無責任な日本経済新聞と3人のFP | 池上秀司のブログ

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ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

以下はちょうど5年前の記事です。

 

低金利「固定」で安心 住宅ローン活用術(上) 
「変動」上昇後は注意、返済計画の熟考を

 

無根拠に変動金利の不安を煽り、固定金利に誘導する典型的な偏向記事です。記事には変動金利が0.875%、全期間固定金利が2.4%とあるのでそれを採用し、借入金額3,500万円、返済年数35年というケースで、5年経過時点でどうなっているかを比較します(画像はカシオの金融電卓BF-750)。

 

まずは毎月の返済額の差額を考えます。

①/変動金利の月返済額:96,774円

 

②/全期間固定金利の月返済額:123,255円

 

③/60回目までの返済額の差額:月26,481円×60回=1,588,860円

 

では次に,60回目の返済が終わった時点での残高の差額を考えます。BF-750の【年賦償還】という機能(青いボタン下の段、右から2番目)で簡単に把握できます。

 

④/変動金利の5年後の残高:30,631,527円

 

⑤/全期間固定金利の5年後の残高:31,609,660円

 

⑥/60回目返済終了時点での残高の差額:977,133円

⑦/返済額の差額(③)と残高の差額(⑥)の合計:2,565,993円

 

たった5年で250万円以上の差になっています。これで「固定が安心」なのでしょうか?

 

未来は不確定なのですから、こういう可能性もあった訳です。にも関わらず、情報提供側の訳のわからないプロパガンダで偏った記事を作り、不安を煽り、消費者に損失を与えたということです。金利選択において上記記事には足りていない情報が大量にあり、その程度で結論を出すなど明らかな欠陥。上記記事は誤報といってもいいでしょう。

 

常識ではこんなことは許されるはずがありませんが、マネー情報では平然と日常的に行われおり、日経新聞も記事に関与したFP(深野康彦氏、深田晶恵氏、高田晶子氏)も知らんぷり。「専門家」の名の使い方を間違えています。非常に無責任です(深田さんにあっては、ここ最近で住宅ローンの新著を出すというさらなる暴挙)。

 

この記事が公開された当初から、本件は指摘しています。何年経っても状況は改善しませんが、定期的に触れていくことも大切ではないかと思うので、今後も書いていこうと思います。

 

【参考記事】

日経新聞を読んでいない日経新聞記者

検証記事を書いて欲しい

日経新聞記者の経済観念

日経新聞被害者の会

無責任な人たち

いつでも固定

日本経済新聞とFP深田晶恵氏の存在価値