無責任な人たち | 池上秀司のブログ

池上秀司のブログ

ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

以下の記事は3年前に書かれています。

低金利「固定」で安心 住宅ローン活用術(上) 「変動」上昇後は注意、返済計画の熟考を

ただ変動金利型の住宅ローンは注意点が多い。FPの深田晶恵氏は「金利が上がれば利息が増えるほか、返済計画の先が読めなくなる」と話す。

ただ金利が上がると元金返済のペースが当初の予定より遅くなる。グラフBの返済金利は初め年0.875%で、毎月返済額は約8万3000円。1年後に金利が1%上がると、計算上は毎月返済額は約9万7000円になるが、5年ルールで据え置かれる。毎月の支払いのうち利息部分に回る額が増え元金の返済は遅れる。2年後も同様だ。

では、3年経ってどうだったのでしょうか?「1年後に金利が1%上がると」などと書いてありますが、金利は全く上がっていません(下がっています)。私は当時からこの記事について指摘してきましたが、書いた人達はどこ吹く風でなんの検証も行わず平然としています。それはこういった記事だけではありません。

深田さんがダイヤモンド社から出している「住宅ローンはこうして借りなさい」という書籍があり、最近改訂5版というのが出ました。その表紙の変遷をたどると、この人達の仕事に対する姿勢がよくわかります。左下の赤の四角に白抜きで書いてあるコピーを抽出しました。

初版:大人気の1%ローンは借りてはいけない! 数年後に返済額が50%アップの可能性も!


第2版:1%ローンは3年後に家計破綻も!! 数百万円トクする借り方・返し方教えます!


第3版:大人気の変動金利ローンは借りてはいけない!収入が上がらない時代に合った安心でおトクなローンの借り方・返し方教えます!


第4版:人気の変動金利ローンは落とし穴がいっぱい!収入が上がらない時代に合った安心でおトクなローンの借り方・返し方教えます!


第5版:老後貧乏にならないための住宅ローンの正しい借り方とは?


あれっ、深田さん、あれだけいってきた金利はどうしたのでしょうか。ひどい話ですね。当初は「3年固定1%」がブームになっていたので、それを否定してました。景気回復せず変動金利ブームが来ると、それを否定しました。結果はどうでしょう。深田さんが「金利上昇は危険だ!」といい続けて10年程度経ちましたが、金利は下がってきました。返済額は50%もアップしておらず、破綻しているのは深田さんの論調です。明らかなミスリードです。

彼女は「業者が3年固定や変動金利で試算するのは家を売りつけたいからだ」などといっていました。現実は彼女の見立ての180度逆の結果になっているのですから、住宅販売に従事している方達を愚弄する資格はまったくありません。

自分の見立ての180度逆というのは深田さんも自覚し、もう金利ではどうすることもできなくなったので、最新の5版では「老後貧乏」と路線変更しました。結局、そのときどきで適当なネタを持ってきて「無根拠に不安を煽る」ということだけは一貫しています。私はこういうのを見て、彼女は消費者のことなどまったく考えておらず、本を売りたいだけの人という印象しかありません。そりゃあ無責任なメディアからは重宝される訳です。さて、次はどんなネタで攻めてくるのでしょうか?

深田さんはダイヤモンド社から「住宅ローンにだまされるな」というタイトルの本も出していますが、これを見ればだましてきたのは誰でしょうか。そんな人に「こうして借りなさい」など上から目線の言葉を使う資格があると思えません。まずは、「あなたが反省と考察をし、消費者に謝罪をしなさい」ではないでしょうか。

【関連記事】
日経新聞を読んでいない日経新聞記者
検証記事を書いて欲しい
日経新聞記者の経済観念
日経新聞被害者の会