池上秀司のブログ

ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。


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前回の続きです。

 

記事中の返済額試算で、10年固定の10年後からを単純に1.4%足して計算していますが、これも不適切です。10年固定の多くは、11年目から金利引き下げ幅が変わります。三菱東京UFJ銀行のホームページでわかりやすく説明しているので、スクリーンショットを掲示させてもらいます。

 

 

2017年6月、三菱東京UFJ銀行の10年固定は、店頭金利3.25%から2.5%の金利引き下げをしてもらって0.75%で貸してもらえます。店頭金利水準が全く変わらなかったとして、10年後も再度10年固定を選んだ場合は、3.25%から今度は1.6%を引き下げてもらった1.65%を10年間適用することになります。金利水準が変わらなくても引き下げ幅が減るので、お客様が使う金利は上昇します。

 

つまり、店頭金利が1.4%上昇した場合、さらに金利引き下げが減ると、単純に1.4%の上昇では済まないということです。一方、変動金利で借り入れした場合は、この引き下げ幅の変更のない、借入期間中ずっと▲1.85%といった引き下げプランを採用しているケースが多く見受けられます。

 

該当記事では、この金利引き下げ幅の変更(減少)に一切言及していません。これも「基本中の基本」ですが、そこに配慮ができないなら、自称プロでしかありません。

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またもや日経新聞がやらかしました。以下の記事は「住宅ローンでやってはいけない大間違い」の代表として、語り継いでいきたいほどの記事です。

 

長期金利上昇の試算も 住宅ローン、商品選びは慎重に

現在の長期金利はおおむね0%ですから、仮に10年後にベースラインシナリオ通り1.4%まで長期金利が上昇すると仮定した場合、返済額がどうなるか、シミュレーションしてみました。

 

長期金利が10年後に1.4%上昇すると、変動型の場合、毎月返済額は1万4342円、総返済額は430万円上昇、固定期間選択型で同1万4819円、同445万円の上昇となります。商品タイプを選ぶときは、このような金利上昇に伴う返済額増加に耐えられるかどうかをまず確認すべきでしょう。

 

当ブログをご購読いただいている方ならすぐに間違いがわかりますね。変動金利は長期金利に連動していません。これは「基本中の基本」です。ですから、長期金利が1.4%上昇したからといって、変動金利が1.4%上昇すると考えるのは妥当ではなく、この点を欠落させた住宅ローン指南とは、単なる暴論です。


具体的に見てみます。以下は2000年からの長期金利(新発物10年国債の利回り)の推移と変動金利(店頭金利)の推移です(金融経済統計月報より)。もし、この記事の論調が正しいのであれば、リーマンショック後に長期金利は下降トレンドに入りましたが、変動金利(の店頭金利)も低下しなければいけません。しかし、変動金利(の店頭金利)は不変です。これらにより、長期金利と変動金利が連動していないことがわかります

 

 

変動金利(店頭金利)は以下のように、日銀の金融政策と連動しています。

 

 

ですから、金利の指標というのは、大まかには下図のように表されます。

 

2013年の今頃、長期金利が急上昇して世間は大騒ぎしました。日経MJの上半期ヒット商品番付では、西の横綱が「住宅ローン」でした。その時でも、変動金利はピクリともしていません(画像は拙著より)。

 

2013年5月はもちろんのこと、今までは、「長期金利が上昇したから、そのうち変動金利が上昇するぞー!だから、今のうちに固定金利に変更した方がいいぞー」と、長期金利(固定金利)の上昇と短期金利(変動金利)の上昇の時間差に言及し、長期金利が少し上がっただけで変動金利が上昇する気配がまったくなくても固定金利を推奨してきたのが、メディアとFPですよね。その割に、この記事では「仲良く1.4%上昇」と、その時間差については全く考慮しておらず、過去の論調と辻褄が合いません。

 

長期金利が今より1.4%上昇しても、変動金利は現在の水準のままという可能性もあります。著者の田中歩氏は1級ファイナンシャル・プランニング技能士だそうですが、以下の記事にある「FPはお金のプロだが経済のプロではない」の実例です。

 

マイナス金利政策から1年たち、住宅ローンは借り時?
 

いざなぎ景気を超えたいざなみ景気のときでさえ、変動金利(店頭金利)は、現在の2.475%より0.4%しか高くありません。ですから、「変動金利(店頭金利)が1.4%上昇するというのは、どういう世の中か?」という、経済に関する観点が欠落しています。正しい情報提供のために頭を使っていないということです。

 

この記事は変動金利のネガティブキャンペーンだけが目的の、経済音痴による欠陥記事といえます。物品販売であれば、土下座による謝罪と返金対応というレベル。根拠がないのですから、インチキといわれても仕方ありません。

 

記事中のグラフには「変動金利の利用者の約半分が将来の金利上昇への理解が不十分」と書いていありますが、理解が不十分なのは該当記事の著者、田中歩氏と日経新聞。彼らが消費者の理解が進まない原因です。世間の足を引っ張っているという認識が足りません。

