長による給水停止の予告通知を受けて裁判闘争にまで発展しました。その経過をまとめた『住民主権を貫いて―北杜市の水道料金改定問題―』には次のように書かれています。

 「ところが、水道料金の『地域的な統一』の解釈に関しては、合併協定に反し、市長の独断と偏見による『料金統一』計画を押しつけてきた結果、特に大泉町は、町をあげて計画の見直しを求めましたが、『市が示す計画が最良』と強引に押し切られました。市民等しく、市になって良かった、と期待した町作りは、一瞬にして冷や水を浴びせられ、こんなことでは合併しないほうがよかったと変わってしまいました。合併協定の内容変更は、変更するに足る理由と市民の同意が必要であったにもかかわらず、であります。」

 この過去の教訓から、水道事業を進めていく際には、住民と行政が市の現状を共有し、将来像を考える中で水道事業も含めた公共事業の政策決定、計画づくりを進めていくことが肝要であるということが読み取られます。

 水道事業に従事する職員は、現場で住民や施設と直接対峙しています。(峡北地域広域水道企業団議会議員として行った視察の中で私はそれを実見しました。耐用年数を超えた水道管はどのくらいあるか。浄水場の耐震設備はどうなっているのか。災害発生時の水供給はどうするのか。現場では一つ一つをリアルに想定し、できる対策を常に検討しています。「飲んで安全な水を供給するということは、何か一つ不具合があっても市民の生命に直結する事態になる」と言われていました。)しかし、その現実が共有されなければ、住民にとっては経費負担の必要性はなかなか実感できません。住民は単に料金値上げは嫌というのではなく、水道という共有財産をどのように長期的に維持していくのかという話し合いがあっていいはずです。当事者として、正確な情報を要求し、解決策の一部に参加していく、そう考えれば、水道事業に対して全く違うプロセスが見えてきます。そしてこれは公営水道だからこそ可能な道筋なのです。公営とは何か。誰がどう担っていけばいいのかを考えれば、まちづくりの在り方も変わってくるはずです。

 そのために、水道事業をめぐる対話の場をつくることを目的として、住民が水道事業に参画する「水道サポーター」制度を新設することを提案します。

 公募で集めた住民が月1度、局のワークショップで水道事業を学び、水道使用者としての率直な意見を届ける仕組みで、情報誌「水道ほくと かわら版」を発行します。

 (本定例会開会日の所信表明説明で大柴市長は次のように言われました。「本市は、県内他市に比べて水道施設が多く、また老朽化した水道管が多数存在することから、施設の老朽化対策と耐震化を計画的かつ効率的に進める必要があります。このため、原資を確保することを目的に、水道料金の見直しを現在『北杜市上下水道事業審議会』において慎重に検討していただいております。持続可能な『上下水道事業』を実現し、安全・安心なサービスを市民に提供するため、国の補助金等を最大限に活用しつつ、引き続き上下水道施設の老朽化対策と耐震化を着実に進めてまいります。」)

 以下、質問します。

 持続可能な「上下水道事業」を実現するために、住民が水道事業へ参画する「水道サポーター」制度を新設する考えはありますでしょうか。

 

北杜市上下水道局長

答弁:住民が水道事業に参画する「水道サポーター」制度の新設についてであります。

 水道事業をはじめとする各種事業への市民参画は、政策形成過程において、大変重要であると考えています。

 上下水道事業については、市民参画の方法として、「北杜市上下水道事業審議会条例」に基づく審議会を設置しており、各地域の使用者並び識見者からなる委員から、幅広い意見をいただいているため、新たに「水道サポーター」制度を設置することは、考えておりません。

 

飛矢﨑雅也北杜市議会議員

再質問:「水道事業をはじめとする各種事業への市民参画は、政策形成過程において、大変重要であると考えます。」という答弁をいただきました。

 一方で、「市民参画の方法として、審議会を設置しており、委員から幅広い意見をいただいているため、『水道サポーター』制度の設置は考えていない。」という答弁でした。

 私の質問の真意が伝わり切れていなかったようです。

 「水道サポーター」制度は、意見をいただくことを目的とした制度ではありません。水道事業をめぐる対話の場をつくり、水道事業を住民に「自分ごと」として捉えてもらうことを目的として設立するものです。

