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 北杜市立泉小学校PTA会長として、引き続き、連日さまざまな会議に出席しています。

 一昨日は、山梨県PTA協議会・親子安全会・扶助会の定期総会が南アルプス市の桃源文化会館であって、参加しました。

 山梨県中の小中学校から役員が集まっていて駐車場は満車の状態でした。



 多くの人が「PTA」という名称を聞いたことがあると思います。しかしPTAがどういう団体であるかということについてはあまり知らないのではないでしょうか。

 PTAは正式名称を“Parents and Teachers Association”といって、日本語にすると「父母(保護者)と教師の会」となります。

 「PTAのハンドブック」(日本PTA全国協議会編)によれば、「PTAは、児童生徒の健全な育成を図ることを目的とし、親と教師が協力して学校及び家庭・地域における教育に関し理解を深め、その教育の振興に努め、さらに、児童・生徒の校外における生活の指導、地域の教育環境の改善・整備・充実を図るため会員相互の学習や活動を行う」任意で設立された社会教育関係団体です。



 以上の社会教育団体としてのPTAの性格は意外と知られていないように思います。

 図らずも今度の定期総会はそのことを表したような集会となりました。

 

 議事では、第1号議案 2023年度 事業報告・決算報告の承認に関する件、第2号議案 2024年度 役員の承認に関する件、第3号議案 2024年度 事業計画案・予算案の承認に関する件が審議されました。


 第1号議案で、私からは、山梨県PTA親子安全会が行った不登校児童生徒対策推進事業の内容について質問させていただきました。

 それというのも、「教育相談の不登校相談件数の増加に伴い、不登校児童生徒対策推進事業該当校数を、20~22校前後に増やした」とあり、「さらに本事業の周知を図る中で不登校対策に向けての一層の取組の強化拡充を目指していきたい」と書いてあったからです。

 不登校を問題と認識して不登校対策に向けての一層の取組の強化拡充を目指すというならば、その方向や内容を知りたいと思いました。

 それについては、不登校児童の学校復帰の足がかりとして適応指導を行う教室や大学教授を招聘しての教員研修・校内研修、アンケート調査の実施などに一校当たり10万円を助成したというのが、事務局の回答でした。

 それに対して私からは、「山梨県PTA協議会の子育て委員会が『子どもに「学校にいきたくない」といわれたら』という研修会を主催したが、それとの連携はあったのか?」と尋ねましたら、「特に連携はなかった」という答えでした。



 私の質問が「口火」となって、その後質問が続きました。

 その中で特に質問が出たのが、第3号議案 2024年度 事業計画案・予算案の承認に関する件に対してです。

 まず、山梨県PTA協議会の予算について、本年度の事務局費が前年度予算額より1,010,000円増額され、そのうち職員給与が500,000円増額されていることに対して質問がありました。

 また、「PTAは任意団体であるにもかかわらず、入会が自動加入、会費が自動引き落としであることの違法性を問う裁判が他県で起こされている。自動加入、自動引き落としは違法状態なのではないか?」という質問が出ました。

 さらに、「PTAは子どものためにある。日本PTA全国研究大会川崎大会に86名参加の予定とあるが、単位PTA(各学校PTA)、山梨県のPTAの活動だけで十分なのではないか?全国研究大会に参加するための予算を子どものためにもっと有効に使った方がいいのではないか?」という質問も出されました。

 それらの質問を聴きながら、私は時代の中でPTAの置かれている位置の変化を強く感じました。

 そこで、最後の「その他」で次のような意見を述べさせていただきました。

 

 今日の定期総会は活発な質疑応答があってとても良かったと思います。その中で日本PTA全国研究大会に会員を派遣する意義について疑問が出ていましたが、私は意義があると思います。

 PTAは社会教育団体です。PTAの活動を通して保護者・大人も学び成長していくことが子どもたちの健やかな育ちを支えます。

 確かに、単位PTAをはじめとする「足元」での活動は基本であり大切です。しかしそうした現場で出た悩みや課題を単位PTA・山梨県PTAだけに止めず、他県のPTAと共有したり、また他県の実践や報告を知ることで前へ進むヒントを得られたりします。実際、私自身、3月2日の役員予定者研修会で佐賀県からいらした江田明弘さんのお話はとても参考になりました。

 一方で先ほど質問された方の疑問も分かります。日本PTA全国研究大会に参加したとしても、そこで得た学びを持ち帰ってどれほど各「足元」で伝えたでしょうか?それが分からないからこそ出た疑問だったように思います。問題は、大会参加と「足元」の活動とのつながりが見えていなかったことなので、今後、それを見えるようにしていただきたいというのが、私の意見です。

 加えて言えば、その前の「PTAは任意団体なのに自動加入、自動引き落としになっているのは違法状態なのではないか?」という質問も根っ子で共通していると思います。

 たとえPTAが任意団体であっても、かつてはPTAに自動的に加入することが問題になるようなことはなかったと思います。(きっと自分の属している共同体の一部として、PTAもとらえられていたのでしょう。)しかし現在それが問題とされるというのは、PTAが当たり前に自分の属しているのものではなくなっているということだと思います。

 そういう時代においてもPTAが存続するためには、PTAみずからその存在意義を常に反省し、組織として自己革新していくことが求められると思います。

 そういう意味で、今日の定期総会はそのためのよい機会になったように思います。

 

 おおよそこんな趣旨のことを話しました。

 考えてみれば、PTAは任意で設立された社会教育関係団体です。その成り立ちを見ても元から自然にあるものではありません。したがってPTA本来のあり方を問われていると言うこともできます。

 その意味で、先ほど触れた3月に行われた役員予定者研修会の講演の「そもそもPTA」という演題は時宜に適っていました。

 「そもそもPTAとは何なのか?それが存在する意味はどこにあるのか?」ということが、今、問われているのでしょう。

 しかしPTAが民主教育を日本に根づかせるために設立されたことを鑑みれば、PTAはその使命を未だに終えたとは言えません。

 また近年、地域と学校の協働の必要性が言われ、地域とともにある学校づくりが進められようとしている中で、PTA(保護者と教師の会)がどのような役割を果たしていくのかということも重要な課題です。


 そんなことを考えながら歩いていた帰り道、ある教員に「先生方の負担を減らさなければいけませんが、PTA活動も負担になっているかも知れませんね。」と半分冗談のつもりで水を向けたら、「そうなんですよ」と返されました。

 PTAが教員の負担を減らさないでむしろ負担になっているという現実は、学校運営協議会とも通じます。

 「PTA活動がそもそも一方の当事者である保護者の活動になっていないのではないか?」とも思わされました。PTAをめぐる課題の中心に「他人任せ」という問題があるのかもしれません。

 そういうことを考えると、PTAの“現在地”に日本社会から「当事者」がいなくなって(私を含めて)他人任せの人間だらけになっている問題があるように思えました。

 

 この学びを「当事者」としてどのようにPTA活動につなげていけるか、考え続けたいと思います。