 

今回も、日本経済音痴新聞と呼ぶに相応しい、トンデモ記事でした。他にも気になるところがあったので、それは次回。

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以下の記事を読んで違和感がありました。

 

「これから世代」の家の選び方 (上)──30代、Aさん夫妻の場合

 

 そんなAさん夫妻からの相談が、子供も増えて今借りているマンションが手狭になってきたので、東京湾岸部のタワーマンションを購入したいとのことだった。価格は7500万円。こつこつ貯めてきた貯金は夫婦あわせて1000万円強。これにフラット35を活用した住宅ローンで6500万円を借りて買いたいとの計画だ。

 ローン返済額は、夫婦でそれぞれ借入れ。変動金利を使って期間35年にすれば、毎月の返済額は16万円強、ボーナス時は60万円。年間返済額は280万円ほどだ。

 

「湾岸部のタワーマンション」という言葉からも、恐らく最近の話題だと思いますが、最近の金利情勢(都市銀行の変動金利0.625%)であれば、6,500万円を変動金利で借りて、年間返済額は206.8万円記事記載の280万円になりません

 


年間280万円に到達するには、都市銀行の変動金利の店頭金利「2.475%」以上の2.53%が必要です。

 

 

これは、なにをどうやって計算したのでしょうか?実在する資金計画なのでしょうか。こういった数字を出すときは詳細まで記載するべきですが、記事に金利の記載がないので信頼性が担保されていません。まぁ、偶然なのでしょう。

 

そして、上記記事には続編があります。

 

「これから世代」の家の選び方 (下)──30代、Bさん夫妻の場合

 

Bさん夫妻が用意できる頭金は1000万円。Aさん夫妻のケースと同様に6500万円のローンが必要だ。35年ローンであれば、返済額は月額16万円強、ボーナス時は60万円。年間返済額は280万円になる。

 

ここで登場するBさん夫妻の資金計画もAさん夫妻と同じです。異なる事例なのに、物件価格も、頭金も近い額になり、Aさんと同様の2.53%という割高な変動金利で資金調達するご家庭が登場します。偶然とは不思議なものです(笑)

 

さらに、Bさんは二世帯住宅の一世帯分を賃貸に出すということですが、3人家族と書いてあるので、恐らく親世帯分を貸し出すのでしょう。私は二世帯住宅のセミナーするので色々と図面も資金計画も見てきましたが、親世帯の居住スペースは子供と住むことは想定せず、最大2人で住むことで間取りを考えます。親世帯の子供は二世帯住宅の「子世帯」のスペースで、その子供(親世帯から見ると孫)と住むからです。

 

完全分離の二世帯住宅だとしても、3階建てで1階が親世帯、2階、3階が子世帯というような感じになります。すなわち、キッチン、トイレ、浴室は独立して存在していても、部屋数は多くありません。二人で住むのが精いっぱいと考えるのが妥当です。

 

そこでですが、そもそも将来貸そうと思って建てた訳ではない中古の二世帯住宅の親世帯の居住スペースで、しかも築20年経っていて、家賃が15万円取れるって、なかなかレアな物件だと思います。偶然とは不思議なものです(二回目)

 

こういった事情から、この一連の記事については数々の偶然が重なってできた事象であり、世の中は様々なことが起こるということを教えてくれます。ありがとう、センテンス・スプリング!(んな訳ない。捏造臭がプンプンする)。


まぁ、相手が相手なので、あまり攻撃すると私も「文春砲」を浴びてしまうかもしれないのでこの程度にして、私のプライベートは清く、正しくいきたいと思います。

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気になる記事を見かけたので、以下の部分を検証してみます。

 

繰り上げ返済に落とし穴 住宅ローン控除、打ち切りも


 東京都の会社員Aさん(40代)は「計算したら200万円近い損失で、がくぜんとした」と振り返る。2014年に期間10年のローンで一戸建てを買い、その年はローン控除をしてもらったが、翌年に300万円を繰り上げ返済したのが失敗だった。

 Aさんは繰り上げ返済をしても月々の返済額はそのままにして完済までの期間を2年短くした。ローンの期間が8年になったわけだが、実はこれが大きなミス。ローン控除は「期間10年以上」でなければ認められない。Aさんは「借入時に10年以上であれば大丈夫と思っていた。ネットで手続きしたのでだれも注意してくれなかった」と悔やむ。

 

住宅ローン控除の制度の部分は置いておいて、私が気になるのは

 

このAさんは実在するのか?