 具体例を挙げます。

 人口2万8千人弱の岩手県矢巾町は、水道を「自分ごと」として捉えてもらうことを目的として、2008年度に水道事業に住民が参画する「水道サポーター」制度を提案、開始しました。

 上下水道課のワークショップで、水や水循環そのものに興味をもってもらい、その面白さやそこから広がる歴史、地形、まちづくりへの学びを共有し、その結果として、上下水道の仕組みや町の事業への理解を深めてもらいました。座学だけでなく、水源井戸、施設の現場の視察もしました。

 ワークショップのフリートークは住民の提案であふれました。課は住民の提案を積極的に活用し、情報誌「水道やはば かわら版」の発行、水道料金のクレジットカード決済などを実現させ、住民は水道事業の推進者としての関わりを深めていきました。

 その結果、参加した初期サポーターの意識は「水道料金の値下げを」だったのに、それが数年後には「質のいい水道を子どもたちに残すには値上げを」との変容を見せました。そして矢巾町は2018年度から水道料金の6%値上げに踏み切りました。反対の声は極めて少なく、これにより「水道管を70年ごとに更新する」と住民に約束できました。

 誰も公共料金の値上げを好むわけではありません。しかし、困難に直面する水道事業を「自分ごと」として捉えた岩手県矢巾町の「水道サポーター」たちは、自ら参加し話し合うことで、水道に安さと安全を求めるだけの「消費者」から、水道事業の「当事者」へと変身し、未来につながる選択を始めました。

 そのために、対話は欠かすことができませんでした。

 水道は日本国憲法第25条「生存権の保障」を具現化する事業です。「命の水」の水道を住民と水道事業者で守るということは人権問題です。

 市内の水道料金を二体系に統一した際に起ちあがった大泉水道問題対策協議会は、次のように書き残しています。

 「私たちは『値上げ反対』に固執したわけではなく、『料金改定の過程に納得できない』と一貫して主張してきた。」(『住民主権を貫いて―北杜市の水道料金改定問題―』)

 水道事業と地域社会がこれまで築き上げてきた歴史と住民感情を踏まえた方式でなければ、経済的効率性と問題解決型思考のみによる事業推進では、住民との対立は深まるばかりです。行政・労働者・地域住民・地域社会の視点で克服すべき問題点を検証し、課題解決の道を探る必要があります。

 再質問します。

 水道事業をめぐる対話の場をつくることを目的として、住民が水道事業に参画する「水道サポーター」制度を新設する考えはありますでしょうか?

 

北杜市上下水道局長

答弁:市民対話の場をつくることは重要であり、また、水道事業を応援していただける市民を増やすことも重要と考えます。

 昨年度、市民対話の一つとして「ほくとすいどう塾」を開催しましたが、限られた方のみの参加となっていたことから、より多くの方に参加いただくため、本年度、民間運営による 「やまなし水道塾」に発展し、北杜市も資料提供などの協力体制をとっているところです。

 また、本年度より、上下水道局のキャラクターである「ほくすい」を活用し、水道事業を理解し、応援していただける市 民を増やすための取り組みも始めたところでありますので、 新たな制度である「水道サポーター」制度の導入については、考えておりません。

 

飛矢﨑雅也北杜市議会議員

再々質問:(ご答弁中の「やまなしすいどう塾」は水の消費者として水道事業を知り、学ぶ企画です。政策形成過程における対話型の市民参画制度とは言えないと考えます。また、キャラクターを活用した応援団を増やす取り組みも、水道事業を「自分ごと」として捉える水道事業の「当事者」の育成とは異なると考えます。)

 お尋ねします。北杜市上下水道局の考える市民参画とは何か、お答えいただけますでしょうか?

