こんにちは
病因について、(1)外感病因、(2)内傷病因、病理産物とその他、2回にまとめてお届けしました。 若干無理に詰め込んだ感もあり、記事が長くなってしまいました。 すみません、読みづらくなかったですか?
今回は発病のメカニズムについて。 同じ病因にさらされても、発病するかしないか、進行しやすいかどうか、人によって異なります。 それは、体質、体力や免疫能などの素因、環境や生活習慣などの誘因が関わってくるから。 東洋医学では、経験値の積み重ねから、理論化されてきました。
先日、NHKで新しい人体シリーズが放送されましたけど、ご覧になりましたか? 遺伝子研究が進んで、これまでゴミ扱いされていた98%の中に、実はトレジャーDNAと呼べるような情報が含まれていた!という話。 その98%って、類人猿と共通すると言われている部分でしょ?
で、西洋医学では、素因の違いをDNAに求めるようになってきた。 どんな病気になりやすいか、事前に認識していれば、予防しやすいし、なったとしても早期治療できますものね。 治療薬の研究も進むでしょうし。 東洋医学で培われてきたことが、現代科学で証明されつつあると思うと、ワクワクします。
病因の違いによる発病の違い
外感病因と内傷病因を比較すると、多くの場合↓以下のようになります。
・ 外感病因: 突然発病して、経過が短い。
・ 内傷病因: 緩慢に発病して、経過が長くなりやすい。
とは言っても、内傷病因は多種多様。 特に飲食不節によるものの中には、急に発病する場合もあるので、あくまでも参考として覚えておいてくださいね。
素因の違いによる発病の違い
素因として重要なのは、正気の強さです。 正気は、気の生理にあるとおり、生理機能の総称であり、邪気に対抗する抵抗力、治癒力です。 邪気は、病邪とも呼ばれますが、疾病の発病因子ですから、多々ある病因の総称とも言えます。
邪気にさらされても、正気がしっかりしていれば、発病することはありません。 生理物質が満ち足りていて、臓腑もイキイキと機能し、体内の陰陽バランスも整っている状態ですからね。 六淫は衛気によって跳ね返されるし、体内に病理産物が生じる余地はない。 つまり、邪気に負けない。
反対に、正気が弱ると、邪気につけいる隙を与えてしまう。 また、正気が強くても、邪気がそれより強ければ、やられてしまうこともある。 つまり、正気が邪気に負けると、発病しちゃう。 正気の弱点は人それぞれ。 どこが弱いか?で、どんな邪気にやられやすいかが決まります。
こうした正邪闘争(正気と邪気が闘うこと)で、どっちがどんな状態で、どっちが勝つかは、発病するかしないかだけでなく、病の進行や転帰にも影響してきます。 それを表にまとめてみました。 実際には、後述する誘因も影響しますし、臨床ではもっと複雑なはずですから、ご参考までに。
発病の誘因
発病の誘因となるのは、ひとまとめにすると、環境。 正気の状態は体内環境で、気候変化、風土、生活環境などが体外環境です。
正気を常にベストな状態に保つのは、なかなか難しい。 もともとの体質がいくら頑健でも、性格的に怒りっぽいとか、悲観的とか、取り越し苦労しやすいとか、そんなことがあれば情志は失調しやすいですから、ちょっとしたことで正気の状態は変化します。 その変化が、発病の誘因となります。
気候変化や風土には六淫が関係しています。 病因(1)で述べたように、六淫は外感病因ですが、頑健な人でも何がしかの影響を受けますから、正気を弱らせる誘因にもなります。 飲食や労倦などの生活習慣は、病因(2)にあったように、内傷病因となりますが、六淫同様、正気の状態に影響します。
つまり、どんな病因も正気に影響して、発病の誘因にもなる。 何かの病因に接したとき、その他の誘因になりそうなものを排除して、正気をできる限り良い状態に保てれば、発病を避けることができる。 だから養生が重要なんです。
気候変化に対応して、衣服や寝具を調節しましょう。 食事は、よく噛んで、しっかり味わって、腹八分目に。 お酒はほどほどに。 忙しいときほど、しっかり休息しましょう。 座り仕事の人は、通勤時になるべく歩きましょう。
一天一笑、今日も笑顔でいい一日にしましょう。
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