日本経済新聞とFP深田晶恵氏の存在価値 | 池上秀司のブログ

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ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

先日の記事をUPした後に、以下のような記事を見ました(これも日本経済新聞です)。

 

マイナス金利時代の住宅ローン 勝利の方程式

 

ファイナンシャルプランナー(FP)の深田晶恵氏は「いまこそ、長い期間、低金利を享受できる固定に乗り換えたい」と力説する。

 

なにが「いまこそ」だって話です。深田さんは今より金利の全然高かった10年以上前から「短期固定や変動金利は危険です!」と力説して、固定を推奨していました。本の表紙が証明しています(以下参照)。

 

無責任な人たち

 

こういうことを平然といえる人って、理解不能です。

 

もし、金利が上がり始めたら、乗り換えようとした時に固定金利はもっと上がっている可能性が高い。固定にするなら、各行の金利引き下げ競争が激しい「10年固定が全期間固定が狙い目」

 

と書いてありますが、10年固定は11年目から変動金利になるので、そのときに金利が上がっていたらどうするのでしょうか。10年固定では深田さんが懸念している事態を回避できません。これについても何度も指摘していますが、進歩がないですね。

 

落とし穴から抜け出せない深田さん

 

「変動金利は将来危険」といっているのに、将来変動金利になる10年固定を勧めては整合性がとれません。ずっとこの調子ですから、本人は気づいていないのでしょう。

 

さらに気になるのですが、2013年6月8日の記事にも、以下のような記載があります。

 

住宅ローン金利上昇 「固定」の借り時を逃すな

 

だが、ファイナンシャルプランナー(FP)の深田晶恵さんは「固定金利にうまく乗り換えるのは難しい」と警告する。変動金利に比べ、固定金利は動きが速いからだ。

 実際、日銀が4月に金融緩和に踏み切った後、住宅ローンの固定金利はいち早く上昇し始めた。三井住友など大手行の10年固定金利(最優遇)は6月に1.6%になった。4月以降、0.25%の上昇だ。一方、変動金利は0.875%のまま。変動金利が上がり、タイプを変えようとするときに、固定金利はもっと上がっている可能性がある。

 

細かい話ですが、「速い」は「早い」の方が適しているような気がします。「長期金利を参考にしている固定型は、変動金利が上昇するときには先駆けて上昇してしまっている → だから、今すぐ固定にしろ(深田談)」ということです。金利の動きについては、以下のページが大変参考になります。

 

長期金利の決まり方・・・・・・将来の「予想」が大事

 

つまり、固定金利が上がる → 変動金利が上がる ということですが、その固定金利が2013年6月よりも2016年は著しく下がっています。この理屈で考えて、変動金利はここ数年で上昇するのでしょうか?わかりやすく図にしました。

 

 

都市銀行の変動金利の店頭金利は、2010年から現在に至るまで2.475%です。例えば、長期金利が2013年当時の水準まで上昇した程度で、変動金利はどの程度上昇するのでしょうか。過去の話とはいえ、2013年5月に長期金利が短期間で上昇(0.6%→0.9%)したときでさえ、変動金利はピクリともしていません。

 

こういった点を伝えればお客様は安心してくださいますが、なぜ伝えないのか疑問で仕方ありません。深田さんは「誰のために」「なにが目的で」FPをやっているのでしょうか。「自分の保身のため」以外に見当たりません。

 

そして、「金利上昇不安を煽ってきたくせに、実態はその逆」というのに平然としていられるFPのコメントを掲載し続ける日本経済新聞の存在価値はあるのでしょうか。「世間の足を引っ張る」以外に見当たりません。