 

北杜市上下水道局長

答弁:上下水道局の考える市民参画ということでございますけれども、最初の答弁でもお答えした通り、市民参画はたいへん重要だと考えております。また方法や手段、これについてもさまざまな形があると思っています。現在、北杜市上下水道事業審議会、これも市民参画の方法ですし、今後予定しています市民説明会、こういったものも市民参画の一つだと考えています。以上でございます。

 

 一言:地域社会の問題にかかわる利害関係を調整し解決を見出すプロセスに当事者たる市民が参画することを市民参画と一般に言います。

 自己決定と自己統治は民主制過程を活性化するための重要な要素です。その意味で、「より身近な政府」としての地方自治体の政策形成過程への住民の参画は、個々の住民の自己決定と自己統治の欲求に応えるための重要なステップです。もっとも、これまでにも住民参加を標榜して種々の手続きが定められ、パブリック・コメント制度の導入、審議会への参加、地域説明会の開催等が行われています。

 しかし、これらの制度は、ともすれば運用が形式に流れ、実質を伴わない面がありました。住民参加の形式がどれほど整っていても、政策形成のプロセスの中で明確に位置づけられていない限り、住民の参加欲求を満たすことは難しいのです。特に首長の事務部局が国の指導や指針に従って実質的に政策を立案・策定し、その執行にあたるような従来の行政運営では、住民が自治体の政策形成過程を意識することはほとんどあり得ません。住民参加が真の参加であるためには、それが政策の策定・実施において反映されていなければならないのです。

 このような行政運営のあり方やその中での住民の位置づけに満足せず、自治体の政策形成過程に主体として参画を求める声が高まっていることを実感しています。

 私が提案した対話型の市民参画制度は、パブリック・インボルブメント(Public Involvement、略してPI)とも呼ばれ、政策形成や公共事業の計画段階において、関係する住民と広く意見を交わし、住民の意志を調査・確認する時間を確保するとともに、住民に計画策定の過程を広く知らせる機会を設ける仕組みであり、住民参加の手法の一つです。

 従来は、大規模な公共事業の内容や規模等の計画の決定、工事の実施等については行政側がいわば一方的に進めてきました。住民には計画案の縦覧、意見書の提出等が認められていたにしても、実際には、詳細設計までできあがった時点で説明会等が開催され、住民の側から異論が出ても、もはや変更を加えることは、ほとんど不可能ということになりがちでした。しかし、近年、環境保護意識の向上、住民の参加意欲の高まり等を反映して、住民の意向を無視して、大規模事業を進めることは次第に困難になりつつあります。

 行政活動や政策形成過程に市民の意見を反映させ、参加を進めるためには、情報を媒介とした市民と行政のあいだの対話・議論の機会が不可欠であり、本来そのためにこそ広報・広聴、情報公開と市民参画は求められます。

 特に、社会のあり方を左右するような大きな政策課題について、広く議論することで課題に対する認知を進め、合意を形成し意見を集約し、政策決定につなげる「熟議民主主義」の重要性が指摘されています。その特徴は、情報を基礎とした自由な議論の積み重ねの重視です。情報+議論による塾考によって、人の意見や結論はそれ以前と変わり得ます。

 対話型の市民参画制度(PI)は、まさにこのような状況を背景にして導入が進められてきています。さらに、PIには、後日の紛争を未然に防止するという予防司法的な意味があることにも注意が必要です。過去の北杜市水道料金改定問題の苦い教訓を踏まえて、私がこの制度を提案したのも、その意味からです。

 市民参画の理念は、自治体の意思形成過程や政策の執行過程から疎外されることになりがちな住民に関与と参画の機会を用意することにより、住民自身の自己決定に関する権利と責任を明確化するところにあります。その目的は、行政サービスへの住民参加の体験を通じて、住民の政治への参加意識を高め、民主主義の政治体制では、地域社会を良くしていこうとする住民の積極的な参加なしには、地域社会はよくならないことを、体験を通じて住民に理解していただくことなのです。

 

 民主主義と住民自治の視点から、私は北杜市の水道事業に提案を行いました。

 これからも、この視点に基づいて本市の水道事業にかかわっていきたいと思います。

私のブログをご覧いただき、有難うございます。

 

