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 今、鹿児島県から沖縄県に至る南西諸島への自衛隊が配備されて、中国を事実上の仮想敵としたミサイル網が構築されつつあることをご存知でしょうか?

 石垣島でも、2019年3月から陸上自衛隊ミサイル基地の建設が始まっています。これに対し、「私たちのことは、私たちが話し合って決めたい」と島の若者たちが住民投票運動を起こしました。

 その行方を撮った2本の映画の上映会を北杜市内の各町で催すこととなり、一昨日5月25日に第1回目の上映会を武川町の甲斐駒センターせせらぎで開いて、「若きハルサーたちの唄」を鑑賞しました。



 「ハルサー(畑人)」とは島の言葉で農民を意味します。

 島にミサイル基地の建設が行われることになり、島の人びとの意見は分かれます。ミサイル基地の配備は米国と中国の対立を背景に島の外側からやってきたことですが、基地の配備は島の人びとの暮らしや将来を大きく左右するからです。

 そういう状況の中で、3人の若いハルサーが自衛隊配備の賛否を問う住民投票の実施を求めて、運動を起こします。その動機について3人のうちの一人である金城龍太郎さんは次のように語ります。

 「僕たちみたいに声を上げられる立場にある人はまだいいけれど、多くの人はしがらみととかで声を上げられない状況にいる。そういう人たちのはけ口になればいいと思って住民投票の実施を求めました。」

 彼らの住民投票運動の標語の一つは、「意見しやすい社会へ」でした。

 

 運動の結果、自衛隊配備の賛否を問う住民投票条例請求書名は有権者の3分の1以上にあたる14,263筆が集まりました。それは石垣市自治基本条例に書かれていた住民投票実施のための署名数である有権者の4分の1をはるかに上回る数でした。

 しかしこの住民投票条例の請求を石垣市議会は否決し、それを理由に市長も住民投票を実施していません。

 若者たちは裁判で住民投票の実施を求めるも、裁判所は訴え自体を受けつけませんでした。

 

 映画を鑑賞した後のお話会では参加者から、

 「明野最終処分場を思いながら観ていた。『どこでも同じ問題なんだなぁ』と思った。」

 「司法の独立なんてないと思った。」

 「北杜市でも米軍機がかなり飛行していて、同様の問題がない訳ではない。」

 「日本はアメリカの従属国家になっている。地位協定を見ても、隣国の韓国と比較してもひどい内容だ。」(参加者の感想)

 「沖縄の若者はすごいわぁ。本土の若者はこういう事実にどのような反応をするか知りたい。」

 「日本は民主主義国家の体裁を取っていても、民主主義はない。」

 「こういう風に行動に移す若者が現代にもいるということを知って頼もしかった。」

 といった声が出ました。



 この映画を観て私が心を打たれたのは、若者たちが「私たちのことは、私たちが話し合って決めたい」というあくまで民主主義を求める姿と、地域愛に対してです。

 自衛隊のミサイル基地の開設自体は国際政治や安全保障ともかかわる問題ですが、若者たちはそれに対する是非を島民に問うのではなく、自分たちの生活や将来に関わることについては自分たちの意見を表明することを訴えます。そこからは、同じ島で生きる者たちが意見の違いが生じても愛する地域でお互い気持ちよく暮らしていきたいという願いが見て取られました。

 この地域愛こそが若者たちにあくまで民主主義を求めさせた原動力だと思います。

 しかし、こうした若者たちの希求に対する権力の対応は彼らの予想もしなかったものでした。

 どうして議会・行政・司法は住民投票の実施を拒むのか?

 来月6月22日(土)午後2時に大泉総合会館で上映する「島で生きる」はその理由を追います。



 本当に多くの人びとに見ていただきたいと思える素敵な映画です。

 皆さまのご参加をお待ちします。