 

です。

 

Aさんの借入ですが、2014年の10年固定を1.5%と仮定し、10年返済、1年後300万円の繰上返済で2年短縮できるとなると、借入金額は1,550万円程度と推測できます。

 

 

借入月を2014年4月と仮定すると、控除の総額は75.5万円程度。初年度は14.4万円の控除を受けているので、繰上返済をした場合としない場合で控除額の差は約61万円。繰上返済によって軽減した利息(38万円)を差し引けば、その差は23万円。「計算したら200万円の損失」には程遠いです。

 

 

200万円の損失が出るには「借入額が多くなる」もしくは「金利が高くなる」という条件が必要ですが、その場合は300万円の繰上返済で2年短縮しないなど、他の部分との整合性が取れなくなります。

 

 

なにをどうやって計算したら、「200万円の損失」が発生するのか、その詳細を知りたいと考えるのは当然でしょうし、それを明記しないのであれば「Aさんはデッチ上げ」という疑いをかけられても仕方ないでしょう。

 

しかも、記事には住宅ローン指南で金利上昇デマを吹聴してきた深田晶恵さんが登場します。彼女のコメントで

 

「最近は借り換えのうっかりミスによる打ち切りも目立つ」と話す

 

とありますが、目立っていません

 

そもそも、「住宅ローンを短期で組んた後、借り換えでメリットが出るケース」、「ローンの開始翌年に300万円繰上返済して、気軽に取材に応じてくれる人」なんて、そうそういるとは思えません。普通に仕事をしていれば、これらはレアケースだと認識しています。

 

深田さんは取材の協力費がもらえるので、メディアのためならば適当なことを平気でいえるのです。私利私欲を優先し、メディアの意向を汲んで、都合よく言葉を発してくれます。そうでなくとも、今までのマイナスの実績から、彼女の名前があるだけで疑ってかかるべき記事といえるでしょう。

 

普通に書けばいいものを、自分達が目立ちたいがために、捏造臭いネタを入れてくる日経新聞こそが落とし穴です。

 

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昨日、ダイヤモンド社の不適切な記事を見つけました(毎度のことですが・・・)。

 

お金を貯めて繰上返済は本当に得なのか?
 

住宅ローン減税とは、年末時点の住宅ローン残高の1%に当たる額を節税できる仕組みです。たとえば住宅ローン残高が4000万円ある会社員なら、このうちの1%に当たる40万円が還付されます(サラリーマンの場合、1年目は確定申告をする必要があり、2年目以降は年末調整で受けられます)。

 

この人がもし今、500万円の繰上返済をすると、節税になる額が40万円から35万円に減ってしまい、差し引き5万円、損することになってしまいます。

 

もちろん500万円を繰上返済することで、返済額に占める支払利子は減ります。住宅ローンの金利が0.8%だったとして、残高4000万円に対する毎年の利子は約32万円。一方、繰上返済後の残高3500万円に対するその年の利子は約28万円。4万円の削減です。

 

・繰上返済をしなかった場合 住宅ローン減税で40万円-年間支払利子32=8万円の手残り
・500万円の繰上返済をした場合 住宅ローン減税で35万円-年間支払利子28万円=7万円の手残り

 

どこが不適切かというと、住宅ローンは長期の返済である反面、住宅ローン控除は当初10年にしか適用されないにも関わらず、最初の1年しか考えていないという点です。

 

4,102万円・0.8%・35年で1年後に500万円を「繰上返済しない場合」と「繰上返済した場合」で計算してみました。

 

↑両方「繰上返済なし」になっていますが、右側が「繰上返済あり」です。黄色の残高でご確認ください。

 

当初10年で考えると、繰上返済をしない場合、

 

利息負担は多いが、控除額も多い

 

ということになります。しかし、返済はその後も続きます。11年目以降、繰上返済をしないケースでは

 

利息負担が多いが、控除がなくなる

 

ということになるので、そこまで考える必要があります。では、1年後に繰上返済(期間短縮型)をした場合、いくら利息が減るかというと、約144万円です(↓参照)。

 

 

つまり、繰上返済をしない場合は繰上返済をした場合より、控除額を52万円増やすのと引き換えに、144万円の利息負担をするので、「500万円でその差額である92万円の運用益が獲得できるか否かで判断してみる」というのが、望ましい助言ではないかということです。

 

低金利の住宅ローンは借りられるだけ目いっぱい借りて、手元に残ったお金は運用に回してふやす。こうした合理的な考え方を私たち日本人も身に付けなければならないのです。


この考え自体は否定しませんが、本件に関しては「合理的か否か」ではなく、考え方の違いです。「92万円の運用益が獲得できる、できない」は個人の生き方、考え方で異なるのですから、そこは各自の想いを優先すればいいのではないでしょうか(それこそ、控除期間が終わったら繰上返済をするという選択肢もありますね)。少なくとも、最初の1年しか考えないで結論を断定するような浅はかな人に、合理的を語って欲しくないというのが、私個人の感想です。

 

これは、記事を書いている人のプロフィール(相当胡散臭い)を見れば、「繰上返済なんかダメだ!運用バンザイ\(^o^)/」という結論ありきで記事が出来上がっているというのが理解できますが、そんなくだらない理由で消費者の皆さんが損失を被る可能性が伝えられないなど、あってはいけないのではないでしょうか。

 

そうでなくとも、ダイヤモンド社は住宅ローン指南で10年以上も金利上昇デマを撒き散らし、消費者に損をさせたという実績だけは十分すぎるほどあるのですから。

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