 2025年第1回北杜市議会定例会の一般質問が終わりました。私からは二つの項目で質問に立たせていただきました。

 ここでは、私の1番目の質問とそれに対する執行部の答弁を報告します。なお、括弧内は、時間制限のため、議場では割愛した部分です。

 傍聴にこられた皆さまにおかれましては有難うございました‼

 

○質問事項No.1 不登校児童生徒の保護者等に対してフリースクール等を利用するための必要な経費を助成することについて

 

 文部科学省が令和6(2024)年10月31日に公表した「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によれば、小・中学校における不登校児童生徒数は過去最多の34万6,482人となり、前年度から47,434人(15.9%)増加。増加は11年連続となっており、初めて30万人を超えました。山梨県における令和5年(2023年)度の不登校児童生徒数は小・中学校合計で2,261人。前年から362人増加しています。北杜市の小・中学校における不登校の児童生徒数は令和5年度で138人。前年から28人増加しています。

 このように、全国的にも、また県内、市内においても不登校児童生徒数は増えていますが、不登校になった時、児童生徒の数少ない選択肢であるフリースクールについて公的な補助金がなく、家庭に経済的な負担がのしかかっています。

 平成27年の文部科学省の調査によると、月額授業料は全国平均で3万3千円 、入会金の平均は5万3千円でした。毎月3万3千円で計算すると年間39万6千円もの家計負担となっています。現在の物価高騰により負担はさらに大きくなっています。

 このような状況の中、山梨県は不登校児童生徒がいる家庭の経済負担を軽減するため、令和7年度からフリースクールの利用料の一部を補助する方針を固め、2月定例県議会で、県が提出する当初予算案に関連予算を盛り込む方針が報道されました。

 但し、今度の県の方針は補助対象者が就学援助制度の対象世帯となっていて収入の制限があることから、フリースクール等を利用している家庭が一律に支援を受けられるようにする必要があります。

 なぜなら、通学できない学校への支払いを続けながら、フリースクールの費用や交通費を支払うのはかなり厳しい状況であり、等しく税金を納めていても、経済的にも、時間的にも、精神的にも、多大なコストを保護者が負担しなければならない現実があるからです。子どもが小・中学校に通えなくなった時、子どもの学びを支えるために、保護者が仕事を辞めたり、職場や働き方の変更を迫られることも珍しくありません。

 (平成 29 年 2 月に施行された「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(いわゆる「教育機会確保法」)では、その基本理念として、不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援を行うことが示されました。令和6年8月29日の文部科学省の通知「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について」は、「不登校児童生徒の中には、学校外の民間施設において支援等を受け、社会的な自立に向けて努力を続けている者もおり、このような児童生徒の努力を学校として評価し、支援する必要がある。」としています。)

 北杜市教育委員会では、令和元年10月の文部科学省通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」を踏まえ、不登校児童生徒の「教育機会の確保」に向けて、民間施設等との連携についての必要性を認識し、民間施設等に関するガイドラインを策定しています。そして「これにより、本市の不登校児童生徒の個々の状況に応じた適切な支援を各学校において円滑に進めることができることにより、当該児童生徒の適切な居場所の確保、教育機会の確保につながり、社会的な自立へとつながることを願うとともに、さらなる不登校児童生徒への支援の充実に努めてまいります。」と述べています。したがってフリースクール利用補助を実施するためのベースは本市において整えられていると言えます。

 不登校の子どもの支援において重要な役割を果たしているフリースクールの運営の安定化を図り、保護者の経済的負担の軽減を図るために、何らかの形で公費の支出を行う必要があります。

 以下、質問します。

①不登校児童生徒の社会的自立を図るとともに、不登校児童生徒の個々の特性に合った居場所を確保するため、山梨県の支援を活用して不登校児童生徒の保護者等に対してフリースクール等を利用するための必要な経費を助成する考えはありますでしょうか。

②収入に拘らず、フリースクール等を利用する不登校児童生徒の保護者等に対して必要な経費を助成する考えはありますでしょうか。

 

