2013年7月28日の文書を改定。
自然主義経済とは何か。
簡単に言うならば、貨幣を所持しているとその価値が時間とともに劣化するというもの。ネーミングは、自由主義経済でもなく社会主義経済でもないことから付けられた。
貨幣が時間と共に減価するシステムである。
全ての物質が時間とともに腐敗・消耗していく以上、お金にもそういう機能を与えようというものだ。
この貨幣システムでは損をするだろうと考えて、利子のつく銀行にお金を預けていたり、投資したり、保険にしたりしても、むしろそれが損をすることにやがて人類は気づくだろう。
これは今までの価値観・世界観を転換しなければ不可能だが、そのうち必ずそのようになる。自発的にそう変わるのではなく、時代の流れがそうさせる。
人類社会がお金におぼれ、人間が人間としての価値を失ってきているからであり、これを目覚めさせる意味においてなされなければならないとして、いくら人為的に、政治的一辺倒にやってもよくない。人々に強制してはいけない。自然の流れで必ずそうなるものであり、この仕組みは、主に外的環境、民間主導によって生み出されるだろう。
すでにこのような経済学は存在する。「自然的経済秩序」というものが、シルビオ・ゲゼルの自由貨幣を基として、社会主義的な政府の政策を外し、東洋思想と融合され、新たな自然調和システムとして生まれた。
そして、この自然主義経済は、資本主義や社会主義を排除するものではない。同時に存在してこそ力を発揮する。ただし、プラス利子の通貨はその意味を失うだろう。
これについては理論説明で理解するよりも、直感で受け取れる人々にこそ理解される。これまでの常識での理論説明は、それまでの固定概念によってなかなか理解できないようだ。
では、この方法をとると政策はどのように反映されるか。
●外交・防衛
戦争の要因は宗教・思想を除けば、資源の争奪が発端となる。食糧もエネルギーも自給できる国家を作ることで解決される。領土・領海・領空を侵す国の欲望は利権である。利権は資本主義を前提とした貨幣が発端である。自然主義経済はそのような欲望を無力化させる。
●財政
財政赤字はやがて限界に達する。この解決方法はリセット以外にはない。そのためには日本銀行券以外で経済活動できる手立てが必要。
●金融
増殖としわ寄せの機能を持つ金融も財政と同じく、限界に達する。物質経済と矛盾する数学的なバーチャル経済は崩壊する。そのためには実質的にモノ・サービスと転換できる自然通貨を必要とする。
●教育・科学技術
経済史上主義下の社会では、いかなる教育政策を施そうとも、その手本は示せない。物質と精神の双方が両立する社会を作ることが教育の最も効果的な方法である。自然主義経済は人間関係を豊かにし、心豊かな社会を築くことができる。科学技術は数多くの失敗を経て新たなモノが生み出される。自然主義経済によって失敗のための出費が可能だ。
●福祉・医療
政府に依存した社会福祉は、利権をもたらす。社会主義的資本主義と言われる日本はこれを今やめようとしているが、それもまた充実した福祉社会にはならない。第三の方法である自然主義経済を用いて、民間オンリーによる福祉・医療を築く。
●農林水産業
経済の基本であるにも関わらず、貨幣が力を持つ社会は第一次産業が衰退する。食糧の自給は勿論、自然有機栽培による生産効率を可能とするのが自然主義経済である。そもそもは食料をどのように調達するかが経済の始まりだ。
●商工業
諸外国からの輸入を停止し、全て自国で自給できる工業を行えば自然調和型の産業におのずからなる。商業においては、自然主義経済の採用により、その流通速度は増し、誰もが好きな職業で生活ができるようになる。地産地消型経済になっていく。それが経済安全保障の最短距離である。
●国土インフラ
これまで公共事業を優先せざるを得なかったのは、貨幣に依存し、政府に依存してきたからである。自然主義経済では民間のみで公共事業を行うため、国や自治体を通じることなく民間において公共投資がなされ、インフラが整備される。
●エネルギー
石油・原子力を使わなくなり、太陽・風力・地熱・バイオなどの力が主流となる。一箇所で大量に発電するよりも地域ごとに発電する方が効率がよいということになる。