北杜市教育長

答弁:不登校児童生徒の保護者に対して、フリースクール等を利用するための必要な経費を助成することについて、いくつかご質問をいただいております。

 はじめに、山梨県の支援を活用した助成についてであります。

 不登校の児童生徒が増加傾向にある中、学校を欠席している児童生徒の中にはフリースクール等の民間施設を利用している子どもたちがいることは承知しております。

 令和7年1月30日付け山梨日日新聞に、山梨県は、「不登校の児童生徒がいる家庭の経済的負担を軽減するため、来年度からフリースクールの利用料の一部を補助する」という記事が掲載されました。

 先日、県の「フリースクール利用補助金に係る説明会」を受けたところでありますので、市教育委員会として慎重に方針を検討してまいります。

 次に、収入に拘らない助成についてであります。

 市教育委員会では、収入に拘らず、フリースクール等を利用する不登校児童生徒の保護者等に対して、必要な経費を助成することは考えておりません。

 

飛矢﨑雅也北杜市議会議員

再質問:1番目の質問項目につきましてはぜひ前向きな検討をお願いします。

 2番目の質問項目につきまして、再質問します。

 平成29年(2016)施行の教育機会確保法は、不登校の児童生徒に学校外での多様な学びの確保、学校以外の教育機会を確保する施策を国と自治体の責務とし、必要な財政支援に努めるよう求めています。不登校家庭への直接補助・助成を行っている自治体は8都道府県、33市町村に上り(2024年7月10日時点)、その中にはフリースクール等を利用する全世帯へ補助・助成を行っている自治体が複数あります。

 子どもが生きやすい環境、学びやすい場・学び方を考え、整えることは、全ての大人が応えるべき責任であると考えます。フリースクールは、その一つとして、学習者中心の学び・育ちをつくってきました。そして、社会全体もフリースクールの存在を必要とし、受け入れ始めている背景があります。

 学校が合わない子どもが、自分の力で学び、社会に参画していくことを行政が支援していくことは、子どもに希望を開くことです。経済的な負担がなくなることで、フリースクールには経済的に困難な子どもも含めて通いやすくなります。

 つきましては、月ごとの補助対象経費の上限額を定め、世帯の所得区分に応じて助成割合をつけて補助したらどうでしょうか?

 たとえば近隣自治体の諏訪市では、フリースクール等の月ごとの利用料の3万円を限度とし、○就学援助制度における要保護世帯に100%、○就学援助制度における準要保護世帯に75%、○その他の世帯に50%を補助しています。

 以下、伺います。

 世帯の所得区分に応じて割合をつけて助成するお考えはありますでしょうか?

 

北杜市教育委員会教育部長

答弁:市教育委員会や各学校では、不登校児童生徒への支援のために、教育相談、家庭訪問、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携、教育支援センター「エール」との協働、さらに本年度から各学校に校内支援教室を設置するなど、不登校児童生徒の状況に応じた取組を進めております。

 また、「不登校児童生徒を支援する民間施設等に関するガイドライン」も策定しており、指導要録上の出席扱いの基準としております。

 まずは、市の取組をご理解いただく中で、既存の施設や制度を活用することで児童生徒の学びの場や機会を保障していきたいと考えておりますので、市教育委員会として助成を行うことについては、今のところ予定はありません。



飛矢﨑雅也北杜市議会議員

再々質問:2番目の質問項目について再々質問します。

NPO法人全国フリースクールネットワークが調査、編集した『フリースクール白書 2022』では、保護者のアンケートで「フリースクールに改善して欲しいこと」の回答で最も多かったのが「会費を下げてほしい」(25.6%)、次いで「通うための奨学金が欲しい」(18.9%)でした。山梨県によるフリースクール利用補助を伝えた新聞報道にも、支援団体と知事との意見交換会の中で出席者から「フリースクールの費用負担を考慮して利用を断念した家族がいる」「経済的な困窮から社会とのつながりが弱まり、登校する意欲が減退する」などの意見が出ていたとされています。

 保護者には就学義務があります。それを保護者が果たそうにも、子どもが「学校生活に馴染めなくて生きづらさを抱えている」ために学校にいっていないのが不登校です。本人に合う場所を選べば、教育を受けることができますが、お金の問題で難しくなります。そこは支援する必要があると考えます。

 以下、伺います。

 経済的に必要な経費を助成することを教育委員会が考えていない理由は何でしょうか?

 

北杜市教育委員会教育部長

答弁:教育委員会で支援をしない理由ということでありますけれど、先ほども答弁しましたけれども市教育委員会としましては、教育相談や家庭訪問、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー、教育支援センター・エールとの協働ということで、各学校に校内支援教室を設置するなど、取組を進めているところでありますので、その取組を進めるということで、今のところ助成をするというような考えはないところであります。以上であります。

 

 一読して分かるように、最後の答弁は私の再々質問に対して答えていません。私は「経済的に必要な経費を助成することを北杜市教育委員会が考えていない理由」を質していますが、教育部長は、「教育委員会で支援をしない理由」に質問を摩り替えて、「教育委員会は不登校児童生徒への支援をしている。」と私の再質問に対してした答弁をくり返していました。

 再々質問の中で述べましたように、現在、不登校児童生徒の保護者等が最も求めていることはフリースクール等を利用するための必要な「経費の助成」です。そのニーズに教育委員会が応えない理由を尋ねたのに、残念でした。

 

 さて、一般質問を終えて議場を出ると、能登の被災地で活動後、修理を終えたトイレトレーラーが“凱旋”していました。

 車両にある4つの個室は、スペースも充分あり、仮設トイレよりも快適なので、トレーラーの前には長蛇の列ができていたそうです。特に女性には好評だったということです。

 これは、クラウドファンディングを北杜市が初めて募って購入したもので、車体には寄付者や団体のお名前が記されています。

 何でも現地のボランティアスタッフが水を流して清掃をされ、床が痛んでしまったそうですが、今度の修理によって防水性が高まりました。

 このトレーラーはイベントなどでも使用されます。見かけたら、快適さを確かめてみてはいかがでしょう。

 トイレトレーラの導入自治体は増加しており、災害発生時の相互協力体制も整備されているという話でした。このような助け合いの仕組みは心強いですね。

 「お互い様」の仕組みをいろいろな場面でつくっていけたらいいな、と思いました。



私のブログをご覧いただき、有難うございます。

 

第1回北杜市議会定例会の委員会が終わりました。

そのうち、経済環境常任委員会では委員として付託された事件を審査しました。



上がってくる議案を審査していると世の中の様子が分かります。

現在物価高騰が顕著ですが、北杜市でも原材料価格、エネルギー価格等の高騰に鑑み、「適正な受益者負担による持続可能な運営を行うため」、議案第24号では北杜市高根クラインガルデン条例外7条例の一部を改正し、高根クラインガルデン外8施設の使用料を値上げしたいということでした。

値上げ幅は高いところで約1・5倍~2倍近くでしたので、私からは次の質問をさせていただきました。

①「適正な受益者負担」という場合の「適正」の基準とは?

②甲斐駒ヶ岳七丈小屋、青年小屋及び権現小屋といった山小屋の使用料の改正はサービスの向上を伴った値上げなのか?

③山小屋の使用料の改正に自然保全の意味合いはあるのか?

 

それぞれに対する答弁は、

① →各指定管理者からの申し出による。平成10年以降、高根クラインガルデンは料金改定を行っていない。市民生活に影響の低いものを値上げした。

② →経営の安定が目的であり、一般の山小屋並みのサービスは確保される額の値上げである。

③ →ない。

 

続く議案第25号「北杜市水道の布設工事監督者及び水道技術管理者に関する条例について」では、国における水道法施行令の一部改正に伴い、布設工事監督者及び水道技術管理者の資格要件を緩和することについて、審議しました。

私からは、先ず、資格要件緩和の背景につき、具体的な説明を求めました。「技術者の不足のため。」というのが、上下水道局の答弁でした。そこで、次に、「職員の削減が技術者不足の背景にある。八潮市の下水道管破損事故の例もある。技術者を確保するための本市としての策を何か考えていないか?」質問しました。

それに対しては、「研修への若い職員の受講を募っている。」という答弁でした。

水道事業体の人材不足は、総務省が行った自治体人員削減が原因の一つです。さらに、近年は採用募集しても人が採用できない状況が続き、この先の総労働人口減少時代を迎え必要な水道事業を維持できるのか不安が募ります。

そういう状況の中での布設工事監督者及び水道技術管理者の資格要件の緩和であると理解しました。私からは今回の要件緩和によって技術や安全が保証されないということにならないように努めていただきたいと述べさせていただきました。

 

いよいよ明日は一般質問です。

私は、①「不登校児童生徒の保護者等に対してフリースクール等を利用するための必要な経費を助成することについて」と②「住民が水道事業に参画する『水道サポーター』制度の新設について」質問します。

①においては、今年1月末の山梨県によるフリースクール利用補助を伝えた新聞報道を受け、今後の北杜市教委の対応を問います。

②においては、水道料金改定に関する答申が上下水道事業審議会から示されるに当たり、水道事業をめぐる対話の場をつくることを目的として、住民が水道事業に参画する「水道サポーター」制度を新設することを提案します。

 

市民の皆様の傍聴をお待ちします。

わたしのブログをご覧いただき、有難うございます。

 

 昨日(3月3日)から令和7年第1回北杜市議会定例会予算特別委員会が始まりました。

 今年度の当初予算案の一般会計は総額339億1771万円で、昨年度に比べ26億5037万円と8・5%増え、過去最大です。

 その予算を評価するのが、全議員が参加する予算特別委員会です。



 初日は議会事務局、企画部、北杜未来部、会計課及び監査委員事務局の審査をしました。

 なかでも質問が集中したのは、企画部ふるさと納税課の事業についてです。

 人口減少・流出問題を背景に、北杜市も移住定住を促進するため、いくつかの事業を行っています。

 その中で、移住定住を促進するため、市内に定住し、奨学金を返還する者の経済的負担を軽減するため、助成金を交付する事業があります。対象者は、市内に定住し、かつ、就業している者または求職者等で35歳未満の者で、北杜市に定住後1年以内である者です。

 幾人かの議員から、「どういった市民からの相談が多いか?」、「定住後1年以内でなければ助成金の交付対象から外れるというのは短いのではないか?」といった質問が出されました。

 私からは対象者の年齢を35歳未満に限る理由を尋ねました。「先進自治体の例や県の例に倣ったため。」というのが、担当課の答弁でした。そこで、「他の自治体や県の例に倣ったというお答えでした。しかし、そうであればこそ、対象年齢を引き上げることによって、他の自治体では助成金を受けられないのに、北杜市であれば受けられるということになり、移住定住の促進に寄与するのではありませんか?対象年齢を引き上げるお考えはありませんか?」とさらに質問させていただきました。

 それに対しては、「若い世代の移住定住を促進したいので、ご理解いただきたい。」という担当課の答弁でした。



 予算案をチェックしていくと、それを通して北杜市の実情をよく見ることができます。これは議員が得られる貴重な機会であると実感します。

 私にとっては初めての予算特別委員会であり慣れないことも多いですが、市民を代表して最後まで務めをしっかりと果たしたいと思います。

私のブログをご覧いただき、有難うございます。

 

 お知らせしていました「訪問介護基本報酬の引下げ撤回と介護報酬引き上げの再改定を早急に国に求める意見書に関する請願書」の審議が、本日、北杜市議会文教厚生委員会で行われました。

 その結果は、採択ではなく継続審議でした。採択ではなく継続審議とすることに賛成した市議は、内田俊彦議員、神田正人議員、斎藤功文議員、山崎君江議員の4名、継続審議に反対した市議は大塚愛議員、清水進議員、中村典子議員の3名でした。

 この請願は本会議ではもう審議されません。文教厚生委員会が審議すると決定した場合のみ、次回定例会で再度審議されます。


 私が説明に立ちました本請願趣旨の詳しい内容につきましては後日また共有させていただくつもりです。